旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

太平洋戦争終結数ヵ月後、元日本兵に採集された南国の蝶

2021-09-01 | 
知人の医師に「蝶のことが載ってるよ」と「いずみ 2000 JAN.」なる会報名と出版年月と思われる文字が刷られた数ページの部分をいただいた。医師たちの会報と思われる印刷物の「蝶」の部分だけを外したものなので元の出版物はよくわからない。「蝶の標本にまつわる想い」がタイトルで、著者はS医大名誉教授のO先生である。先生のお名前は日本鱗翅学会の会誌上でよく見かけていた有名な方なのでさっそく拝読させていただいた。下に掲げた「兵士が採られた南国の蝶」の写真が目に止まった。


1945年12月25日採集とあるから、戦後インドネシアのハルマヘラ島の捕虜収容所に抑留されていた時に採られた標本であろう。捕虫網などある訳はないから、収容所内にたまたま飛んできたシジミチョウが止まったところを手で、あるいは何かをかぶせて採った蝶を大切に日本に持ち帰り標本に仕上げた蝶好きの兵隊さんの執念には感心させられる。O先生は「手製の網を振り回して採られたものであろう」と推察されておられるが、それなら収容所内で捕虜はかなりゆるやかな待遇を受けていたのに違いない。戦犯収容所はハルマヘラ島の北方のモロタイ島にあったとのことだから、この兵隊さんは戦犯の容疑がかからなかったので、比較的自由にさせてもらっていたのかも知れない。参考のために下にハルマヘラ島周辺の地図を掲げた。
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