旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

大阪市章「みおつくし」の名前の付いた シジミチョウ

2007-07-19 | 
関西学院大探検部は1967年(昭和42年)から数次にわたり、フィリピン・パラワン島に調査隊を派遣した。隊員の一人は熱心なチョウの採集家で、毎回一生懸命にチョウを捕った。

パラワンは当時、幻の部族の存在が噂される秘境とされ、チョウについても入手しがたい地域で、そのコレクションは垂涎の的であった。大阪市立自然史博物館がこの貴重なコレクションを購入し、僕がシジミチョウの同定(分類上の所属や種名を決定すること)を担当した。

同定作業の結果、幾つかの新種、新亜種を発見、記載した。このコレクション購入に予算を付けた大阪市の英断に敬意を払って、1976年(昭和51年)、その中の一新亜種に大阪市の市章「みおつくし」に因んだ亜種名「miotsukushi 」をつけた。

エメラルドグリーンに輝く美しい小型のシジミチョウ  Cyaniriodes libna miotsukushi H. HAYASHI である。

Cyaniriodes 属は和名ではチビキララシジミ 属と呼ばれているが、小さくてかわいらしいものを指す「ヒメ」を使用した方が今の時代に合っているのではないかと考え、「ヒメキララシジミ」と呼ぶことにしたい。従って「リブナヒメキララシジミ」のパラワン亜種が大阪市章に因んだシジミチョウである。

蛇足だが、みおつくし(澪標)とは昔、船が往来する時の目印にしたもので、昔から水運と出船、入船によって大阪が繁栄した(画像、左下2枚)ことから「みおつくし」が、明治27年に大阪市の市章になったそうである。
    





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