海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「エルドアン大統領はクルド人に対しては同化を強いている」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2008年02月14日 | 国際政治
誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義
松岡 正剛
春秋社

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エルドアン・トルコ大統領が最近のドイツ訪問の際、ケルン市の「ケルン・アリーナ」で1万6千人の在独トルコ人を前にして、統合するように呼びかけ、ドイツ系トルコ人の同化に対しては警告し、それは「人間性に対する犯罪だ」と述べたとき、彼は思いがけないところから、賛同を得た。というわけは、トルコに住んでいるクルド人たちは、皮肉を交えて、非常に喜んだからである。トルコ人の政治家がトルコ国家が何十年も前からクルド人住民に対して行ってきたこと、つまり、「同化」を、「人間性に対する犯罪」と呼んだのは初めてだ。
ドイツにいるトルコ人のためにトルコ語で授業や講義をする高等学校や大学を設立せよという彼の要求も、クルド人政治家たちから、微妙な微笑を誘った。これまで、トルコ国内にクルド人のためのクルド語を使う高等学校や大学ということを考えただけでも、トルコ国民の統一に対する分離主義であり、裏切りであるとみなされてきたのだから。
欲せずして、エルドアンは、クルド人の要求に対して武器を供給したのだ。「彼は、ドイツにいる、ほとんど300万人のトルコ人のために、母国語での授業を要求したのだ」とクルド人政治家のアハメト・チュルクは言う。トルコでは、その5倍ものクルド人が暮らしている。彼らにとっては、高等学校や大学でのクルド語の授業は禁じられている。「クルド人たちは、同化についてのエルドアンの発言に注目している。だが、彼はドイツではトルコにいるときとは違ったことを述べているのだ。われわれは、いまや、民主的な手段で、同化政策に反対する戦いを強化するだろう。」
トルコ自身がやる気のないことを他の国に要求することは、「社会的精神分裂症だ」とクルド問題に詳しい政治学者のドグ・エルギルは、述べた。このような問題は公式にはとトルコには存在しない。東南部地方の貧困問題しか、存在しない。紛争の解決手段としての母国語での授業は、問題にならない。(以下省略)
[訳者の感想]エルドアン演説は、まさに薮蛇だったと言えます。
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