ピアノの先生の生活

ピアノ講師、ブライダル奏者としての日常と
その都度のはまりものへの情熱を綴るくだらな雑記

失格

2009-01-30 00:34:16 | 教室
実は一人だけ声楽の生徒さんを持っている。
この方、キャリアのあるOLさんであり奥様であり一人娘のお母さんでもある大人。
そして何より重度の‘オペラオタク’なのである。そりゃ私なんかより知識がすごいんだわ。
昨年末、「ラ・ボエーム」といプッチーニのオペラの映画を衛星放送でよくやっていた。
内容は貧乏な芸術家達が暮らすアパートでの楽しい暮らしと貧しいがゆえの死別。
こうまとめたら見も蓋も無いとは思うのだが、私はいつもこのオペラを見ると
「そこまで追い詰められる前になぜ働かないのだ?自業自得だ!」と憤りさえ感じてしまうのだ。
そんな感想を先週彼女に言ったのだが、それが彼女に衝撃を与えていたとは
これっぽっちも思っていなかった。
オペラの世界にドップリ浸れる彼女にとってそんな見方は新鮮だったらしい。
「そんなことちっとも思いもしませんでした。先生って厳しい方なんだなあと
思いましたよ」と言われたのだ。
いや厳しい方なんじゃなくて夢が無いーと言うか現実的過ぎと言うか、
やっぱり芸術家失格?!
そう、オペラとはそんな現実的なことを考えず、夢のような話に浸るのが正しい見方だ。
彼女のように「ああ、可哀そうなミミ…」と一粒の涙を流せなければいかん。
それを「死にたくなきゃ働け」って、どんだけ血も涙も無いんだ、私。
芸術家は働いたり現実に生きちゃいけないのよねー。

‘ハッスル’中継見ながら酒を飲むのが至福の時だとか言っていたらいかんよなー。
でもこういうものにならどれだけでも想像力が働き楽しめるのに、
演劇には耽溺できないのはなぜなのだろう?
それはもう資質としか言いようの無い気がする。
彼女を幻滅させないためにもこの件は秘密でヨロシク。
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