私の唯一の息抜きと言ってよい映画鑑賞。春はアカデミー賞ノミネート関連の作品がたくさん公開されるので、毎年集中的に映画館通いをします。今年は父の四十九日が終わった1月下旬から、週1~2本を目安に通い始めましたが、今のところ大きなハズレのない良作選びが続いています。とくに女性の描き方が素晴らしい作品が多く、爽快な気分で映画館を出られました。備忘録のつもりでリストアップしておきます。
★ジオストーム 今年最初に観た映画。地球滅亡の危機が、気候を制御するAIの暴走によってもたらされるというプロットは斬新でした。主人公の恋人の女性SPがやたらカッコよくて、日本語吹替版のブルゾンちえみもすごくよかった。ブルゾンさん、いい声ですね。朗読とかナレーションやったらどうかな。
★ブラックパンサー アメコミにしては深淵なストーリー。中心人物がほぼ全員アフリカ系で、国王のボディガードが全員女性ってまさに時代の反映ですね。しかも彼女たちがやたらカッコいい!個人的には「ホビット」のビルボ役マーティン・フリーマンとゴラム役アンディ・サーキスの対決再現がツボでした。
★スリービルボード 娘を殺された母親の絶対泣き寝入りしない男前っぷりにあっぱれ。個人的にはアカデミー作品賞。犯人の謎を最後まで引っ張るって私の好きなサスペンス「殺人の追憶」みたいでゾクゾクしますが、母親と警官が最後に交わすセリフには「殺人の追憶」を超えた人間ドラマがありました!
★羊の木 ちょっと残念だった作品。女性の描き方も残念。プロットはすごく面白いので、ブラックコメディにしたほうがよかったんじゃないかな。
★コンディデンシャル―共助 北朝鮮のイケメン刑事と韓国の熱血刑事が協働で、偽札造りの犯罪組織を追うという骨太エンターテイメント。対立構造の中にも存在する共感覚というプロットを素直に楽しめました。北の刑事をイケメンにしたのは北への忖度だろうか…笑?
★嘘八百 堺を舞台に、千利休ゆかりの茶碗の贋作で一儲けしようという詐欺師と骨董屋の怪しい世界をコミカルに描いた作品。白隠研究でおなじみ芳澤勝弘先生の名訳著『欠伸稿』が思わぬ形で登場して嬉しい限り!
★デトロイト アメリカの黒歴史に斬り込むキャスリン・ビグロー監督の容赦ない実話再現力に惚れ惚れ。女性フィルムメーカーの星ですね!スターウォーズ新シリーズのジョン・ボイエガが演技派だと知って得した気分でした。
★シェイプ・オブ・ウォーター こちらもヒロインの逞しさに惚れ惚れ。ダイバーシティの寓話化というのかな、今観るべき価値のある作品でした。
★グレイテスト・ショーマン アカデミー賞授賞式での歌姫キアラ・セトルの「This is me」を聴いて映画館へ直行。
★ナチュラルウーマン アカデミー外国映画賞。ホンモノのトランスジェンダー歌手が演じるトランスジェンダー歌手の役。これも今観るべき価値ある作品。
★15時17分、パリ行き 実際に起きた列車内テロを身を挺して防いだ一般市民を、当事者本人に演じさせるという今まで見たことのない映画。しかも事件前の平凡な日常を丁寧に描く。87歳でこういう挑戦ができるイーストウッド監督に惚れ惚れ。
★ペンタゴン・ペーパーズ~最高機密文書 情報公開法や公文書管理法に対する注目が高まる今、必見の作品。ワシントンポスト社の女性オーナーや編集長が、自身の地位(ポスト)と向き合う人間ドラマでもあるわけで、原題の「The Post」のほうがしっくりきますよね。「大統領の陰謀」や「ニクソン」を続けて観たくなります。WOWOWで放送するときはぜひお願いしたい。
★リメンバー・ミー 時間つぶしに観たアニメでしたが意外に深かった!メキシコの死者の日=日本のお盆のような民俗信仰をこんなに楽しくて感動的なエンターテイメントに仕上げるなんてさすがディズニー。アニメで「死」や「魂」を描くときの日本(たとえば「君の名は」)とハリウッドの違いが改めて分かりました。とにかく家族写真は大切にしなきゃ。
★しあわせの絵の具 モード・ルイスの絵はどこかで見たことがあると思いますが、こういう背景を持った人だと知ってより一層親しみを覚えました。モードを演じたサリー・ホーキンスはシェイプ・オブ・ウォーターでアカデミー主演女優賞にノミネートされましたが、こちらの方がスゴイ。彼女のハンディキャップ演技は演技とは思えません。
★ウィンストン・チャーチル ゲイリー・オールドマンは私のお気に入りスパイ映画「裏切りのサーカス」でのアカデミーノミネーション演技に痺れてましたから、本作での受賞は当然という感じ。チャーチルの人となり(朝昼晩酒を欠かさないとか)をよく知らなかったので純粋に勉強になりました。こちらも「英国王のスピーチ」や「ダンケルク」を前後に観たくなる。WOWOWさんお願いします。
★素敵なダイナマイトスキャンダル 一世風靡した風俗雑誌の名編集長の自叙伝。ラジオでご本人が映画の紹介をするのを聴いて映画館へ直行。幼い頃、実母が愛人と駆け落ち&ダイナマイト爆発心中したというトラウマが効果的にインサートされて、主人公の人となりがしっくり伝わってきました。実母役の尾野真千子さん、NHKで「カーネーション」の再放送が始まりましたが、今の日本の女優さんでピカイチだと思います。
★クソ野郎と美しき世界 元SMAPの3人は、昔から素晴らしい演技派だと思ってた3人でしたが、本作はなんといっても園子温、太田光、山内ケンジという監督名に惹かれました。とくに山内さんは静岡県民におなじみ「コンコルド」のCMディレクターで、古館寛治さんも本作にしっかり登場されて安心?しました(笑)。オムニバスじゃなくて3人がちゃんと出演するオーシャンズ11みたいな作品が観たいな。