堅曹さんを追いかけて

2002年(平成14年)9月から先祖調べをはじめた速水家の嫁は、高祖父速水堅曹(はやみけんそう)に恋をしてしまったのです

本が出来ました!!

2014-08-29 13:51:07 | 本と雑誌

とうとう明日が前橋の「速水堅曹を語る」講演会となりました。


会場で販売させていただく

『速水堅曹資料集』と『生糸改良にかけた生涯』の2冊の本が、

今朝、それぞれの出版社から我が家に届きました。(出来たてホヤホヤ!)


      Cimg5435


感激です。



速水堅曹資料集 -富岡製糸所長とその前後記ー

   速水美智子編 内海孝解題  

   文生書院〔TEL03-3811-1683〕 定価8,200円(+税)


Cimg5430_3

これは2006年に発見した自叙伝「六十五記」と

堅曹の日記『履歴抜萃』、堅曹の論説などを

資料集としてまとめたものです。


それぞれの解説と「堅曹の素描」、

手紙の解読、新発見の写真掲載、等

この12年間の「追いかけた」結果を

盛り込みました。


東京外国語大学名誉教授内海孝先生の解題は

素晴らしいものです。

私が到達しえなかった堅曹の真実の姿を

描き切っています。










官営富岡製糸所長 速水堅曹 生糸改良にかけた生涯 

 -自伝と日記の現代語訳ー

  富岡製糸場世界遺産伝道師協会 歴史ワーキンググループ 現代語訳

  飯田橋パピルス〔TEL03-5215-7001〕  定価1,800円(+税 送料込)


Cimg5439 こちらは『速水堅曹資料集』に掲載した

自叙伝「六十五年記」と日記『履歴抜萃』を

現代語に訳したものです。


伝道師協会の歴史WGで8年間かけて、

それらを読み解き、明治時代の文章を、

読みやすく、内容がすっとわかるように

訳しました。


堅曹は何を考えていたのか、

何を言わんとしているのか。

そればかりをおもって解読し、

平易な文章にあらためてきました。









『速水堅曹資料集』で原文と解説、堅曹の真実の姿を知っていただき

『生糸改良にかけた生涯』で参考に現代語をお読みください。



講演会会場では、それぞれ会場特価で販売させていただきます。

よろしくお願いいたします。


『速水堅曹資料集』刊行します

2014-08-16 03:14:34 | 本と雑誌

ずっと調べてきた堅曹さんのこと、

資料集としてまとめました。


自伝「六十五年記」と日記の『履歴抜萃』、その他論説など、

10年にわたって探してきたものを一冊の本にしました。


速水堅曹の集大成です。

8月30日出版です。(この日に前橋市で講演会をします。そこで初売り)



『速水堅曹資料集 ―富岡製糸所長とその前後記ー』

速水美智子編  内海孝解題

文生書院 発行 上製・菊版・464ページ

¥8,200(税別)


目次、内容等は文生書院HPをご覧ください。

http://www.bunsei.co.jp/ja/2009-10-22-09-06-12/1200-kenso.html

 



    

     043 ちらし表


    

     044  ちらし裏



ご注文は文生書院までお願いいたします。 

TEL03-3811-1683 FAX03-3811-0296

e-mail:info@bunsei.co.jp  http://www.bunsei.co.jp


石井研堂著 『増訂 明治事物起源』

2011-03-01 02:40:07 | 本と雑誌

時々ネットで古書を購入します。

先日届いたのは大正14年発行の『増訂 明治事物起源』。


Img_0770  『増訂 明治事物起源』



「増訂」とついているのは、明治40年に同じ著者の『明治事物起源』がでているからで、

最初に出版したものに本人は納得がいかず、

それから20年間かけて、さらに調べ尽くして出版したものである。


この本には「機械製糸の始」として速水堅曹と大渡(前橋)製糸所のことが詳しく書かれています。

数年前に図書館でコピーをとりました。


最近になって、筑摩書房から新書版8巻(!)になって、旧字や句読点も改められて出版されていることを知りました。

それでも図書館で古い本をめくると、いろいろな事物のはじめて物語に興味がそそられるばかりで、

ついに大正14年版を買ってしまいました。




届いた本をみると、さすがに経年劣化していて、

パラフィン紙でしっかりカバーされています。


よく見ると、その表紙になにかの絵が書いてあるようだ。

意を決して、そお~と糊をはがし、パラフィン紙をとってみた。

金箔押しがされている。


Img_0774_2  表紙


何の絵柄だろう。

蒸気機関車のように人々が燃料をくべている。

煙突からは煙がでて、機関の中はゴウゴウと火が燃え盛っている。


Img_0778  フラッシュたいてアップに



機械にくわしいNさんに絵をみてもらったら、これは蒸気機関車でしょう、という。

しかし、下が変だ。

車輪が蒸気機関とつながっていない。

台の上に機関が乗っかっているかんじ。

よく見ると車輪は菊の御紋のようにすら見える。



そこで、早速本文の「明治以前の汽車」のところを見たらありました。

これは嘉永7年にペリーが来航したときに、献上品としてもってきた蒸汽車(蒸気機関車)の模型だそうです。

客車のところに人がまたがって乗れるくらいの大きさで、レールを敷いて、その上を走らせ、大いに人々を驚かせたという。

今でいう、イベントのときに子供を乗せるミニSL機関車のような感じでしょうか。


その当時の『読売』に掲載された図がこの表紙の絵でした。

これは「最も不思議なる想像を以て之を図したる」と書いてある。

見たこともない蒸汽車を、話しだけ聞いて想像して描かれた絵だという。

なるほど、どうも変なのも納得。


しかし、こんなトンチンカンな想像をしてしまうほど、

全く未知のものが一気に日本にはいってきたという、

象徴的な最初のもの、ということで表紙にもってきたのかもしれない。



この装幀と挿画は、小村雪岱(せったい)だと書いてある。

ここ数年、関東近辺でいくつか展覧会がおこなわれ、再評価されているので、名前を聞いたことがあります。

小村雪岱は下村観山に師事した日本画家であり、挿画家でものあり、装幀も手がけている。

この本が出されたのは資生堂に勤めていた頃のようです。


そういえば、本の見開きがすごく変わっている。

初期の英語の読本の一部がのっている。


Img_0771  見開き


ここもこの本が欲しいと思った一因です。


いつか、時間があるときにじっくりと最初から読んでいったらおもしろいだろうな、とおもう。


『藩営前橋製糸所跡の碑』冊子

2011-02-22 23:54:45 | 本と雑誌

気がつけば、2週間以上も更新していなくて、書いておこうとおもっていたことが

たまりにたまっています。

元気で忙しくしていました。

ただ優先してやらなくちゃいけないことがでてくると、ついつい後回しになってしまうブログ書き。

チャ、チャ、チャッと書ければいいのだけれど、そんなに器用ではなくて。。。



まず冊子ができました。

昨年12月に藩営前橋製糸所跡の碑をたてたのですが、その経緯と当日の様子、

そしてここが一番肝心なのですが、前橋製糸所についてまとめたものを載せてあります。

編集にはタッチしていませんが、原稿を書いて協力させていただきました。

2月10日に伝道師協会の歴史WGの勉強会で前橋に行った時に

Mさんから何冊かいただきました。

立派な冊子が出来上がりました。


  032_3 冊子

Mさんによれば、表紙の背景のグレーは石碑の石のイメージで、

枠と題字は「前橋市の色」の紫色にしたのだそうです。


横井小楠

2010-03-13 23:53:55 | 本と雑誌

今朝の朝日新聞be面の

コラム「この人、その言葉」(茨城大准教授の磯田道史氏執筆)に 

横井小楠が取り上げられていた。


   2010313  朝日新聞2010・3・13


横井小楠は誠に開明派の先駆けといえる人物で、その見識はすごかった。

坂本龍馬の思想は実は横井小楠と勝海舟の受け売りで

例の「日本をせんたくする」というのは、

小楠の口癖だった「天下一統人心洗濯希(ねが)うところなり」というのを聞いて

姉の乙女へおくった手紙に書いたのである。  

  

磯田先生、最後に

「龍馬ブームに惑わされて本筋の歴史理解を忘れてはならない」と

歴史学者らしく、テレビドラマが本当だと信じてしまう日本人に釘をさしているのはさすがです。

ちょっとあまりのブームになんだかな~とおもっていた私は溜飲がさがった。




実は先月 徳永洋著 『横井小楠』を読んだばかりで、

ブログに感想書こうとおもっていて日にちがたってしまった。

この本たいへんにおもしろかった。


   2010_119 『横井小楠』徳永洋著 新潮新書


読んだきっかけは、

速水堅曹の思想を追っているうちに、九州熊本の長野濬平との共通点をさぐろうとおもったのです。

一生付き合うことができる人物というのは、その思想的なことに共鳴できているはずです。

ましてや、あの明治初期の混沌とした時代に「器械製糸」という

全く新しいことをはじめようということで一致したというのは、

よほどしっかりした考えがあってのことでしょう。

その長野濬平が横井小楠の弟子であるということから、小楠について知りたいとおもったのです。


横井小楠は幕末時、福井藩の松平春嶽に招かれ政治顧問をつとめ、

「国是三論」」を著し、開国通商、殖産興業による富国強兵を提唱している。

多くの幕末の志士達とも交わり、維新後には新政府の参与となり、活躍が期待されていたが、

明治2年暗殺される。


勝海舟は『氷川清話』で小楠のことを

「その思想の高調子な事は、おれなどは、とても梯子を掛けても、及ばぬと思ったことが事がしばしばあったヨ。」

と言っている。

一を聞いて十を知る、という人で、政府のブレーンとしては、

何を問われても卓越なる見解をしめせる人物だった。



小楠はアメリカに留学する甥にこんな言葉を送っている。

  堯舜孔子の道を明らかにし

  西洋器械の術を尽くさば

  なんぞ富国に止まらん

  なんぞ強兵に止まらん

  大義を四海に布かんのみ


小楠の唱える富国強兵は、単なる「西洋文明の輸入」ではなく、

「西洋文明はあくまで技術として優れているのであって、そこに徳はない。

日本は東洋の徳ある文明をもとに、そこに西洋の科学文明を取り入れるべきだ」と考えた。

そして実学を奨励し理想の改革を唱え、弟子達は小楠亡き後、熊本で実行していった。



堅曹は幼少時より中江藤樹の実学と陽明学の思想を学んでおり、

日本が文明国となるには

 東洋の無形的(精神)を経(たていと)とし

 西洋の有形的(物質)を緯(よこいと)とすべし

といっていた。

これらは小楠の考えと相通じる。


この本の著者は30年余りにわたり市井の一研究者(本人の弁)として

横井小楠を研究、顕彰活動を続けてきた方で、

長年の研究の途中での新資料発見や、関係者の子孫の方たちとの出会いなども

文中に盛り込まれており、

そこも読んでいてたいへん惹かれた。

私もこんな風に速水堅曹のことをまとめられたらいいな、と思って読んでいた。