フィリピン・ミンドロ島の高湿度の気候のもと、20年近く経過した原稿なので、大変読みづらい画像で恐縮である。原稿の下線で強調した部分に注目していただきたい。
Papilio chikae mohagani ssp. nov. とはPapilio chikae (和名 ルソンカラスアゲハ)というアゲハチョウの新しく見つかった(記載された)亜種、すなわち新亜種の学名を表していて、mohaganiとはMOHAGANという名前の男性に捧げられたことを示している。 その下には本論文の著者であるJUSTIN NUYDAの名前がある。
原稿、中ほどからやや上の下線部には本亜種がミンドロ島ハルコン山から発見されたと記述されている。後ろの方の下線部分以下数行はホロタイプ(記載時に標準とした唯一の標本を指し、完模式標本と呼ばれる)を♀として、Noel Mohagan が1992年5月7日に採集したと書かれている。このNoel Mohagan こそ初の採集者として亜種名にその名を残すはずだった人物である。
ところが、実際に記載論文として印刷物(日本蝶類学会)に掲載されたのはずいぶん違う内容になっていた。下の画像がそうである。著者 JUSTIN S. NUYDA は JUSTIN NUYDA と同一人物である。 しかしミンドロ島の P. chikae(ミンドロカラスアゲハ)はルソンカラスアゲハの亜種ではなく、独立の別種、すなわち新種として記載されて、学名はPapilio hermeli となっている。 mohagani の名前はまったく消えてしまっている。hermeli とはHERMELなる男性に捧げられた種名であり、故 Atty Hermel A. Nuyda氏に因んだ種名である。彼は著者の父でフィリピンの蝶採集のパイオニアとしてその名を知られている。
そして幻となった原稿では♂は未知となっていたが、パラタイプ(ホロタイプを補完する標本として副模式標本といわれる)として挙げられている。♂の標本が存在する場合、普通は♂をホロタイプとしてその交尾器図を添える(♀よりも♂の交尾器に種間の違いがあらわれやすいので)のだが、その方法を避けている。その理由については別に述べる機会があるかも知れない。
いずれにしても、幻になった原稿を僕に示しながら説明していたNoel Mohagan氏のくやしそうな顔を忘れることが出来ない。
Papilio chikae mohagani ssp. nov. とはPapilio chikae (和名 ルソンカラスアゲハ)というアゲハチョウの新しく見つかった(記載された)亜種、すなわち新亜種の学名を表していて、mohaganiとはMOHAGANという名前の男性に捧げられたことを示している。 その下には本論文の著者であるJUSTIN NUYDAの名前がある。
原稿、中ほどからやや上の下線部には本亜種がミンドロ島ハルコン山から発見されたと記述されている。後ろの方の下線部分以下数行はホロタイプ(記載時に標準とした唯一の標本を指し、完模式標本と呼ばれる)を♀として、Noel Mohagan が1992年5月7日に採集したと書かれている。このNoel Mohagan こそ初の採集者として亜種名にその名を残すはずだった人物である。
ところが、実際に記載論文として印刷物(日本蝶類学会)に掲載されたのはずいぶん違う内容になっていた。下の画像がそうである。著者 JUSTIN S. NUYDA は JUSTIN NUYDA と同一人物である。 しかしミンドロ島の P. chikae(ミンドロカラスアゲハ)はルソンカラスアゲハの亜種ではなく、独立の別種、すなわち新種として記載されて、学名はPapilio hermeli となっている。 mohagani の名前はまったく消えてしまっている。hermeli とはHERMELなる男性に捧げられた種名であり、故 Atty Hermel A. Nuyda氏に因んだ種名である。彼は著者の父でフィリピンの蝶採集のパイオニアとしてその名を知られている。
そして幻となった原稿では♂は未知となっていたが、パラタイプ(ホロタイプを補完する標本として副模式標本といわれる)として挙げられている。♂の標本が存在する場合、普通は♂をホロタイプとしてその交尾器図を添える(♀よりも♂の交尾器に種間の違いがあらわれやすいので)のだが、その方法を避けている。その理由については別に述べる機会があるかも知れない。
いずれにしても、幻になった原稿を僕に示しながら説明していたNoel Mohagan氏のくやしそうな顔を忘れることが出来ない。