杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

芸術文化の「ささえびと」

2011-02-26 01:22:21 | NPO

 濃厚な一週間がやっと終わろうとしています。なんだか人疲れしてしまって、ブログ更新も遅れてしまいました。人疲れといっても心地よい疲労感で、頭はぐったりしているけど、心は充実感一杯です。

 静岡県内で、さまざまな形で文化活動を支援している人たち―アーティストやクリエーター本人ではなく、彼らに創作や発表の場を与えるために努力している人々を取材しています。

 

 

Imgp3699

 静岡市の金座町にある商社の古い社員寮を、シェアオフィスにリニューアルしたら、昭和の古い建造物に魅力を感じて集まってきた芸術家や俳優たちの“アーティスト長屋”になった『第二金座ビル・ボタニカ』代表の下山晶子さん(写真左)の「古い建物を潰してコインパーキングにするだけなら、街に未来はない」という思いが発端でした。

 

 

 先端のインテリジェンスオフィスとは違い、ボタニカには無駄な空間が多く、ビル機能的には何かと不便さもあるけど、社員寮の食堂や休憩室だったフロアが入居者同士のコミュニティスペースになり、作品発表の舞台になり、エントランスや階段スクエアには入居者たちが思い思Photo いに壁アートを描くなど、なんだか建物そのものに血が通っている感じ。4月からは両替町にあった老舗カフェ『ダイナ』がここで復活するそうです。

 

 「アーティストたちはつねに自分を追い込んでギリギリの精神状態で創作活動に臨んでいる。彼らと触れ合う中で、彼らにはリセットの時間や空間がとても大事なんだと気がつきました」と下山さん。こういう理解ある大家さんがいる長屋ってイイですよね~。

 

 

 

 

 

 静岡市清水区上原のジャスコ近くにある『スノドカフェ』、アーティストやクリエーターに“場”を与えてくれます

 

 カフェレストランMiss-Tやリサイクルブティック・スノードールとしてファンの多いショップの2階。オーナー柚木康裕さんはブティック経営の傍Imgp3720 ら、倉庫になっていた2階で貸しギャラリーを始め、次第に作家たちを支えるには何が必要かを真摯に考えるようになり、東京の美術館やギャラリーにこまめに足を運び、自腹でNPO主宰のアート講座で学んで、アートディレクターやキュレーターの人脈をつくりました。

 

「静岡はアートに直接触れる機会が圧倒的に少ない」

「静岡のアートの世界がアーティスト自身で創られ、完結してしまっている」

「アートは創るだけではなく支えることも大切」

「ただ自分自身は仰々しく“支えます”なんて意識ではなく、好きで面白くて、無性に知りたいと思ってやっている」

・・・柚木さんの飾り気のない言葉は、しずおか地酒研究会を始めた頃の自分の思いに重なるようで、ビンビン響いてきました。

 

 

 

 掛川市旧大須賀町にある『とうもんの里』を運営するNPO法人とうもんの会も、リーダーの名倉光子さんの高い志と行動力が光っています。名倉さんは『名倉メロン園』のオーナーでもあImgp3742り、静岡県を代表する女性農業経営者として知られた方。私も過去何度か取材させていただいたことがあります。

 

 国の助成をベースに、田園の景観と文化を伝える目的で立てられた『とうもんの里』という施設を、地域農業者や自治会の人々が、行政任せにせず自分たちで運営しようと立ちあがったとき、舵取りを託したのが名倉さん。農業体験や食加工体験、自然観察等の体験プログラムを企画し、毎週金曜~日曜には朝採り昼市を開催しています。

 

 ワークショップで郷土の自然や歴史を学ぶうちに、自分たちが暮らす地域のことを知らなさ過ぎたことに気づき、「この地域の大地を守ってきた先人の歴史を正しく知って語り継ごう」と、江戸末期に命を捨てて村の農業用水路を作った庄屋さんの秘話を子どもミュージカル『十内圦(じゅうないいり)ものがたり』に仕立てました。

 

 昨年8月、県民の日の農業イベントで上演したところ、猛暑の中にもかかわらず、観客は微動だにせず、声も上げずにポロポロ涙を流したそう。地域で大きな評判を呼び、秋の『遠州横須賀ちいさな文化祭』でも再演したそうです。「思い付きで、自分の娘が通っている声楽の先生の協力で運よくミュージカルにすることができたけど、こんなに“伝える力”があるとは・・・」と名倉さん自身ビックリだったとか。

 

 取材当日は、名倉さんが県内の女性農業経営者たちと力を入れて完成させたばかりの『地産地消のしずおか食育かるた』を嬉しそうに見せてくれました。地元掛川の切り絵アーティImgp3744 ストのかるた絵が素晴らしく、 アートと農業はとっても相性がいいと実感させられました。

 

 

 

 

 

 

 

 美しい自然は、地球自身の芸術作品。美しい田園は自然と人間の共同作品。その価値を守り伝えるには、農業が健全に継続されることが必要だと語る名倉さん。下山さんや柚木さんにしても、活動を支える街の商業が健全に成り立ってこその活動に違いありません。

 

 

 ただ、バブル時代のように金の力にモノを言わせて高額な絵画を買い漁る人とは違い、今回取材で出会った人たちは、地域の、自分のテリトリーのものを知恵と工夫と人脈の力で、文化発信の場に変えようと努力しています。これはその人自身に、途方もない“人間力”があってこそなし得る事業だと思えます。

 

 取材は来週いっぱいまで、トータル14人の「ささえびと」に会ってきます。人間力あふれる人を取材する仕事、インタビューするにも原稿にまとめるにも、自分自身の“人間力”も問われるだけに、ものすごい疲労感、と同時に人としての達成感も得られるようです。

 

 続きはまた。


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静岡酵母とさくや姫

2011-02-20 11:13:08 | 吟醸王国しずおか

 今朝(20日)、起きて静岡新聞朝刊を開いたら、上野にやってくるパンダちゃんの写真と同じ紙面に、自分が酒を飲んでいる写真がドカンと出ていて超ビックリ!!なんだかプライベートタイムが県下一円に晒されたみたいで恥ずかしかったぁ・・・

 

 もちろん隠し撮りされたわけじゃなくて、1月31日から2月5日まで静岡新聞夕刊1面に連載された『静岡酵母物語』を執筆した記者に取材協力したもの。

 同連載が始まる前、いろいろ情報提供した際に、「静岡酵母のお話は25年以上前の“川上のてっぺん”の出来事。25年経てその成果が川下にどう活かされたのか、その視点を欠かさないでほしい」とお願いし、静岡酵母の力によって品質を向上させた蔵元の努力、静岡酵母の成功で県の技術支援に期待がかかり、酒米誉富士の誕生を導いたこと、川上(造り手)の努力を支えた川下(売り手・飲み手)あってこその『吟醸王国』だと僭越ながらアドバイスさせてもらいました。

 

 

 川下の活動を象徴するような写真が撮りたいという相談を受け、静岡市内の地酒専門の飲食店を何軒か紹介した中で、記者が選んだのが『狸の穴』で、取材当日はご主人に呼ばれて私もサクラでノコノコうかがったのです。

 ところが後日、夕刊連載シリーズでは『川下』の話そのものがカットされたと聞き、狸の穴に申し訳ないなぁと思っていたところ、記者さんも「紙面を確保して必ず載せますからっ」と発奮してくれて、静岡deはしご酒ほか、県内各地の『川下』の活動を紹介し、記事にしていただいたというわけです。

 

 

 新聞の取材では突発的なニュースが起きたりするとボツになるのが日常茶飯事なので、本当に記事になるのか、いつ載るのか、期待半分といったところでしたが、今朝、いきなり載っていて、フイを突かれた感じ(苦笑)。

 ・・・でも有難いですね、地酒の話題が幾度となくこうして取り上げられるって。広告料に換算したらとんでもない金額です。ひところの『川上』さんは取材協力してやった、ぐらいにしか思わない人も多かったけど、最近は広報の重要性を理解する人が増えました。日本酒の消費低迷に直面する『川下』さんにとっては、広報がどれだけ有難いか、言われなくてもよ~くわかってくださるでしょう。

 

 

 私は県の広報の仕事を手伝っているので、県という静岡で一番巨大な組織が、広報に本腰を入れて真剣に取り組んでいる様子が手に取るようにわかります。

 県の各部署では本当に時代を見据えた価値ある事業をたくさん手掛けているのに、県民が知らない→知らないから『お役所は何やってんだ』批判を受ける→税金で事業を行う以上、批判の声は無視できない→十分な成果が出ないうちに見直し(事業仕分けが始まってからとくに)という悪循環に陥る。

 でも、ちょっと待ってほしい。事業そのものを見直す前に、事業対象に周知徹底されているか、県民の理解が得られるような広報はされているか、検証してほしい。広報予算というのはケチってはいけない!!と声を大にして言いたいです・・・なにせ、こっちは生活かかってますからね(苦笑)。

 

 

 

 

 さて、県の事業といえば、今週は『富士見の祭典』というのが開かれていますね。私は広報誌でPR記事を書いただけで、直接事業にはタッチしていませんが、2月23日(水)の“富士山の日”には様々な記念行事が予定されているようです。

 

 

 その中のひとつ・県男女共同参画課が今年度手掛けた『さくや姫プロジェクト』という県内で活躍する女性のデータバンク事業で、記念のシンポジウム・富士見の祭典~さくやな話が23日(水)14時から、静岡県男女共同参画センターあざれあ(静岡市駿河区馬渕)で開かれます(詳しくはこちら)。

 

 

 この女性データバンク(ウエブサイト)は、おつきあいのあるデザイン会社レ・サンクさんが制作を請け負っているので、センスの良いサイトに仕上がっています。イマドキの、いろ~んな職業の女性がたくさん紹介されていて、各人のインタビュー記事も読み応え十分です。何より写真が、モデル撮影みたいに美しく撮っているんですね。

 ライター&カメラマンのugaさんは、ニューズウィーク日本版編集部にいた方で、彼女のスキルが存分に生かされているという意味では、さくや姫=ugaさん自身ではないかと思えるほど。

 

 

 実は私、この事業が始まった昨年8月、レ・サンクさんから(たぶん数合わせに)呼ばれてugaさんの取材を受けたんですね。最初レ・サンクさんから連絡があったときはライターとして取材するほうかと思ったら、取材される側だったので超ビックリ!!なんでも9月中旬のAPEC国際会議(男女共同参画部会)でサイトの動画デモをやることになり、サンプルとして20人ぐらいのデータを急いで作らなければならなくなったそうで、たいして実績もない私ですがレ・サンクさんのためと思い、恥ずかしながら協力させていただいた次第です。ugaさんには吟醸王国しずおかパイロット版の映像の一部を提供し、試写会の様子や、青島酒造さんに協力してもらって蔵や田んぼを取材する(格好だけの)動画を撮ってもらったりしたんです。

 しかしながら、自分よりも実績のあるライターさんは静岡にたくさんいるし、自分ごときが他の優秀な女性たちと肩を並べて紹介されるなんておごがましいと自覚していたので、これまで人には話してませんでした

 

 

 でも広報の価値を改めて考えると、恥ずかしいだの何だのと言ってられない、まだまだ資金の足りない『吟醸王国しずおか』のためを思ったら、ある程度媒体を選ぶにしても、広報の機会を存分に活かすべきではないか。何より私自身ではなく、私が伝えようとしている地酒の価値を発信する場として有効活用すべきじゃないかと腹をくくりました。

 裏方役であるライターが顔を晒すのは本意ではありませんが、さくや姫の私のページの写真は、ugaさんが、びっくりするほどカッコよく撮ってくれましたしね さすがプロ!

 

 

 そんなugaさんと、サイトに登場する女性何人かが、23日、まさにコノハナサクヤヒメを神とあがめる富士山の日に、パネルディスカッションを開くのです。私もまだ見たことのない、私の紹介動画も会場で観られるみたいです。APEC国際会議で晒されるのは(どーせ縁のない人が観るんだし)何とも思いませんが、地元公開は超ハズカシイ・・・

 

 

 23日のシンポジウム、それなりに告知はされていたと思うんですが、どうやら平日午後という日程がネックなのか、お席が余っているようですので、お時間がある方はぜひお越しください! 

 とくに女性を新しい戦力に考えておられる企業のマーケティングや企画開発担当の方、新たなネットワークを掘り起こそうとする方など、静岡に有能な女性がこんなにたくさんいる!って知るだけでも大きいと思います。

 

 『富士見の祭典~さくやな話』は、2月23日(水)14時から、静岡県男女共同参画センターあざれあ(静岡市駿河区馬渕)です(詳しくはこちら)。よろしくお願いします

  


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静岡ライオンズクラブで吟醸きき酒

2011-02-19 10:31:33 | しずおか地酒研究会

 年度末にかけて、急にバタバタと駆け込み仕事が入ってきました。日程が重なってしまって泣く泣くお断りした仕事もあり、ヒマなときにバランスよくいただけないものかな~と愚痴りつつ、まだかろうじて、ライター鈴木が世間様から需要があることにホッと手を合わせています。

 

 

 18日(金)夜は、静岡ライオンズクラブさんの2月第2例会にお招きをいImgp3736 ただき、地酒のお話ときき酒ゲームを楽しんでいただきました。

 

 

 静岡ライオンズで酒の話をするのは13年ぶり。13年前はしずおか地酒研究会を始め、ガイド本『地酒をもう一杯』を出版した頃で、自分自身、修業途中でしたので、静岡を代表する経済人を前にただ舞い上がってしまって、何を話したのかまったく記憶にありません。当時の私のことを覚えておられたメンバーさんから「あの頃は高校生ぐらいだった?」な~んて冷やかされて、恥ずかしいやらなんやらで・・・  でも自分の歩みを見守ってくださる方が地元にいるって、本当に心強いですね。

 

 

 

 18日は、メンバーさんの中にも仕事や酒の会等でお世話になった方が多く、エラそうに地酒の講釈をするよりも、みなさんに「日本酒ってじっくり飲み比べると美味いな~」「奥が深いな~」と実感していただこうと、きき酒クイズをメインにしました。

 

 

 用意した酒は、

◆白隠正宗(沼津) 純米吟醸(兵庫山田錦50%精米・静岡酵母NEW-5)

◆天虹(静岡) 純米吟醸無濾過原酒(滋賀美山錦55%精米・静岡酵母NEW-5)

◆小夜衣(菊川) 純米吟醸(静岡山田錦50%精米・協会酵母1401)

の3種。各テーブルに3種1本ずつ置き、ピッチャーに入れたなぞの酒を1本。このなぞの酒が、3種のうちのどれかを当てていただく、地酒まつり等ではおなじみのゲームです。

 

 

 ライオンズクラブのメンバーさんは『開運』『磯自慢』『喜久醉』なんかは接待の宴席等で飲み慣れていると思い、あえて小規模の、蔵元杜氏のこだわりの酒を県東・中・西部からピックアップし、地酒研メンバーである丸河屋酒店さんと相談しながら決めました。

 

 米の産地の違い、米の種類の違い、酵母の違い、原酒と加水酒の違いなど、データでみればかなり差別化されていると思うんですが、いざImgp3738 飲み比べてみると、やっぱり静岡県の中で違いを見極めるって、そんなに簡単じゃないんですね。9テーブルのうち正解は5テーブルでした。『天虹』は原酒で色がちょっと着いていたので、白いテーブルクロスの上でグラスに注いで見たら分かりやすかったかも。不正解テーブルはいずれも『白隠正宗』と『小夜衣』をミスっていました。

 

 正解テーブルのお席の方には、吟醸王国しずおかオリジナルおちょこをプレゼント(おちょこは事前にライオンズクラブさんに買い取っていただきました。感謝感謝です!)。はずれの席の方にも、お帰りの際、お土産にお持ち帰りいただきました。

 

 

 ゲームが終わった後、改めて乾杯と食事タイム。乾杯用には丸河屋さんが君盃酒造さんにかけあって、『君盃 純米吟醸無濾過生原酒』を特別に用意してくださいました。静岡酵母の味とは違う、重厚でインパクトのある香味で、食事(中華)にはよくマッチしたんじゃないかな。

 

 

 

 他愛もないクイズゲームで終始し、みなさんにとって貴重なお時間を割いてまで参加しがいがあったかどうか自信はありませんでしたが、閉会のあと、「なかなか面白かったな~」「こういう会もいいなぁ」という声をうかがえてホッとしました。「吟醸王国の入会申込書、後でファックスするよ」とリップサービスしてくださった方も。

 

 何より嬉しかったのは用意した4種類の酒が「どれも美味しい」「まったくハズレなし」とみなさんから評価され、静岡にはレベルの高い酒がたくさんあることを実感いただけたこと。余った酒も、すべてお持ち帰りいただいたようです。

 

 

 美味しい酒を楽しい雰囲気でいただく場こそ、日本酒には必要だと改めて実感した夜でした。

 

 静岡ライオンズクラブのみなさま、当日ボランティアでお手伝いに来てくれた静岡経済研究所の高橋晴美さん、パーフェクトな状態でお酒を用意してくれた丸河屋酒店の河原崎吉博さん、本当にありがとうございました

 


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ふじのくに極みの食材調味料大試食会!

2011-02-15 22:58:37 | 農業

 かねてよりご案内のとおり、15日は静岡県商工会連合会のしずおかうまいもの創生事業『ふじのくに極みの食材調味料』県内発表会が開かれました。

 この事業は今回で5年目になりますが、試食会としては一番オイシイものが揃って、参加者が大喜びしてくれた会になったんじゃないかなあ。試食用のレシピを『ビオファームまつき』の松木一浩さんが考案し、現場では静岡を代表する日本茶インストラクター土屋裕子さんがフードコーディネートしてくれたんです

 

 参加人数はいつもより少なかったんですが、メディア関係者が多く、SBS静岡放送と静岡朝日テレビが取材に来てくれて、夕方のニュースで結構長めに紹介してくれたし、雑誌や情報誌の関係者も試食に舌鼓を打ってくれました。今回パスした人、すごーく損したと思いますよ

 

Imgp3662

 まず商品紹介を。河津町の㈱市山が開発した『伊豆のおかずわさ び』は、伊豆天城産の生わさびの茎を、旬の野菜と一緒に刻んで浅漬けにしたシャキシャキのトッピング。そのままお総菜として食べてもいいし、納豆に和えてもいい。試食ではオリーブオイルと和えてローストビーフにトッピングしていただきました。先週末から腹を壊していた私は、毎日おかゆにこれを混ぜて食べてます。マイルドな辛さとシャキシャキ感がクセになって、何にでも合うから飽きないんですよね~。もちろん酒のつまみにもなります

 

 生わさびの茎って普通の漬物屋さんではなかなか手に入らなくて作Imgp3664 れないんですよね。市山さんは河津のループ橋をすこし南下したところにあるわさび加工販売店なので、伊豆へ旅行へ行かれる方はぜひ立ち寄ってみてください!!

 

 

 

 

 

 

 

 伊豆箱根鉄道修善寺駅の近くにある修善寺醤油㈱が開発した『伊豆産わさびのペッパーソースSABISCO(サビスコ)』は、伊豆産わさびの茎をミキシング&ペースト状にした和風タバスコ。強烈な辛みでImgp3666 油断してたくさんかけるとバラエティ番組の罰ゲームみたくなるけど、やっぱりわさびなので、チリペッパーのタバスコに比べて辛さがマイルドかつ上品で、和洋中どんな料理にも使えます。

 

 修善寺醤油さんのもとには、早くも大手商社や海外からも引き合いがあり、今月初めの東京ビッグサイトのグルメ&ダイニングスタイルショーでも一番話題を集めました。

 

 私は先日、取材で川勝知事にお会いした時、取材内容には関係ないのにずうずうしく「こんなの作りました~」って調味料一式を直接お渡ししたんですが、SABISCOを見てすごく面白がってくれました。人に説明しやすいんですよね、伊豆のわさびだし、形状はタバスコみたいだし、むちゃくちゃ辛いけど味はいいし 土屋さんが用意してくれたピザに、タバスコ代わりにかけたらGOODでした

 

 

 

 

 静岡市清水区由比の小倉食品が開発したのは『由比桜えびドレッシングImgp3651・百年の奇跡』。素干しした駿河湾産桜えび、風味のつよい触角を粉末にしてチーズとコラボさせたシーザータイプドレッシングです。

  “百年の奇跡”というネーミングは、駿河湾で桜えびが1894年に発見されてから百年余り、小倉食品さんもまもなく創業百年を迎える中で、いろんな桜えび加工商品が生まれましたが、シーザードレッシングというのは初めてなんですね。

 エビにかけるマヨネーズでエビマヨとか、エビドレとかはあるけど、エビがまんま入ったドレッシング自体珍しいし、ましてや高価で貴重な駿河湾産桜えび。マヨネーズやドレッシングを作る一般の調味料メーカーでは材料調達ができず、不可能だったと思います。こういうのが出来たって桜えび産地ならではの奇跡ですね~と感心してしまって、つい、こんな仰々しい名前を考えてしまったんですが、先方はとても気に入ってくれました。Imgp3652

 

 

 桜えびの味がしっかりわかってパンチの利いた味で、生野菜やアボカドとの相性がとってもいい。私は東京の展示会で手持ちのクロワッサ ンにつけて食べてみたら、おしゃれでぜいたくなエビ風味サンドになりました!

 

 

 

 菊川市のフンケン茶業が開発した『菊茶カ(kicchaka)』は、菊川産の深蒸し粉末緑茶を加えた料理だし。緑茶のだしって、ありそうでなImgp3655 かったんですよね。

 

 以前も書いたように、これのお茶漬けが絶品で試食用にもちゃんと用意していただいて、みなさん大喜びでした!またコカブの浅漬けは爽やかな黄緑色が本当にきれいで、着色料を使った漬物とImgp3656は違う、ホンモノ感があります。作り方はカンタンで、コカブを薄切りにして軽く塩もみし、水けを絞り、菊茶カをふって、メカブを加えて和えるだけ。う~ん、これも酒の肴になる!

 

 

 『菊茶カ』というネーミングは、菊川市に菊茶花(きっちゃか)祭りという春祭りがあって3年前に途絶えてしまったのですが、その名前を残したいと思い、“菊川の お茶のカテキンパワーだし”という意味をこじつけました。なんとも安直な発想ですが(苦笑)、フンケンの社長さんは一発で気に入ってくれました。

 

 

 

 

 浜名湖の雄踏漁協の近くにある㈱海老仙が開発した『鰻パワーのImgp3657 長寿ドレッシング・仙授鰻寿(せんじゅまんじゅ)』は、同社が開発した鰻の骨粉末「鰻(まん)パウダー」と鰻エキスを配合した醤油ドレッシング。鰻の味って聞くと一般的にはかば焼きのタレの味を想像しますが、鰻そのものは味がありません。かば焼きの味が苦手な人にも、栄養価だけはしっかり摂れるよう、日常気軽に使えるドレッシングにしてみようというコンセプト。ネーミングは、鰻の栄養は浜名湖からの授かりもの、それを健康長寿に活かしてほしいという思いを込めました。

 

 この仙授鰻寿、水餃子との相性がバツグンで、試食でも大評判でした。海老仙さんは「浜松餃子とコラボして売りたい」と張り切っていました。松木さんのレシピでは、餃子のたれとして使うなら、コチュジャンとごま油を少し混ぜてもいいようです。

 

 

 

 

 鰻関連ではもう一つ、過去ブログでも紹介した舘山寺のレストピア山崎㈲が開発した『浜名湖うなぎじゃん』。豚生姜焼きのたれ、マーImgp3660 ボー豆腐ソース、とんかつソース等にも使える万能甘辛醤(ジャン)です。レストピア山崎秘伝のうなぎタレ、地元産にんにく、駿河湾桜えび、鰻パウダー等が配合されています。

 

 これも味は“うなぎうなぎ”していないので、インパクトのわりにはマイルドで誰にも食べやすい。東京の試食会ではもっと鰻の味が欲しいという意見もありましたが、鰻の味ってかば焼きの味でしょ?って言い返したかったのをグッとこらえて、鰻が苦手な人も鰻の栄養を摂取していただけるよう万能タイプに仕上げたんですよと説明しました。

 

 

 

 

 以上6品、充実した試食用レシピのおかげで、それぞれ好評をいただき、6事業者さんもホッとされていました。発売は4月から。もう少ししたら、静岡県商工会連合会のHP内にも専用サイトが開設されると思いますので、またご案内しますね! 流通、販売関係のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

 


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バレンタインと無縁社会

2011-02-14 22:31:13 | 日記・エッセイ・コラム

 バレンタインデーでしたが甘いものにトンと縁のない一日でした。・・・っていうより食べ物に寄りつけない日だったなぁ。先週11日、根を詰めて原稿執筆に集中していたら、夜中にひどい腹痛で、翌12日は全身の関節が痛くて起きられず、お腹も緩みっぱなし。どうやら風邪がお腹にきたようです。

 

 

 13日は一日指ヨガの講習会があって夕方は大事な打ち合わせ。やむをえず薬局で勧められた下痢止めを飲んだら、速攻で効いたけど、口の中にずーっと薬の味が残り、何を飲んでも苦い。お腹は空気が溜まったみたいに膨張してガスがプスプス・・・もう恥ずかしいったらありません そんなこんなですっかり食欲が減退し、バレンタインどころではありませんでした。

 

 そんな情けない私でも、13日夕方の打ち合わせではちょっとばかり幸せな気分になりました。

 

 ちょうどNHKで「無縁社会」というのをやっていましたね。体調が悪いのについつい観てしまって、独身一人暮らしフリーランサーの身としてますます痛~い気持ちになったのですが、13日に会った2人の30代のプロフェショナルは、物腰が柔らかく、謙虚で、お互いの専門職に対するリスペクトと、理解し合おうとする前向きな姿が頼もしかった。

 

 初対面同士の彼らを引き合わせる仲介役だった私は、仕事の専門ややり方がまったく違う2人が理解し合うのに時間がかかると思ったのですが、杞憂に終わったみたいです。今日、互いに好感触だったことを知って、自分のことのように嬉しく、腹痛を忘れるくらい豊かな気持ちになりました。

 少し前の自分だったら、自分の仕事や生き方に自信を失いそうな時、ましてや体調が悪いときに他人の面倒なんか二の次だったと思います。事務的に引き合わせ、結実してもしなくても、自分のそばをただ通過した人たち、で終わっていたでしょう。

 

 

 無縁社会の無機質な映像と、バレンタインのヴィヴィットな街のカラーを比較し、いったいどっちの世界がリアルなんだと混乱しそうだった時に出会った、リアルに頼もしい若者だったからこそ、救われたような気分になったのかもしれません。に、しても他人同士の縁をおぜん立てしたことが、こんなに気持ちを豊かにしてくれるなんて、ちょっと自分でも意外でした。

 

 自分が引き合わせたわけではありませんでしたが、ちょうど喜久醉の青島さんと松下さんが出会ったとき、この2人の縁が本当に実になってほしいと心の底から純粋に願った時のことを思い出しました。

 

 

 企業同士のマッチングや仲介で実績のある人、あるいは生涯のパートナーを引き合わせた経験のある人が実感した喜びって、こういう思いの延長線上にあるんでしょう。

 

 

 活字や映像の仕事を通して、今までも、何かと誰かを引き合わせていたのかもしれないけれど、人と人をダイレクトに結びつけて新しいものを生む瞬間に立ち会う醍醐味って、全然手応えが違いますね。…多少なりとも自分が世の中に役立っているという実感というのかな、これを忘れない限り、自分は「無縁社会」とは無縁だと念じることにしました。

  

 


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