海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「政治局は、谷開來を使って薄熙来を閉め出す」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2012年08月10日 | 中国の政治・経済・社会
(前略)
谷開來は、普通の女性ではない。彼女は、国際的に名声のある弁護士であると同時に、問題になっている薄熙来の妻である。薄熙来は、今年、4月、規律違反で、政治局と常任委員会から除名された。その直前に毒殺疑惑を理由として彼女は告訴された。この大衆に人気のあるカリスマ的な政治家の事件にはいろいろな側面があって、彼女に対する告訴はその一つの面に過ぎない。犯罪や腐敗や権力乱用のどんな影も、中国の政治エリートの上に落ちてはならないのだ。特に10月に開かれる共産党大会の前には。そこでは、次の十年間の党指導部が選ばれることになっている。
 しかし、まだ解明されていない幾つかの問題がある。「なぜ、裁判は、薄熙来が住んでいた重慶で行われないのか?」、「なぜ、裁判は公開されないのか?」、「なぜ被告人あるいは被告弁護人の告訴に対する反論はないのか?」谷開來の裁判は、左翼愛国主義的な護民官薄熙来を手早く、音を立てないでお払い箱にするための手段に過ぎないように見える。薄熙来は、100万都市重慶の共産党書記長として組織犯罪を撲滅する一方、毛沢東以来の共産党的な歌や文化財の再活性化を行った。しかし、彼の大衆に訴えるやり方は、北京の党指導層の気に入らなかったのだ。
 確かに暴力団犯罪に対する彼のやり方は、人権を無視していた。弁護士や企業人たちは、役所の拷問を非難している。毛沢東語録や紅衛兵の歌は、彼らに文化大革命当時の悪夢を思い出させた。要するには、薄熙来には、支持者もいたが、反対者もいたのだ。腐敗と職権乱用と脅迫とが薄熙来の家族を巡って絶えなかった。そこに家族と親しかった英国人ニール・ヘイウッドの毒殺容疑が持ち上がった。薄熙来の片腕で重慶の警察を指揮していた王立軍がアメリカ領事館に逃げ込んで、谷開来がヘイウッッドの毒殺を使用人に依頼した件を暴露した。裁判所が選んだ弁護人は、谷開来が「殺人容疑を否定しなかった」と述べた。彼女には、10年以上の労働刑か、死刑が予想されている。

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