救急一直線 特別ブログ Happy保存の法則 ー United in the World for Us ー

HP「救急一直線〜Happy保存の法則〜」は,2002年に開始され,現在はブログとして継続されています。

平成21年9月9日 PM4:00~ 研究セミナー「1分子イメージング」のお知らせ

2009年08月20日 03時12分49秒 |  ひまわり日記
講演タイトル: 1分子イメージングで生体分子の機能を探る

演 者
原田 慶恵 博士
京都大学
物質-細胞統合システム拠点(iCeMS) 教授

日 時:9月9日(水)16:00〜17:30
会 場:京都大学ウイルス研究所 本館1階 セミナー室

講演要旨:
生体分子の分子レベルでの機能を調べるには、その分子が機能している様子を直接観察するのが一番である。生体分子は水溶液中で機能するので、その観察には光学顕微鏡を使わざるを得ない。しかし、光学顕微鏡では、大きさが数十ナノメートルほどの生体分子を直接見ることはできない。そこで、我々は生体分子に目印をつけて、観察することにした。光学顕微鏡で観察可能な大きなものを結合させたり、蛍光色素分子、蛍光性の粒子を結合させて光らせることによって、今では比較的容易に1分子観察ができるようになった。見ることと同時に大切なのは、直接触って操作することである。1分子操作には、光を使って直径1マイクロメートル程度の大きさのビーズを操作する光ピンセット法や、磁気ビーズを磁石で操作する磁気ピンセット法などがよく使われている。このセミナーでは、以上の1分子イメージングや1分子操作技術を使って行った実験について紹介する。

聴講目的
■ 磁気ピンセット法や光ピンセット法を導入する。
■ 一分子リアルタイムモニタリングの敗血症研究への導入
■ 細胞内分子接着のリアルタイムモニタリング

参加予定:松田直之,寺前洋生

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日本麻酔科学会 第28回山村記念賞受賞講演 2008年8月18日PM0:00-

2009年08月19日 01時42分07秒 | 講義録・講演記録 3

日本麻酔科学会 山村記念賞受賞記念講演

敗血症病態における転写因子nuclear factor-κBの機能解析

京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学分野
松田直之


はじめに

 現在,敗血症(sepsis)は,1991年の米国胸部疾患学会(American College of Chest Physicians)と米国集中治療医学会(Society of Critical Care Medicine)の合同会議による定義に従い,感染症を基盤とした全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome: SIRS)と理解されている1)。このような敗血症病態は,炎症性サイトカイン血症を基盤とし2),多臓器不全,ショック,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation: DIC)を合併しやすい病態であり,麻酔科医や集中治療医の管理する重要な病態の1つである。
 この敗血症病態は,現在も死亡率が高く,麻酔科医は縫合不全などの術後感染病態として,麻酔管理や集中治療管理に難じる場合も多い。Angusら3)の2001年の報告では米国における敗血症罹患患者数は年間75万人を超えると評価され,米国の救急救命センターで治療される重症敗血症患者数は年間50万人を超え,未だ敗血症性ショック後の死亡率は約45%レベルで推移している4)。米国では,敗血症罹患者数は2020年までに年間100万人,そして2050年までには年間200万人を越えると推定され,重症敗血症と敗血症性ショックの治療の標準化を目的としてSurviving Sepsis Campaign guidelines5, 6)が公表された。本邦においても,2010年以降には肺炎などによる敗血症が死因の第2位となると予測されており7),現在も集中治療領域の死因の第1位は重症敗血症や敗血症性ショックである。
 一方,私は1993年に麻酔科医となり,その後,多くの敗血症病態の麻酔や集中治療を経験した。しかし,多くの麻酔科医や集中治療医が経験してきたように麻酔中の敗血症病態にはどうにか対応できるものの,麻酔管理後の集中治療室を含めた治療成績は極めて不良な時期が続いた。万能薬として知られていたグルココルチコイドが効果を示さないケースは極めて多いものだった。このような背景を基に,私は敗血症を代表とするSIRS病態の解明を研究することを目的として,1995年に北海道大学大学院に進学し,薬理学講座や生化学講座などで研究技術の指導を受け,主に糖尿病病態を中心とした循環薬理学的研究を行う一方で,さまざまな重症度の敗血症モデル動物を独自に考案し,敗血症病態の解析を開始した。この過程において,敗血症病態の炎症性サイトカインをひとまとめに抑制する方法として,2001年に転写因子nuclear factor-κB(NF-κB)の遺伝子治療を敗血症動物モデルに応用した。そして,その後,敗血症動物モデルに対するactivator protein-1やCREBなどの転写因子阻害やnon-cording RNAの導入に移行した。本学会賞受賞記念講演では,このような背景に基づき,私の敗血症研究初期にターゲツトとしたNF-κBの役割について論じる。

1. Alert細胞理論

 1996年にCell誌に報告されたToll受容体と自然免疫との関連を発端とし8),ヒトのToll-like受容体(TLR)(9-11)の解析が進み,現在,敗血症やSIRSにおけるトリガーシグナルの理解が進んだ(2, 12, 13)。TLRやnucleotide oligomerisation domain(NOD)(14)およびNOD containing leucine-rich repeats(NLR)(15)は,細菌の含有する病原体関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns)を認識する受容体であり,敗血症病態において炎症性分子の初期産生に関与する。さらに,TLRやNLRに加え,TNF受容体(TNF-R)16)やinterleukin受容体(IL-R1(17), IL-R6(18)),C-type lectin receptor(CLR)(19),receptor for advanced glycation end product(RAGE)(20),protease activated receptor(PAR)(21, 22)などの機能解析が進み,現在はさまざまな炎症性受容体を介した敗血症病態の炎症増幅の機構が明らかとされてきている。
 敗血症病態はさまざまな炎症性サイトカイン,抗炎症性サイトカイン,および炎症性分子により制御されるが,これらの根底をなす機能制御として転写因子の解析が重要である。敗血症病態で出現する炎症性分子は,炎症性受容体を介した転写因子活性に伴う産生物質としてまとめることができ,初期にこの中心的役割を担う転写因子がNF-κBである(2, 23-26) 。上述の炎症性受容体を発現する細胞は,inflammatory alert cell(Alert細胞)(12)として,NF-κBを活性化させる細胞内情報伝達を持ち,結果として炎症性分子の転写を高める特徴を持つ。
 敗血症において,多臓器不全が誘導される最も重要な要因は,単球,好中球,樹状細胞,リンパ球などの免疫担当細胞のみではなく,血管内皮細胞や主要臓器を構成する一部の細胞にあり,これらは同じ細胞種といえども炎症惹起力に個性を持つ。これらのAlert細胞には,TLR,TNF-R,IL-1Rなどの炎症性受容体が発現していることが特徴である。これらは,Alert細胞として,炎症性分子の産生を高め,細胞内でのnon cording RNAによる自己制御の中で,特にケモカインや接着分子の産生を高め,炎症局所への白血球系細胞の浸潤を誘導する作用がある。 これにより,Alert細胞近傍の炎症は,他の非炎症部位と異なり,炎症活性を相乗的に高めることになる。肺では気管支上皮細胞や2型上皮細胞,さらには右心房では,他の臓器に比較して,正常状態にあってAlert細胞の比率が高い。これにより,全身性炎症の初期のターゲットは,急性肺傷害や心房筋炎症となる。


2. 敗血症病態と転写因子NF-κB 

 NF-κBは1986年にSenとBaltimoreにより免疫グロブリン軽鎖遺伝子のエンハンサーに結合する転写因子として同定され27),N末端に約300のアミノ酸からなるRelドメイン(DNA結合ドメイン)を持つ蛋白として,哺乳類ではRelA(p65),p50, p52,c-Rel,RelBの5つからなるRel/ NF-κBファミリーとして総称されている28)。このRelドメインは2つの免疫グロブリン様のドメインで形成され,2量体形成にはC末端側ドメインが,DNAとの結合にはN末端側ドメインが関与する。これらのNF-kBファミリーはホモあるいはヘテロ2量体を形成し,その組み合わせにより核内のκBモチーフ(GGGACTTTCC)との結合親和性や転写活性を変化させている。しかし,これら2量体NF-κBは,非炎症状態では細胞質内や核内でinhibitory kB(I-kB)ファミリー(I-kBα,I-kBβ,I-kBε,I-kBγ,I-kBζ,Bcl-3,p105,p100)と結合し,DNA領域との結合が抑制されている。
 これに対して,敗血症などのSIRS病態では,TLR,TNF-R,IL-1Rなどの炎症性受容体シグナルを介して,I-kBキナーゼ(IKK)複合体がリン酸化されることにより,I-κBがリン酸化され,I-kBのプロテアソームでの分解が促進する。これにより,敗血症病態のさまざまな臓器のAlert細胞の細胞質内で2量体NF-kBがI-kBより遊離し,2量体NF-κBが核膜を通過し,DNAのNF-kBモチーフに結合し,炎症性サイトカインや炎症性分子の転写活性を高める(図)。これが,NF-kB活性化の古典的経路として,主要臓器のAlert細胞で確認できる。
 一方,2量体NF-kBは核内でもI-kBζなどにより哺綴されることが報告され,さらには,IKKが細胞質内と核内を移動していることも知られている29, 30)。免疫担当細胞では,炎症性受容体シグナルを介して活性化されたIKKαなどが,核内に移行し,核内のI-kBζなどがリン酸化やユビキチン化を受け,核内でもNF-kB活性を高める機序が存在する。
 このようなDNA上のNF-κB領域の活性化により過剰産生される,私自身が確認した代表的分子を表に示した。TNF-α,IL-1,IL-6などの炎症性サイトカイン,誘導型NO合成酵素(inducible nitric oxide synthase: iNOS),誘導型シクロオキシゲナーゼ(inducible cyclooxygenase-2:COX2),ケモカイン,接着分子, granulucyte-macrophage colony-stimulating factor(GM-CSF),granulucyte colony-stimulating factor(G-CSF),macrophage colony-stimulating factor(M-CSF)などがNF-κB活性に依存して転写段階で過剰産生される。過剰産生されたiNOSにより産生される一酸化窒素(nitric oxide: NO)は,殺菌作用を持つものの,血管透過性亢進やリンパ流抑制の原因となり,間質の浮腫形成に強く関与する。また,IL-8などのケモカインの過剰産生により炎症性細胞の遊走が高まり,血管内皮細胞などに過剰産生された接着分子により好中球や血小板などの細胞接着が高まる。血管側では,血液凝固に関与する組織因子(tissue factor: TF)や線溶抑制に働くplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)などもNF-kB活性により過剰発現されるため,血管内凝固が亢進し,線溶が抑制され,線溶抑制型DICの進展が高まる。


3. 転写因子NF-κBの遺伝子治療

 DNA上のNF-κB結合領域(GGGACTTTCC)の構造をなぞらえた2本鎖オリゴヌクレオチド(5’-CCTTGAAGGGATTTCCCTCC-3’, 3’-GGAACTTCCCTAAAGGGAGG-5’)などをデコイ核酸(おとり核酸)として作成し,2量体NF-κBを細胞質内や核内で補綴し,DNAのNF-κB結合領域活性を抑制することが期待できる。NF-kBデコイ核酸をリポゾームで包埋し,静脈内投与した場合,正常の肺でも効率よく導入される傾向があるが,敗血症病態では血管内皮細胞や2型肺胞上皮細胞などのAlert細胞に特異的に導入効率が高まり,Alert細胞のNF-kB活性を強く抑制できることを見出した23-26)。このようにして,敗血症に合併する急性肺傷害をNF-kB活性抑制の観点から評価した結果,表に示したiNOSやCOX2などの炎症性物質のほか,ヒスタミンH1受容体,ブラジキニン受容体,TLR2,ヒスタミン合成酵素L-ヒスチジンジカルボキシラーゼ,platelet activated factor(PAF),macrophage migration inhibitory factor(MIF)などの転写がNF-κB活性により高まることが確認された23-26)。
 また,敗血症病態ではインスリン抵抗性が生じることが知られているが,NF-kB活性はインスリン抵抗性にも関与する。盲腸結紮穿孔によるマウス敗血症モデルでは,敗血症10時間以降に大腿筋でもNF-kB活性が高まるが,これをリポゾーム包埋したNF-kBデコイ核酸の筋注で抑制でき,この結果として大腿筋におけるインスリン受容体を介したグルコーストランスポータ4(GLUT4)の細胞膜移動が改善できる26)。
 以上のように,NF-kBデコイ核酸はNF-kB活性の高まるAlert細胞に取り込まれ,NF-kB活性を抑制することにより,炎症活性を低下させる可能性を持つ。従来,抗炎症効果はグルココルチコイドなどの合成ステロイドに期待されていたが,敗血症病態ではグルココルチコイド受容体は減少する傾向があり,メチルプレドニゾロンなどの効力が期待できない31)。NF-κBデコイ核酸は,合成ステロイドと異なり,リポゾーム包埋などの方法によりAlert細胞に取り込みを高める特徴がある。これは,その後の当研究グループにおけるsiRNAの導入においても確認された32, 33)。敗血症などのSIRS病態では,Alert細胞が脂質や蛋白の貪食能を高める機能を逆利用した結果である。Alert細胞を対象としたSIRS病態の遺伝子治療の1つとして,ステロイドに変わるNF-κBデコイ核酸の臨床応用が期待される。近年,NF-κB活性の抑制は,敗血症病態の炎症強度を弱めるものの,細菌排除に影響を与えないことが,別の研究グループから報告されている34)。


おわりに

 敗血症は,感染を基盤とした全身性炎症反応症候群である。この病態進行過程において,主要臓器のAlert細胞のNF-κB活性が高まり,ケモカインや接着分子の転写段階からの産生を介して,Alert細胞近傍の炎症活性が高まる。この機能を抑制するためにリポゾーム法などで導入したNF-κBデコイ核酸は,Alert細胞に強い取り込みが期待でき,臓器炎症を強く抑制できる可能性を持つ。Alert細胞がリポゾームや異物の取り込みを高めることは,本一連の研究の副次的作用として確認された。
 一方,ステロイドの作用するグルココルチコイド受容体は,Alert細胞に必ずしも発現しているわけではなく,敗血症病態では減少する傾向を持つ。このようなステロイドに代わり,NF-κBデコイ核酸の臨床応用が敗血症病態においても期待される。
 本一連の研究は,私が麻酔や集中治療を担当していた際の臨床の場の病態生理学的疑問を基礎医学に持ち込み,臨床医の研究として発展させたものである。麻酔科学および救急・集中治療医学の領域には,未解決の多くの臨床上の問題点が残存する。基礎研究が臨床の15年先を見据えていることは否めない。臨床診療技術に加え,基礎医学と臨床研究の融和が,これから先の15年後に求められていることも否めない。麻酔科学の一つの魅力は,中枢から末梢まで,すなわちまさに全身の急性反応を網羅する点にある。麻酔科医が,臨床技術の熟成とともに,その後には自らの臨床上の疑問を解決すべく,さまざまな病態において学術的発展に助力されることを祈念している。


後記および謝辞


 講演当日は,多くの皆さまに,御聴講頂き,どうもありがとうございました。そして,これまで多くのアドバイスを頂きました先輩諸先生,私の研究を手伝ってくれた若き先生たち,そして教え子たちにも列席を頂き,深く感謝しております。また,こうして研究を継続できているのも,学会や研究会で多くの皆さまより御指導や助言を頂いているからだと考えております。今度とも,変わらぬ御指導のほど,どうぞよろしくお願い申し上げます。


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日本麻酔科学会 第28回山村記念賞受賞講演 NO.2 参考文献と図表

2009年08月19日 01時40分18秒 | 講義録・講演記録 3
参考文献

1)Members of the American College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine Consensus Conference Committee. American College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine Consensus Conference: definitions for sepsis and organ failure and guidelines for the use of innovative therapies in sepsis. Crit Care Med 1992;20: 864–74.
2)Matsuda N, Hattori Y. Systemic inflammatory response syndrome (SIRS): molecular pathophysiology and gene therapy. J Pharmacol Sci 2006;101: 189-98.
3)Angus DC, Linde-Zwirble WT, Lidicker J, Clermont G, Carcillo J, Pinsky MR. Epidemiology of severe sepsis in the United States: analysis of incidence, outcome, and associated costs of care. Crit Care Med 2001;29:1303-10.
4)Vincent JL, Taccone F, Schmit X. Classification, incidence, and outcomes of sepsis and multiple organ failure. Contrib Nephrol 2007;156:64-74.
5)Dellinger RP, Carlet JM, Masur H, Gerlach H, Calandra T, Cohen J, et al. Surviving Sepsis Campaign guidelines for management of severe sepsis and septic shock. Crit Care Med 2004;32:858–73.
6)Dellinger RP, Levy MM, Carlet JM, Bion J, Parker MM, Jaeschke R, et al. Surviving Sepsis Campaign: international guidelines for management of severe sepsis and septic shock: 2008. Crit Care Med 2008;36:296-327.
7)柴田恵三, 舟田 久. 我が国におけるSIRS・sepsisの疫学. 日本臨牀 2004;62:2184-8.
8)Lemaitre B, Nicolas E, Michaut L, Reichhart JM, Hoffmann JA. The dorsoventral regulatory gene cassette spatzle/Toll/cactus controls the potent antifungal response in Drosophila adults. Cell 1996; 86:973-83.
9)Kawai T, Akira S. Toll-like receptor and RIG-I-like receptor signaling. Ann N Y Acad Sci 2008;1143:1-20.
10)O'Neill LA. The interleukin-1 receptor/Toll-like receptor superfamily: 10 years of progress. Immunol Rev 2008;226:10-8.
11)Frantz S, Ertl G, Bauersachs J. Mechanisms of disease: Toll-like receptors in cardiovascular disease. Nat Clin Pract Cardiovasc Med. 2007;4:444-54.
12)松田直之. 全身性炎症反応症候群とToll-like受容体シグナル -Alert Cell Strategy-. 循環制御2004; 25:276-84.
13)Matsuda N, Hattori Y. Vascular biology in sepsis: pathophysiological and therapeutic significance of vascular dysfunction. J Smooth Muscle Res 2007;43:117-37.
14)Cartwright N, Murch O, McMaster SK, Paul-Clark MJ, van Heel DA, Ryffel B, et al. Selective NOD1 agonists cause shock and organ injury/dysfunction in vivo. Am J Respir Crit Care Med 2007; 175:595-603.
15)Becker CE, O'neill LA. Inflammasomes in inflammatory disorders: the role of TLRs and their interactions with NLRs. Semin Immunopathol 2007; 29:239-48.
16)Shen HM, Pervaiz S. TNF receptor superfamily-induced cell death: redox-dependent execution. FASEB J 2006; 20:1589-98.
17)Boraschi D, Tagliabue A. The interleukin-1 receptor family. Vitam Horm 2006; 74:229-54.
18)Kishimoto T. IL-6: from laboratory to bedside. Clin Rev Allergy Immunol 2005;28:177-86.
19)Kanazawa N. Dendritic cell immunoreceptors: C-type lectin receptors for pattern-recognition and signaling on antigen-presenting cells. J Dermatol Sci 2007; 45:77-86.
20)Lutterloh EC, Opal SM. Antibodies against RAGE in sepsis and inflammation: implications for therapy. Expert Opin Pharmacother 2007; 8:1193-6.
21)Leger AJ, Covic L, Kuliopulos A. Protease-activated receptors in cardiovascular diseases. Circulation 2006; 114:1070-7.
22)Jesmin S, Gando S, Matsuda N, Sakuma I, Kobayashi S, Sakuraya F, et al. Temporal changes in pulmonary expression of key procoagulant molecules in rabbits with endotoxin-induced acute lung injury: elevated expression levels of protease-activated receptors. Thromb Haemost 2004;92:966-79.
23)Matsuda N, Hattori Y, Takahashi Y, Nishihira J, Jesmin S, Kobayashi M, et al. Therapeutic effect of in vivo transfection of transcription factor decoy to NF-κB on septic lung in mice. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2004;287: L1248-55.
24)Matsuda N, Hattori Y, Takahashi Y, Jesmin S, Gando S. Nuclear Factor-κB decoy oligonucleotides prevent acute lung injury in mice with cecal ligation and puncture-induced sepsis. Mol Pharmacol 2005;67:1018-25.
25)Matsuda N, Yamazaki H, Takano KI, Matsui K, Takano Y, Kemmotsu O, et al. Priming by lipopolysaccharide exaggerates acute lung injury and mortality in responses to peptidoglycan through up-regulation of Toll-like receptor-2 expression in mice. Biochem Pharmacol 2008;75:1065-75.
26)Matsuda N, Yamamoto S, Yokoo H, Tobe K, Hattori Y. Nuclear factor-κB decoy oligodeoxynucleotides ameliorate impaired glucose tolerance and insulin resistance in mice with cecal ligation and puncture-induced sepsis. Crit Care Med 2009 in press.
27)Sen R, Baltimore D. Inducibility of kappa immunoglobulin enhancer-binding protein NF-κB by a posttranslational mechanism. Cell 1986;47:921-8.
28)Chen LF, Greene WC. Shaping the nuclear action of NF-κB. Nat Rev Mol Cell Biol 2004;5:392-401.
29)Gross S, Piwnica-Worms D. Real-time imaging of ligand-induced IKK activation in intact cells and in living mice. Nat Methods 2005;2:607-14.
30)Bates PW, Miyamoto S. Expanded nuclear roles for IκBzeta. Sci STKE 2004;254:48.
31)Kamiyama K, Matsuda N, Yamamoto S, Takano K, Takano Y, Yamazaki H, et al. Modulation of glucocorticoid receptor expression, inflammation, and cell apoptosis in septic guinea-pig lungs using methylprednisolone. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2008;295:L998-1006.
32)Matsuda N,Takano Y,Kageyama S,Hatakeyama N,Shakunaga K,Kitajima I,et al. Silencing of caspase-8 and caspase-3 by RNA interference prevents vascular endothelial cell injury in mice with endotoxic shock. Cardiovasc Res 2007;76:132-40.
33)Matsuda N, Yamamoto S, Takano KI, Kageyama SI, Kurobe Y, Yoshiwara Y, et al. Silencing of Fas-associated Death Domain Protects Mice from Septic Lung Inflammation and Apoptosis. Am J Respir Crit Care Med 2009;79:806-15.
34)Ye X, Ding J, Zhou X, Chen G, Liu SF. Divergent roles of endothelial NF-κB in multiple organ injury and bacterial clearance in mouse models of sepsis. J Exp Med 2008;205:1303-15.


図 NF-κB活性化の古典的経路
 Nuclear factor-κB(NF-κB)は,5種類のサブタイプからなるRel/ NF-κBファミリーの総称であり,非炎症病態ではI-κB(inhibitory κB)と結合し,核内移行が阻止され,細胞質内に存在する。敗血症などの全身性炎症病態では,Toll-like受容体,IL-1受容体,TNF受容体などの炎症性受容体の各リガンドとの反応により,IRAK(Interleukin-1 receptor-associated kinase),TRAF(tumor necrosis factor receptor –associated factor),TAK1(TGF-βactivated kinase 1)などのリン酸化酵素が活性化し,さらに細胞質内でIKK(inhibitory κB kinase)が活性化される。これにより,IKKのターゲット分子であるI-κBがリン酸化されると,I-κBは細胞質内でマルチユビキチン化を受け,細胞質内消化を受け,ペッドキャップ構造のとれた2量体NF-κBが核内へ移行し,DNA上のκB領域と結合することで炎症性分子の転写が高まる。NF-κBデコイ核酸を用いた遺伝子治療は,2量体NF-κBを補綴する2本鎖オリゴヌクレオチドとして作用し,細胞質内でDNA上のκB領域と競合し,NF-κB活性化を抑制する。


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総説 Nature Reviews Immunology 2009; 9, 465-479

2009年08月18日 04時13分47秒 | 論文紹介 細胞内情報伝達
Signalling through C-type lectin receptors: shaping immune responses
Teunis B. H. Geijtenbeek & Sonja I. Gringhuis


C-type lectin receptors (CLRs) expressed by dendritic cells are crucial for tailoring immune responses to pathogens. Following pathogen binding, CLRs trigger distinct signalling pathways that induce the expression of specific cytokines which determine T cell polarization fates. Some CLRs can induce signalling pathways that directly activate nuclear factor-B, whereas other CLRs affect signalling by Toll-like receptors. Dissecting these signalling pathways and their effects on host immune cells is essential to understand the molecular mechanisms involved in the induction of adaptive immune responses. In this Review we describe the role of CLR signalling in regulating adaptive immunity and immunopathogenesis and discuss how this knowledge can be harnessed for the development of innovative vaccination approaches.

C-type lectin receptors,特にDectin-1とDectin-2の細胞内情報伝達について,真菌の炎症反応の機序として,この総説を参考としてください。

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急性中毒 ニセクロハツ中毒:横紋筋融解症

2009年08月12日 12時39分44秒 | 救急医療

Back pain after wild mushroom consumption


Nishiyama K, Ohta Y, Matsuda N, Fujimoto R, Koike K.
Emerg Med J. 2010 Jan;27(1):61.


 A 62-year-old man was brought to the hospital with back pain and muscle weakness accompanied by myalgia. These symptoms developed 20 h after he had consumed his last meal which included the wild mushroom Russula subnigricans. The muscle weakness persisted for over a week. The maximal serum creatine kinase activity was 42,689 U/L. The patient did not have a history of trauma, pharmacotherapy or any other known causative factor that could explain the occurrence of rhabdomyolysis. Additional tests performed to detect the presence of parasites and other micro-organisms as well as systemic diseases were negative.

 Magnetic resonance imaging (MRI) has been shown to be more sensitive than CT scanning or ultrasonography for detecting muscle abnormalities.1 MRI of the muscle using the short TI inversion recovery (STIR) technique revealed diffuse high signal intensity in the bilateral infraspinatus (white arrow) and left supraspinatus muscles (white arrowheads), confirming rhabdomyolysis.


Muscle MRI image(STIR)
Short TI inversion recovery (STIR) images of bilateral shoulder showing high density areas in the bilateral infraspinatus muscle (white arrow) and left supraspinatus muscle (white arrow).




ニセクロハツ
ベニタケ科
Russula subnigricans



食毒:毒
発生時期:夏~秋
発生場所:マツ・コナラ、シイ・カシ林
傘:中央窪む、灰褐色
傘の下面:ヒダ、直生~やや垂生、疎、傷口赤変するが黒変しない
柄:中実


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