杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

京都の19時間(その3)~老舗発掘

2012-07-03 11:01:48 | 仏教

 日吉茶園を後にして、京阪坂本駅から浜大津を経由して京阪三条へ。雨が降りそうだったので、河原町三条から三条通り→寺町とアーケード通りをブラブラし、久しぶりに老舗喫茶店スマートへ。土日や観光シーズンは行列待ちの人気喫茶店ですが、この日は運よく待たずに入れて、定番人気のホットケーキ&コーヒーで軽めのお昼を済ませました。

 

 

 

 

 

 

 

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 三条界隈のウィンドウショッピングを楽しんだ後、前日からの着た切りスズメをなんとかしたいとネットで銭湯を調べ、御池通りからバスを乗り継いで船岡山鞍馬口にある老舗銭湯『船岡温泉』へ。

 元は老舗旅館だったレトロな建物だそうで、国有形文化財の看板が・・・。何でも銭湯ファンの間では“日本最強”といわれているとか。浴室はタイル張りでフツーの入浴場でしたが、脱衣場の雰囲気は絵に描いたようなレトロ銭湯。欄間のすかし彫りなんか、伝統旅館の風情そのものでした。

 

 

 

 

 15時の開場直後に入ったのですが、ご近所さんたちですぐに一杯になり、私を一見観光客と見て「ねえちゃん、ここ、ええやろう?」「こっちの洗面器のほうが使いやすいよ」と気安く声をかけてくれました。テレビでもさかんに紹介される有名銭湯のようですが、ご近所さんにしっかり愛され、誇りに思われているって好ましいですね。

 

 

 

 

 船岡温泉のある鞍馬口通りは昔ながらの地域の商店街。自販機で麦茶を買って飲みながら適当にブラブラ歩いたら、なんと、夜に坐禅にお邪魔する堀川通り沿いの興聖寺さんのすぐ近くへ出てきました。堀川通りは何度も来ているのに、通り1本入るとまったく知らない町。・・・なんだかとっても新鮮な発見でした。

 

 

 

 

 坐禅の時間まで少し間があるので、堀川通りを走る京都駅行きのバスに乗って、駅で少し買い物をしてコインロッカーに預け、ふたたび堀川通り沿いの興聖寺へ。

 

 

 ご住職が「3・11震災以降、坐禅に来る人が増えたんや」とおっしゃっていたとおり、この日も20代から40代ぐらいの男女5人が参禅していました。私は前回この寺にご案内した高麗美術館の片山真理子さんと待ち合わせ。久しぶりだったので裏覚えだった手順も、坐禅慣れしている片山さんのおかげで無事にクリアできました。

 

 

 前夜の夜行バス移動や比叡山の山歩きで足腰がひどく疲れていたのですが、読経し、坐禅を約30分×2回、経行(きんひん=御堂の周囲を歩く)を挟んでもう30分、計2時間のお勤めが終わったら、なんだか全身が軽くなり、下半身の痛みがウソのようになくなりました。坐禅の効能は、おもに精神面にあると思っていましたが、今回は、身体のバランス調整にも効き目があるとまざまざ実感できました。

 

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 ちなみにフェイスブックに参禅の報告と、4年前に集中坐禅したときのこの写真を紹介したら、思いがけなくいろいろな人から反響がありました。変わり者だと思われるかなあと思ったけど、好意的に見てくれる人が多くてなんだかホッとしました(苦笑)。

 

 

 

 

 

 帰りの夜行バスまで時間があったので、片山さんに、上賀茂橋近くのきらきらひかる』というお店へ誘っていただき、ギリギリまでおつきあいいただきました。アート関係者や音楽家が集うような素敵なお店。お昼は定食、夜は和風の酒肴中心で、日本酒メニューに富士宮の『高砂』を見つけ、つい頼んでしまいました。京都の、しかも地酒を看板にしていない隠れ家的な店で、故郷の酒に出会うって理屈なしに嬉しいものですね。

 

 

 

 19時間の滞在でしたが、今回も素敵な発見の連続でした。京都の魅力は、自分の目線の方向や置き方によって、いかようにも発掘できるんですね。故郷静岡もそんな町になってほしいと思うし、それなりの素材はあるはずなんだけど、何かが大きく足りないんですよねえ・・・。


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