海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「パキスタンがタリバン化しそうだ。」という『シュピーゲル』誌の記事。

2005年07月20日 | イスラム問題
小見出し:パキスタンの百万都市ペシャワールでは、議会はイスラム教宗教警察の投入を決議した。過激な聖職者の前進が進んでいる。批判者達は、かってのタリバン時代の隣国アフガニスタンと似た状況を恐れている。
ハンブルク発:州都ペシャワールの議会で、今週、場合によっては容易ならぬ予期せぬ出来事が起こった。世俗的な政党に所属する議員達は、いわゆる北西部州で宗教学者にとっぴな特権を認めるであろう法案のコピーを引き裂いた。その中には、宗教的風俗警察の設立案が含まれていた。
しかし、コピーの上にはコーランからの詩句と予言者ムハンマドの名前が書かれていたので、頑迷なイスラム主義者達は、反対者を「冒涜罪」で告訴するように要求した。これはパキスタンでは、死刑に値する罪である。
今回、議会で演じられた抗議は、北西部州では、将来、「ハスバ軍」(「釈明軍」というような意味)によって挫折させられるだろう。この種の宗教警察は、それほど遠くない時代に、タリバンの支配するアフガニスタンに存在した。そこでは、政権の手先は、市街の恐怖の的であった。
信仰監視者は、音楽カセットが見いだされた自動車を押収し、サッカー場においてさえお祈りの時間が厳守されているかうるさく監視した。女性は、袋のようなブルカを被らなければならなかった。拳一つ分の長さの髭を蓄えていない男性は、電気コードで殴られた。占い師や物乞いをする戦争寡婦も同様だった。
パキスタンにおける「ハスバ法」は、僧衣を着ていわゆる罪人達を追い回す聖職者達の独裁に等しいだろう。捕吏達の目についた者は、監獄と罰金で罰せられるはずである。
北西部州の世俗的政治家が恐れているように、この法律でもって、パキスタンのタリバン化が始まるだろう。特に女性達は、宗教的過激派の目標になるだろう。ペシャワールでは、キリスト教信者の女性達が、抗議のために鎖を体に巻いた。パキスタンの少数派の代弁者であるシャバツ・バッティは、聖職者達はもっと多くのことができるだろうと考えている。「この法律は、宗教的熱狂者を勇気づけ、あらゆる民主主義的制度をなくすだろう。」
昨日、木曜日に、この法律が州議会を通過した際、石器時代のイスラム主義者達は、「アラーは偉大なり」と叫んだ。イスラマバードの最高裁判所だけがこの法律の発効を阻止できる。しかし、58の宗教政党があるパキスタンでは、これは確実ではない。バザールのメッカであるペシャワールでは、彼らの中でもっとも過激な連中が多数派であり、彼らは、「ムタヒダ・マジリス・エ・アマル連合」(MMA)によって統合されている。
聖職者の連合は、北西部州とともに、アフガニスタンとの国境と2千万人を支配している。この地域は、部族地域とともにタリバンとアルカイダの外国人雇い兵に対して戦うアメリカ軍の前線である。テロの王様オサマ・ビン・ラディンは、この国境地帯の荒れた地方のどこかに身を潜めているとアメリカのテロリスト追跡者は推測している。(以下省略)
[訳者の感想]もともとタリバンをアフガニスタンに送り込んだのは、パキスタン軍であったということを読んだ記憶があります。イスラム原理主義は、むしろますます勢力を伸ばしているのではないでしょうか。
コメント
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