goo blog サービス終了のお知らせ 

海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「エルドアン大統領はクルド人に対しては同化を強いている」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2008年02月14日 | 国際政治
誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義
松岡 正剛
春秋社

このアイテムの詳細を見る

エルドアン・トルコ大統領が最近のドイツ訪問の際、ケルン市の「ケルン・アリーナ」で1万6千人の在独トルコ人を前にして、統合するように呼びかけ、ドイツ系トルコ人の同化に対しては警告し、それは「人間性に対する犯罪だ」と述べたとき、彼は思いがけないところから、賛同を得た。というわけは、トルコに住んでいるクルド人たちは、皮肉を交えて、非常に喜んだからである。トルコ人の政治家がトルコ国家が何十年も前からクルド人住民に対して行ってきたこと、つまり、「同化」を、「人間性に対する犯罪」と呼んだのは初めてだ。
ドイツにいるトルコ人のためにトルコ語で授業や講義をする高等学校や大学を設立せよという彼の要求も、クルド人政治家たちから、微妙な微笑を誘った。これまで、トルコ国内にクルド人のためのクルド語を使う高等学校や大学ということを考えただけでも、トルコ国民の統一に対する分離主義であり、裏切りであるとみなされてきたのだから。
欲せずして、エルドアンは、クルド人の要求に対して武器を供給したのだ。「彼は、ドイツにいる、ほとんど300万人のトルコ人のために、母国語での授業を要求したのだ」とクルド人政治家のアハメト・チュルクは言う。トルコでは、その5倍ものクルド人が暮らしている。彼らにとっては、高等学校や大学でのクルド語の授業は禁じられている。「クルド人たちは、同化についてのエルドアンの発言に注目している。だが、彼はドイツではトルコにいるときとは違ったことを述べているのだ。われわれは、いまや、民主的な手段で、同化政策に反対する戦いを強化するだろう。」
トルコ自身がやる気のないことを他の国に要求することは、「社会的精神分裂症だ」とクルド問題に詳しい政治学者のドグ・エルギルは、述べた。このような問題は公式にはとトルコには存在しない。東南部地方の貧困問題しか、存在しない。紛争の解決手段としての母国語での授業は、問題にならない。(以下省略)
[訳者の感想]エルドアン演説は、まさに薮蛇だったと言えます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ガザ地区のパレスチナ人、シナイ半島になだれ込む」と題する『シュピーゲル』誌の記事。

2008年01月26日 | 国際政治
ZARD Request Best-beautiful memory-(DVD付)
ZARD,小林哲,明石昌夫,徳永暁人,葉山たけし,池田大介,古井弘人,坂井泉水
B-GRAM RECORDS(J)(M)

このアイテムの詳細を見る

ガザ発:ガザ地区との国境を再び封鎖しようとするエジプトの治安部隊の試みは、失敗した。なるほど、投入部隊は最初は、三つの比較的大きな通路のうち二つを閉鎖するのに成功したが、金曜日午後に数千人のパレスチナ人たちは、関門を乗り越えた。ハマスの活動家たちは、ブルドーザーを使って、越境者を援護し、国境の壁にいくつもの穴を開けた。
水曜日以来、ガザ地区の数万人の住民が国境を越えて、エジプトになだれ込み、そこで、食糧・ガソリン・タバコを手に入れたり、親戚を訪ねたりした。確かに現在、エジプトは、壁の穴を再び閉鎖するという意図をもっている。最初の行動が失敗しても、長期的には、ガザ地区とエジプトとのあいだの自由な交通はもはや止められない。
木曜日の夕方になっても、数万人のパレスチナ人は、食糧や他の商品をエジプトからガザ地区へと持ち帰っている。国境では、混乱が起きている。膨大な数の人間が、倒れた鉄壁の上をあちらへ行ったりこちらへ行ったりしている。その中を装甲車が時々往来している。エジプトから駆けつけた投入部隊は、状況をコントロールしようとしているが、だめである。
イスラム過激派のハマスは、国境での新たな突破を大成功だと祝っている。「正しい民族の怒りが、イスラエルの弾圧に勝った」とみんなが言う。ハマスの党本部は、「われわれはあなた方の世話をする」という告知を出した。
既に何週間も前から、ガザ地区の人間は、ガザ地区からのロケット攻撃を止めさせるために、イスラエルが行った海岸地域の封鎖に困っていた。ハマスの兵士が水曜日にイスラエルが建設した鉄の壁を爆破した。米国とイスラエルは、国境の鉄壁を閉鎖するようにエジプトに要求した。彼らはイスラム過激派のハマスが、武器や金を調達するために、壁の穴を利用することを恐れている。
ホスニ・ムバラク・エジプト大統領は、甘受できない状況について語り、ガザ地区とイスラエルとのあいだの国境封鎖を解くように、イスラエルに要求した。投入されたエジプト軍の努力は、これまでは、あまり、効果を上げていない。封鎖壁の一番大きな穴の前では、警官隊が列をなして、ガザ地区住人がエジプトに越境するのを防いでいる。越境しようとしている人たちからは、激しい抗議がなされている。結局、警察官たちは圧力にもはや抵抗できなかった。コンクリート壁を片づけ、開口部を広げるために、覆面をしたパレスチナ人たちが、建設機械を動かしている。
治安部隊が有刺鉄線で垣根を作ったとき、彼らは昂奮した群衆から石を投げられた。警官隊は、それに対して、棍棒を振るい、放水した。別の場所では、国境の移動は、金曜日も可能である。ガザ地区南部では、イスラエル空軍の攻撃で、昨夜、四人のハマスのメンバーが命を失った。
[訳者の感想]ガザ地区とエジプトとの国境も封鎖されているということを私は知りませんでした。まさに、パレスチナ人は、ワルシャワのゲットーに閉じこめられたユダヤ人と同じ目に遭っているのだと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「サルコジ大統領の独自の北アフリカ政策」と題する『ドイッチェ・ヴェレ』局の記事。

2007年12月13日 | 国際政治
 「人権問題は自分の政策の柱の一つだ」とニコラ・サルコジは、選挙戦の頂点で断言した。大統領選挙から半年経って、このような良い公約は跡形もないと自分の閣僚から非難されている。
 批判の根拠は、リビア革命の指導者ムアンマール・カダフィのフランス訪問である。彼は「人権の日」にパリでサルコジから歓迎された。このような批判は、大統領を特にいらだたせない。なぜなら、彼はもっと大事なことを考えている。つまり、海水脱塩装置からエアバスに至る何十億ユーロに達するリビアとの契約を結ぶことである。しかし、特に武器供給と原子力反応炉についての契約も含まれている。同様の状況にある他の政治家のように、確かにサルコジは、自分は勿論人権についても話をしたと強調した。だが、その後で、カダフィ大佐は、そんなことは一度もテーマにならなかったと暴露した。欧州連合加盟国の諸都市ではサルコジの大統領就任以来、彼の路線について不安の声が聞かれるが、 ヨーロッパの諸都市では、「いい気味だ」という理由にはならない。フランス大統領は、自分は自分とフランスの利益を前景に置くことを理解していると述べた。彼はいくつかの問題ではこれまでのヨーロッパ諸国の共通の立場からかなり離れている。
 リビアは、その実例である。リビアで死刑判決を受けたブルガリア人看護師の事件の頂点で、サルコジは、彼の当時の妻だったセシリアをトリポリに派遣し、ある合意を取り付けさせた。看護師たちは釈放され、フランス大統領は、彼の援助に対する収穫を取り入れた。リビア訪問の際に、最近締結された協定の基礎が置かれた。
 サルコジの大胆で向こう見ずなやり方に対する批判は、欧州連合ではある範囲に止まっている。特にドイツではそうだ。つまり、パリがエアバスを売り込めば、ドイツの会社も利益を得る。原子力反応炉でもそうだ。[中略]
 しかし、政治的な構想が問題になる場合には、いくらか批判的にならざるをえない。そういうわけで、サルコジがアルジェリア訪問で推薦した地中海連合という構想は、あまり歓迎されない。それどころか、メルケル首相は、エリゼー宮の地中海戦略が欧州連合を危険に曝すことを心配している。北アフリカ諸国との密接な関係は、リビアとアルジェリアのような石油と天然ガスをもった国々との儲かる取引をもたらすだろう。同時に、欧州連合でない地中海諸国の連合体は、トルコを欧州連合から遠ざけるはずである。トルコは地中海連合に加入すればよいのだ。(以下省略)
[訳者の感想]イラク問題ではアメリカと協調しているサルコジ大統領は、独自の外交政策を展開し始めたようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ビルマのジャングルで、レジスタンス」と題する『BBC・ニュース』の記事。

2007年10月27日 | 国際政治
「政権と戦う人たちは、協力すべきだ」とシャン族国軍(SSA)のヨード・セルク大佐は、言った。
「われわれが団結できなければ、そして、国際社会がわれわれを助けに来なければ、後十年、ビルマ(ミャンマー)では、何も変わらないだろう。」
セルク大佐は、タイ国境に近い、ジャングルの丘の上に築かれた野営地で話したが、あまり楽天的には聞こえなかった。
彼は、軍事政府が対話に真剣であるということを疑っており、ただしゃべっているだけで、何も役に立つことをしていないと国連を非難した。
「中国とロシアとインドが政権に武器を供給している限り、市民が苦しまなければならない。」
 何年間も、ビルマ東部の険しい緑の丘は、対立する民族の軍隊の間の混乱した紛争を、麻薬を密輸する民兵とビルマ軍の容赦ない残虐行為を隠してきた。
 市民は、政府軍によって、目標とされ、3千の村々が破壊され、10万人が避難生活を送っている。50万人が家を捨てることを余儀なくされている。
SSAは、ビルマの主要な民主的反対党である「国民民主同盟」と予備的な話し合いを行ったし、「カレン族同盟」の代表とも話し合って、共通の交渉上の立場を探していると述べた。
しかし、民族軍の多くは、SSAの隣の丘に前線基地をもっている「ワ族軍」のように、軍事政権と停戦協定を結んだ。
不満の兆候は増大しているが、彼らをあらたな同盟を結ぶように説得することは容易ではない。
SSAは、既に最悪の事態に備えている。ジャングルの切り開かれた土地で、私は30人ほどの新兵の訓練を見た。彼らは良く訓練されており、自動小銃を携帯し、新品の制服を着ていた。停戦協定を結んだ他の民族軍も再武装と新兵募集をしている。その理由は、軍事政権が提案した新しい憲法と「民主制へのロードマップ」に対する幻滅である。
「ビルマ軍は、私の兄弟を殺した。ビルマ人は、われわれの敵だ。われわれは独立のために戦っている」と28才のサイ・レングは言った。
彼と彼の仲間は、ヤンゴンの抗議デモとその弾圧について耳にした。
「彼らは僧侶と市民を殺した。それがわれわれが独立した国を望む理由だ。」(以下省略)
[訳者の感想]ミャンマーの国内で抵抗しているいくつかの民族があることは知っていましたが、軍事訓練と装備についてこれほど詳しい報道はあまり読んだことがありません。だれが彼らに自動小銃や真新しい制服を供給しているのでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「メルケルにとって、人権は重要だ」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2007年08月26日 | 国際政治
緑の党は、中国訪問を控えたメルケル連邦首相を彼女の人権政策にかんして褒めた。「緑の党」議長のユルゲン・トリッティンは、『フランクフルター・アルゲマイネ日曜版』に「アンゲラ・メルケル首相が中国で人権問題に言及するやり方を歓迎する。彼女は、それによって、彼女の前任者であるコールやシュレーダーとは別の態度示した。彼らはほとんど経済的な観点でだけ中国を見ていた。」
けれども、この「緑の党」所属の政治家は、連邦政府は、人権政策とドイツ経済の利害とを結びつける仕方を知らないと述べた。「緑の党」の議長フリッツ・クーンは、中国の人権問題と社会的発展は繰り返しテーマにされなければならないと補った。
メルケル首相は、この日曜日、二度目の中国旅行に出発する。北京と南京では、特に経済的視点と環境保護にかんする協力が問題になる予定だ。だが、連邦首相は、民間人とも会いたいと望んでいる。
作家・新聞人・インターネットの専門家との対話では、重点は、思想の自由になるはずだ。毎週のビデオ会見で、メルケル首相は、土曜日に、両国の関係は非常に密接なので、「われわれは人権や生産物の質についての問題についても話し合うかもしれない」と述べた。
ヘッセン州首相のローラント・コッホは、北京に対して遠慮のない発言をするように励ました。「私は、中国の指導者たちと、たとえばチベット問題について忌憚なく議論できるという経験をした。オリンピック競技会を考慮して、中国指導部は、デモや信仰や報道の自由を可能にする力を持っているはずだ」とコッホは、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に語った。彼の見解では、「彼女にとって人権が重要であるあるだけでなく、彼女の前任者であるシュレーダーと違って、グアンタナモやロシアの事件でも繰り返し具体的にはっきりと発言していることは、彼女の長所だ」と述べた。
人権組織の「アムネスティ・インターナショナル」は、メルケル首相に、中国でもここのケースについて発言するよう求めた。「中国の危機的な人権状況について、連邦首相がはっきりした言葉を述べるならば、それは現場にいて、脅されたり迫害されている人権擁護派の人々に対するシグナルとなるだろう」とドイツの「アムネスティ部局」のバルバラ・ロッホビーラーは『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に述べた。
連邦政府の「人権担当者」であるギュンター・ノーケは、中国で「オリンピック憲章」を守るように「オリンピック国際委員会」に訴えた。「JOCが競技場がきれいだと喜ぶだけで、その背後で人間に何が起こっているか問わないなら、JOCは、オリンピックの理念を裏切っている」とノーケは、本紙に語った。北京は、来年夏の競技がうまくゆくことに関心を持っている。「だから、まさにいま、中国に圧力を加えねばならない」と彼は言う。その上彼は、オリンピック競技会の訪問者・選手・ジャナリストたちに、彼らが「重大な人権侵害」に対して批判的でとらわれないまなざしを注ぐべきだと訴えた。
連邦首相の中国旅行にかんして、ノーケは、西欧が中国で自分たちの価値を意識的に代表せねばならないという見解を表明した。「中国は、われわれに協力が可能になる条件を押しつけてはならない」と述べた。その際、彼は、「メルケル首相は、特別の能力を備えている。彼女自身がかって独裁国(東ドイツ)で暮らしていた。そのことが彼女を人権侵害に対して感じやすくしている。このような政権の指導者のお世辞に負けややすくないのだ。彼女もまた、「訪問中、反体制派を評価するならば、それはこの国で人権侵害についての議論を引き出すだろう。」
[訳者の感想]メルケル首相に対する人権擁護派の期待は大きいようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ロシア、中国の善意に賭ける」と題する『ガーディアン』紙の論説。

2007年08月12日 | 国際政治
中国とロシアが主導する最初の六カ国同盟である「上海協力機構」(SCO)は、時に北大西洋条約機構に対するアジアの回答だと呼ばれるが、それは近日中にその戦略的な横顔に新たな刻み目を入れるだろう。だが、米国・英国および西欧諸国に対するウラジミール・プーチンの好戦的な態度は、その利害が生存であって対立にはない仲間の国々との緊張を強め始めている。
 2007年の「平和の使命2007」と名付けられた軍事訓練は、中国・カザフスタン・キルギスタン・タジキスタン・ウズベキスタンから来た6千5百名の兵隊と80機の航空機でロシアのチェリアビンスクで、今日、始まった。1996年に中露の領土紛争を和らげるために始められたSCOにとっては、戦争ごっこは、拡大する政治的商業的協力を補う軍事的安全保障装置を組み立てるための最も野心的な試みである。
 「訓練は、SCOの治安に対する協力が、地域的非武装化の争点を超えたことを示すだろう。なぜならば、それは、テロリストや分離主義者や宗教的な過激派の軍事力のような伝統的でない脅威をどう扱うかを含んでいるからだ」と『中国日報』は伝えた。だが、それは西欧や日本あるいは韓国に脅威があるということを意味してはならないと人民解放軍の報道官であるスン・ハイヤンは述べた。「中国は、他の国の主権と領土の統合とを尊重する。この訓練は、第三国を標的にしていない。」
 SCOの年次サミットは、来週、キルギスタンのビシュケクで開かれるが、それは機構の拡張的な考え方についてさらなる指示を与える。「長期的な友好関係と協力」は、ハイライトになる予定だ。カブール駐留のNATO軍司令部にとっては、たぶん目障りだが、SCOの指導者たちは、自分たちは「SCOとアフガンとの接触グループ」の枠内で、アフガンとの密接な協力関係を探すだろう」と述べた。撤退後20年経って、ロシアには、アフガンへ復帰する意図があるように見える。
 ビシュケク・サミットには、イラン・パキスタン・モンゴルとインドの代表が出席する予定である。キルギス共和国のエドナン・カラバエフ外相は、「このことは、機構がどれほど重要になりつつあるかを示した」と述べた。「今日、SCOは、すでに、新しい価値と目標に基づく新しいタイプの国際機構になった。SCOは、国際的な安全を確保する点で、重要な役割を演じるように定められている。」
 『力と利害』の報告によると、SCOの地勢戦略的な影響力の増大は、指導的な二大国の収斂する利害に基づいている。「北京とモスクワの同盟の目標は、中央アジアにおける米国の影響を抑制し、そこに共同の影響圏を樹立することである」と『力と利害』は述べている。
 中国は、安全と資源と市場をほしがっている。ロシアは、近い地域にその過去のソビエトの栄光を取り戻そうとしている。グルジャやウクライナやキルギスタンにおける2004年5月の「革命」の結果として、権威主義的で部族と縁故に基づく中央アジアの政権は、民主主義と人権と自由市場という腐食させる思想からの保護を望んだ。
 どの国も、チェチェンであれ、チベットであれ、台湾であれ、いかなる形であれ、イスラム過激派と分離独立主義者を抑圧したいという願望を共有している。この行動計画のせいで、デイビド・ウオールは、SCOを「独裁者クラブ」と呼んだ。
 ミサイル防衛基地問題・リトビネンコ事件・黒海における米軍基地・コソボの挫折した独立・エストニアのコンピュータ誤動作・謎のグルジャ爆撃・北極海での領土主張に至るまでの西欧諸国とのプーチンの度重なる衝突は、彼の仲間たちを神経質にしている。
 「モスクワの対西欧関係が悪化するにつれて、クレムリンは、同盟を探すのに最善を尽くし、NATOに対抗するために、SCOを強化している。「平和の使命2007」は、十分に利用されるだろう」と『ユーラシア・デイリー・モニター』のパーヴェル・ヘルゲンハウアーは述べた。
 SCOの誰も、来年北京オリンピック大会を控え、その貿易と開発が非難の的になっている中国は特に、西欧との対決を望んでいない。「プーチンは、不平を言っても放っておかれるだろう。」
 プーチンの政策は、全く反対の結果を持つかもしれない。つまり、中露同盟を弱め、SCOを窒息させるという結果だ。ジョージ・ブッシュに導かれた政府よりも頭のいい政府が、リチャード・ニクソンの先例に倣って、中国カードを切る時期が近づいているかもしれない。
[訳者の感想]『ガーディアン』紙の副主筆であるサイモン・ティスダルが書いた論説です。これだと米国は中国とよりよい関係を築くことで、ロシアに対抗するという政策をとることになりそうです。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ドイツの政治家達、ポーランドの週刊誌に憤慨」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年06月28日 | 国際政治
 CDU、CSU、SPD、FDP所属の政治家達は、アンゲラ・メルケル首相のモンタージュ写真を掲載したポーランドの風刺週刊誌を激しく批判した。
 週刊誌『ヴォプロスト』の表紙は、メルケル首相が、双子のカチンスキー兄弟を、胸をはだけて授乳しているものだ。表題に曰く「ヨーロッパの継母」。
 連邦政府の広報局は、この表紙絵に対する態度表明を拒否した。政党政治家達の反応は一層激烈だった。FDPの党首ライナー・ブリューデルレは、『ビルト新聞』にこれは、悪趣味で、ドイツとポーランドの関係に何の貢献もしない」と述べた。
 「ドイツ・ポーランド議員連盟」の議長でSPD所属のマルクス・メッケルは、「ポーランドは、過去数ヶ月数週間のうちに沢山の友人を失った。この国は、将来、どうしたら、同盟者と友人を再び手に入れられるか思案せねばならない。」
 「ポーランドは、悪趣味なもので(ドイツに)勝とうとするのを止めなければなるまい」とCSUの外交問題担当であるエドワルト・リントナーは、本紙に語った。「いつか、これは現在まだ大変友好的なドイツにおける気分に影響を及ぼす。風刺も、他人の尊厳を損なう場合には、限界を見出さなければならない。」
[訳者の感想]カチンスキー兄弟が大統領と首相になってから、ドイツとポーランドの関係がぎくしゃくするようになりました。この兄弟が、ポーランド人の間にある反ドイツ的なナショナリズムを煽っているせいだと思います。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ヨーロッパの青年は、政党をもはや信用しない」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年06月13日 | 国際政治
先週、バルト海沿岸のG8サミットから世界を駆けめぐった写真は、浜辺の日よけ駕籠に座った政治家によってよりも、むしろ、十万人に達する若いデモ参加者を写していた。彼らの一部は、サミットを暴力発揮の場所に悪用したけれども、青年の多数は、抗議行動によって彼らの政治的意志を表現しよういう考えを持って、ハイリゲンダムにやってきた。
新しい種類の「議会外的反対」によって政治的決定に影響を及ぼそうとする趨勢は、丁度欧州連合の報告書によって、裏書きされている。欧州連合の青少年報告書のために、加盟する27ヶ国の世論調査所は、2007年初めに、15才から30才までの1万9千人を対象に世論調査を行った。ブリュッセルがヨーロッパの青少年についての包括的な調査を委託したのは、2001年以来では初めてである。
確かに、特に、古いヨーロッパ諸国では、政党によって決定過程に影響を及ぼすのが一番善いという確信は広がっている。ドイツでは、尋ねられた人の約4分の1はそう考えている。
だが、これは、若い世代の実際の行動とは矛盾している。なぜなら、ドイツ人の回答者の内、僅か4.3%が政党によって彼らの目標に参加すると答えた。これに対して、14.6%は、NGOの仕事のために余暇を犠牲にすると答えている。19.5%の青少年は、デモに参加すると回答した。
若いドイツ人はこれでもって、ヨーロッパの趨勢の一部をなしている。その趨勢は、既成政党や政治参加のための伝統的な制度に対してバラ色の未来を認めていない。若い「平均的ヨーロッパ人の僅か4.6%が政党で積極的に活動している。これに対して、20%はデモに参加し、11.1%は、NGOに参加している。
この報告書は、西と東の大きな格差があることを明らかにした。それによると、2004年から2007年までに欧州連合に参加した諸国では、政党制度に対する広汎な無関心が支配的である。NGOや団体に社会的に自由意志で参加する用意は、古い欧州連合諸国よりも下回っている。新しい加盟国では、7.9%しかいない。特に中部ヨーロッパと東部ヨーロッパでは、労働組合に対する共感が下がっている。
2001年の調査との比較は、質問が違って表現されていて、古い15ヶ国出身の青年しか対象でなかったので、相対的にしか信頼できないが、それでもやはり、欧州連合に対する態度に変化が見られる。2001年には、回答者の50%が、欧州連合は、すべての加盟国を旅行でき、そこで労働し、勉強する自由を意味していると答えた。2007年の世論調査では、89.9%の回答者がそう答えている。この質問では、新しい加盟国の数値が古い加盟国よりも高い。このことは、ヨーロッパの若い世代には、欧州連合に対するプラグマティックなアプローチが増え、理想的政治的なアプローチは減少していることを示唆している。
政治活動・労働市場・経済的状況・欧州連合についての質問と並んで、調査報告書は、青少年の余暇行動についても調査した。その結果によると、15才から30才までのドイツ人は、テレビを見る時間が一番少ない。マルタ島の人たちは、インターネットとビデオゲームに一番多くの時間を使っている。一番少ないのはアルランド人である。この点では、ドイツ人は平均以下である。
彼らの両親から見ると、家事の手伝いでは、ドイツの青少年の成績は悪い。回答者の4.4%が家で手伝いをしていると述べた。それでもって、彼らはこの分野では、どんじりになっている。東欧では、若者はもっと家事に参加している。例えば、リトワニアでは、26.2%の若者が家事を手伝っている。ドイツ人の若者の21.7%は、親と同居しているが、これは、責任を引き受けないで、家であらゆる快適さを享受できるからである。
[訳者の感想]ヨーロッパの若者は、日本の若者よりは積極的に社会に参加しているように見えます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「G8に対する投石者の盲目的な怒り」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年06月03日 | 国際政治
状況は丁度落ち着いていた。いくつかの小競り合いにもかかわらず、成功したデモだったと、介入主義的的左翼のティム・ラウマイヤーは言っていた。ギリシャやイタリアからきた「自律派」は、警察車に投石した。百名ていどの警官が迫った。小さな殴り合いがあったが、総じて状況は速やかに平静になった。警官の一人は、「俺たちはまたずらかるさ」と言った。それから燃え始めた。黒い覆面をした人々が、ロストックの市港の近くで自動車を炎上させた。棍棒と鉄兜を被った警官達が急ぎ足で駆けつけた。それからは、状況はコントロールできなくなった。フランスのバンリューから送られた映像のように見えた。覆面した数百人が手に入るものなら何でも投げた。警官達は棍棒を抜いて覆面グループに殴りかかった。警官も「自律派」も怪我をして道路上に横たわったままだった。あるいは他の人たちによって道路脇に引きずられた。突然、もっと多くの「自律派」が現れ他の方向からもっと沢山の警官が現れた。包囲網ができたので、暴力がエスカレートした。
300メートル離れた市港で、バンドの「七月」が演奏をし、「公平な世界」と歌おうとしていた。デモ隊の演説者がマイクロフォンを握り、「警官は、状況をエスカレートしようとしている。ここに放水車を投入するのは無責任だ。本来平和的なデモであるはずだった。君たちはここでは招かれざる客だ。」だが、舞台からは、平和的デモ隊は状況を全く間違って捉えていた。デモは、激しい街頭の戦闘へと変わった。状況をエスカレートしたのは警察ではなく、極左の覆面部隊だった。
 暴力を躊躇わない「自律派」が逃げた後、数分間は、平和的なグローバル化反対派の間では、衝撃が支配的だった。左翼の陣営には、数名の負傷者や逮捕者がいた。警察も重傷者を出した。「われわれはこの攻撃とは距離を置く」と「アタック」のメンバーでデモの指導者であるヴェルナー・レーツは言った。今朝も彼は、デモが平和的に行われる予定だと言ったし、警察もそう信じていた。
大多数のデモ参加者も警察は暴力のエスカレーションの責任はないことを知っていた。「われわれは警官を非難しない。彼らの反応にわれわれは理解を持っている」と「平和的協力ネットワーク」のマンフレート・シュテンナーは述べた。
正午には、デモ参加者達は、ロストック広場で腕を高く差し上げて、拍手をした、「希望を失うまい。われわれは、いつも能動的だ。われわれの共同の努力によって、われわれは権力者に影響を与えるのだ!」「アタック」のメンバーであるトビアス・プリューガーの言葉に対する返事は、歓声・口笛だった。約3万人がロストックにやって来て、彼らの宿敵である資本主義に対して書かれた横断幕を張り、地球をフォークでつついているブッシュとメルケルの人形を空中に尽きだした。彼らは「お休み、G8!」と叫んだ。「民族の間に戦争反対、だが、階級間に平和はない。」「別の世界が可能だ。」(以下省略)
[訳者の感想]グローバル化反対運動もいささかルーチン化してきた感じがします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「G8で警察、大量逮捕に備える」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年05月12日 | 国際政治
 警察は、バルト海沿岸の温泉場ハイリゲンダムで開かれるG8で大量逮捕に備えている。そのために、現在、逮捕者を収容するための場所が体育館や兵営に作られる予定だ。このような大規模の施設のために、収容場所に対する法的義務があると、「G8治安対策本部」の報道官アクセル・ファルケンベルクは、断言した。重大な事件に対しては、警察は、ビュッツォウとヴァルデックの刑務所の中に収容所を作る予定である。両刑務所は、G8会議の近くにある。
 G8サミットを護るために、メクレンブルク・フォアポンメルン州と連邦内務相ショイブレは、デモ隊を予防拘束するつもりだ。「諸州の警察法は、阻止拘禁を考慮に入れている」とショイブレは、「ビルト新聞」に言った。犯行が計画的である場合には、逮捕者は、14日間拘留される。ショイブレは、危険な状況が高まっていることを指摘した。メクレンブルク州内務相ローレンツ・カフィアーは、サミットの安全のためには2006年のサッカー世界競技の先例に倣って、あらゆる可能性が考慮されると述べた。メクレンブルク州では、最大10日間の拘禁が合法的に許されている。
 首相官邸のトーマス・ドメジールは、必要な場合、自由な国境交通のための「シェンゲン協定」を一時停止にして、入国条件を厳しくするというショブレ内務相の企てを支持した。これまで、グローバル化反対者は、支持者を動員するのに特に成功した。しかし、このことがかなり多くのデモ参加者に暴力的になることを許した。カフィアー内務相は、彼の警察が、数万人のサミット反対者と暴力的なデモ参加者とを覚悟していると述べた。これに対して、警察は、他の州から1万6千人の警官を借りる予定である。威嚇の効果を狙って、犯罪行為は、加速された手続きで直ちに追跡される。
 更に国防省の報道官は、1万1千人の兵士を投入すると予告した。国防軍は、バルト海の海岸を二隻の掃海艇で護り、宿泊所を提供し、医療看護を行う。カフィアーは、ショイブレが要求したような内部への投入は問題になっていないと断言した。ショイブレとドメジールとは、最近の左翼支持者の手入れを擁護した。「私は連邦検察庁が命令した捜査措置の適切さと重大さとにいささかの疑問も持っていない」とショイブレは述べた。
ドメジールも、手入れは合法的だったと強調した。「何らかの形の威嚇が問題ではなかった。」サミット反対者の動員は、彼の観点からは、がっかりさせる成り行きだった。「この情報を聞いても悲しくはない」と彼は言った。けれども、かなりの人が動員が足りないことに対する欲求不満からより暴力的になる危険が存在する。グローバル化に批判的な  「アタック同盟」の目から見ると、G8期間中の抗議のための動員は、大捜索以後、反って改善された。「この警察活動の一つの効果は、動員がそれによってやりやすくなったことだ」と「アタック」の設立者の一人であるペーター・ヴァールは述べた。総額9,200万ユーロ(147.2億円)かかるサミット開催の費用のうち、2,800万ユーロ(44.8億円)は連邦政府が負担する。2,250万ユーロ(36億円)は、メクレンブルク・フォアポンメルン州が負担する。国防軍の投入だけで5.5百万ユーロ(8億8千万円)が計上されている。
 その間、ノルトライン・ウエストファーレン州の警察は、二つの事件で捜査している。金曜日、早朝のリュベッケでのアメリカのファスト・フード店での火災は、G8反対派の仕業かと思われたが、損害は僅かであった。境界線上の駐車場の路面に容疑者はG8に反対するスローガンが書かれた。警察によると、犯人は、ハンバーガー・チェーン店の鉄格子つき窓に二つの爆発物を置いたが、そのうち一つしか発火しなかった。もう一つの事件は、エッセン市からである。ケトヴィッヒ地区で未知の犯人が金曜日の夜に警察署の入り口扉に「お休み、G8」と「ケーピは残る」とスプレーで書いた。
[訳者の感想]最後に出てくる「ケーピ」というのは、Wikipediaで調べたら、ベルリンのケペニック通り137番地にある建物のことだと分かりました。六階建ての建物で総面積1,904平米あるそうです。1990年に不法に占拠され、1991年には占拠合法化された建物です。現在は60名乃至90名ぐらいが住んでいるそうです。元々ユダヤ人が所有者でナチ時代に亡命したか、殺されたかして、東ドイツ時代は、人民所有になっていたそうです。
G8の開催というのは、警備に馬鹿馬鹿しい費用がかかるようです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アフリカの秘密--男・女・子供がテロに対する戦争の中で消えている」という『ガーディアン』紙記事。

2007年04月24日 | 国際政治
ファトマ・アーメド・チャンデは、寒かった。午前3時で雨が降っていた。25才のタンザニア人女性は、ナイロビ国際空港のタクシー乗り場で膝まづいていた。
警察車両のヘッドライトが暗闇の中で照らした。彼女は目隠しをされた男達の一団が旅客機のほうへ連れて行かれるのを見た。彼女はその後についていく足かせをはめられた女達と子供達の何人かが誰か分かった。
警察官は彼女のスカーフを目の下へ引き下げた。彼はプラスチックの手錠で彼女の両手を背中で縛った。彼はもし彼女が彼女の夫がソマリアにいるアルカイダを指示しているということを認めなければ殺すぞと脅した同一人物だった。
「私は死ぬわ」と彼女は思った。
 タンザニアのキリマヌジャロのふもとにあるモシの出身であるこの女性は、1月27日の早朝には死ななかった。だが、彼女がソマリアの戦争から逃亡中、ケニアの北部国境で逮捕されたときに始まった試練は終わったどころではなかった。
 アフリカ急行便AXK-527に積み込まれて、彼女はアフリカで最初の大量「上演」の一部になろうとしていた。そこではソマリアのテロリストを支持したかどで、囚人は、国内法や国際法の境界の外での尋問のために国から国へと密かに輸送された。
20ヶ国から来た他の少なくとも85名の囚人と一緒に彼女は、ソマリアへ飛行機で戻り、更にエチオピアに飛んだ。アメリカの情報員が尋問には加わっていた。写真を撮り、子供からさえDNAのサンプルを採取した。
 逮捕から3ヶ月後、4月7日に、アーメド夫人は、釈放された。彼女の夫であるサリム・アワド・サリムは、まだ拘留されている。同じく、78名の乗客も拘留されている。その中の18人は15才以下の子供だ。
 エチオピア政府は、他の「国際的テロリスト容疑者」を捕らえていることを認めたが、彼らを国際赤十字社に引き渡すことを拒否した。残りの「幽霊飛行機」の乗客は行方不明である。
 モシにある彼女の両親の家で健康を回復しながら、アーメド夫人は、『ガーディアン』紙に対して主張をした。それがエチオピア政府に圧力をかけて、彼女の夫や他の囚人を釈放させるようにするだろうと彼女は希望している。彼女は、どのようにして2000年に結婚してケニアの海岸都市モンバサへ引っ越したか、そこで夫は携帯電話の修理店を経営していたかを述べた。昨年、彼の仕事がうまくいかなくなったので、彼はソマリアの首都モガディシオで運を試そうと決心した。そこでは1991年以来初めて、部族のゆるい連合体である「イスラム法廷連合」が法と秩序を確立していた。
 米国に後押しされたエチオピア政府は、ソマリアの「イスラム法廷連合」がアルカイダとつながりがあると非難した。12月末にエチオピア軍はモガディシオに向かって進撃したので、夫妻は、南へ逃げる数千人に加わった。彼らは二人のスワヒリ語を話す女性と知り合いになった。一人は、ハリマ・バドルディンで、もう一人は、ファトマ・アーメド・アブドルラーマンと名乗った。バドルディン夫人の夫は、ファズル・アブダラ・モハメドというコモロ人で、アブドルラーマン夫人の夫は、サレー・アリ・サレー・ナブハンである。彼らはどちらも1998年のナイロビとダルエスサーラムにおける米国大使館爆破テロで重要な役割を演じたと理由で告訴されている。(中略)
 アメリカ人情報員についての彼女の経験は、写真を撮られたこと、指紋をとられ唾液のサンプルを与えたことに限られている。彼女の夫は、米国の要請でナイロビに拘留されていた。
 FBIは、エチオピアでの囚人との接触を認めたが、それが「上演」と関係があることを否定した。「望ましくない要素としてこの国から退去させられた人々によってなされた主張を疑っている」とケニア政府の報道官は述べ、FBIがケニア国内の囚人に接触したことを否定した。「だが、彼らが何らかの法律が破られたというなら、公的な苦情としてファイルすることは歓迎する。」
 4月7日にアーメド夫人はキリマヌジャロ行きの便に乗せられた。彼女をエスコートした人物は、彼女の夫や他の人々は一週間以内に釈放されると約束した。だが、もう16日経っている。
[訳者の感想]エチオピア軍のソマリア侵攻がまたまた沢山の避難民を生み出し、そのなかには、アルカイダとの関係を疑われてケニアで拘留され、エチオピアで尋問された人々がいることがわかりました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「西インド諸島の司教、ブレア首相に奴隷貿易の謝罪を要求」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2007年03月25日 | 国際政治
 高位の聖職者は、昨夜、引き起こされた苦しみに対して気の毒だったいうだけでなくて、奴隷貿易における英国の役割に対して十分な謝罪をするように、ブレア首相に要求した。
 昨日、ロンドンで開かれた礼拝で、カンタベリーとヨークの大司教に加わった西インド諸島の大司教は、首相は謝罪を伝える「適切な人物」であるだろうと述べた。その謝罪は、将来における人権侵害を予防するだろうと述べた。キャンペーンを行っている人たちは、謝罪に失敗すれば、奴隷貿易廃止記念日のプログラムに影を投げかけるだろうと言っている。
 ブレアは、今日、「人道に対する犯罪」と彼が表現するものによって引き起こされた非人間性と堕落に対して彼の心からの遺憾を表すために、ガーナで行われた「ブリティッシュ・カウンシル」の記念会に公表されたメッセージを使用するつもりである。上院議員の指導者であって、奴隷の子孫であるエイモス夫人は、奴隷貿易を「英国史の最も恥ずべき不愉快な章の一つだ」と述べた。
 首相は、今月、ガーナ大統領との共同記者会見で、起こったことについては申し訳ないと述べたが、ケン・リビングストン・ロンドン市長が今週行う形式的な謝罪まではしないだろう。西インド諸島の大司教ドレクセル・ゴメスは、「遺憾」と「十分な謝罪」との間には技術的な違いしかないように見えるが、それは重要である。「われわれがわれわれの未来を建設するつもりなら、われわれはわれわれの過去を認めなければならないのだから、謝罪が適切である」と「トウデイ」局のプログラムで述べた。
 首相官邸の立場は、遥か昔の先祖によって何世紀も以前になされた過ちに対して現在の世代が謝罪することは難しく、また、謝罪は賠償責任の問題を引き起こすという懸念を反映している。
 ガーナでの出来事に立ち会ったエイモス夫人は、祝祭が、英国議会の反奴隷運動を指導したウイリアム・ウイルバーフォースのような白人の役割に余りに重きを置いていて、黒人の抵抗運動を十分評価していないという批判と取り組むつもりだ。
 1807年の奴隷貿易を廃止する立法の制定200年記念は、現代の英国における少数民族の虐待との比較に火をつけた。昨日、リバープールの司教ジェームズ・ジョウンズは、アフリカ人の搾取と人種差別団体から逃げようとして斧で殺されたティーンエイジャーのアンソニー・ウオーカー殺人事件との間に並行関係を見出した。ジョウンズは、リバープール大聖堂の集会で、「歴史を研究すればするほど、われわれの人種差別が白人による黒人の非人間的な取り扱いに根があることをますます信じるようになった」と述べた。
 彼は、奴隷船の指揮官から奴隷廃止論者に転向したジョン・ニュートンの、奴隷達を斧で切り刻み、彼らのバラバラの死骸を他の奴隷に投げつけたという記録を朗読した。
 昨日、カンタベリー大司教とヨーク大司教はロンドンの目撃者散歩の先頭に立ち、ウイルバーフォースの生誕地であるハルからロンドンへと英国の役割に対する恥辱のシンボルである鎖を身につけた「廃止論者の行進」と合流した。
 カンターベリー大司教のロウアン・ウイリアムズは、「世の中で最も容易なことは、過去を振り返って、われわれはこのような過ちをしないだろうと言うことだ」と断言した。
「われわれが今日していることは、奴隷貿易に従事した人々、非人道な仕組みを動かし続けた人々が、あなたや私のような人間だったということを認めることである。」
[訳者の感想]西インド諸島というのは、カリブ海にあるキューバ、ハイチ、ドミニカ、プエルトリコ、バージン諸島、アンティグア、グアダルーペ、マルチニック、バルバドス、グレナダ、トリニダッド=トバゴなどの島を指しているようです。この中には、グアダルーペやマルチニックのようなフランス領やプエルトリコのような米領も含まれています。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「われわれは仲の良い友人だ」と題する”Economist”誌の記事。

2007年03月16日 | 国際政治
日本の安部晋三首相が今週オーストラリアとの間に安全保障共同宣言を発表したとき、彼は一撃で日本の同盟国の数を二倍に増やした。これまで、日本は、第二次大戦以来、米国とのみ形式的な安全保障条約を結ぶことによって、その庇護の下で平和憲法をもちながら暮らしてきた。それは相互防衛条約には達していないとしても、あるオーストラリア人にとっては、ジョン・ハワード首相によって3月13日に署名された共同宣言は、正当性を欠いている。なんと言っても、日本は戦時中オーストラリアに侵入する瀬戸際まで行ったのだ。オーストラリアの捕虜は、日本軍の収容所で酷い扱いを受けた。ほんの数週間前、安部首相は、外国人「慰安婦」が戦時の軍の売春宿に働くように強制されたという事実を否定することによって、自分に不面目を招いた。数人の年取ったオーストラリア女性が証言した人々の中にいた。けれども、世界は動き続け、ハワード首相の見方では、「オーストラリアは、アジア・太平洋地域では日本よりもより良い友人、もっと信頼できるパートナーを持っていない。」安部首相は「共有された運命」について語った。
 そういうわけで、この二つの国が同盟国になることが重要だとすると、自然な問いは、「誰に対する同盟か」ということになる。これを質問することは、全く要点を見損なうことであると一目見たところ両国は主張している。両国の協力は、いくつかのレベルで深められた。去年6月まで、オーストラリアの部隊は、イラク南部で復興事業を遂行している日本軍を護衛した。もっと本国に近いところでは、両国の平和維持部隊は、カンボジアと東チモールで一緒に仕事をした。
 アレクサンダー・ダウナー外相の父は、三年以上も日本軍の捕虜だったが、ダウナー外相は、2004年の年末に起きたインド洋津波の後、災害復旧で日本と協力した。アジアにおける二つの国は、目的を共有している。こうして、両国の外相と防衛相を含む定期的な会合、合同軍事訓練、情報の共有のためのより形式的な合意についての暫定的な取り決めは、人道的使命を促進するだろう。
 安全保障共同宣言は、両国関係の新しい側面を構築するシンボリックなやり方であるとダウアー外相は述べた。両方は、それゆえ、経済的絆を強化する自由貿易協定を交渉するだろう。だが、両国が否定すればするほど、安全保障共同宣言の主たる触媒がますます明白になる。それは中国の台頭である。
 このことは、ある人には驚きであるかもしれない。オーストラリアは、鉄鉱石やウラン鉱石のような商品に対して貪欲な食欲を示している中国との取引で利益の民主的原則について人権団体からの非難に対してしばしば自己弁護をしなければならなかった。オーストラリアの外交官達は、「中国は良い建設的な商業パートナーだが、考えや価値に関しては、日本ほどはわれわれに近くはならないだろう。明らかなことは、日本がアジアでは最良の友人である」と言っている。
 オーストラリアの安全保障についての姿勢は、長い間、中国側の用心の原因だった。特にオーストラリアと米国との同盟関係と中国の台湾に対する戦争では、オーストラリアは米国を助けるという可能性の故に。新しい共同宣言が東シナ海における日本と中国との領土上の議論で日本を援助することを含まない限りは、中国政府は、その不快感を隠そうとするだろう。経済的結びつきが第一だ。
 安部首相に関して言えば、この協定は、彼の前任者であった小泉純一郎によって始められた日本のためのより強固な外交の一環である。イラクへ部隊を派遣する前に、小泉は、アフガン戦争を援助するために、日本の自衛隊によるインド洋上の給油艦を派遣した。
 昨年九月に安部が首相になって以来、彼は米国との同盟関係に対する小泉の肩入れを引き継いだが、米国の庇護以上のものを望んでいる。彼は北朝鮮の挑発に直面して、ミサイル防衛システムのより速やかな配置を推進した。彼は防衛庁を防衛省に昇格させた。彼はまた憲法の平和主義的な第九条を修正しようとしている。安部首相は、東南アジアとの安全保障関係を構築しながら、インドとの新しいパートナー関係を模索している。
 これらすべては、中国の地政学的台頭とバランスをとる戦略である。言い換えると、日本は、中国をこの地域の先頭にするために、寝転がろうとはしていない。与党の自民党とその連合は、今年7月に参議院議員選挙に直面しているので、安部首相の国内での不手際は、短期の在任を意味するかもしれない。そうだっとしても、日本の明らかになる地域での姿勢は、安部首相よりも長続きしそうだ。
[訳者の感想]オーストラリアとの安全保障協定が日本にとっては何を意味しているのかを解明した評論だと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ドイツ人司教に対する憤激」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事・

2007年03月11日 | 国際政治
 駐独イスラエル大使のシモン・シュタインは、驚愕と憤激をもって、ドイツの司教会議の常任理事が訪問の間にイスラエルとパレスチナ自治区で下したいくつかの声明に対して反応した。「ワルシャワのゲットーとか人種差別という概念をイスラエル、あるいはパレスチナ政策との連関で用いるなら、一切が忘れられているか、何も学んでいないか、道徳的に駄目であるかいずれかだ」と火曜日にシュタインは述べた。イスラエルとパレスチナとの紛争の一面を悪魔化するか、二重の基準を当てはめているのだと彼は言う。
 その際、シュタインは、アイヒシュテットの司教ハンケの発言に立ち入った。ハンケは、「朝、ヤド・ヴァシエムのショアの記念館で、ワルシャワのゲットーの写真を見、午後に鉄条網と壁を通ってラマラーのようなゲットーに入ることは耐え難い」と述べていた。
アウグスブルグのミクサ司教も、「ゲットーのような状況」について語り、これはもう「人種差別」だと述べた。ケルンのマイスナー大司教は、パレスチナ自治区との間の壁を見るとベルリンの壁を思い出し、ベツレヘムにあるイスラエルの分離壁の影の下で、動物はこのように囲い込まれるが、人間は囲い込まれてはならないと述べた。同時にすべての司教達は、安全な生活に対するイスラエルの権利を主張した。レーマン枢機卿は、「われわれは、テロに脅かされ、その国家としての存在権が多くの人たちによってまだ疑われているイスラエル人の不安については知っている。だが、われわれは、この訪問で、パレスチナ人が置かれているまさに破滅的な状況も知るに至った」と述べた。
 ドイツにある「ユダヤ人中央評議会」の議長であるシャルロッテ・クノープロッホは、司教達の発言を「酷くって受け入れられない」と批判した。「ハンケ司教がワルシャワのゲットーとそこに収容されたユダヤ人の運命とをラマラーのパレスチナ人と比べるならば、それは彼の歴史的知識に重大な欠陥があることを示している、あるいは司教はユダヤ人のホロコースト犠牲者とその子供達を今日加害者にしようと試みているのだ」とクノープロッホは火曜日に述べた。「ミクサ司教は、彼の言葉の選択において、反ユダヤ主義ぎりぎりのところまで近づいている」述べた。
 「ユダヤ人中央評議会」の副議長ディーター・グラウマンは、「このような友人をもっている者には敵なんかいなも同然だ。パレスチナ人の状況をナチのゲットーに入れられたユダヤ人の苦しみと同一視する人は、歴史から何も学ばなかったのだ。この発言は反ユダヤ主義的である」と述べた。
 「緑の党」代表のクラウディア・ロートは、司教達の「受け入れがたい脱線」について語った。イスラエル人に対する正当な批判があるとしても、歴史の中で唯一的に存在するナチのユダヤ人に対する犯罪との比較をしてはだめだ」と述べた。
 「ドイツ司教会議」の事務長であるランゲンデルファーは、火曜日の夕方、ドイツ人司教に対する非難を退けた。彼らの訪問は、「両方の紛争当事国の利害に対する高度の敏感さによって規定されていた」とランゲンデルファーは述べた。ベツレヘムの状況については、「一人一人の訪問者の情緒的な印象に基づいて、いくつかの個人的なコメントが述べられた。それらのコメントは、既に自己批判的に正された」と述べた。その際、ランゲンデルファーは、ハンケ司教の文書による態度表明を引き合いに出した。それによると、ホロコーストの出来事とパレスチナの現在の状況との比較は、受け入れがたく、また意図されたものではないと述べられている。
 定年退職したリンブルグのカトリック司教であるフランツ・カンプハウスは、ドイツのキリスト教徒にイスラエルによって不法に占領されたパレスチナの領土における正義に対して強力に尽力するように呼びかけた。ユダヤ人居住区の建設と壁の建設と分離された道路網とは、パレスチナ人の絶望を深め政治的宗教的過激化を促進している。
[訳者の感想]パレスチナとイスラエルの両方を旅行して、コメントをするとどちらからも批判されることになるようです。この新聞は、司教達のコメントと「ユダヤ人評議会」の
非難とを公平に述べているように思います。いずれにしても今のイスラエルのパレスチナ政策がかなり人種差別的であることは否定できないと私は思います。それがナチの反ユダヤ主義と同程度に不合理であるかどうかは、問題のあるところでしょうが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「北朝鮮、国連の核査察官を招待」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2007年02月24日 | 国際政治
ウイーン発:北朝鮮は、昨日、核兵器計画に関する更なる和解を提案した。その際、北朝鮮は、国連の武器査察官の長が来月訪問するように招待した。この動きは、北朝鮮が、3年前に国連の武器監視官を追放して以来、初めてその核計画を外部の人間に公開する用意があることの最初の兆候である。
「国際原子力機関」(IAEA)の事務局長であるモハメド・エルバラダイは、彼と北朝鮮当局とは、この国の核計画の廃止の細部について議論するだろうと述べた。その際、30億ドル(3600億円)の援助と引き換えに、核兵器廃棄に向けての第一歩を取るという、今月北京で開かれた「六ヶ国協議」の合意にしたがっている。
エルバラダイ事務局長は、北朝鮮が、「IAEAの構成員に戻ることを望んでいる」と言い、「最初の争点は、寧辺の核処理施設を凍結する計画をどのように進めるかということで、もっと重要なのは、彼らがIAEAの一人前の構成員として復帰することを確実にすることだ」と付け加えた。
オーストリアを公式訪問中のバン基文・国連事務総長は、「この招待が、朝鮮半島からの核兵器撤去への具体的な一歩になると期待している」と述べた。
「エルバラダイ局長の平壌訪問が合意文書の履行に大いに役立つだろうと確信している」とバン事務総長は、2月13日に北朝鮮と五カ国との間で成立した合意に関して述べた。
「エルバラダイ局長と彼の一行は、北朝鮮当局と核施設の凍結の方法と核兵器及び施設の解体について議論できると望んでいる。これは幸先のよい始まりである」とバン事務総長は述べた。
[訳者の感想]今回の合意が成功して、北朝鮮の核計画放棄が行われ、それに対して見返りが与えられるかどうかは、北朝鮮が六カ国合意をどこまで忠実に実行するかに懸かっていると思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする