海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「中国政府、村の暴動の首謀者を非難」と題する『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙の記事。

2005年12月12日 | 中国の政治・経済・社会
12月12日、北京発:香港近くのある村で起こった抗議する村民を警官が射殺した事件について、中国当局が沈黙を破った。当局は、爆発物や火炎瓶を投げた指導的な数名の扇動者を非難した。
だが、国営の新華社通信によれば、発砲するように命令した官憲は逮捕された。これは北京政府を困惑させた出来事に対する内部の非難が高まっていることを示唆している。
新華社通信は、土曜日遅く、火曜日に起きた東州村の「混乱した暴徒」に対して発砲した際、人民武装警察が、3人の村人を殺し、5人を負傷させたと報道した。しかし、香港の新聞と接触した村人は、20人以上が殺されたと述べた。また、官憲は遺族が遺体を引き渡す場合に現金で補償金を支払った。これは証拠を消す努力だと村人は見ている。
インターネットのサイトは、武装警察によってブロックされ、報道関係者は、閉め出され、土曜日の新華社の報道まで、メディアは何も報道しないように命じられた。
香港で発行されている『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』紙は、昨日、家族の遺体を返せと武装警察の面前で線香を焚いている女性の写真を載せた。彼女は彼女らの夫や息子の遺体を求めて警察署の前で跪いている何十人かの女性の一人であった。
香港の新聞は、殺害の犠牲者の親類の一人であるウエイ・ジン(31)の次のような言葉を引用している。官憲は、家族が遺体を引き渡した場合に口止め料を支払った。「彼らはわれわれにかなりの金額を提供したが、われわれは遺体を諦めねばならぬだろうと言った」とこの村人は言った。
この民間人の射殺は、1989年の天安門事件の血の弾圧以来、中国の漢族多数派の中では民間人に対して使われた武力の最も激しい例である。1997年にイニンにおける未確認数のウイグル人の抗議者を公安警察が射殺して以来最大の事件である。
東州村での衝突は、急速な経済的発達と広範な土地投機とともにやってきた土地収用、腐敗、環境汚染に対する全国的な抗議の波の最も新しいものである。
今年、公安相チュウ・ヨンカンは、大衆抗議は、1994年の1万件に対して2004年には7万4千件に増加したと述べた。
この事件の不平の種はシゴンザイに建設中の火力発電所と東州村の風力発電所である。両村は、香港の東の沿岸部のシャンウエイ市の一部をなしている。村人達は、収用された土地と干拓のために駄目になった漁業基地に対して支払われた補償が不適切であることに不満を述べている。
シャンウエイ市役所の声明によると、両村から来た数百人の村民は、即席で作られた鋭利な武器や火炎瓶や漁業用のダイナマイトで武装し、先週、月曜日と火曜日に風力発電所を襲撃した。火曜日の夕方、「暴徒は警察に爆発物を投げた」と新華社通信は述べている。
「警察は警告の上、発砲せざるをえなかった。混乱のなかで3人の村人が死に、8人が負傷したが、そのうち3人は重傷である。」
[訳者の感想]この記事を書いたのは北京駐在の『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙の通信員ハミッシュ・マクドナルド記者です。中国の暴動もだんだんエスカレートしているように思います。これに比べると諫早湾の干拓地締め切りに反対している日本の漁民の抗議などはおとなしいというべきでしょう。
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