海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「中国、アフリカに向かって大躍進」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年02月03日 | 中国の政治・経済・社会
ベルリン発:最近ダボスで開かれた世界経済フォーラムのような国際会議で、繰り返しテーマになっているのが、中国の経済奇跡である。2005年に中国は国民総生産を年率9.9%増やして、ついに世界第五の国民経済を持つに至った。より大きな成長は、より大きなエネルギー消費を意味している。中国の台頭のお陰で、ヨーロッパでも原油と天然ガスの価格は記録的になった。エネルギー饑餓は、中国をして原料資源を追求させる。南米や東南アジアでも。北京はアフリカ大陸を「何よりも先ず、エンルギー資源の調達市場」と見ていると「ドイツ外交学会」の安全とエネルギーの専門家であるフランク・ウンバッハは、言う。
過去数年間に中国はアフリカでのプレゼンスを大幅に増やし、初めてそのアフリカ政策についての白書を公刊した。中国の国営の「中国国際放送」は、ケニアのナイロビから英語、キスアヘリ語、中国語で19時間の放送を開始した。李肇星外相のような高官がアフリカ大陸の国々と熱心に旅行外交を行っている。ナイジェリアでは、李外相は、国連安全保障理事会の常任国になりたいというアフリカ諸国の願望に対する中国の支持を強調した。それに先だって、中国の石油コンツェルン「中国国有石油会社」(CNOOC)は、23億ドルでナイジェリアの1,300ヘクタールの油田の25%を獲得したいということを告知した。中国の石油輸入量の三分の一は、アフリカに依存している。その際、中国は、国際的に非難されている国家との協力も辞さない。スーダンは、その原油生産の60%を大きなパートナーに供給している。
米国は、アフリカに対する中国の関与を増大する不快でもって観察している。非民主的な中国は、アフリカにおけるアメリカの利害に挑戦しているのだとニューヨークにある「外交関係委員会」は警告している。これに対して、北京に駐在のゴルドマン・サックスのエンルギー専門家であるチャイ・ジンヨンは、アメリカが「偽善的である」と批判している。中国は現在何が何でも石油を必要としているのだと彼は言う。「より確実な国々にあるエネルギーの蓄えへのアプローチをアメリカが妨げる限り、中国もまたスーダンのような国々に手を出さざるを得ない。」チャイは、CNOOCによるユノカル買収が失敗したことを指摘しているのだ。アメリカ国内の政治的反対によって商談は成立しなかった。
中国の巨大な需要によって、原鉱や金属や原油について世界市場価格は高騰した。それによって、セネガルやコート・ジヴォアールにおけるこれまで採算が取れないか量の少ない産出を開発することが関心を引き始めた。中国の長期的な戦略は、企業参加や、パイプラインや精製所や港湾施設などのインフラを整備するために、目標となる国々に何十億ドルも注入することである。推定によると、中国は、2001年から2031年までに約3,600億ドルをアフリカの原油産出地帯に投資する予定である。スーダンでは、国有の「中国国有石油会社」は既に石油コンツェルンGNPOCの資本金の40%を保有している。
「中国はアフリカの多くの政府から両手を挙げて受け入れられる」とドイツの「科学と政策財団」のアフリカ専門家であるデニス・トウルは言う。「特に西欧は、原油地帯以外には殆ど投資してこなかった。」住民はしばしば余りうれしがっていない。北京は、9億の人口を持つ大陸を安い中国の繊維製品や電化製品の販売市場だと見なしている。2005年に中国とアフリカ諸国間の貿易量は350億ドルに達した。中国はその輸出品でアフリカの土着の経済を破壊したと言われている。
とりわけ、民主化と人権尊重とは停滞している。西欧とは違って、中国は、台湾の非承認は別として、透明性や腐敗との戦いを条件にしていないとトウルは言う。この「主権原理」は双方に有用である。例えば、スーダンは、原油収入で中国製の武器を購入している。その代わり、中国は、国連安全保障理事会でスーダン政府に対する制裁に反対した。ジンバブエとその独裁者ロバート・ムガベに対しても中国は保護の手を差し出している。だが、この国の地下資源に対する関心は、後退しつつあるように見える。ムガベの最近の中国訪問で、彼は望んでいた財政的支持を得られなかった。「民主的規則や原理は、完全に欠けている」とケープタウンにある「南ア国際問題研究所」の貿易専門家であるピーター・ドレーパーは述べている。
これに対して、北京は、アフリカとの戦略的パートナーには利他的動機があると述べている。「それは平等と相互の信頼に基づいている」と李肇星外相は言った。『中国日報』紙は、次のように書いている。「他の国々とは違って、中国のアフリカ政策は、正直で搾取的ではない。」結局、中国もアフリカ諸国も共通点がある。「われわれはどちらも植民地的搾取に苦しめられたのだ。」
[訳者の感想]現在の中国のアフリカ政策について書かれた優れた記事だと思います。筆者は、キルスティン・ヴェンクとイェンス・ヴィーグマンです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「農村の暴動に直面して、中... | トップ | 「文化の戦いが勃発」と題す... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

中国の政治・経済・社会」カテゴリの最新記事