新しい提案を考えるための
テーブルディスカッションの手法
名古屋大学大学院医学系研究科
救急・集中治療医学分野
松田直之
テーブルディスカッションにおけるブレインストーミング(Brain Storming:BS)は, 5 - 7名,場合によっては10名程度による討議として,アイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法です。新しい提案を行なうために,BSが用いられるようになっています。BSには,4つの原則があります。そして,KJ法などを用いて,内容の島を作り,ポイントをまとめていきます。
ブレインストーミング BSの4原則
1.批判しないこと:他人の意見を批判しないようにします。批判がすぐに出るようですとアイデアが出にくくなりるためです。
2.自由奔放:思いついた考えを積極的に言うことを歓迎するようにします。
3.質より量:出てくる量を重視します。できるだけ多くのアイデアを出すことに専念します。
4.連想と結合:他人の意見を聞いて,触発されるかもしれません。何も変化がないかもしれません。連想を働かせて,他の意見に自分の発想・アイデアを加えて,新しい意見を提示します。
教育の目標の区分 1 2 3コントロールについて
知識 1.想起 2.解釈 3.問題提起
技能 1.模倣 2.コントロール 3.自動化
態度 1.受け入れ 2.反応 3.内面化
新しいテーマに対する見解をグループで討議し,提案をまとめる方法として,文殊カード(1枚の紙が3列に区切れるもの;中川米造先生が開発したもので,ミシン目で3つに切り離せるカード)を用いるKJ法があります。KJ法は,川喜田二郎先生が考案した方法です。このKJ法においては,司会者と記録者が重要です。
K-J法について
アイデア:量が多ければ多いほうが良いです。
アイデアを記載したカードと同等の群として5枚ぐらいを「島」としてまとめていきます。
1.文殊カードにテーマに関する記載を行なう。
例)医局員を元気にするために何をするか?
■ 飲み会をする
■ できるだけ救急を断る
■ どんどん救急を受け入れる
■ ボーナスを上げる
■ 教授の当直回数を減らす
・・・・・
2.カードをちぎって大きな紙上に置く
3.関連性のあるカードをまとめます。
4.小グループ(小さな島)から中グループにカードをまとめます。
5.まとまった「島」に空間配置をします。
6.関係性の記載:図解
――:関係あり
→:原因・結果
←→:互いに因果的
>――<:互いに反対・対立
7.点数評価:すべてのグループのうちどれが重要と思うか,各自最高5点から1点の順で点数をつけます。