海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「戦争に勝つのに六ヶ月」と題する『ガーディアン』紙の論説。

2007年03月03日 | イラク問題
元国防省次官でハーバード大学の人権専門家であるサラ・シューオールが、『ワシントン・ポスト』紙のための最近の記事でアメリカのイラクにおけるジレンマをこう述べた。
それでは、ペトレアスと彼のチームは、どのように事を運んでいるのか?
『ガーディアン』紙が連絡を取った元の行政府高官によれば、彼の使命は、「着陸やり直し」である。要するに、イラクにおける米軍司令官にアドバイスしている将校の中のエリート・グループは、米国とイラク政府は六ヶ月で戦争に勝つか、あるいは、国内の政治的公的支持の崩壊に直面するかどちらかである。支持の崩壊によって、軍隊は急いで退却しなければならない。
ペトレアスのチームによって確認された諸問題は、不十分な地上軍と国際的連携の分解と英国軍が引き上げた後のイラク南部での予想される暴力の増大、死傷者数が増え、政治的争いが続く限りは道徳的な問題、軍が反対勢力の挑戦に対応できるときに、ホワイト・ハウスが議会に対して政策のコントロールを失うという心配などである。
これは気力をくじくリストだ。だが、ペトレアスと彼のチームとをこの早い段階で無価値だとみなすことは確かに愚かだろう。
行政府高官は、ジョージ・ブッシュの新しい前進戦略は、いくつかの成功の兆しを示している。政治的殺人は減った。イラク人部隊は、義務を示している。国民的和解のプロセスは、石油の富みの配分についての今週の合意の後、前進している。スンニー派が支配的なアンバル州でも希望のもてる兆候がある。そこでは部族長達がアルカイダや外国人ジハディストに対して背を向けていると言われる。
結局、最大の利害を持っているのがイラク政府と政党と普通の国民であるという明白な真理を無視することは馬鹿げているだろう。
確かに、ブッシュ政府は、サダムのイラクを壊した。彼らには、イラクを修理する義務がある。だが、イラクは、サダムが世界を不安定にする以前に、かなり機能不全な社会であった。長期的なイラク問題の解決は、イラク人に責任があり、アメリカ軍にはない。
時間は限られているのに、ペトレアスは、ヒマラヤほどではないにしても、山にのぼらなければならない。「ペトレアスの強力な支持者の多くは、彼の新しい任命が、見込みのない使命であることを心配している」とシューオールは言う。それが事実だと分かったら、ペトレアスは、ブッシュに対してではなくて、議会のメディアを通じてアメリカ国民に公的に言うと昨年夏に約束した。
シューオールの結論は、予見しているかもしれない。「ペトレアスは、部隊に最後の奉仕をするが、勝つことに依ってではなく、イラクについての真実を語ることによってある。」
[訳者の感想]どうしたら、イラクをもっと健全な社会にできるかという政治的構想もなしに、戦争に勝てばいいだろうと介入したアメリカには、イラク人と他の世界に対して政治的道義的責任があるだろうと私は思います。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ホワイト・ハウスは、世界... | トップ | 「シーア派の半月地帯に対す... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

イラク問題」カテゴリの最新記事