杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

スマイル50号 特選和牛静岡そだち特集

2014-01-27 09:16:56 | 農業

 今年年頭の記事でも紹介しましたが、昨年末、JA静岡経済連の情報誌『スマイル』50号がImg070
発行され、全編、特選和牛静岡そだちを特集しました。

 

  あらためて、「特選和牛静岡そだち」を紹介すると―

 

◇素牛(子牛)は黒毛和種の雌牛。きめ細やかで柔らかく、サシが入りやすい。

 

◇飼料は以下をバランスよく与える。

 ○配合飼料・・・大麦(牛を成長させる)、トウモロコシ(肉に甘みを与える)、オリジナル飼料クイーンビーフ(企業秘密)

 ○粗飼料・・・牧草チモシー(ビタミン豊富で高カロリー)、良質の稲藁

 

◇飼育では牛にストレスを与えず、換気や衛生管理に万全を施した環境で、同じ肥育マニュアルと飼料給与を遵守。

 

◇以上を守って生産した牛肉のうち、肉質等級3等以上で、JA静岡経済連の肉質認定員が認めたもの。

 

この条件をクリアするのはかなりのハードルだそうですが、今のところ、県下で認定農場28戸で2238頭、委託農場11戸1728頭が飼育されています。こちらの農場リストを参照してください。

  この静岡そだちの美味しさを、私がインタビューした廣澤直也さん(レストランプロデューサー)が的確に解説してくれました。

 

 

 初めて「静岡そだち」を食べたときのことは忘れられません。全国津々浦々、さまざまなご当地牛肉を食してきた自分にとっても、ビックリするような美味しさでした。香りと旨味があり、加熱した際の融点が低いので短時間で脂分がとろけてくる。脂も上質ですから、胃にもたれず、箸が進みます。

 

 

「本当の肉の美味さは、鼻で味わう」というのが私の信条です。静岡そだちは、とくに、口から鼻に抜ける上品な香りが素晴らしい。「この肉なら、あれこれ小細工せずシンプルに、肉の味そのものを堪能できる食べ方がいいだろう」と直感できました。

 

静岡の焼肉店では、タレ焼きが主流のようです。対抗して新たなタレを創作したとしても、地元の人々が慣れ親しんだ老舗焼肉店のタレにはかないませんし、静岡そだちの肉質を味わうには、タレよりもむしろ、塩やワサビのほうが合う。幸い、静岡はワサビの特産地。必要量をすぐに調達できるというのは他県にない静岡の強み。これを活かさない手はありません。<スマイル50号特選和牛静岡そだち特集P5より抜粋>

 

 

 

 今回の特集で全面的に紹介したJA静岡経済連直営店『駿府の肉処静岡そだち』では、静岡そだちをまるごと1頭仕入れるので、シャトーブリアン、ハネシタ、ミスジ、トモ三角などなかなか口にできない希少部位にもお目にかかれます。

 

 ・・・といっても、焼肉店にめったにいく機会のなかった私には、「サーロインってどこの部位?」ってな素人質問しか出来なかったため、経済連のほうで次のようなシートを作ってくれました。

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 駿府の肉処静岡そだち、JAグループの総力を込め、食材や地酒もオール静岡産&お手ごろ価格で楽しめるため、昨年末は予約がとれないほど盛況でした。

 JA静岡駅から県庁へ向かう御幸町通り、江川町交差点角という、繁華街から少し離れた官公庁街で、土日のランチなら空いているかも、と、先週土曜日に友人とランチに行ったときも、表に目立つ看板がないのに満席状態。ランチメニューでは一番お高い3000円の特選焼肉ランチを頼んだ友人は「この内容なら安い安い」と大満足で、夜、家族で来たい!と喜んでいました。

 

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 私が頼んだのは1200円の焼肉Aランチ(写真)ですが、静岡そだちカルビ&モモもさることながら、静岡県産金豚王が甘く柔らかい絶品豚肉でした。野菜や果物も県産野菜オンリー。これでドリンク付きで1200円はかなりの値ごろ感がありました。

 

 

 

 

 さて、スマイル50号では巻末で静岡そだち500gが当たる読者プレゼントを実施中です。今週末1月31日(金)が締め切りですので、ふるってご応募くださいね!

 

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「増山たづ子 すべて写真になる日まで」を見て

2014-01-24 13:01:08 | アート・文化

 1月19日(日)、駿東郡長泉町にあるクレマチスの丘内のIZU PHOTO MUSEUM に行ってきました。クレマチスの丘は、以前、取材に行ったとき、ヴァンジ彫刻庭園美術館や井上靖文学館をじっくり見て感心しましたが、その後、2009年には写真専門のIZU PHOTO MUSEUM も新設され、複合文化施設としてますます充実しています。

 

 

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 IZU PHOTO MUSEUM では、昨年10月から「増山たづ子・すべて写真になる日まで」を今年3月2日まで開催中です。今回は染色画家の松井妙子先生が、懇意にされている写真家柴田秀夫さんから招待された「増山たづ子・すべてが写真になる日まで~トークイベント」に同行させていただきました。

 

 

 増山たづ子さん。名前だけは知っていましたが、作品を見るのは初めてです。増山さんはプロの写真家ではないので、「作品」という言い方は違うのかもしれませんが、大切なものを写真に撮って残すというカメラ本来の存在意義を、これほど強く実感した写真展は、初めてかもしれません。

 

 あらためて紹介すると、増山さんは、岐阜県徳山村で民宿を営んでいましたが、日本最大級のロックフィル式多目的ダム・徳山ダムの建設により、村は1987年に地図から消え、2008年のダム完成によって完全に水没。増山さんは、ダム計画が現実味を帯びてきた1977年、60歳のときに初めてのカメラ「ピッカリコニカ」を手にとって村を撮り歩き、87年に廃村となった後も村のすみずみまで撮影し、2006年に亡くなる直前まで消えゆく故郷を撮り続けました。

 

 

 前日、NHK土曜ドラマ『足尾から来た女』を見て、足尾銅山鉱毒事故を通し、100年前、国によって故郷を奪われた人々の痛みを知って、福島の現状に思いを寄せていたところ。徳山村も、ある意味、重なるところがあります。

 

 こういうテーマを取り上げると、一方に偏りがちになるおそれもあろうかと思いますが、増山さんの写真からは故郷を奪われた苦しみとか国への批判とか愚痴といったものは感じられません。70年代、中学~高校生だった私にとっては、写真の中にある制服姿の子どもたちや親や祖父母世代のたたずまいが、ただひたすら懐かしく、母の故郷である伊豆の田舎の光景が思い出され、温かい気持ちになりました。

そして、鑑賞後は、特別な村ではなく誰の記憶にもあるであろう故郷の姿が、水没という形で失われた、その哀しみが我がことのように押し寄せます。・・・偏りのない、純粋に故郷を撮って残したいと思った増山さんの写真の力なんだろうと感動しました。

 

 

 トークイベントで知りましたが、増山さんのご主人は第二次代戦中、ビルマ戦線で行方不明となったまま。70年代は横井庄一さんや小野田寛郎さんの帰還が相次いだため、「お父さんが帰って来たときのために、故郷の記録を残さなければ」という強いモチベーションがあったそうです。

 

 

 

 

 増山さんが遺したのは、10万カットにも及ぶネガと600冊のアルバム。誰に頼まれたわけでもなく、増山さんは自費で、年金のほとんどを写真代につぎこみました。被写体となった人々全員にプリントして渡しており、プリント代だけでも月に10万円は遣っていたそうです。

 現在、ネガやアルバムは、晩年の増山さんの活動を支えた野部博子さん(滋賀県立大非常勤講師・増山たづ子の遺志を継ぐ館代表)が保管管理しており、今回はその一部が展示されています。

 「写真を撮ったらプリントして相手に渡す。それが増山さんのコミュニケーション方法でした」と野部さん。デジカメのデータをメール送信するか、SNSにアップしてシェアして終わり、という昨今では想像できないアナログな方法ですが、そういう手間があってこそ、しっかりと記憶に残るんですね。

 

 

 この写真展を企画したIZU PHOTO MUSEUM のキュレーター小原真史さんは、小学生のとき、考古学者の父親に連れられて徳山村に滞在した経験があり、今回の展示写真を選ぶ際、自分の家のアルバムにあった写真とまったく同じ写真を見つけ、「増山さんからもらった写真だったのか」と驚いたそうです。いい展示会&トークイベントだなあと感じられたのは、キュレーター自身、それだけ深い思い入れがあったからだろうと思いました。

 

 

 60歳を過ぎてカメラを初めて手にしたおばあちゃんが、ストロボ内蔵コンパクトカメラの草分け的存在である「ピッカリコニカ」で撮った、日付入りのプリント写真。ホントに、どの家庭のアルバムにもある、ごくふつうの同時プリントサイズの写真。写っている村人の多くは、真正面から、もろ、カメラ目線で撮られ、そこにいわゆるプロ写真家のような作家性や造形性は存在しないのですが、松井先生と2人して、「素人がコンパクトカメラで撮ったとは思えないですねえ」とうなってしまいました。

 それほど被写体の表情が豊かで、風景を切り取った構図も素晴らしく、自分のホームグラウンドとはいえ、日常の変化をつぶさに観察し、違いを発見し、感動する天性の感覚をお持ちなのだと思いました。そして人々のあまりにも自然で純粋無垢な笑顔。・・・増山さんがいかに村人たちに信頼されていたかが伝わってきます。

 

 

 

 トークショーでは、野部さんをはじめ、増山さんを取材したNHKカメラマンや東海テレビの元ディレクターが、増山さんの思い出話に華を咲かせたのですが、印象に残ったのは、「プロの写真家に負けない3つの要素は、対象への観察力、知性、やさしさ」というコメント。

 

 

 振り返って、私自身、『吟醸王国しずおか』を撮るためには、本来、外部の人間をシャットアウトする酒蔵の内臓部分に踏み込んで、杜氏さんや蔵人さんの表情にどこまで迫れるかが一番の山場だと思っていました。カメラマンやパイロット版を見た酒友たちは「よくあそこまで撮れた」と言ってくれましたが、自分の中では消化不良なところがあります。

 20数年の酒蔵通いの間、カメラを向けていないときに時折見せてくれる杜氏さんや蔵人さんたちの表情は、もっと豊かで、喜怒哀楽の度合いも深い。増山さんの写真を見ていたら、相手との距離や時間の問題だけでなく、自分自身の観察力のなさ、つまりは、その“瞬間”をとらえる感性の鈍さを痛感させられました。自分にいくら酒の知識や、酒への愛情があろうと、冷静に、丁寧に観察する力がなければ、他者に何かを伝えることはできないのです。

 

 そんなこんなを、あらためて深く考えさせてくれた一日でした。

 

 

 『増山たづ子 すべて写真になる日まで』は、2014年3月2日(日)まで開催中です。こちらをご参照ください。

 

 


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活き生きネットワーク30周年記念イベントのご案内

2014-01-09 20:42:00 | NPO

 前回の記事でご紹介した中日新聞朝刊2014年1月5日付け。偉業を成したわけでも犯罪を犯したわけでもないのに一面トップに写真掲載という、一生に一度の椿事?を経験したのですが、今日(9日)になって、さらに驚くべき事実が判明しました。

 

 今日は、NPO法人活き生きネットワークが県雇用対策課&ハローワークと協働で開催中の『福祉職の魅力発見ツアー』静岡市編があり、同ツアーの運営をお手伝いしている私は、朝から丸一日、講座や施設見学ツアーの添乗員として働いていました。

 

 ちなみにこのツアー、福祉職のプロの体験話が聞けて、県下各地の介護福祉施設の現場視察ができて、アグリロード美和の地産地消手作り弁当つきで参加費無料! 福祉の仕事に興味のある人、入所を検討中の家族がいる人にはもってこいです。3月までにあと6回開催予定です。こちらをぜひ!

 

 

 朝、講座会場のアイセル21で、杉本彰子理事長から、「ねえねえ、この人、真弓ちゃんの友だち?」と見せられた新聞紙面が、中日新聞1月5日の35面(社会面)。喜久酔の青島孝さんの写真でした。「そうだけど、彰子さん、なんでその新聞を持ってるの?」と聞いたら、なんと、21面(生活面)に杉本彰子さん&活き生きネットワークの紹介記事がデカデカ。写真には、活き生きネットワークのデイサービス施設「喜楽庭(きらくてい)」の足湯で談笑する彰子さん&利用者さん&スタッフ。そして、私が遊び心で落書きした足湯の暖簾の絵が・・・!もう、ビックリなんてもんじゃありませんでした。

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 「実はこの新聞の一面に、ほら」と私が自分の写真を見せると、「今朝、この新聞が郵送されてきたんだよ。裏面から順に開いていったから気がつかなかった」と彰子さんもビックリ。「今年最初に一緒に仕事する日、偶然見た新聞に一緒に載ってたなんて、すごいよね~」と、2人して目をパチクリさせてしまいました。

 ・・・私、青島さんと自分が載ってるところしか読んでなくて、自分がお世話になっている人と自分の落書き絵が中面に載っていたなんて、夢にも思わなかったのです(苦笑)。

 

 

 

 

 「携えた手 大きな輪に」の見出しで書かれた記事は、今年30周年を迎える活き生きネットワークを立ち上げた杉本彰子理事長と望月洋子専務が、30年前、シングルマザー同士、苦労を分かち合いながら、自分たちと同じように困った人たちを見過ごせないという思いで、助け合い活動を始めた経緯が丁寧に紹介されていました。

 

 

 35面の青島孝さんを紹介した記事も、彼が、家業を継がずにニューヨークへ渡り、ふたたび家業へ戻る決意をし、河村傳兵衛先生に師事して静岡酵母の酒を究めようとする経緯を、淡々とした文体ながら、非常にこまやかで丁寧につづっていました。

 私が個人的に信頼し、尊敬し、心を寄せる2人のことが、同じ新聞に、このようなかたちで紹介されていたことに、同じモノ書きとして多少の嫉妬心も抱きつつ、さすが百戦錬磨の新聞記者、短期間の取材でも見事な筆力だと感心させられます。

 

 

 

 さて、活き生きネットワークでは、設立30周年記念として、聴覚障害のピアニスト・宮本まどかさんのピアノコンサート&福祉交流フェスティバルを2月23日(日)に開催予定です。

 

 現在、30周年記念誌の編集を、活き生きネットワークの広報物を長年一緒に制作しているデザイナーのオフィス・トイボックスさんと、大車輪で仕上げているところ。2月23日のイベント当日は、不肖私が式典&コンサートの司会進行役も務めさせていただきます。

 

 

 バザーで使える金券付きチケット(大人2000円)を絶賛発売中です。私のほうでも取り扱っていますので、お時間のあるかたはぜひ!

 

 

 

活き生きネットワーク発足30周年・NPO法人認証15周年記念イベント

聴こえないピアニスト宮本まどか トーク&ピアノコンサート

<同時開催 福祉交流フェスティバル&バザー>

 

◇日時 2014年2月23日(日) 12時30分開場、13時開演

 

◇場所 静岡県男女共同参画センターあざれあ 6階大ホール

 

◇料金 大人2000円 子ども(小学生以下)1000円 *バザー会場で使える500円チケット込み

 

◇問合 活き生きネットワーク事務局 電話054-209-0700

 

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新年の誓い

2014-01-05 20:55:21 | 地酒

 新年も5日が過ぎてしまいました。遅ればせながら、2014年あけましておめでとうございます。

 

 

 

 年末年始は昨年同様、バイト先のお寺で掃除三昧で、休みは1日・2日だけ。今日5日でハードな2週間がようやく終わり、ヘトヘトに疲れ果て、今日はまっすぐ帰宅し、新大河ドラマ『軍師官兵衛』を見ながらビールとコンビニ弁当の味気ない夕食を終えました(官兵衛の子役の子、可愛かった! NHKはホント、いい子役を見つけますねえ)。

 

 

 ブログの更新を怠っていた合間に、いくつかお仕事がフィニッシュしました。とりあえずはそのご紹介から。

 

 

 

 

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 こちらはバイト先のお寺から依頼された記事を掲載した、臨済宗妙心寺派静岡東教区の会報『好日』。2013年12月1日発行です。

 掲載した記事は、昨年5月に取材した駿河十二薬師巡礼のレポ。こちらのブログ記事を再編集したものです。

 

 

 私の記事はさておき、『好日』には清見寺一條老大師の深いお話、静岡市井宮出身の大応国師や沼津市原出身の白隠禅師など、禅宗にこの人ありといわれた静岡県出身の名僧の伝記等が紹介されています。臨済宗妙心寺派のお寺(身近なところでは静岡駅前のサールナート宝泰寺)で無料配布していますので、ぜひお手にお取りください。私の手元にもストックがありますのでご希望の方にはお送りします!

 

 

 

 

 

 

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 昨年末には、JA静岡経済連の情報誌『スマイル』50号が発行されました。今回は特選和牛静岡そだちの特集。静岡駅前・江川町交差点のセブンイレブン上にオープンした経済連直営店【駿河の肉処静岡そだち】を大々的にフューチャーしました。

 

 

 私はこの店に取材で2回、家族で1回行きましたが、「ミスジ」「ハネシタ」「とも三角」「カイノミ」等など聞き慣れない希少部位に出会い、肉料理の奥深さをしみじみ感じました。

 

 

 表紙の写真は肩甲骨の内側にある「ミスジ」。派手な霜降りですが意外にサッパリしていて、塩かワサビでさらっと食べるのがgood! たまにしか入手しないみたいですが、運よく出会えたら逃さず味見してみてください。

 

 

 『スマイル』は県内主要JA、ファーマーズマーケット等で無料配布中です。こちらも私の手元にストックがありますので、ご希望の方はご一報ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして今日1月5日(日)付け中日新聞朝刊。なんと1面トップに私が飲んでる写真がデカデカ載ってしまいました(焦)。天下の新聞メディアの1面が、年齢(51)ってしっかりクレジットされてる年増の呑ん兵衛がニタニタ飲んでる写真でいいんだろうかと心配になりました(苦笑)が、中日新聞では世界無形文化遺産に和食が登録されたことを記念し、1月3日から“地産地食うまし国しずおか”という特集を1面で掲載中。3日は浜名湖の養殖カキ、4日は特選和牛静岡そだち、そして5日は静岡酵母の酒を紹介しています。

 

 

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 昨年11月末、中日新聞報道部記者の木原育子さんから突然メールをいただき、企画の趣旨をうかがい、静岡の酒について一からレクチャーすることに。岡部町の地酒バー・イーハトーヴォに案内し、限られた時間の中でも可能なかぎり、静岡吟醸の真髄に触れてもらおうと、イーハトーヴォの後藤さんと一緒に懇切丁寧にお話しました。そして何種類か試飲してもらい、制作中の映画『吟醸王国しずおか』パイロット版を見てもらい、私が過去に書いた記事を参考資料にお渡ししました。

 

 

 現場取材先については、いくつか候補を上げ、「仕込み時期の取材は思い通りにいかないかもしれないが、静岡酵母の記事を書くなら、なんといっても現場で酵母と対峙する蔵元と、静岡酵母生みの親の河村傳兵衛さんは外せない。蔵元は河村さんの愛弟子である喜久醉の青島孝さんがベスト」とプレッシャーをかけ、木原さんは何度かトライをして取材に成功。こちらが推したポイントをしっかりとらえ、なおかつ選び抜いた言葉と短い文節の合間から、彼女が何を感じたがしっかり伝わる素敵な記事に仕上げてくれました。

 

 

 

 

 私は“黒子の船頭”に徹するつもりでしたが、「一般の人が和やかに飲んでいる画が欲しい」といわれ、たまたま直近で予定していたニュービジネス協議会茶道研究会の茶懐石忘年会に、急遽、しずおか地酒研究会のメンバーを加え、茶懐石の店『御所丸』で撮影してもらいました。茶懐石については、こちらのブログで詳しく報告しています。

 

 

 

 

 

 新聞のよくあるお正月特集の賑やかし程度だと思って撮ってもらった写真が、まさか本紙の1面トップに載るとは、今朝、バイトに行く前にコンビニに立ち寄って手にした瞬間、(昨年の流行語ですが)じぇじぇ!と叫びそうになりました。コンビニの店員さんに顔を見られたときも、アホみたいに緊張してしまい(苦笑)、ホントはありったけの部数を買えばよかったのを、1部しか買わずにそそくさと出てきてしまいました。お寺の奥さんが、お寺の事務室にあるコピー機でA3カラーコピーをたくさんしてくれましたので、中日新聞を買いそびれた方はご一報ください(笑)。

 

 

 

 

 

 

 新聞掲載は自分の仕事ではなく、むしろ、貧乏ライターが自分の取材ストックをマスコミに無償提供したかたちで、掃除のバイトをしながら、「自分は何をやってんだろう・・・」と虚しくなったりもしましたが、木原さんの記事を何度も読み返しているうちに、20年前に熱くなっていた頃の思いがよみがえり、「当時も、何の見返りもないのに私を導いてくれた人がたくさんいた。今度は自分が次なる世代の取材者たちに何かをバトンタッチする番なのだ」と深く感じ入りました。

 

 

 木原さんにはいろんな思いを聞いてもらいましたが、彼女が記事の最後に選んでくれた私の言葉は「酒は鏡」でした。技と心を映し出す鏡。青島さんにとって静岡酵母の酒が鏡であるならば、私にとっての鏡は、やはり「書いて伝えるもの」。

 

 

 午年の一年、この言葉を自らに課し、奮い立たせ、努力してまいります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

コメント (1)
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