救急一直線 特別ブログ Happy保存の法則 ー United in the World for Us ー

HP「救急一直線〜Happy保存の法則〜」は,2002年に開始され,現在はブログとして継続されています。

<研究> Western Blotにおけるバンドの白化・中抜け・色調反転について

2009年06月05日 04時48分21秒 | 研究指針
当研究室の研究生のcaspase3のウエスタン・ブロットで,ECLプラスで露光されたバンドが黒ではなく白く反転される現象が観察され,彼は黒く出ている他のバンドをcaspase3と評価し,悩んだようです。このような現象は,caspase3の限らず,アクチンなどでも時折,認められます。黒いnon-specificなバンドの評価は,別にしなければなりませんが,まず,以下の3点を評価する必要があります。


1. レーンにアプライした蛋白量が飽和している
2. 2次抗体濃度が高い
3. ECLの反応性が良すぎる

僕の場合は,通常,少ない細胞質蛋白の検出には20μg/Line,アクチンなどの多い蛋白の検出には5μg/Lineのレーンアプライとしています。

これに対して,低蛋白量のアプライでも反転現象が生じたり,レーンマーカーまでも反転する場合は,2次抗体濃度をさらに希釈しています。一部の反応性の良い2次抗体以外は,2次抗体は通常1/5000希釈としていますが,これを1/10000希釈にしています。また,作成したECL自体を蒸留水で3倍に希釈し,発色させるのも綺麗なバンドを得るための裏技となります。ECLプラスなどは,マニュアル通りには必ずしも使用していません。

いずれにしても,ウエスタンブロット解析では,検出バンドの相対的な密度解析に先立って,レーンへの適切な投与量を評価することが大前提です。論文査読などでレーンが飽和されたウエスタンブロットデータを見ることがありますが,蛋白量がレーンに飽和されないレベルでの適切なデータとして論文提出することが必要と思います。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 医学部講義 インフルエンザ... | トップ | 敗血症の病棟管理における問... »
最新の画像もっと見る

研究指針」カテゴリの最新記事