大人が蝶の標本を集めている・・・いわゆる蝶コレクターや蝶マニアは変人扱いされて、たまに小説や舞台、映画、TVドラマに恰好のストーリーを提供していることは既に何度かこのブログで紹介してきた。9月初旬にテレビで放映された東野圭吾ミステリーズ「結婚報告」ではご丁寧にも二人の蝶マニアが登場している。
目下失業中の飯田智美(広末涼子)に短大時代の級友山下典子から妙な結婚報告の手紙が届いたのがミステリーの幕開けになった。妙な・・・というのは同封されていた主人とのツーショットの写真の女性は典子ではなかったのだ。妙なとは言えないが下に掲げるように蝶収集を理解不能の趣味だと述べている。これを読んだ智美の反応は「きもっ」。やはり世間の人にはなかなか受け入れてもらえないようだ(-_-;)
興味を抱いた智美はフリーの身をいいことに典子を訪ねる。あいにく山下宅は留守だったので、ドアの隙間に連絡を取ってもらうのにケータイの番号が入った名刺を差し込んで、近所の不動産屋に入って山下家のことを聞く。ちょうど仲介した業者だったので、主人・山下昌章の会社や電話番号を教えてもらえた。昔ならともかく現実には個人情報保護云々で簡単には教えてもらえる筈はないと思うのだが? 不動産屋の「山下さんにあったら、玄関の錠の取り換えはいつがいいか連絡するように伝えて下さい」との言付けが重要な意味を含んでいたのが後になってわかる。
智美は昌章に電話して妻の典子について尋ねると、旅行中だとの答えだったが、智美は何かを隠していると感じた。その夜、智美のケータイにSMSで昌章と思われる人物から呼び出しのメッセージが入った。夜、小高い場所にある小田原城の石垣を見下ろす場所だ。普通こんな所で夜、初対面の人物と待ち合わせするなんて考えられないが、まあ、目をつぶっておこう。案の定、何者かに後ろから突き落とされるが、運よく木の枝にぶら下がって命拾いをする。犯人は昌章だと思い込んだ智美の言葉に警察は彼を呼んで事情を聴く。
一方、智美は留守録に残された典子の元気な声を聞いて安堵する。夫・昌章の不可解な言動から典子は殺されているのではないかと思っていたからだ。夫婦間のもめごとで一時家出をして帰って来た典子と駅で会った智美は、写真の女性は元の彼女で、典子の受け取った手紙は書いたが、投かんしていないことを知らされる。
アリバイが証明された昌章と一緒に山下宅を訪れた智美は壁にずらりとかけられた蝶の標本箱を見て息を飲む。たいがいのマニアは標本箱を整理箪笥に収めているので(蝶の色彩は長時間光を浴び続けると褪色する)、このように飾り付けることはあまり考えられない。
蝶の標本に囲まれたリビングで話し合っている三人。
写真の女性は堀内昭代といい、何度も電話をかけてきたり、雨の日に家まで押し掛けて来たことがあって、その時典子は昭代を家に置いて、昌章を駅まで迎えに行って帰って来ると彼女の姿が消えていたという。昌章は彼女との連絡用にケータイを渡していたのが発覚したので、智美は自分を突き落としたのは彼女ではないかと疑い始める。このシーンの会話で典子の言葉「標本はこんなにきっちり整理出来るのに、女関係の整理はいい加減なの!」、たしかに蝶の標本は整理しておいてこそ価値があり、本来の美しさを発揮出来るのだが、女関係を引き合いに出されてはたまらない。
智美は宿泊先のホテルに帰りながら、なぜ昭代が自分を殺そうとしたのかなどと思いを巡らせていて、うっかり赤信号を見落として車にはねられかけた。その瞬間彼女を救ったのは山下夫婦のアパートの隣家に住む桜井(平岳大)という小学校の教師だった。実は智美が最初に山下宅を訪れて留守だった時、彼と顔を合わせていて山下家のことを尋ねたことがあった。だから桜井は智美が山下宅のドアの隙間にはさんで帰った名刺で智美のケータイの電話番号を知ることが出来たはずだったが、その時智美はそこまで考えが及ばなかった。
ホテルに帰った智美のケータイに着信があった。山下宅へ行くようにとのメッセージであった。急いで山下宅へ行きドアの前に立った。「時間がかかりすぎだ」、「部屋に入るように」とのメッセージが入る。発信者に見られている。智美はあたりを見回した。この時普通なら部屋へ入らずに、突き落とされた時世話になった警察か刑事に連絡するものだと思う(ここも目をつぶっておこう)が、ロックされていない部屋に入ってしまった。カーテンが引かれた薄暗い部屋でしばられている典子を見つける、と同時に何者かによってスタンガンで気絶させられた。目が覚めて縛られている自分に気付く。そして智美の主人・昌章も縛られているのを知る。
そこへ「無いっ、無いっ」「あれはどこなんだよ」包丁を手にした桜井先生が隣の部屋から叫びながら入ってくる。昌章に向かって「クリスティアだよ、クリスティアトリバネアゲハ!」昆虫雑誌の記事(下の画像)を示しながら「2010年8月号、お前が紹介していた標本、あれが欲しいんだよ!」自慢の一品、私の標本コレクションの文字が大写しになる。クリスティアトリバネアゲハはもちろん架空の蝶で、昌章が雑誌上で掲げているのはアレキサンドラトリバネアゲハで「ワシントン条約付属書Ⅰ」に入っていて採集は言うまでもなく売買も禁止されている絶滅危惧種である。
昌章が言う。あれは婚約指輪を買うために売った。「馬鹿か、お前は!」桜井が叫ぶ。
不動産屋から盗んだ合鍵で、クリスティアトリバネアゲハを盗む目的で昌章の家に忍び込んだ桜井はたまたま雨の日にやって来た堀内昭代がひとりでいるのを昌章の奥さんと勘違いして殺してしまう。そして机の上に置いてあった典子の手紙を投かんすることによって犯行日時をずらせてアリバイにしようと画策したのだ。目指す標本が無いのを知った桜井は堀内昭代が三人を焼き殺したことにしようとガソリンを部屋にまき始めた。智美はとっさに「その標本を売った相手は私よ、うそだと思うならそこにある私のバッグに標本の写真が入っている」桜井がバッグの方へ背を向けた時、智美が体当たりする。その瞬間昌章が後ろ手に縛られていたスカーフ?をほどくか切るかして桜井に飛びかかる。そして昌章にとっては宝物のはずの蝶が入った標本箱で桜井の顔や頭を何度も打ちすえる。
夫のこの様子をうっとりと眺める妻の典子
逮捕された桜井がパトカーで連行されて行く。刑事が残された三人に言う。子どもたちに標本を見せたり、なかなか評判は良かったんですがね。でも父兄の中には「蝶を集める先生なんて気持ち悪い」という人もいてね。昌章「そういう偏見は迷惑です」 典子「そうよ、蝶の標本を集めるってだけで、この人まで誤解されるじゃない、偏見は迷惑です」 言いながら仲良く手をつないで向き合う二人。理解不能な趣味だと書いていたのに・・・複雑な笑みを浮かべる智美。
かわいそうなのは堀内昭代、そして桜井が例の手紙を投かんしたことによって最初の殺人事件のアリバイを証明出来ても、三人を焼き殺した場合のアリバイにまで利用出来るのかな?というのが、素人の正直な感想である。
目下失業中の飯田智美(広末涼子)に短大時代の級友山下典子から妙な結婚報告の手紙が届いたのがミステリーの幕開けになった。妙な・・・というのは同封されていた主人とのツーショットの写真の女性は典子ではなかったのだ。妙なとは言えないが下に掲げるように蝶収集を理解不能の趣味だと述べている。これを読んだ智美の反応は「きもっ」。やはり世間の人にはなかなか受け入れてもらえないようだ(-_-;)
興味を抱いた智美はフリーの身をいいことに典子を訪ねる。あいにく山下宅は留守だったので、ドアの隙間に連絡を取ってもらうのにケータイの番号が入った名刺を差し込んで、近所の不動産屋に入って山下家のことを聞く。ちょうど仲介した業者だったので、主人・山下昌章の会社や電話番号を教えてもらえた。昔ならともかく現実には個人情報保護云々で簡単には教えてもらえる筈はないと思うのだが? 不動産屋の「山下さんにあったら、玄関の錠の取り換えはいつがいいか連絡するように伝えて下さい」との言付けが重要な意味を含んでいたのが後になってわかる。
智美は昌章に電話して妻の典子について尋ねると、旅行中だとの答えだったが、智美は何かを隠していると感じた。その夜、智美のケータイにSMSで昌章と思われる人物から呼び出しのメッセージが入った。夜、小高い場所にある小田原城の石垣を見下ろす場所だ。普通こんな所で夜、初対面の人物と待ち合わせするなんて考えられないが、まあ、目をつぶっておこう。案の定、何者かに後ろから突き落とされるが、運よく木の枝にぶら下がって命拾いをする。犯人は昌章だと思い込んだ智美の言葉に警察は彼を呼んで事情を聴く。
一方、智美は留守録に残された典子の元気な声を聞いて安堵する。夫・昌章の不可解な言動から典子は殺されているのではないかと思っていたからだ。夫婦間のもめごとで一時家出をして帰って来た典子と駅で会った智美は、写真の女性は元の彼女で、典子の受け取った手紙は書いたが、投かんしていないことを知らされる。
アリバイが証明された昌章と一緒に山下宅を訪れた智美は壁にずらりとかけられた蝶の標本箱を見て息を飲む。たいがいのマニアは標本箱を整理箪笥に収めているので(蝶の色彩は長時間光を浴び続けると褪色する)、このように飾り付けることはあまり考えられない。
蝶の標本に囲まれたリビングで話し合っている三人。
写真の女性は堀内昭代といい、何度も電話をかけてきたり、雨の日に家まで押し掛けて来たことがあって、その時典子は昭代を家に置いて、昌章を駅まで迎えに行って帰って来ると彼女の姿が消えていたという。昌章は彼女との連絡用にケータイを渡していたのが発覚したので、智美は自分を突き落としたのは彼女ではないかと疑い始める。このシーンの会話で典子の言葉「標本はこんなにきっちり整理出来るのに、女関係の整理はいい加減なの!」、たしかに蝶の標本は整理しておいてこそ価値があり、本来の美しさを発揮出来るのだが、女関係を引き合いに出されてはたまらない。
智美は宿泊先のホテルに帰りながら、なぜ昭代が自分を殺そうとしたのかなどと思いを巡らせていて、うっかり赤信号を見落として車にはねられかけた。その瞬間彼女を救ったのは山下夫婦のアパートの隣家に住む桜井(平岳大)という小学校の教師だった。実は智美が最初に山下宅を訪れて留守だった時、彼と顔を合わせていて山下家のことを尋ねたことがあった。だから桜井は智美が山下宅のドアの隙間にはさんで帰った名刺で智美のケータイの電話番号を知ることが出来たはずだったが、その時智美はそこまで考えが及ばなかった。
ホテルに帰った智美のケータイに着信があった。山下宅へ行くようにとのメッセージであった。急いで山下宅へ行きドアの前に立った。「時間がかかりすぎだ」、「部屋に入るように」とのメッセージが入る。発信者に見られている。智美はあたりを見回した。この時普通なら部屋へ入らずに、突き落とされた時世話になった警察か刑事に連絡するものだと思う(ここも目をつぶっておこう)が、ロックされていない部屋に入ってしまった。カーテンが引かれた薄暗い部屋でしばられている典子を見つける、と同時に何者かによってスタンガンで気絶させられた。目が覚めて縛られている自分に気付く。そして智美の主人・昌章も縛られているのを知る。
そこへ「無いっ、無いっ」「あれはどこなんだよ」包丁を手にした桜井先生が隣の部屋から叫びながら入ってくる。昌章に向かって「クリスティアだよ、クリスティアトリバネアゲハ!」昆虫雑誌の記事(下の画像)を示しながら「2010年8月号、お前が紹介していた標本、あれが欲しいんだよ!」自慢の一品、私の標本コレクションの文字が大写しになる。クリスティアトリバネアゲハはもちろん架空の蝶で、昌章が雑誌上で掲げているのはアレキサンドラトリバネアゲハで「ワシントン条約付属書Ⅰ」に入っていて採集は言うまでもなく売買も禁止されている絶滅危惧種である。
昌章が言う。あれは婚約指輪を買うために売った。「馬鹿か、お前は!」桜井が叫ぶ。
不動産屋から盗んだ合鍵で、クリスティアトリバネアゲハを盗む目的で昌章の家に忍び込んだ桜井はたまたま雨の日にやって来た堀内昭代がひとりでいるのを昌章の奥さんと勘違いして殺してしまう。そして机の上に置いてあった典子の手紙を投かんすることによって犯行日時をずらせてアリバイにしようと画策したのだ。目指す標本が無いのを知った桜井は堀内昭代が三人を焼き殺したことにしようとガソリンを部屋にまき始めた。智美はとっさに「その標本を売った相手は私よ、うそだと思うならそこにある私のバッグに標本の写真が入っている」桜井がバッグの方へ背を向けた時、智美が体当たりする。その瞬間昌章が後ろ手に縛られていたスカーフ?をほどくか切るかして桜井に飛びかかる。そして昌章にとっては宝物のはずの蝶が入った標本箱で桜井の顔や頭を何度も打ちすえる。
夫のこの様子をうっとりと眺める妻の典子
逮捕された桜井がパトカーで連行されて行く。刑事が残された三人に言う。子どもたちに標本を見せたり、なかなか評判は良かったんですがね。でも父兄の中には「蝶を集める先生なんて気持ち悪い」という人もいてね。昌章「そういう偏見は迷惑です」 典子「そうよ、蝶の標本を集めるってだけで、この人まで誤解されるじゃない、偏見は迷惑です」 言いながら仲良く手をつないで向き合う二人。理解不能な趣味だと書いていたのに・・・複雑な笑みを浮かべる智美。
かわいそうなのは堀内昭代、そして桜井が例の手紙を投かんしたことによって最初の殺人事件のアリバイを証明出来ても、三人を焼き殺した場合のアリバイにまで利用出来るのかな?というのが、素人の正直な感想である。