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あずまんが大王の功績

2009-10-26 20:46:59 | Diary_7
「あずまんが大王」の10周年を記念した特別本、「大阪万博」を購入。
1巻が出た当時は「面白い4コママンガ」ぐらいの印象しかなかったけど、
その後、同系統のマンガが大隆盛しているのを考えると、画期的な作品だったんだなぁと気づかされる。

ところで「あずまんが大王」は、いわゆる「萌え4コマ」のハシリとして評価されているけど、
俺は評価のポイントが違うと思うんだよね。

可愛らしい女の子が出てくる4コマって、この作品以前にも例えば
ももせたまみの「ももいろシスターズ」や、竹田エリの「私立T女子学園」なんかがあるし。
主に「4コママンガ劇場」で描いていた、幸宮チノや新山たかしの作品だって「萌え4コマ」と言えると思う。

俺はむしろ「あずまんが大王」がその後に与えた影響っていうのは
「萌えの去勢化」なんじゃないかと思うわけですよ。

あずまんが大王は、これまで「萌え」とセットに扱われてきた「エロス」「性」「愛」といった要素を作品から排除した。
なぜならそのような要素は「自分の下半身」=「現実」と繋がるから。

そういう「現実」を排除することによって、作品世界と現実とが完全に切り離される。
その結果出来上がった「日常っぽい非現実世界=ユートピア」をただ外から愛でる。
それによって混じりっけなし、純度100%の「萌え」を作り出すことに成功したのではないか。

「別に愛でるだけでも楽しくね?」って事を始めて提唱したのが「あずまんが大王」だと思うわけだ。

「萌え」の純粋化と言いましょうか。
あずまんが大王を読んで、「大阪って可愛いよね」って感想を抱く人はいても、
「大阪を彼女にしたい」「大阪とセックスしたい」と思う人はいないみたいな感じ。

「エロス的萌えからアガペー的萌えへ」。
これが「萌えの去勢化」であり、この潮流を作ったことこそ「あずまんが大王」の大きな功績だと思う。

蛇足だがタイムリーなネタとして、吾妻ひでおがアニメ「けいおん!」に対して、
>ギャグもナンセンスもユーモアもエログロもストーリーらしきものも何もない。
>ちょっとしたフェティシズムがあるだけ。
>このアニメ作ってる人も見てる人々もそんなに現実イヤなのか?
(アルファルファモザイク)

と書いている。この文章に出てくる「そんなに現実イヤなのか?」の部分。
吾妻ひでおは批判的みたいだけど、
「けいおん!」における「非現実世界の日常(を楽しむ)」という考え方はまさに
「あずまんが大王」から始まったのではないか。

今回の「大阪万博」では篠房六郎が
「実録あずまんが大王」というトリビュートマンガを描いている。
あずまんが大王の日常描写を「あずまんがごっこ」と称して、現実世界で再現しようとする内容。
「現実の日常」と「あっち側の日常」の違いが風刺的に描かれて実に面白かった。

まぁ、いろいろ長々と書いたけど、「実録あずまんが大王」の最後のページに
あずまんが大王の偉大さが全てまとまっていた。

すなわち「あずまんが大王は面白い」。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-08-30 00:48:24
かなり昔の記事だと思うのですが、すごく共感したのでコメントさせて頂きます。あずまんが大王の功績をどうにか他人に話したいけど、どう伝えて良いか考えていたときに見つけた記事でした。なるほど、萌えの去勢化ですね。女子が出てくるアニメ=エロと結びつけてしまっていた昔の概念から、女の子が出てくる日常(限りなく非日常に近い)アニメと総称される根幹にあるのがあずまんが大王なんだと、そういう理解が深まりました。苺ましまろの2期が楽しみです。ありがとうございました。
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