goo blog サービス終了のお知らせ 
不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ドイツは道を示さねばならない」と題する『ツァイト』紙の論説。

2009年04月02日 | 国際経済
二ヶ月前、大統領に就任した後で、オバマ政府は、攻撃的な景気浮揚政策を打ち出した。その大きさと範囲はこれまでになかったものだ。私はそれが引き起こした混じり合った反応とそれがドイツや他のヨーロッパ諸国で真似される熱意に大きな感銘を受けた。何人かは、大統領の計画は、不発に終わるだろう、米国は持続するデフレーションに向かうだろうと心配した。他の人たちは、計画は非常に大規模なので、ひどいインフレを引き起こすに違いないと予言し、米国の保護主義を恐れた。
同時に、ドイツでは、世界経済の健全性に対する責任は、主としてアメリカの肩に懸かっているという見解が広く広まった。
注意して欲しい。米国の景気後退の終わりは、世界的な回復を促進するだろうということは、確かに正しい。だが、ドイツと他のヨーロッパ諸国が大きな独自の回復計画のリスクと努力を惜しむならそれは重大な誤りである。このような計画は、世界的な景気後退を終わらせるのに、同様に重要であり、その際、ドイツは指導的な役割を演じなければならない。
話をアメリカに戻そう。経済は確かに悪い。おそらくもっと悪くなるだろう。景気後退は、既に15ヶ月続いている。大銀行は、彼らの資本基盤を破壊する有毒な不良債権を抱えている。信用は減退し、ビジネス界は、金融を受けられず、投資をすることができない。消費者は、支出を減らしている。在庫量はなお大きすぎ、住宅建築は、最低の状態にある。仕事の減少は、過去25年間のうちで最大の規模である。一年の間に、440万人が失業した。多くの専門家達は、アメリカの失業率はまもなく10%を超えるだろうと予測している。
しかし、絶望する理由はない。私の予測では、オバマの景気浮揚策は機能するだろう。米国の景気後退は、今年の第四四半期には、終わるだろう。保護主義の圧力に対しても、最近、オバマがカナダとヨーロッパに対して示したように、抵抗できるだろう。おそらく米国は、貿易自由化で指導的な役割を引き受けるだろう。
この楽観主義の重要な根拠は、私の歴史的な理解であって、それによれば、危機においては、指導力に大きな重点が置かれる。オバマ大統領は、かっての誰よりも人気がある。有権者の70%は、彼の景気回復策を支持している。彼は転換は困難で長期的だとアメリカ人に述べた。そして、世論は、我慢する覚悟がある。だから、ロナルド・レーガン以来の彼の前任者よりもずっと強力だ。彼は計画を素早く実行に移すことができた。その基礎となったのは、困難な景気後退は精力的な行動を要求すること、多すぎるリスクと、あまりに少ない対策でもっと大きなリスクを招くこととを天秤にかけるという認識である。(後略)
[訳者の感想]筆者のマイケル・ブルーメンソールは、カーター大統領時代に財務長官でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「オバマ大統領、中間階層のための景気法案をまとめる」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2009年03月17日 | 国際経済
経済危機に対する戦いで、オバマ大統領は、信用収縮に悩むアメリカの中産階層を保護しようとしている。オバマ大統領は、新しい指令によって、中小企業に将来、寛大な融資をするように銀行への圧力を強めている。国家自体が、7300億ドル(70兆円)を寄付して、融資利息を下げ、中間階層の融資に対する担保を保証しようとしている。
それ以外に、政府は資本市場では買い手が見つからない小企業の負債を買い取ろうとしている。この企てのための手段は、既に可決された景気浮揚包括案によるものだ。
それ以外に、大統領は、国家の金融支援を受けた米国の21の大銀行に対して、毎月、小企業に対する融資額についての決算書を提出するように指示した。比較的小さい銀行は、四半期ごとにこの義務を実行せねばならない。国家の資本援助を受けなかった銀行に対しても、政府は、中小企業により多くの融資を与える「特別の努力」をするように要求した。財務省長官のティモシー・ガイトナーと並んで、オバマ大統領は、中間階層を米国労働市場における最も重要な動力の一つだと称した。
「これは正しい方向の巨大な一歩だ」と米国商工会議所の中間階層部門の所長であるジョヴァンニ・コラトロは述べた。計画された措置によって、銀行はより多くの融資を中間階層に対して行うだろう。「多くの小企業はそれから利益を得るだろう。」米国の被雇用者の70%は、中小企業で働いている。
連邦準備委員会のバーナンキ議長は、景気後退の克服が今年中にも可能であると見なしている。その前提は、銀行システムの安定化であるとバーナンキは、日曜日の晩に、CBSテレビで述べた。(以下省略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「共同で経済危機に立ち向かう」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2009年01月29日 | 国際経済
ダボスの世界経済フォーラムの参加者は、金融・経済危機の進行で世界中のあらゆる国で莫大な所有の喪失を恐れている。これは特に発展途上国と先進国との境目にある国々に厳しい影響を与えるだろう。しかし、同時に、個々の政府のばらばらの政策や保護主義的政策に対する警告が発せられた。市場経済と自由市場の長所の承認には一致した賛成が得られた。「これ以外の経済システムは、これほどの福祉を作り出すことはできない」とフォーラムの開会記者会見でルパート・マードックは述べた。
世界中の政府は、金融・経済危機に対してもっとよく調整されたやり方をするように呼びかけられた。「個々の国は、もっとうまく協力しなければならない。中国は、決定到達にもっと強引に引き込まれなければならない」とロンドン経済大学のハワード・デイビスは述べた。G20と呼ばれる最も重要な産業国と境界国の政府機関のグループは、それに対する正しい枠であるかもしれない。共同の行動への必要性は、多くの国で、0%に近い公定歩合に関して、伝統的な金融政策の可能性は、尽きてしまっている。そえゆえ、国家は財政政策で経済を刺激する必要がある。しかし、個別的な国ではじめられた景気対策では、余り多くのことは達成されないだろう。
フォーラムの参加者は、困難の解決は米国からのみ来るわけではないということを前提している。ハーバード大学教授で「国際開発センター」所長であるリカルド・ハウスマンの意見によれば、アメリカは、特別の役割を持つことができる。なぜならば、この国は、無制限に信用してよい最後の債務者であるからである。「負債を作る能力を米国は失ってはならない」とハウスマン教授は言う。反対の場合には、開発途上国は、資金を得るのがますます困難になるだろう。これらの国々に対して、ハワード・デイビスは、大きな産業国の融資による7000億ドル(70兆円)の景気浮上策を要求している。「われわれがこのような計画を必要としているわけは、これらの国々がウオール街によって見捨てられてはならないからである。」とハウスマン教授は言う。景気浮揚包括策はそうこうするうちノーマルになったから、この額は、大きすぎはしない。「開発途上国は、この危機の影響で、20年前の状態に後戻りする危険がある」と南アの鉄道会社トランスネットの会長マリア・ラモスは述べた。(以下略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「不平等の拡大」をテーマとした本の書評。

2009年01月13日 | 国際経済
(前略)
ケヴィン・フィリップとロバート・フランクによると、米国における富の生産の波は、三つの力の協力によって生み出された。それは、第一に、新しいテクノロジー、第二に金融投機、第三に自由市場と金持ちを支持する政府である。(中略)
富を形成する第三の波は、金融市場資本主義である。米国の富の半分は、過去10年間に作り出された。1900年に、スタンダード石油の所有者ジョン・D・ロックフェラーは、既に10億ドルの財産を持っていたが、それは現在の貨幣価値では、140億ドル(1兆4000億円)に相当する。これはウオル・マートの創始者だったサム・ウオルトンの五人の遺産相続人のそれぞれが持っている財産に等しい。(言い換えると、五人の財産の合計は、700億ドル(7兆円)に達する。)
実際、金融市場で得られた富は、経済と政治、企業と国家の間の深刻な不均衡を作り出した。2007年には、地球上のすべての国の国民総生産(GDP)は、47兆ドル(4千700兆円)に達した。そのうち、250の大企業に属するのは、14兆8700億ドルであり、13兆3000億ドルは米国の属し、13兆7400億ドルは欧州連合に属している。世界で最も大きな5つの企業(ウオルマート、エクソン・モービル、ルイヤル・ダッチ・シェル、BP、ジェネラル・モータース)の売り上げは、1兆5000万ドル(150兆円)に達する。これは、最も豊かな7ヶ国を除いた、世界中の国々の国民総生産よりも多い。世界の大企業2千社の売り上げは、27兆ドル(2千700兆円)で資本金の合計は、103兆ドルであり、7千万人の従業員を抱えている。「30から40億人が努力してやっと生計を維持しているということを前提すると、地球上で手から口への生活をしている人間の半分以上は、一握りの決定権を持った人間に依存していることになる」と『超階級』の著者ダーフィット・ロートコップフは言う。
 この企業と国家、経済と社会の間の不均衡は、世界史上初めての人間と人間の間にある最大の社会的不平等の原因である。ロートコップフによると、世界の人口の10%の人間が世界の富の85%を持っている。人類の半分は、世界中の富の1%で我慢せねばならない。最上位の2%に属する人間が、世界中の富の50%を握っている。100万ドル以上の財産を持っている950万人は、「高額所有者」であると思われ、3000万ドル以上の財産を持つ9万5000人は、「超高額所有者」と呼んでも良い。(中略)
「超階級」に属しているのは、誰か?ロートコップフによれば、6千人が地球上の60億人を支配している。彼らのおのおのは、それだけで、一つの階級で、一人で100万人の普通の市民と釣り合っている。彼らに属しているのは、2千の大企業の経営者であり、100の金融機関であり、120の政府の高官であり、国際機関の議長であり、NPOの代表であり、軍隊の司令官であり、大きな宗教団体の首長であり、最も重要な科学者であり、大学教授や芸術家であり、テロリスト指導者であり、犯罪集団の親分である。これらが現代の社会を支配しているエリートである。(後略)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「すべては預金カード100に賭ける」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事

2008年10月06日 | 国際経済
皆さんはまだ覚えているだろうか?昔昔、祈祷の文句みたいにレンテン・マルクは、安全だと約束した人気のある政治家がいた。25年前のノルベルト・ブリューム元労働相の文書の冒頭は、大胆だった。なぜならば、その当時既に下降し始めた人口は予想できたからだ。
さて、メルケル首相とシュタインブリュック財務相は、預金は安全だと約束した。
ドイツの預金者達は、預金口座の一ユーロもなくなると心配する必要はない。「沈静化に達し、われわれの危機管理を困難にするような反応が起こらないためには、これは重要なシグナルだ。」
なぜというに、本来の危機をコントロールすることが必要だ。つまり、人間の信頼喪失や不安に対する不安をコントロールすることが必要だ。預金者が銀行に押しかけることほど恐ろしいことはない。1970年代のヘルシュタット銀行の破産を見るがいい。一見安全な金融の港であるドイツからたとえばアイルランドへの資本逃避ほど腹立たしいものはない。そこでは、政府は木曜日に、国内銀行の義務を包括的に保証した。
ドイツ国民は、総額45億ユーロ(6300億円)を危険に曝している。定期預金、普通預金、保険、株式、投資信託などにつぎ込んでいる。ますます多くの人たちがトーク番組や忠告放送やエコノミストたちの予言に掻き立てられて、私の預金はどうなるのかと自問している。どのような投資形式がもっと安全なのか?どの銀行が危機を乗り切るのか?止めようがなくて、お金が簡単に失われたらわれわれはどうなるのか?
これらの問いに答えることが必要だ。メルケルとシュタインブリュックは答えを与えた。勇敢に、だが、投入される資金は高額である。その理由は、鎮静剤は効かなければならない。人々に、危機管理能力を、経済と政府の強さを確信させなければならないのだ。(後略)
[訳者の感想]ドイツでも金融危機が深刻なようです。第一次大戦後ものすごいインフレで経済が混乱したのを体験した世代は死に絶えたはずですが、銀行の取り付け騒ぎは皆恐れているようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「左翼は、金融危機をどう見ていうるか」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2008年09月17日 | 国際経済
ダニエル・コーン・バンディ(1968年当時の学生運動指導者)
この金融危機は、資本主義ネオリベラルにとっては、核エネルギー推進派にとってのチェルノブイリと同じだ。それは破局だ。われわれみんなが、これから学べるといいと思う。だが、私は何か学べるだろうと楽天的だろうか。それは別の問題だ。世界最大のネオ・リベラル国家(米国のこと)が銀行を国有化しようと考えるとは!信じられなくて目をこすっているよ。
これは資本主義の終焉ではない。なぜならば、資本主義は、いつも自分を改革する智恵を持ってきたからだ。それが改革できなければ、資本主義はおしまいだ。だが、市場が神様だという信念は終わった。市場は規制されなければならない。
 われわれは、二十年間、気候変動に注意を促そうと戦ってきた。それは時間がかかったが、われわれは、正しかったのだ。この危機は、持続的発展に賛成するわれわれの主張を助けるだろう。つまり、われわれには環境・社会・経済の間のバランスが必要だということだ。でも、私はうれしくはないね。金融危機は、私を深く悲しませる。普通の人たちはすべてを失ったのに、銀行家たちは何百万ユーロももらって退職しているんだ。
注:ダニエル・コーン・バンディは、1968年のパリの学生紛争の指導者だった。彼は当時「赤髪のダニー」というあだなで知られていた。彼は現在,ドイツの「緑の党」の国会議員である。
ジャーヴィス・コッカー(イギリスの歌手)
 資本主義が天罰を受けているのを見るのは本当にすばらしい。資本主義はやりすぎた。私は実際の生産物を作っている会社が問題になる場合は、大抵の人たちは資本主義を理解していると思う。だが、資本主義がお金を作る組織である場合には、それを理解していない。それは抽象的な資本主義だ。テレビ画面の下部に流れるFTSE指標を見る場合、それはわれわれの生活の仕方に何の影響も及ぼさない。そして突然、おまえの生活が急降下していると告げられるのだ。こんなことは誰も理解できない。
 本当に悲しむべきことは、これらすべてが労働党政権の下で起こっているということだ。それは多数者の利害を気にかけるべきだのに、その代わりにぽん引きの役割を演じているのだ。
 多分、ちょっとばかりの景気後退はいいかもしれない。沢山の人たちが、自分たちの資産以上の暮らしをしている。われわれはみんなそうした。わたしもそうした。われわれはちょっと憂鬱になっている。人々は本当に前よりは多く互いに話し合っている。悲劇は、矢面に立つのは普通の人たちだということだ。責任のある奴らは、ヨットを売れば済む。(後略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「崖っぷちの金融市場」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2008年09月16日 | 国際経済
2008年9月15日発:現代の金融システムは、いままで経験したことがなく、だれも予期しなかったストレス・テストを受けている。目下、第五の衝撃波が金融市場を襲っている。それはこれまでのどの衝撃よりも大きい。住宅金融のための金融機関を国有化した二週間後、アメリカで三番目に大きいリーマン・ブラザースが破産し、伝統に富んだメリル・リンチはバンク・オブ・アメリカの腕の中に逃避した。世界最大の保険会社AIGは、揺らいでいる。取引所の専門家は深淵をのぞき込み、市民は、自分の金が安全だろうかと問う。世界金融市場は崩壊はしていないが、この危機の後ではもはや以前と同じではあり得ない。
これまで、危機に陥った銀行は国家によって救済された。金融システムの崩壊を防ぐために、幾つかの政府は介入した。ドイツ連邦政府は、私有のIKB銀行を救うために、92億ユーロ(1兆3800億円)を支出した。英国政府は、不動産銀行ノーザン・ロックを国有化した。アメリカ政府は緊急融資で投資銀行ベア・スターンズを救い、不動産金融機関のファニー・メイとフレディ・マックとを事実上引き受けた。今度は、アメリカ政府は、投機をやり損なった銀行を助ける気はないように見える。
 これは長続きするだろうか?情勢がさらに悪くなった場合、何が起こるか?すべてが崩壊する前に、国家と発券銀行とは最後の救い手として役立つ。だが、すべての金融機関を助ける必要はない。ある銀行を破産させる力が発揮されると、政治家達は選挙権者の賛成を確信できる。なぜならば、アメリカ人もイギリス人もドイツ人も、利息に飢えていて高給をもらっている投資銀行によって破産させられたというのに、なぜ自分の税金で金融機関の損失を埋めなければならないのか理解できないからだ。
 今や、金融界のなかの刺激とは何か問うてみるべき時だ。投資銀行・ヘッジ・ファンドのマネージャーは、利益に参加していた。これに対して、損失は、株主・ファンド投資家・債権者が負担せねばならない。チャンスとリスクの関係は以前に考慮された。金融ビジネスがまだパートナーシップによって組織されていたときには、パートナーは、利益を分け合っており、損失に対しても折半していた。それによって、彼らは利息を追求する際にリスクも考慮に入れていた。
金融市場の危の起源は、アメリカの住宅市場での投機バブルにある。そこから、債権者に対する費用の増加とともに信用収縮が続いた。不動産市場における収縮過程はまだ終わっておらず、銀行の収支決算は終わっていないから、市場の早急な回復はないだろう。(後略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「金持ち中国のジレンマ」と題する『ツァイト』紙の記事。

2007年11月27日 | 国際経済
 少し前まで、中国は、安価な製品を製造し、輸出する世界の工場だと思われていた。中国が世界の金融大国であるとは誰も言わなかった。だが、あっという間に中国は金融大国になった。中国共産党のコンツェルン「中国石油」は、数年前にはまだ、落ちぶれた国家企業だった。初めて上海株式市場に上場すると、それは、アメリカの石油コンツェルン「エクソン」をしのいで、世界で最も株価価値のある企業になった。
 それから、中国中央銀行のシュウ・ジアンが来て、次のように言った。「基軸通貨としてのドルは、動揺している。ドルで表示された資産価値の信用価値は下がっている。」それは、ドルがユーロに対して記録的な下げを示した日だった。
 予想できなかったのは、為替の展開ではなくて、初めて中国人がこのような事柄について、一緒に語ったという事実である。中国共産党の幹部は、こういう言葉を述べて、ドルを下落させたのだ。
 だが、それでもって彼らは自分自身に損害を与えたかもしれない。なぜなら、彼らは、予想されなかった問題を前にしている。つまり、あまりに沢山のドルを持っているという事実である。「われわれはわれわれ自身の金を使えない」と北京の社会科学院経済研究所の経済学者ズオ・ダペイは不平を述べた。責任は、中国中央銀行にある。「それは外貨保有量をあまりに急速に増やしてしまった」とズオは言う。
 数年前から、中国中央銀行は、「人民元」をやすく保つために、ドルを大量に買った。人民元は、中国の通貨のことである。低い人民元は、中国の輸出経済を助けた。なぜならば、中国製の商品が外国人にとってはそれだけ安かったからである。こうして、中国は世界中で最も多くの外貨を保有することになった。
 二年前に、北京政府は、ドル・ペッグを少しゆるめた。元は一日に0.5%だけ上下してもよいということになった。それは理論的には平価切り下げに等しい。過去二年間に、中国通貨は、ドルに対して約5%だけ切り上げられた。これはあまり劇的には聞こえない。もし元が自由に取引されれば、ドルに対して、30%か40%切り上げられるだろう。だが、中国中央銀行にとっては、5%の切り上げでもかなりのものである。なぜなら、中国が保有する外貨を1兆ドル(108兆円)と見積もると、500億ドル(5兆円)の目減りを意味するからである。腐敗した共産党幹部でも、良心の呵責を覚えるだろう。
「われわれは、弱い通貨に対して強い通貨を優先すべきだろう」と北京の人民会議の常任委員会副議長である陳シウエイが言った。この言葉がきっかけで、先週、ドルはさらに下がった。(以下省略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「完全雇用が呪いとなるとき」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年08月27日 | 国際経済
彼らはムルフィンゲン、ツットリンゲン・ラーヴェンスブルク、ネッカール河畔のフライベルクにいる。そこから、彼らは世界市場に彼ら苦心して考え出した生産物を送り出している。エンジン、換気装置、気候シミュレーション装置、検査装置、組み立て工程などである。バーデン・ビュルテンベルク州出身の中間層は、世界市場の指導者である。彼らはどんどん増えている。彼らは皆同じ問題を抱えている。つまり、彼らには専門家が足りない。
「われわれにとっては、専門家不足は、最大の成長の障害だ」とツットリンゲンにあるビンデ株式会社のペーター・ビンダーは言う。彼は「中程度の破局」について語る。「われわれが毎年20%の成長率を保っているというのは幸運だ」とビンダーは言った。ツットリンゲンでは、300人の従業員が産業や研究設備のための天候シミュレーション装置を製造している。自動車産業は、10年間の天候変動を数日でシミュレーションするために、ビンダーの天候シミュレーション装置を利用している。製薬企業は、この装置で、さまざまな環境条件で薬品のもちのよさを試験している。この企業は、昨年1年間に1,600台もの装置を販売した。そのうち、80%は、外国向けである。「われわれは世界市場の上位産業のために生産している。そのために、ビンダーは、能力のある専門家、プログラマー、サービスエンジニア、製図工、特に技術者を必要としている。開発・測定・コントロール技術、製造のための技術者を必要としている。「われわれは工作台で仕事を始めたが、現在はわれわれは知識産業だ」とビンダーは言う。二年前に、新しい研究センターが開かれた。目下、さらなる製造工場が建設中である。製造面積は二倍になった。従業員の数は、500名に達するだろう。
このツットリンゲンの会社は、バーデン・ビュルテンベルク州のブームになっている会社に典型的である。2008年には、機械製造業は、成長の第6年目を迎える。こんなことは40年以来なかった。機械製造業は、ドイツ南西部で、2006年以来、1万件の仕事を作った。
機械製造業には、まだ、4000人分の仕事場が不足している。企業の4分の3は、空席を抱えている。特に求められているのは、技術者と専門工である。
「労働市場は、大部分、からになるまで掃除された。これらの席を埋めるのはますます困難になっている。」ドイツ南西部では、失業率は、4.8%まで下がった。ほかのどの州よりも低い失業率だ。
「労働力不足は、特に機械製造業部門の成長の妨げになっている。(以下省略)
[訳者の感想]ドイツ南西部では、機械製造業が盛んですが、景気が良くなったので、人手不足に悩んでいるようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ホワイト・ハウスは、世界市場の混乱を退ける」と題する『ワシントン・ポスト』紙の記事。

2007年03月01日 | 国際経済
 ホワイト・ハウスと連邦準備銀行のベン・バーナンキ議長とは、昨夜、世界中を駆けめぐった混乱したトレードの二日目の後で本格的な株式市場のクラッシュの恐怖を沈静化しようと試みた。
 ロンドン市場が連続して3桁の数字の下落を記録し、ウオール街が2001年9月11日以来、最大の投げ売りから損失を取り戻そうと努力することと時を同じくして、ホワイト・ハウスは、世界市場における急落を退けた。
 ホワイト・ハウスの経済諮問会議の議長であるエドワード・レイジアは、下院で、米国政府の高官達は異なるファクターに注目したが、急激な下落に対する決定的な理由を見出さなかったと述べた。
 「昨日起こったことは、異例のことであったように見える」とレイジアは述べた。「それが経済におけるファンダメンタルズのどれをも反映しているとは考えない。」
 この論評は、アメリカ経済の最近のデータが昨年の四半期のGNPの伸び率が年率3.5%から2.2%に下方修正されたのが明らかになった後で出された。
個別のデータは、米国における新築家屋の販売数が一月に前月より17%下落したことを暴露した。それは一ヶ月の下落率としては、この13年間で最大であった。
連邦準備銀行のバーナンキ議長は、議会での証言で、株価がダウジョーンズ平均で415ポイント下落したことは、米国の中程度の成長についての中央銀行の見解に不利な影響を与えなかったと述べた。
「私の見解では、あらゆる新しいデータを考慮しても、私が数週間前に議会で報告して以来、米国経済に対するわれわれの予想に実質的な変更はない」とバーナンキ議長は述べた。
ウオール街では、株式は投資家が売りすぎを取り戻そうとして、利益を転記しようと初期の二日酔いから立ち直った。
ニューヨークでは、昼食時間までに、ダウジョーンズ平均は、65ポイント上昇し、12,300ポントを記録した。
しかし、ロンドンでは、分け前の小康はなく、英国の主な指標であるFTSE100は、火曜日の150ポイント下落に続いて、114.6ポイント下落して、6171.5ポイントを記録した。
ボストンの「パイオニア投資マネージメント」のファンド・マネージャーであるジョン・ケイリーは、「人々は、昨日の市場崩壊の瓦礫の中で買うのに良い物件を探して、探し回っている」と述べた。
世界最大のDIYのリテイラーである「ホーム・デポット」の2007年末か2008年初めまで、米国の住宅市場には改善は見られないという警告を含めて、暗鬱な企業のニュースにもかかわらず、市場は再び前進している。
「商務省」からの数値は、一月中の住宅販売総数が前月に比べて16%落ちたことを示した。これは過去13年間で最大の落ち込みである。
[訳者の感想]昨日の株式価の下落の原因は、どうも米国での1月の住宅販売総数の落ち込みに原因があるとこの記事は主張しているようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「魂のない中国人はなぜ勝てないか」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年09月13日 | 国際経済
 シュタインガルトが高度な文明化の指標であると評価するわれわれの社会システムの崩壊に対しては、一種の新保護主義によってしか対抗できないと言う。彼はヨーロッパとアメリカとが西欧自由貿易砦へと連合することを要求する。これは中国人に対してわれわれのスタンダードを強制するのに十分なだけ大きく強力である。
 長い間、「比較優位の原理」が通用してきた。そのテーゼによれば、自由貿易は、参加者すべてのウイン・ウイン状況に導くというのである。古い産業国家は、脱産業化された知的サービス社会になるだろうと言われた。上昇志向の低開発国は、大量生産物の製造センターとして、経済的ニッチを確保するだろう。シュタインガルトは、この自由主義の信仰箇条に異議を唱える。彼の主張によれば、西欧からは仕事が失われ、西欧は空洞化される。魂のない陶器のような中国人にとってだけ、ウイン・ウインが成り立つ。
 この没落シナリオを疑う十分な根拠がある。第一に、西欧は、ヨーロッパは、800年の間に比較的大きな危機に見舞われた。これまでは、すべての危機が克服された。例えばヘレニズムの没落、ローマ帝国の没落、トルコの侵入、いくつかの世界大戦。第二に、スタインガルトの沈鬱な診断は、80年代の米国で始まった日本人に対する不安を思い出させる。あのとき、日本人達は、ロサンジェルスの資産を買った。アメリカのトップ企業は、リストラに直面した。パニックが広がった。もっとも一時的だったけれども。アメリカ企業は、宿題をこなし、日本は押し戻された。『ライジング・サン』のような日本批判のハリウッド映画は、今日では、とっくに克服されたパラノイアの症候だと考えられている。
 「労働社会の終焉」に対する恐怖は、マルクス主義の古くさい貧困化論の変形である。マルクスが恐れたブレーキのかからない資本主義の結果としての大量な貧困は起こらず、むしろ反対の結果になった。
 市場経済は、中心的な社会主義的関心事を実現した。それは巨大な福祉と労働の増大に役立った。市場経済は、あらゆる開かれた国民経済に参加の機会を与えることによって、グローバルな冨の再配分へと導いた。市場経済が政治的権力をコントロールし、抑制することができた理由は、それが、自由で民主主義的な法治国家に報い、資本や人間や福祉を引き去ることによって、専制的な政権を罰したからである。
市場経済、別名資本主義は、それに襲われた国々で賃金と生活水準の向上を引き起こし、その結果として、かって虎の国と言われた国々で、労働組合や社会システムが成立した。
今日のダンピング国家は、明日の福祉国家なのだ。
 ヨーロッパの労働市場を呑み込む低賃金国家「中国」というシュタインガルトのイメージは、誤解を招くものである。アジアに対して西欧を隔壁で守ろうというのは、意図せざる落ちである。昔、清国皇帝は、国境を閉鎖し、清国の海岸での商船の使用を禁じれば、世界貿易の要求をかわせると信じた。閉鎖状態への退行は、中国人を貧困に追いやった。スタインガルトが今日要求していることをアジア人達は苦しみに満ちた経験で知っている。
 ヨーロッパの未来に対する不安は、アジア人に向けられるべきではなかろう。本当の問題は、ヨーロッパの公的領域のコントロールである。国家の制度や、官庁や官僚が、社会的なものの名前で、経済に敵対的で自由を破壊する規制のエネルギーを使って、展開してることは、自己破壊すれすれなのだ。
 シュタインガルトは、彼の主張で間違っている。われわれの一見模範的な社会規準を維持することが目標であってはならない。この大陸の福祉の基礎となっている企業家的力の展開が目標でなければならない。政治の主流は、それが役所によって管理された強制的連帯をわれわれの文明の核とするなら、優先順位を間違っている。強制的連帯は核ではない。自由な企業家がヨーロッパを大きくしたのであって、政治家や官僚ではない。
[訳者の感想]ロジャー・ケッペルという人の論説です。「格差社会」をなくそうというかけ声が大きくなっているようですが、それで再び国家や官僚による統制へ逆戻りしてはならないでしょう。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「バーナンキ議長の失敗」と題する『シュピーゲル』誌の記事。

2006年06月13日 | 国際経済
ニューヨーク発:金がすべてではない。連邦準備銀行議長のベン・バーナンキはそう思っている。「世界は、金以上のものを沢山提供しなければならない」と彼は先週金曜日にマサチューセッッツ工科大学の卒業式で卒業生にそう呼びかけた。「成功と満足への道は、いつもうまく掲示板が着けられているとは限らないということを考えなさい。」
去る二月に伝説的な前任者アラン・グリーンスパンの後を引き継いだバーナンキ自身がそういう経験をしなければならなかったのだ。なぜなら、金融界の最高の巫女としての彼の最初の四ヶ月は、蜜月ではなかったことが分かった。いずれにしても、障害の多い蜜月だった。
議会での最初の登場では、バーナンキ議長は、まだ継続を「計画通り」行うと宣言した。
これはウオール街を喜ばせた。『ニューヨーク・タイムズ』紙は、彼が「冷静で落ち着いている」と評した。「彼は金融市場を混乱させることは何も言わなかった。」
間もなく事態は変わった。なぜならば、連邦準備銀行の上級委員達は、とっくに金融政策のコース変更という考えをもてあそび始めていたからである。言い換えると、彼らは二年前から続いている利上げの競争を止めようという方向に傾いていた。
4月末に、バーナンキが議会に「FRBは間もなくいかなる措置もとらないと決議するかもしれない」と報告したとき、この議論が外部に漏れた。この報告をウオール街は利上げの終わりであると解釈し、この喜ばしいメッセージを抑制したラリーで祝った。
だが喜びは長くは続かなかった。というわけは、次の週末に、バーナンキ議長は、ホワイトハウスで行われた年次晩餐会で通信員達に対してはしゃぎまわった。彼は非常に人気のある経済ニュースについてのテレビ・アンカーであるマリア・バルティロモに出会った。彼女に対して、バーナンキは、自分が誤解されたと感じていると言った。利息は今後も更に引き上げられることは十分あり得るかもしれないと言った。
2日後、バルティロモは「終了の鐘」という放送で取引終了の45分前に、この対話をウオール街に流した。この時点でダウ指標はまだ49ポイントプラスであったが、バーナンキの軽率な発言がもとで、下落し、マイナス、24ポイントを記録した。
バーナンキは、一度に、ケーキパーティでの取るに足らない言葉が金融界全体を混乱させうるという自分の仕事のリスクを重く感じた。
「今週のバーナンキが市場とどうコミュニケーションを取るかを見るのは、オリンピックのアイススケート競技のようだったと株取引サービス会社の「マーケット・ウオッチ」は、悪口を言った。「君は何が起こったか分からない。君は何かが間違ったと言うことしか分かっていないのだ。」
ノース・カロライナ大学の経済学者ジェームズ・スミスは、バーナンキに対して「二度とマリア・バルティロモとしゃべるな」と忠告した。『ウオール街ジャーナル』紙は、バーナンキの信憑性を問題にし、「バーナンキ氏はこの点ではいくつかのことをしなければならない」と言った。『ロサンジェルス・タイムズ』紙は、「バーナンキは、メガフォンを通して語ったということに気づいたのだ」と述べた。
この地雷原に足を踏み入れたのは、バーナンキが始めてではない。伝説的な前任者のグリーンスパンにさえ同じことが起こった。1987年に彼が議長に就任したとき、彼はあるテレビ・インタービューで「インフレの危険」について語った。すると株価は暴落した。それ以後、グリーンスパンは、彼の19年に及ぶ在任期間中、経済問題に関してテレビ・インタービューを一度も行わなかったのだ。
自分のバルティロモとの即席のインタービューは間違いだったと彼は認めた。「今後、公共と市場とのコミュニケーションは、通常の形式的なチャンネルを通じてのみ行われる」と彼は言った。
だが、それもその後役に立たなかった。バーナンキは、「インフレ危機」を頑固に主張したので株式市場は更に下向きになった。恐らく『ウオール街ジャーナル』が彼の信憑性を疑ったので、彼が月曜日にこの点を今一度強調したとき、ダウ指標は、一日で、500ポイント下がった。
そういうわけで、グリーンスパンの後継者に対する職業上の熱中は、冷めてしまった。『ウオール・ストリート・ジャーナル』紙が尋ねたエコノミストの内、47人は彼に平均Bプラスを着けた。(十段階評価で8ぐらいか)ドイツ銀行のチーフ・エコノミストであるピーター・ホッパーは、「完全であると言うことは殆ど不可能だ」と述べた。「彼は金融政策では手堅いが、コミュニケーションではいくらか角を見せた。」
他のエコノミストそれほど寛大ではない。「バーナンキの大きな誤りは、彼が毎日自分の立場を変えることによって、ウオール街に向かって毎日がちゃがちゃしゃべることだ」と経済学教授でFRBの歴史を書いたアラン・メルツァーは言う。「バーナンキの二重性格的なやり方は、火に油を注いでいる」と投資マネージャーのジェフリー・ソートも考えている。
だが、滑りやすい入り口は、バーナンキを殆ど不安にしていない。「正直に言って、失敗することは構わないということを忘れるな。「困難な世界を追求している人たちとっては、常にチャンスが生じるのだ」と彼はMITの卒業式で述べた。
[訳者の感想]バーナンキ議長の一言が株価を下げたというのは本当のようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アリアンツ、中国最大の銀行に資本参加」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年01月28日 | 国際経済
上海・ミュンヘン発:「アリアンツ」は、中国最大の「中国工商銀行」(Industrial and Commercial Bank of China)に参入する。金曜日にアリアンツの広報担当アンチエ・テラーヘが伝えたところによると、このドイツの金融大企業は、8億2千万ユーロで、資本金の2.5%を所有する。アリアンツと並んで、アメリカの金融会社ゴルドマン・サックスとアメリカン・エクスプレスも「中国工商銀行」に参入した。取引額は、37億8千万ドルである。取引の大部分はゴルドマン・サックスが引き受け、同銀行の資本金の7%にあたる25億8千万ドルを投資する。アメリカン・エキスプレスは、0.5%を出資する。
業務行為は、四月以前には、締結されないだろうとテラーヘは断言した。だが、アリアンツは、ICBCの支店で投資ファンドや生命保険などの商品を販売し始める。アリアンツにとっては、全国的展開が重要であるとテラーヘは言った。アリアンツ社の会長ミヒャエル・ディークマンは、中国市場が生命保険会社にとって大きな戦略的意味を持つということを強調した。最近締結されたパートナー協定は、アリアンツの参加の長期的な性格を裏書している。ゴルドマン・サックスやアメリカン・エキスプレスの代表者もすでに存在する協力の上に更に築かれる将来の協力について楽天的に述べている。
「中国工商銀行」は、中国で、2万の支店を持っている。これに対して、アメリカン・エキスプレスは、消費者クレジットに集中しようとしている。このビジネスは、まだ所轄の役所によって認可されなければならない。中国の金融市場は、観察者の意見では、確かに巨大な潜在能力をもっているが、多くの領域でまだ初歩的な段階に留まっている。最近まで、銀行は、不良債権の波と戦わなければならなかった。中国の官庁は、外国の金融機関にこの領域に投資するように奨励したが、そのわけは、彼らがこのような外国金融機関の参加によって自国の銀行の資本準備金の改善と外部からの技術的ノウハウを約束されたからである。現在、ICBCは、構造変革過程の真っ只中にあり、香港の株式市場への参加を目指している。
アナリストは、ロイター通信に対して、高額の購入価格にも関わらず、肯定的な発言をしている。WestLBのカルステン・ツィールケは、「アリアンツは、2.5%の出資分しか持たない。だが、それはいくつかの可能性を作り出す」と述べた。HVBのアナリストであるルチオ・ジェロニモは、「アリアンツが支払った価格を評価するには、まだデータが少なすぎる。さしあたりの保険料収入わずかなであるにしては、相対的に高価な出資金であるように見える」と言った。「だが、それは中国市場を開拓するための長期的な戦略的な第一歩と見なければならない。」
[訳者の感想]ドイツやアメリカの金融機関が中国市場に参入しようと懸命になっているのが分かります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アメリカの余計なものがくっついた日本の牛肉」と題する『シドニー・ヘラルド・ニュース』

2006年01月27日 | 国際経済
東京を出た新幹線の中で、フラッシュ・ニュースがスクリーンに流れ、旅客にアメリカ産牛肉が再び日本から追放されたということを伝えた。オーストラリア・牛肉・家畜組合の東京駐在員であるサマンサ・ジャミーソンは、細部を捉えようと目を凝らした。東京に戻るとオーストラリア牛肉の最大の輸入者の一つの代表者たちはパーティの最中だった。
伊藤ハム会長の斎藤アキノブによると、数秒間で誰もが同じテキストを読んだ。ジャミーソン女史が急行列車からオーストラリアに向けて危なっかしい連絡を通じて彼女の電話に「アメリカが追放された」と怒鳴った。
オーストラリアの牧畜業者にとっては、一週間前のその声明は、彼らにとって25億ドルの価値がある市場での潜在的な独占を意味している。ジャミーソンや伊藤ハムの重役にとっては、その市場では、大きな機会が残っているのだ。
三月に始まる11の都市を巡る巡回の展示会では、味見やレストランのシェフを招き、スーパーマーケットのプロモーションが行われる予定であるが、それはオーストラリア産牛肉に対する需要を高め、アメリカ産牛肉のいないのを利用することを目指している。おもなメッセージは、安全と風味についてなされるだろう。
水曜日の晩、東京のある中華料理店で、オーストラリア産ビーフと子羊肉が、140名の卸売り業者や巨大食肉購入者に振舞われた。客として招かれたシェフは、種種さまざまな肉切れにナイフを振るい、牛肉の融通が利くこと柔軟さを誉めた。
アメリカ産牛肉の復帰を待っていたそこらじゅうにある牛丼店がいまやターゲットになっている。年間3万トンの牛肉を使用するあるチェーン店は、オーストラリア産牛肉と取り替えることことを真面目に検討中である。
伊藤ハムの営業部長であるカサイ・チカラ氏は改めてアメリカ産牛肉が輸入禁止になれば、オーストラリア産牛肉が優位になるのは当然だと言った。
「私達はアメリカがこの過ちを犯したことにショックを受けている。彼らが消費者の感情を理解しなかったことにもっとショックを受けている」とカサイ氏は述べた。彼の会社は、毎年8万トンのオーストラリア産牛肉を輸入しており、ニューサウスウエールス州の北部で5万3千頭の牛を飼っている。
2年間の禁止の後、わずか1ヶ月で再びBSEの疑いでアメリカ産牛肉の輸入禁止を決めたことは予期されなかった。ニューヨークの小さな牛肉梱包業者からの違法な発送が日本の消費者を恐怖に陥れた。なぜなら、彼らは安全な肉だけが輸出されると約束されていたからである。脊椎を含む子牛肉の入ったダンボール箱は、致命的な帰結をもたらした。手袋をはめた役人が、まるで毒物ででもあるかのように、テレビカメラの前に牛肉を突き出したとき、大騒ぎが起こった。
日本の消費者が科学的検査を要求した際に、日本に対する制裁の脅しに頼ったアメリカ政府の戦略にとってそれは破局であった。ブッシュ大統領は、新たな禁止令に対して日本を貿易に関して罰するぞという脅しで応えた。政治的環境に詳しい人たちは、日本政府が深刻に困っていると言っている。アメリカの破約の一日前、日本の役人達は、カメラの前で行列して、消費者に向かって、自分たちは、場や肉の梱包工場を見学し、それらがすばらしいものであることが分かったと保証した。
伊藤ハムの重役は、アメリカ牛が一年以内に市場に帰ってくることを示唆したが、他の食肉業者は、もっと遅くなるだろうと予想している。日本はアメリカの処理工場に自分自身の食肉検査官を置く必要があるかもしれない。日本の安全マニュアルが英語に訳されるかもしれない。あるいは、アメリカ人の検査官が日本へ送られて、彼らの資格をテストし、証明してもらう必要があるかもしれない。
いずれにしても、惨めな謝罪を伝え、もう一度交渉をやり直すために送られた三人一組のチームは、事態をもっと悪くした。
農務省次官のJ・B・ペンは、「汚染された牛肉を食べて狂牛病で死ぬよりはスーパーマーケットの外で車に引かれる確率のほうが高い」と影響力のある「テレビ朝日」のリポーターを説得した。
この比較は、記者会見の場所では記者団にショックを与え、翌日の新聞やテレビで繰り返された。
「もちろん、狂牛病と事故とを比較するのは間違っている。だって狂牛病は事故ではないのだから」と伊藤ハムのカサイ氏は言った。
[訳者の感想]アメリカ産牛肉が輸入禁止になっている間に日本市場に割り込もうとオーストラリアの食肉製造業者が必死になっているのが分かります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「堀江貴文、東京証券市場に恥を掻かせた男」と題する『シュピーゲル』紙の記事。

2006年01月21日 | 国際経済
今日、東京証券市場が暴落した。歴史上初めて取引が早めに終了した。すべては、正体不明の登場で日本のビジネス界を驚かせた日本の33才の企業家のせいである。世界中の投資家を震え上がらせたこの男は一体何者か。
ハンブルク発:結局、堀江貴文は、文字通りロードグリップを失った。彼は2005年に福岡で開かれた第56回宇宙旅行会議で、宇宙旅行を提供するつもりだと宣言した。5年以内に宇宙旅行希望者は、数日間の地球周回旅行に出かけるように配慮したいと彼は言った。それから半年後の今日、堀江は、彼の高く飛ぶ計画の実現からは、太陽が隣の星と離れているぐらい離れている。日本経済の頬のふっくらしたこのアンファン・テリブルは、検察庁の標的になった。堀江の国際的コンツェルンである「ライブドア」の株価操作と粉飾決算が問題になっている。
ライブドア社と堀江の自宅に対する夜間の立ち入り捜査の報道は、この数日間、東京証券市場に地震を引き起こした。日経指標が昨日17日、株価下落を記録した後で、株式市場の指標は、今日も2.9%の下落で終わった。仲買人席の責任者は、それどころか、取引を20分間短縮した。その理由として、異常に多い取引数が挙げられた。
堀江にとっては、状況は厳しい。非難が正しいことが分かれば、新聞報道によれば、彼に懲役5年の可能性を示唆している。日本の青年達は、アイドルを失い、日本株式会社の保守的体制は、もっとも手に負えない対抗者を失った。なぜなら、攻撃的なビジネス姿勢をもつ堀江ほど合意を考慮するこの国に対抗したものは誰もいないからである。
堀江がエリート大学の東大に入学したとき、既に彼は群れからはみ出ていた。文学と宗教の研究を中断して、彼は「リビング・オンザエッジ」というインターネット・サイトを創設した。後に彼は調子の悪いライブドアを買収し、この会社を日本の指導的ITコンツェルンにした。2000年以来、この大学中退者は、20社以上の会社を買収した。今日ライブドア社は、ウエッブ活動、DVDの貸し出し、インターネット・オークション、投資顧問サービスで金を稼いでいる。
その際、堀江は、大もうけをし、スター企業家が必要とするあらゆるステータス・シンボルを手に入れた。例えば、フェラーリや個人ジェット機や贅沢な住まいである。彼の最初の結婚は失敗し、それ以来、彼は、あるモデルと同棲している。それに加えて、堀江は、日本のビジネス世界の硬直した教団規則に楯突いた。義務的なビジネス・スーツの代わりに、彼はTシャツと木綿のズボンを好む。彼が公然と見せつける個人主義でもって、堀江は急速に青年達のアイドルにのし上がった。彼のファン達は、日本で非常に愛好されている漫画の主人公「ポケモン」になぞらえて、彼を「ホリエモン」と呼んでいる。
彼は日本では自明なものの基本を揺すぶった。「金を儲けるものが勝ち組」というような本で、彼は、集団思考を攻撃した。老人に対する尊敬についての彼の発言は、同じぐらい挑発的であった。「一番役に立たないものは、年寄りの説教だ」と彼は断言した。保守的な陣営には、ニューリッチの企業家は、友人がいない。
昨年、堀江が日本の最も重要な私営のテレビ局であるフジテレビを買収しようとしたとき、彼は年上の先輩との公然たる戦争になった。彼の目標は、世界最大のメディア・コンツェルンを作ることであった。電撃戦法で、彼は夜間取引を通じて、フジテレビ株の大部分を所有する日本放送の株の多数を買った。これでもって、堀江は、日本で夜間市場での株購入について大きな議論を巻き起こした。
結局、彼は自分の意志を貫くことはできなかった。フジテレビがライブドアの株を買うことを前提にある妥協が図られた。けれども、堀江はこの件で脚光を浴び、買収攻勢はPR効果を発揮した。
彼の行程は政治にも及んだ。小泉純一郎首相の要請で、彼は無党派の候補になり、去年の衆議院選挙では、「刺客」として、長老の亀井静香と選挙区で争った。亀井は、その前まで自民党内の郵政改革に反対を組織していた。堀江は、確かに69才の亀井に選挙では負けた。だが、選挙に登場したことで彼の反逆者の名声は高まった。
堀江の敵対者は、絶望の果てに近かったに違いない。それだけ現実のスキャンダルについての喜びは、大きい。古い陣営は、サクセス・ストーリーの終わりを感じ取っている。「体制派が今度は反撃した」と東京に駐在しているある西欧の外交官は述べた。
堀江に対する疑惑が正しいことが分かった場合には、彼の宇宙旅行と並んでもう一つの計画が頓挫しかけている。そういうわけで、この百万長者は、さしあたり、自分の経歴にについて自分が歌った歌の入ったCDを市場に出すつもりだった。記録媒体の上で、彼は特に「ヒーロー」という歌を披露した。日本の新聞報道を信じると、このCDの発売は、現在進行中の捜査のために危うくなっている。
[訳者の感想]かなり多くの外国のメディアは、ホリエモンの功績を評価しているようですが、ライブドアという会社が次々と買収をしながら、実際は本当に株価に見合ったような事業をしていたのかどうか、私は疑わしいと思っています。最近アジア人で国際的な話題になった人としてはES細胞のクローンねつ造の黄教授や中国訪問の金正日総書記と並んでホリエモンが登場したという感じです。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする