杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

“日本一“企業を輩出する静岡県ニュービジネス大賞

2012-07-12 10:52:57 | ニュービジネス協議会

 昨夜(11日)のNHKクローズアップ現代で女性起業家のコンペティションが紹介されました。大賞を獲得したエムスクエア・ラボ(菊川市)の加藤百合子さんは、2010年度の静岡県ニュービジネス大賞最終Dsc_0011
審査に残り(写真は最終審査の様子)、このときは大賞を逃しましたが、(社)静岡県ニュービジネス協議会の定例勉強会に講師に招いてその先進性に注目が集まりました。会報誌にもこんなふうに紹介しています。

 

 

 

 

 

 

日本の農業の新しい価値と魅力づくり

 2010年静岡県ニュービジネス大賞最終審査に残った㈱エムスクエア・ラボの加藤百合子氏は、東京大学農学部農業工学科を卒業して産業用ロボットの研究開発に関わり、退職後に静岡大学農業ビジネス企業人育成講座を受講。3人の女の子の子育てを通して、農業に関わる事業の必要性を感じ、2009年に起業しました。

 

 カンや経験に頼る技術の継承でよいのか、旧態依然とした青果流通に将来はあるのか等、農業情報の在り方を見直し、広く正確な情報発信システムを構築し、得意分野である機械工学で農業に参入しようと、まずは農業情報シェアサイト「わいファーム」を立ち上げました。2010年にはふじのくに農業情報ブログ登録プロジェクト(県事業)を受託し、アグリグラフ・ジャパンを運営管理。県内農業に関する情報をリDsc_0025
アルタイムで国内・海外5カ国に発信しています。

 

 また県委託事業の「ふじのくにワールドワイドファームプロジェクト」を受託し、農業に関するビジネスマッチングとグリーンツーリズム事業を支援。さらに青果取引を安心確実にするための現場密着の営業代行および品質管理保証、生産者育成、マーケティング等を行う“ベジプロバイダー”という新システムの構築で、日本の農業の競争力強化とビジネス支援に取り組んでいます。

*オフィシャルページはこちらを。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、加藤さんが大賞を逃した2010年度静岡県ニュービジネス大賞を受賞したのは、ウエルビーフードシステム(静岡市清水区)の古谷Imgp5187
博義社長。同社は、2011年新事業創出全国フォーラム大賞で、日本各地から推薦されたベンチャーを押しのけ、見事、大賞(経済産業大臣賞)に輝きました。受賞対象となった事業は以下のとおり。

 

 

 

 

 

 

 

静岡県ニュービジネス大賞・ウェルビーソフト食と事業展開

 

 

 

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ウェルビーフードシステムは静岡市清水区の食品卸業・古宝商事が母体。古谷博義社長は、斜陽を迎えた卸業からの転換を目指し、お持ち帰り弁当やカレーハウスのFC事業を経て、現在は福祉施設、病院、企業、学校等の給食業務の運営委託請負を中心に活動しています。

 新たに開発したウェルビーソフト食とは、「企業は社会性のある事業をしなければ生き残れない」と考えた古谷社長が、請負先である福祉施設で嚥下困難(食べ物がうまく食道に運べない)に苦しみ、気管に入りこんで窒息や肺炎を招く危険性のある高齢者のために開発したもの。従来のソフト食の、見た目が悪く食べてみないと何の料理かわからず、食欲がわかないというデメリットを克服し、彩りよく見た目も常食に近く、食器も常食と同じものを使用します。

 システム生産する他のソフト食メーカーとは一線を画し、請負先の施設の調理場で、常食と同じメニューを手作りでソフト化できるのが同社の強み。今後は握り寿司、天ぷらそば等、ソフト食化が難しいとされるメニューにも挑戦します。

 

また同社は、幼稚園・保育園・こども園(幼保一体)の調理部門を県では初めて民間受託しました。「公立の保育施設では人件費の問題から給食担当の正職員新規採用が10年以上されておらず、給食サービスがおろそかにされている。県内には504カ所の保育園があるので、民間の専門業者に門戸開放するなりして、子どもの食の管理を大切にしてほしい」と問題提起します。

*オフィシャルページはこちらを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食と農の分野で、新しいベンチャーを起こした静岡県の2社が、2年続けて全国規模のコンペティションで大賞を獲得したということは、静岡県のベンチャー企業のレベルの高さの証明に他なりません。しかも受賞者2人とも、食の生産者や販売業者ではないけど、身近で感じた食の問題に、自身のスキルを活かし、まったく新しい「しくみ」を確立しようと努力されたのでした。起業やベンチャーの種って、身近なところにいくらでもあるって勇気づけられますね。

 

 

 

 

 そんなベンチャーの“発芽”を見逃さず、応援しようというのが、静岡県ニュービジネス大賞です。今年も募集が始まっていますので、我こそはという人、この会社を推薦したい!という人はぜひチャレンジしてみてください! (応募要項はこちらを)。

 

 

 以前、私も杉井酒造さんを推薦させてもらったことがあり、杉井さんと一緒に推薦論文を必死に書いたのですが、残念ながら大賞受賞には至らず・・・。でも杉井さんの事業を理解する大きな手立てになりました。こちらの記事で紹介した論文を参考に、チャレンジしてみてくださいね。