海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「中国の要求、米議会を怒らす」と題する『ワシントン・ポスト』紙の記事。

2005年07月07日 | 中国の政治・経済・社会
7月6日付けジョナサン・ワイズマンの記事です。
民主共和両党の議会議員は、昨日、議会が「間違った仕方を」修正し、アメリカの石油会社ユノカルを獲得するための中国の会社の入札に「介入することを止めよ」という中国政府の要求に対して怒りを含んだ驚きの反応を示した。
議員達は、この激しい非難は、中国政府によってコントロールされている中国海洋石油会社(CNOOC)によるユノカル社の買収に対する政府の監督を強めるだけだろうと示唆した。
「どうして彼らは統治の最高の機関であるわれわれに何かを要求しようとするのか」とミシガン州選出の共和党議員キャロライン・チークス・キルパトリックは反論する。彼女は、先週、333票対92票で承認されたこの取引の進行を可能にするのに必要な連邦安全保障の基金を削減する下院の修正案の起草者である。「われわれは民主主義者であって、共産党員ではないのだ。」
「最小限度、彼らは議会に干渉するなと言ったことによって、議会の議員の関心を悪化させないまでも、強固にした」と、下院資源委員会の委員長であるリチャード・ポンボ共和党議員のスポークスマンであるブライアン・ケネディーは語った。ポンボは、決議案の共同提案者であって、この買収が国家の安全保障を脅かすかもしれないという懸念を表明した。
「中国海洋石油会社」がユノカル社に対して要求されないのに提示した185億ドル(1兆8500万円)の入札をして以来、石油会社の役人とその米国における代理人は、注意深く会社を中国政府から切り離そうとし、契約を純粋にビジネス・ベンチャーであると称した。しかし、中国外務省は、直接議会に宛て出された準備された強い表現の声明によって、この調整をだめにしたのだ。
「われわれはアメリカ議会が経済と貿易問題を政治化する誤った仕方を訂正し、両国の企業の間の普通の商取引に介入するのを止めることを要求する」と中国外務省は書いた。「アメリカのユノカル社に対する中国海洋石油会社の入札は、企業間の通常の商業活動であって政治的干渉の犠牲になるべきではない。」
議会議員の多くは、海洋石油会社の入札を「普通の商取引」以外のものであると見なしている。ユノカル社の役員会は、既に165億ドルを現金とアメリカの石油会社シェブロンからの株で受け取っている。要求もしないのに支払われた中国海洋石油会社からの入金は、急速に増大する需要に対してエネルギー備蓄を確保しようとする中国のおおっぴらの努力に一致している。議会内の反中国感情は、通貨操作や知的財産権の盗用や不公正貿易に対する非難の上にここ数年間築かれてきた。
他方、シェヴロン社は、海洋石油会社を中国政府の政治目的に結びつけようとするそのロビー努力によって、これらの恐れをかき立てた。アメリカ第2の石油会社であるシェブロン社の役員は、ユノカル社を買収する彼らの努力を中国政府というゴリアテの無限の資財と戦うダビデにたとえる。
「これは商社を買って、石油・天然ガスの備蓄を市場から政府の所有財産に移す政府なのだ」とシェブロン社役員会の副議長であるピーター・J・ロバートソンは先週行われたインタービューで述べた。「これは自由な取引ではなく、不公正な取引だ。」
下院に対してその投票を撤回せよと要求することによって、中国政府は、シェブロン社の思うつぼにはまったかもしれない。「この国の何百万人を代表する333人の議員が間違ったとは、私は思わない」とキルパトリック議員は言った。「彼らは自分たちが何をしているかを良く知っていた。」
「中国政府が彼らは何も間違ったことをしていないように振るまい、誰にでもサーベルをガチャつかせるても、彼らは自分たちの目的を達成できない」と、チャールズ・E・シューマー民主党上院議員は言った。彼は中国政府が通貨の切り上げをしないならば、中国の商品に対する関税を引き上げるべきだとする法案の共同提案者である。
ジョン・D・ディンゲル共和党上院議員は、通貨操作を取り締まる別の法案の再導入を提案しようと計画している。
ウオール街も中国政府の声明は潜在的に破滅的であると見ている。「中国海洋石油会社は、恐らく重要なPRをしなければならず、彼らが政府とは独立に仕事をしているのだと見せる必要があるだろう」とアーガス・リサーチ社のエネルギー・アナリストであるジェブ・S・アームストロングは言う。「しかし、そういったことは起こりそうにない。」
昨日、シェヴロン社の株は、1.59ドルから58.56ドルまで上がった。これは恐らく中国政府の声明が、シェヴロン社の言い分を裏書きし、この会社がその言い値をを顕著に引き上げるだろうという投資家達の思惑を反映している。株価の増大は、シェヴロン社の入札価格を167億ドルまで押し上げた。
中国海洋石油会社のためにPRを担当しているパブリック・ストラテジー社の役員は、中国外務省の声明にコメントすることはできなかったが、海洋石油会社に近いワシントンとニューヨークの役員は中国政府の声明は、彼らのすでに困難な仕事をもっと厄介にしていると述べた。
しかし、ブッシュ政府の高官は、この声明に驚いていない。数ヶ月間、政府高官は、中国に対して、反中国感情を起こさないように警告してきた。アメリカ政府がこの貿易の関心に答えることができなければ、議会が動くだろう。だが中国高官が、繰り返し示したのは、議会はそれが実際ある以上にホワイトハウスの願いに義理を感じているという彼らの信念であったと政府高官は言っている。
[訳者の感想]中国外務省は、アメリカ議会がブッシュ政府の言いなりになるだろうと思っていたようです。
北朝鮮の核問題があって、アメリカ政府は、中国に余り強硬な態度は取れないようですが、議会ではむしろ
反中国感情が高まったと見るべきでしょう。資源問題は中国にとってますます厄介な問題になりそうです。

コメント (1)
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