旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

庇を貸して母屋を取られる…の記

2023-07-01 | その他
太平洋戦争が終わって何年後だったのか知らないが、まだ生活が安定していなかった時代、妻の両親が二階建て住宅の角地に面した一、二階の部屋を契約書も交わさずに貸してしまった。借りた住人は懇意にしている工務店に頼み、母屋との板壁一枚を挟んで、下の写真(ずっと後の2020年秋に撮ったものである)のように、本来ならば溝に使う土地にまで迫り出して二階建ての一軒家のように作り変えてしまった。この時に抗議して原状回復してもらっていればよかったのに両親はなぜか黙認してしまった。このことにより長年迷惑を被ることになってしまった。


角地の奥へは駐車場や住宅などがあるので普通の路地部分よりはやや広い道路が通っている。母屋の前面道路は一方通行ながら車には主要道路への近道、中学生には通学路として利用され、もちろん一般の人たちも多く行き来する生活道路である。かように結構交通量がある道路に面している角地なのである。
前面道路にある玄関前に下の2枚の写真のような樹木を植えたので、長年の間に繁茂して道路が狭くなるほどになってしまった。角地から出て来る車と前の道路を行く車が衝突したり、行き交う人たちが車と接触する恐れが大いにあって近隣の人たちや町内会の人たちから危険性を指摘されて、妻は何度も借り主に樹を切っていただくようにお願いしたのにまったく同意してもらえなかった。


一方通行の下りの坂道を右に少しカーブした時に運転席からこの邪魔な樹が突然視界に入り、その先、左側の道から車や人がいきなり出て来るのだから、危険で迷惑この上ない代物である。早くに手を打たないと後々に大変な事態を引き起こすことになる。


困り果てた妻は弁護士さんを煩わせ、家賃を受け取らない代わりに居住者が亡くなったらこの二階建てを明け渡してもらう契約書を作って、署名、押印してもらった。樹を切ってくれない事に業を煮やした近隣の人たちが2020年の秋にこの迷惑な樹を切ってくれた。この時の写真が下の写真である。ずいぶんすっきりとして危険性が無くなり多くの人から感謝された。
 

居住者が亡くなって、2022年夏に明け渡してもらい、解体、更地になった様子が下の写真である。板壁一枚で隣接していた部分がブルーシートで覆われて哀れをとどめている。


2022年12月、改修工事を終えてホッとした。貸し部屋のような物でも一度貸してしまうとこんな事態になるという庇を貸して母屋を取られた顛末である。
物件が明け渡されたことも、母屋が立派に修復されたことも知らずにこの世を去った妻にこの一文を捧げたい。
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