海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ハルツIVが児童の貧困の原因だ」という『ヴェルト』紙の記事。

2007年12月24日 | 貧困問題と食糧問題
KISS
L’Arc~en~Ciel,Akira Nishihira,Hajime Okano,Daisaku Kume,hyde,ken,tetsu,yukihiro
KRE(SME)(M)

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クリストフ・ブッターヴェッゲの研究によると貧困児童の増大は、「ハルツIV」の直接の結果であり、それによって、政治によって仕方のないこととして是認されている。「児童保護同盟や福祉団体や私のような貧困研究者は、この労働市場改革は、貧困へと落ち込むことであり、子供たちが主な被害者であると警告した」とこの政治学者は言う。失業保険に頼っている家庭は、社会の周辺に追いやられた。
「ドイツ児童援助」の2007年度の「児童白書」によると、2005年1月1日に施行された「失業保険II」の導入以来、社会保険や生活保護に頼る児童の数は二倍に増えた。「基本的社会保険は、その名にふさわしく、人々を貧困から守らなければならない。」だが、失業保険II」では、その給付が少なすぎて、社会保障にならない。給付期間が短縮された児童手当も、失業した家庭が「社会の周辺に押しやられる」のを防ぐことはできない。
 児童の貧困が増大しているもう一つの理由は、労働市場における景気上昇が片親家庭には影響しないことにあるとブッターヴェッゲは言う。「雇用者は、公共の全日保育施設が不足しているという理由で、その柔軟な運営を疑っているから、彼らは新たな労働者を雇用する場合に別の失業保険受給者を採用しているように見える。」
 2007年に導入された扶養手当も、ブッターヴェッゲによると、多くの家庭の困難な社会状態をあまり考慮していない。「少なくとも、両親の一部は、年度の初めから、サービス部門では、以前より雇用されなくなっている」と彼は明言した。子供をもった移行給付の受給者は、扶養手当については不利益を蒙っている。以前には、彼らは2年間、毎月300ユーロ(4万8千円)をもらっていた。現在は、彼らは1年間、300ユーロもらっているだけである。扶養手当においては、大連立政府は、マタイの原理に従って家族政策を行っている。つまり、持てる者には、もっと与えられ、わずかしか持たない者からは、いくらか奪われるという原理だ。」
 児童の貧困と闘うために、ブッターヴェッゲは、失業状態と整合的に戦うこと、法的な最低賃金制と基本的社会保障を要求している。「ハルツIV」の基本給は、450ユーロ(7万2千円)に引き上げられ、15才以下の児童に対する給付はその80%を給付するようにする必要がある。その上、ブッターヴェッゲは、細分化された学校制度を廃止することに賛成する。「貧困は、社会的に選択的な学校制度に原因がある。」
「児童の貧困は、構造的暴力の一形態であり、しばしば、一生涯の差別として作用する」と彼は述べた。「ますます貧乏人と金持ちとに分裂する社会では、麻薬使用が増え、暴力行為や犯罪が増えると予想される。そういう社会は、社会保障をけちった分、結局、警察・司法・監獄のために金を出すことになるのだ。」
[訳者の感想]「ハルツIV」というのは、2002年にフォルクス・ワーゲン社の人事担当重役だったペーター・ハルツを議長にして編成された15人からなる委員会の答申によって作られた「労働市場改革案」で2005年1月1日から施行されました。これは失業保険を減額して、なるべく就労を促進しようとしたものです。ハルツはこの改革で35万人を就業させられると予想していましたが、実際には失業者を減らすことはできず、派遣労働者だけが増え、貧困家庭が増えたというのは日本と全く同じです。
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