海外のニュースより

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「アフリカの秘密--男・女・子供がテロに対する戦争の中で消えている」という『ガーディアン』紙記事。

2007年04月24日 | 国際政治
ファトマ・アーメド・チャンデは、寒かった。午前3時で雨が降っていた。25才のタンザニア人女性は、ナイロビ国際空港のタクシー乗り場で膝まづいていた。
警察車両のヘッドライトが暗闇の中で照らした。彼女は目隠しをされた男達の一団が旅客機のほうへ連れて行かれるのを見た。彼女はその後についていく足かせをはめられた女達と子供達の何人かが誰か分かった。
警察官は彼女のスカーフを目の下へ引き下げた。彼はプラスチックの手錠で彼女の両手を背中で縛った。彼はもし彼女が彼女の夫がソマリアにいるアルカイダを指示しているということを認めなければ殺すぞと脅した同一人物だった。
「私は死ぬわ」と彼女は思った。
 タンザニアのキリマヌジャロのふもとにあるモシの出身であるこの女性は、1月27日の早朝には死ななかった。だが、彼女がソマリアの戦争から逃亡中、ケニアの北部国境で逮捕されたときに始まった試練は終わったどころではなかった。
 アフリカ急行便AXK-527に積み込まれて、彼女はアフリカで最初の大量「上演」の一部になろうとしていた。そこではソマリアのテロリストを支持したかどで、囚人は、国内法や国際法の境界の外での尋問のために国から国へと密かに輸送された。
20ヶ国から来た他の少なくとも85名の囚人と一緒に彼女は、ソマリアへ飛行機で戻り、更にエチオピアに飛んだ。アメリカの情報員が尋問には加わっていた。写真を撮り、子供からさえDNAのサンプルを採取した。
 逮捕から3ヶ月後、4月7日に、アーメド夫人は、釈放された。彼女の夫であるサリム・アワド・サリムは、まだ拘留されている。同じく、78名の乗客も拘留されている。その中の18人は15才以下の子供だ。
 エチオピア政府は、他の「国際的テロリスト容疑者」を捕らえていることを認めたが、彼らを国際赤十字社に引き渡すことを拒否した。残りの「幽霊飛行機」の乗客は行方不明である。
 モシにある彼女の両親の家で健康を回復しながら、アーメド夫人は、『ガーディアン』紙に対して主張をした。それがエチオピア政府に圧力をかけて、彼女の夫や他の囚人を釈放させるようにするだろうと彼女は希望している。彼女は、どのようにして2000年に結婚してケニアの海岸都市モンバサへ引っ越したか、そこで夫は携帯電話の修理店を経営していたかを述べた。昨年、彼の仕事がうまくいかなくなったので、彼はソマリアの首都モガディシオで運を試そうと決心した。そこでは1991年以来初めて、部族のゆるい連合体である「イスラム法廷連合」が法と秩序を確立していた。
 米国に後押しされたエチオピア政府は、ソマリアの「イスラム法廷連合」がアルカイダとつながりがあると非難した。12月末にエチオピア軍はモガディシオに向かって進撃したので、夫妻は、南へ逃げる数千人に加わった。彼らは二人のスワヒリ語を話す女性と知り合いになった。一人は、ハリマ・バドルディンで、もう一人は、ファトマ・アーメド・アブドルラーマンと名乗った。バドルディン夫人の夫は、ファズル・アブダラ・モハメドというコモロ人で、アブドルラーマン夫人の夫は、サレー・アリ・サレー・ナブハンである。彼らはどちらも1998年のナイロビとダルエスサーラムにおける米国大使館爆破テロで重要な役割を演じたと理由で告訴されている。(中略)
 アメリカ人情報員についての彼女の経験は、写真を撮られたこと、指紋をとられ唾液のサンプルを与えたことに限られている。彼女の夫は、米国の要請でナイロビに拘留されていた。
 FBIは、エチオピアでの囚人との接触を認めたが、それが「上演」と関係があることを否定した。「望ましくない要素としてこの国から退去させられた人々によってなされた主張を疑っている」とケニア政府の報道官は述べ、FBIがケニア国内の囚人に接触したことを否定した。「だが、彼らが何らかの法律が破られたというなら、公的な苦情としてファイルすることは歓迎する。」
 4月7日にアーメド夫人はキリマヌジャロ行きの便に乗せられた。彼女をエスコートした人物は、彼女の夫や他の人々は一週間以内に釈放されると約束した。だが、もう16日経っている。
[訳者の感想]エチオピア軍のソマリア侵攻がまたまた沢山の避難民を生み出し、そのなかには、アルカイダとの関係を疑われてケニアで拘留され、エチオピアで尋問された人々がいることがわかりました。
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