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講義 救急・集中治療領域における免疫学的考察と臨床研究の重要性

2016年09月18日 21時05分43秒 | 論文紹介 臨床研究

講義 救急・集中治療領域における免疫学的考察と臨床研究の重要性

 

名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野

松田直之

 

はじめに

 免疫(immunity)は,異物に対する生体の防御機能であり,ローマ共和制時代の元老院議員の課税や罰則の法的免除を意味するimmunitasを語源とする1)。生体の免疫反応は,大きく2つに分類され,生まれながらに既に獲得している自然免疫(innate immunity)や天然免疫(native immunity),そして微生物や癌などの異物により刺激されて防御能力を獲得する適応免疫(adaptive immunity)の2つのパターンが知られている。

 このような免疫は,白血球系細胞と上皮細胞などの協調と調和の中で行われる。自然免疫では,好中球,マクロファージ,ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの食細胞と補体が重要な役割を担う。これらの食細胞には,異物を認識するToll-like受容体やスカベンジャー受容体などの細胞内情報伝達系が存在する。一方,適応免疫は,Bリンパ球とBリンパ球が産生する抗体が中心的役割を担う。抗体は,ウイルスや毒素などの異物の暴露から2〜4日遅れて,Bリンパ球より産生される。

 虚血,細胞死,感染,異物などの生体侵襲は,交感神経と副交感神経の自律神経バランス,炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインのサイトカインバランス,ホルモン分泌変化において,免疫担当細胞に細胞数および機能変化をもたらす。外傷,crash症候群,環境異常症の管理においては虚血と壊死の側面から,感染症学については異物に対する観点から,ミトコンドリア細胞死とともに生体侵襲を捉え,基礎研究では創薬基盤形成を目標とし,臨床研究の側面からはこれらの管理学を発展させる必要がある。本稿は,生体侵襲の与える免疫機構への影響を総論としてまとめ,適時,内容をアップグレードさせることで,救急・集中治療医がその専門性をより一層に高めるために,生体侵襲と免疫の関係についての理解を深めることを目的とする。

 

1.自然免疫と細胞性免疫

 生体が展開する免疫反応は,発生面では自然免疫と適応免疫,機能面では細胞性免疫と体液性免疫の大きく2つに分類される。これらに関与する免疫担当細胞は,骨髄の造血幹細胞(hematopoietic stem cell:HSC)2)に由来し,HSCの分化したものである(図1)。細胞性免疫は,主に好中球,マクロファージ,樹状細胞が担当する。液性免疫は,Bリンパ球の抗体産生が重要であり,ウイルスなどの異物に対する中和と排除をもたらす。

 細胞性免疫として貪食能力を持つ細胞は,食細胞(phagocyte)と呼ばれる。食細胞は,好中球,マクロファージ,樹状細胞である。好中球は,ヒト成人の末梢血で40~70%(約65%)を占め,ヒトの自然免疫における中心を担う。マクロファージは,単球が分化したものであり,組織に移行する中で,ミクログリア(脳),肺胞マクロファージ(肺),クッパー細胞(肝臓),メサンギウム細胞(腎臓),破骨細胞(骨),ランゲルハンス細胞(皮膚),類上皮細胞,巨細胞などとして機能する。また,樹状細胞は,末梢に存在する時期の未成熟な状態では微生物や異物を取り込む働きを持ち,末梢で勉強すると成熟型樹状細胞として組織からリンパ組織へ移動し,さらに長い樹状突起を伸し,二次リンパ組織内でTリンパ球と結合し,Tリンパ球を活性化させる。Tリンパ球を活性化させる際に,樹状細胞の役割は大きい。このような食細胞において,異物との関わりを外傷管理や手術管理で考えることは重要であり,食細胞機能がどのように修飾されるかの評価は診療において重要である。

 組織における上皮系細胞,血管内皮細胞,そして,免疫担当細胞として好中球,マクロファージ,幼若型樹状細胞のような食細胞は,Toll-like受容体3-5)やスカベンジャー受容体6-8)を発現し,自然免疫や死細胞の除去に寄与している。スカベンジャー受容体は,異物や死細胞の貪食を行うものであり,炎症期における重要な役割を担う。スカベンジャー受容体6-8)は,表1にように直接に結合する自然免疫型受容体と補体や抗体によってオプソニン化された粒子に反応するオプソニン受容体に区分されている。

 一方,好塩基球,好酸球,肥満細胞は,消化管,呼吸器,尿管の粘膜上皮における生体防御に関与している。これらの好塩基球,好酸球,肥満細胞は,直接に異物を認識できるが,貪食能はなく,細胞質内の顆粒分子を細胞外に放出することで,異物を除去する。寄生虫などの大きな異物に対して効力を持つ。

 

2.適応免疫と体液性免疫

 適応免疫と体液性免疫に関与するリンパ球は,血液中では総白血球数の20~40%(約30%)であり,骨髄で成熟するBリンパ球と,胸腺で成熟するTリンパ球9-11)に分類される。リンパ球数が減少する病態は,低栄養と交感神経緊張であり,ウイルス感染症やエイズでも低下する。リンパ球のうち,液性免疫として抗体を産生するのはBリンパ球である。Tリンパ球は,細胞傷害性T細胞(cytotoxic T cell,キラーT細胞)とヘルパーT細胞(helper T cell)の2つに分類され,細胞傷害性T細胞は,ウイルスやレジオネラなどの細胞内寄生微生物を傷害させる。ヘルパーT細胞は,B細胞の抗原産生を活性化させる補助的な作用を持ち,さらに好塩基球,好酸球,肥満細胞の活性化に関与する。また,リンパ球の中には,細胞膜上に抗原特異的受容体を発現させていないナチュラルキラー細胞(NK細胞)12, 13)が存在する。ヘルパーT細胞やNK細胞は,異物を認識する際に,主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex:MHC)を用いる特徴がある。

 

3. MHC分子の発現と機能

 ヒトのMHCは,MHCクラスⅠ分子14, 15)とMHCクラスⅡ分子16 ,17)として2つのクラスターに分類されており,これらは遺伝子領域6p21.3で転写される。このゲノム領域は,免疫に関与する多くの分子を産生する領域であり,免疫応答の中心をなす領域である。翻訳後のMHCは,α鎖,β鎖および結合するペプチドの3量体であり,MHCクラスⅠ分子のβ鎖はβ2ミクログロブリンである。結合できるペプチド長は,MHCクラスⅠ分子でアミノ残基8~10個,MHCクラスⅡ分子で10~20個である。MHCはそれぞれ,細胞傷害性T細胞とヘルパーT細胞の機能において重要な役割を担う。

 MHCクラスⅠ分子14, 15)は,細胞傷害性T細胞だけではなく,ほぼすべての細胞に存在しており,細胞質内でプロテアーゼにより消化されたベプチドと結合し,細胞膜上へ輸送する機能を持つ(図2)。一方,MHCクラスⅡ分子16 ,17)は,B細胞,マクロファージ,樹状細胞,NK細胞に高密度で発現しており,エンドソームで分解されて産生されたペプチドを細胞膜上に運搬し,ヘルパーT細胞による補助作用を強化する働きをする。例えば,B細胞では,抗体を細胞膜表面に膜型受容体として持つため,ここに結合した抗原をエンドサイトーシスとして細胞内へ運搬し,リソソームでペプチドに分解されるとMHCクラスⅡ分子により細胞膜上に運搬され,結合したヘルパーT細胞がB細胞の形質細胞への分化を誘導し,抗体産生を高める(図3)。また,マクロファージではMHCクラスⅡ分子を発現しており,マクロファージに内で消化されたペプチドをマクロファージの細胞膜上に発現させ,ヘルパーT細胞との連動によりマクロファージを活性化させる(図4)。このように,MHCクラスⅡ分子は,細胞内のペプチドを細胞膜上に運搬し,細胞膜上に発現させ,B細胞,マクロファージ,樹状細胞, NK細胞の機能を高める作用を担う。 

 また,MHCには,CD4やCD8などの共同受容体(co-receptor)が存在し,胸腺におけるT細胞の分化を補助している。CD8は,MHCクラスⅠ分子の共同受容体であり,細胞傷害性T細胞の異物に対する認識を高める。一方,CD4は,MHCクラスⅡ分子の共同受容体であり,マクロファージ,樹状細胞,およびB細胞の異物認識を高める。

 

4.補体の活性化と機能

 補体18 ,19)は,自然免疫として細胞貪食に関与するほか,抗原のオプソニン化,標的細胞への細胞膜傷害性分子複合体(membrane attack complex)18-20)の活性化,抗体産生促進などを主作用とする。この補体系は,約30種類の血清蛋白と膜蛋白で構成されている。C1~C9の補体蛋白, B因子,D因子,マンノース結合レクチン関連セリンプロテアーゼMASP(-1, -2, -3),プロペルジンなどが代表的分子である(表2)。補体の活性化は,①抗原・抗体複合体による古典的経路,② 病原菌細胞膜に結合した抗体による第2経路,③ マンノース結合レクチンやリガンド結合型フィコリンなどによるレクチン経路の3つの経路(図5)が知られており,補体受容体(表3)を介した反応として説明できる。補体欠損による病態としては,感染症罹患率の増加が知られているほか,C1,C2, C4の欠損により古典的経路やレクチン経路が障害されると全身性エリテマトーデスの発症が高まることが知られている。

 

5. T細胞の活性化

 T細胞は,胸腺内で成熟し,血液,二次リンパ組織,輸出リンパ管を循環しており,二次リンパ組織において成熟樹状細胞のMHC複合体と結合することによってエフェクターT細胞として活性化する。まず,胸腺においてT細胞は,Runx21とTh-POX22の2つの転写因子の関与により,CD8とCD4の発現制御が行われていることが確認されている。Runx21は,T細胞においてCD8を発現させ,細胞傷害性T細胞としての分化をもたらす。一方,Th-POX22は,T細胞にCD4を発現させ,ヘルパーT細胞としての分化をもたらす。このような過程において,成熟樹状細胞はナイーブT細胞に対してIL−2受容体α鎖(CD25)とIL-2の転写を高め,T細胞の成熟と活性化に関与する。T細胞におけるIL-2産生に関与する転写活性因子としては,① NFAT(nuclear factor of activated T cell),② NF−κB(nuclear factor-κB),③ AP-1(activator protein-1),④ Oct1の4つの関与が知られている。

 このような状況において,CD4陽性ヘルパーT細胞は,Th1,Th17,Th2,Tregに分化する細胞内情報伝達シグナルを持つ(図6)。 Th1細胞は,IFN-γを産生し,マクロファージ,NK細胞,細胞傷害性T細胞の病原体排除機能を増強させる。Th17細胞は,IL-17を産生する細胞であり,IL-17RA/RC受容体の存在する好中球の活性化に関与する。一方,Th2細胞は,IL-4産生を特徴とし,好酸球,好塩基球,肥満細胞などの上皮系バリア機能を誘導する。Tregは,胸腺で誘導される内在性Treg(natural Treg:nTreg)と末梢で分化誘導される誘導性Treg(inducible Treg:iTregs)に分類されており, nTregは CD4+ CD25high であるT細胞として,FoxP3転写因子活性により誘導される。Tregは,IL-10およびTGF-βを産生することで細胞傷害性T細胞などの攻撃性を抑制するが,炎症回復期の線維芽細胞などの増殖にも関与している。

 

6.生体侵襲におけるDANPSとPAMPS

 生体の細胞傷害や微生物との反応においては細胞性免疫が働くが,産生される炎症性サイトカインや炎症性分子により炎症という別な表現形が現れる。これらの反応は, damage-associated molecular patterns(DAMPs)と総称され,微生物との反応においてはpathogen-associated molecular patterns(PAMPs)と呼称され5, 23),このような2012年レベルのテクニカルタームの出現により,多くの言葉を説明に用いずに共通概念を描くことができるようになった。現在,2016年の段階では,虚血,細胞死,ミトコンドリア死などに伴い生体内で増加する内因性分子の受容体反応も解明されてきている。Toll-like受容体,nucleotide-binding oligomerization domain(NOD), NOD-like receptors (NLRs),AIM2-like receptors(ALRs),retinoic acid-inducible gene-Ⅰ(RIG-Ⅰ)like receptors(RLRs),C型レクチン受容体などは,主要なDAMPs受容体であり,細胞性免疫と炎症を考える上で重要である。 Toll-like受容体5)は,PAMPs受容体としてのみではなく,DAMPs受容体としての機能も持つ(表4)。

 

7.免疫能に対する生体侵襲の考察

 生体侵襲については,私は2000年より,①虚血,②細胞死(壊死),③感染,④異物の4つとして,生体への侵襲の入力を説明してきた。結果としては,交感神経・副交感神経の活性バランス,サイトカイン産生,ホルモン分泌の表情(現れ方)の観察が重要である。外傷や手術などにおいては,直接的な組織傷害,虚血再灌流,組織乾燥などの影響により,DAMPs産生に伴うDAMPs受容体反応5, 23)として炎症が高まるばかりか,食細胞機能が変化する。外傷侵襲は,Th1/Th2バランスを低下させることが知られており24, 25),細胞性免疫低下として好中球やマクロファージなどの食細胞機能が低下し,DAMPsの組織内クリアランスの低下や,微生物や腫瘍細胞などに対する防御能が低下する可能性に注意する。さらに,DAMPsの蓄積は,組織・上皮系細胞の炎症性シグナルとして,急性肺傷害,急性腎傷害,播種性血管内凝固などの多臓器不全の誘引となる可能性を持つ5)

 このような状態の集中治療管理では,プロポフォール26, 27)やデクスメデトミジン28)などを鎮静剤として用いるが,これらはTh2有意に傾いたTh1/Th2バランスをTh1方向に改善させる傾向がある。鎮痛薬として使用されるモルヒネやフェンタニールは,オピオイドμ受容体を介してCD4陽性ヘルパーT細胞数を低下させ,CD8陽性細胞傷害性T細胞を増加させることが知られている29-31。手術領域では,ASA physical status class 3あるいはclass 4の肺小細胞癌に対する24症例の前向き研究-32)として,硬膜外麻酔やフェンタニールによる術中・術後の疼痛管理で,術後1日におけるTh1/Th2バランスを術前と同等に維持できるという結論である。 

 生体侵襲期において交感神経活性を抑制することの意義は,血行動態の安定化や酸素需要の適正化に加えて,①コルチゾルの分泌抑制,②白血球系細胞の機能維持にある。生体侵襲による交感神経緊張は,代謝性アシドーシスの呼吸性代償,つまり過換気応答などの影響も受け,青斑核などからのノルエピネフリンの放出を介して視床下部からのCRH(corticotropin-releasing hormone)および下垂体前葉からのACTH(adrenocorticotropic hormone)の分泌を高め,副腎皮質からのコルチゾル分泌を高める。これらは,食細胞機能を低下させる可能性や多能性分化細胞の機能不全を導く可能性がある。血漿コルチゾルは,2~18μg/dLレベルの日内変動で維持されているが,生体侵襲により反応性にコルチゾルが高い状態では,免疫抑制状態となることを確認できる。フェンタニール33),バルビタールやプロポフォール34),ミダゾラム35)やエトミデート36)などは,下垂体前葉からのACTH放出や副腎皮質からのコルチゾル分泌を抑制する。アドレナリンα2作動薬デクスメデトミジンも,副腎皮質束状帯におけるコルチゾル産生を抑制する37)

 生体侵襲の緩和を目的とする「集中治療管理」などにおいては,このような静脈麻酔薬濃度と免疫細胞機能との関連に洞察が必要である。さらに,好中球やリンパ球にはアドレナリン受容体が存在し,高濃度カテコラミン暴露により,好中球やリンパ球は細胞死を起こす38, 39)。出血により虚血が生じる場合には,ミトコンドリア機能が変化し,あるいはミトコンドリア死により,DANPs反応として細胞性免疫が低下する。白血球除去の不確実な輸血によっては,輸血後10日でも細胞傷害性T細胞が減少することが報告されており40),輸血後に腫瘍免疫やウイルス免疫が低下する可能性についても洞察が必要である。

 

おわりに

 生体侵襲における免疫管理は,早期退院および長期予後改善のために今後より一層に不可欠な急性期管理における学術となる。T細胞におけるT細胞受容体機能,B細胞の抗体産生機能,補体への作用,好中球などの食細胞機能,スカベンジャー受容体機能などを,自律神経,サイトカイン,およびホルモンの各バランスの観点より時系列で的確に評価していくことが必要である。急性期管理病態学を研鑽する中で,救急・集中治療の重要性として,免疫の研究を推進しなければならない。

 

文 献

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図と表の解説

 

表1.スカベンジャー受容体の区分と作動分子

 スカベンジャー受容体は,マンノース受容体やDectin-1のような然免疫型受容体と,CR3などのような補体やCD64のようなT細胞受容体などの抗体によって反応するオプソニン受容体に区分されている。

 

表2.補体の種類と機能

 

表3.補体受容体の種類と機能

 

表4.Toll-like受容体におけるPAMPsとDAMPsリガンド

 Toll-like受容体(TLR)は,単球,マクロファージ,樹状細胞,好中球,繊維芽細胞,内皮細胞,上皮細胞などのAlert細胞5)で炎症性分子の産生に関与する炎症性受容体であるとともに,免疫細胞で発現しているタイプI膜貫通型パターン認識受容体ファミリーの1つである。ヒトでは10種類のサブタイプ,マウスでは12種類のサブタイプが同定されている。TLRsは,細菌・カビ・原生生物・ウイルスなどの微生物の蛋白・核酸・脂質,炭水化物に保存されている病原関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns:PAMPs)を認識し,自然免疫や獲得免疫のトリガーとなるばかりではなく,damage-associated molecular patterns(DAMPs)として生体内分子の危機トリガーとして機能している。

 

図1. 造血細胞の分化

 

図2. 寄生細胞に対する細胞傷害性T細胞の作用

 サイトメガロウイルスやレジオネラなどに感染された細胞では,CD8陽性の細胞傷害性T細胞の機能が期待される。寄生細胞では,寄生異物の断片分子や断片小胞がMHCクラスⅠ分子により細胞膜に運搬される。T細胞受容体(TCR)は,αおよびβのヘテロ2量体であり,CD3複合体と会合して,T細胞膜上に存在する。さらに,細胞傷害性T細胞では,TCRと細胞内異物・MHCクラスⅠ分子複合体との接着と認識に,CD8がco-receptorとして補助的に作用する。

 

図3. B細胞に対するヘルパーT細胞の作用

 B細胞は細胞膜上に抗体として膜型グログリンを発現することができ,膜型グロブリンを介して,結合した抗原を細胞内に取り込み,エンドソームでペプチドに断片化する。この抗原断片は,細胞質内でMHCクラスⅡ分子に補綴され,細胞膜上に運搬され,ヘルパーT細胞により認識される。ヘルパーT細胞には,T細胞受容体が存在し,CD4をco-receptorとして,B細胞の活性化を施し,この異物に対して特異的な抗体を産生する形質細胞やメモリー細胞(memory cell)への分化を促進させる。このようなB細胞分化において,抗体記憶に対する生体侵襲の影響の研究は不十分である。

 

図4. マクロファージに対するヘルパーT細胞の作用

 マクロファージ,好中球,未成熟樹状細胞は,食細胞として微生物などの異物を貪食する。主に組織に存在するマクロファージは,肺胞マクロファージ,クッパー細胞などのように,呼称を変えて呼ばれる。マクロファージは,貪食した分子をプロテアーゼでペプチドレベルに断片化する。この分解断片は,細胞質内でMHCクラスⅡ分子に補綴され,マクロファージの細胞膜上に運搬され,ヘルパーT細胞により認識される。ヘルパーT細胞のマクロファージの作用は,IFN-γを放出するTh1とIL-4およびIL-13の分泌を行うTh2細胞で異なる。Th1細胞は,IFN-γを介してマクロファージの貪食能と殺傷能をM1マクロファージとして高める。一方,Th2細胞は,IL-4とIL-13を介してM2マクロファージとしてマクロファージにIL-10やTGF-βなどの増殖性サイトカインの分泌をもたらす。M2マクロファージは,M1タイプの活性化マクロファージとは異なり,真菌認識を行うDectin-1,好酸球や好塩基球を誘導するCCL17,CCL18,CCL22などのケモカイン,そして線維芽細胞を増殖させるTGF-β,コラーゲン合成のために必要なプロリン産生を高めるアルギニン分解酵素アルギナーゼなどを産生する特徴があり,Th2有意のヘルパーT細胞バランスにより,炎症期に随伴した線維化期が遷延する危険性がある。

 

図5. 補体活性化の3つの経路

  補体の活性化は,①抗原・抗体複合体による古典的経路,② 病原菌細胞膜に結合した抗体による第2経路,③ マンノース結合レクチンやリガンド結合型フィコリンなどによるレクチン経路の3つの経路が知られており,C3bによるC5b産生が重要な役割を担う。C3bはC3変換酵素により,C5と会合するとC5をC5aとC5bに分解できる。C5aは,C3aとともに,炎症性ペプチドとして作用する。一方,C5bは,C6,C7,C8細胞膜傷害性分子複合体(membrane attack complex)を形成し,さらにC9を細胞膜内に貫入させ,微生物膜に10 nmレベルの小孔を形成する。このような補体を介した小孔形成は,サイトメガロウイルス,コロナウイルス,ヘルペスウイルスのようなエンベロープを持つウイルス,ブドウ球菌などの厚いペプチドグリカン層を持つグラム陽性菌の除去に有効と考えられる。

 

図6. ヘルパーT細胞の分化

 ヘルパーT細胞は,T細胞受容体とCD4により,マクロファージ,B細胞,幼若型樹状細胞に結合し,これらの機能を修飾する。その作用は,分化形体により差異があり,転写因子活性とサイトカイン受容体シグナルにより,Th1,Th17,Th2などに分化し,産生し,放出するサイトカインを変える。


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救急医療 血液ガス分析:代謝性アシドーシスでの留意事項

2016年09月13日 06時26分14秒 | 救急医療

留意事項 血液ガス分析

血液ガス分析における代謝性アシドーシスの評価

〜急性アルコール中毒にも要注意〜

 

名古屋大学大学院医学系研究科

救急・集中治療医学分野

教授 松田直之

 

【はじめに】救急外来( ER:emergency room)でルーティンに血液ガス分析が行われる傾向がありますが,血液ガス分析は,考えて行うようにしましょう。酸素を投与している場合は,必ず,投与量やFIO2を併記するようにします。血液ガス分析の測定の理由は,① 呼吸数の異常(22回/分を超える,10回/分未満である,乱れがある),② 呼吸のリズムの乱れ(例:Kussmaul呼吸),③ 酸素投与の適正化(SpO2低下),④ 電解質評価,⑤ Hb確認を基本にします。ここに加えて,最近は,ARDSの評価(ICU入室前のSOFAスコア確認),クレアチニン(糸球体濾過)の確認などとしても使用される傾向があります。しかし,特に,①呼吸数の異常(22回/分を超える,10回/分未満である,乱れがある),ここは,つまり呼吸数の早い場合や乱れのある場合は代謝性アシドーシスが隠れている可能性を考えます。呼吸数の遅い場合は,代謝性アルカローシスが隠れている可能性を考えます。代謝性アシドーシスでは,電解質評価としてアニオン・ギャップ(AG)も加えるようにしましょう。

【留意事項】アニオンギャップ AG = Na+  ー(Cl- + HCO3-)(正常:8~16 mM)

代謝性アシドーシス(Base Excess低下)では,アニオン・ギャップ(AG)を評価してください。

 

代謝性アシドーシス パターン1:AG 正常 & Cl- 正常

 □ 敗血症初期

 □ ショック初期

 

代謝性アシドーシス パターン2:AG正常 & Cl- ↑

AG正常 & クロール上昇で考える鑑別疾患

 □ 下痢の存在:問診で確認,BUN/Crea>20(?)

 □ 尿細管アシドーシス

 □ ICU管理での注意:① 膵液瘻,② 生理食塩水過剰投与(ショック蘇生等)

 

代謝性アシドーシス パターン3:AG↑ & Cl- 正常

 AG上昇 & クロール正常で考える鑑別疾患

 □ 糖尿病性ケトアシドーシス

 □ 乳酸アシドーシス(ER搬入前の痙攣やてんかん,メトホルミン内服,ビタミン欠乏(ビタミンB1),ショックや虚血の持続など)

 □ 尿毒症

 □ サリチル酸中毒

 □ シアン中毒

 □ 鉄剤中毒

 □ アルコール中毒:血漿浸透圧ギャップを測定します。測定血漿浸透圧 ‐ 予測血漿浸透圧(2Na + BUN/2.8 + Glu/18)>10 mOsm/kg

【補足事項】アルコール中毒における血中アルコール濃度の予測

 急性アルコール中毒における血中アルコール濃度の予測式

 血中アルコール濃度と症状(参考:個人差あり)

 □   20~  40 mg/dL:気分爽やか,活発傾向

 □   50~150 mg/dL:ほろ酔い

 □ 160~300 mg/dL:酩酊状態(千鳥足や運動障害の出現)

 □ 310~400 mg/dL:泥酔状態(歩行困難および意識混濁の出現)

 □ 400 mg/dL 以上:昏睡状態(舌根沈下,心肺停止の可能性の考慮)

血中エタノール濃度(予測)血漿浸透圧ギャップ測定血漿浸透圧値 ‐ 予測血漿浸透圧(計算:2Na + BUN/2.8 + Glu/18))mOsm/L x 46(エタノールの分子量 46.07)g/Osm ÷ 10 (dLへの換算)= 〇〇 mg/dL 


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お知らせ 世界敗血症デー CBCラジオ 「敗血症」を知ることからはじめましょう

2016年09月11日 12時02分31秒 | お知らせ 講演会・セミナー

 

世界敗血症デー 毎年9月13日

 

敗血症は,感染症によって引き起こされる全身性炎症と多臓器不全です。感染症による臓器不全の進行を防ぎ,救命率を高めることを目標として,GSA(Global Sepsis Alliance:世界敗血症連盟)が国際レベルの連盟として結成されました。日本集中治療医学会では,GSAと連携し,敗血症に対する認識を高め,世界規模で5つの目標を2020年までに達成したいと考えています。CBCラジオでは,世界敗血症連盟連盟GSAと連携して,2012年より世界敗血症DAYに合わせて,敗血症の特集を組ませていただいています。

 2020年までの到達目標

1. 感染症の予防対策により敗血症の発症率を20%低下させます。

2. 敗血症の早期発見と治療体制の確立により救命率を10%改善させます。

3. 世界中で、適切なリハビリテーションを受けられるようにします。

4. 一般市民と医療従事者の敗血症に対する理解と認知度を高めます。

5. 敗血症を予防・治療することによる社会的な効果を評価します。


2016年 CBCラジオ きくラジオ 敗血症

「World Sepsis Day キャンペーン」

2016年9月12日(月)〜16日(金)

12:35~12:45  5日間連続 計 約 50 分

一般の皆さまに向けた「敗血症」の基本的な内容としています。2012年9月より5年間連続として,CBCラジオでの敗血症特集を担当させていただきました。本年で,第5回目,5年連続の「世界敗血症デー特番」とさせていただきました。

感染症は,敗血症に進化することで,多臓器不全を進展させます。風邪の流行っている時期,体調を崩しているとき,ゲガをした時,入院中など,敗血症という病気があることに注意されて下さい。

企画・講演:松田直之

パーソナリティ:重盛啓之

プロデューサー:菅野光太郎


名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野 世界敗血症デイ・キャンペーン2016

World Sepsis Day Campaign 2016

Department of Emergency & Critical Care Medicine, Nagoya University Graduate School of Medicine.

日本集中治療医学会では,敗血症を広告するためのホームページを「安心プラネット」として展開しています。ご覧下さい(クリック)。


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お詫び 2012年のブログ侵入:スパイファイルに注意

2016年09月10日 22時54分49秒 | 規約・約束事項

2012年に私のコンピュータに,メールを介して,不正なスパイプログラムが混入されたことがわかっており,これを介して本ブログ「救急一直線」に「なりすまし」として入りこみ,本ブログの内容を書き換えたり,誹謗中傷を煽るような内容を一時的にUPしたり,本ブログの図表の削除などが行われました。2013年には,現在のコンピュータへの変更としました。このことは当時,内部の関係者である可能性もあったため,内密に本ブログを2012年末で休止とし,本ブログにおける「なりすまし禁止」および「魚拓行為禁止」について,記載させて頂きました。以上を含めまして,一般にご迷惑をおかけしましたこと,改めて深くお詫び申し上げます。このようなマルウエアをネット環境で用いるhater(ネットヘイター)も出てきているようであり,一方でフィッシング詐欺の存在にも,注意しなければなりません。ネットによる匿名のいじめや犯罪の環境などは,社会的に取締り,改善させる必要があります。現在は,著作権侵害,名誉毀損などを含めて,サイバーセキュリティの侵害として,警察に通報する内容であることに注意して下さい。

(注)記載の一部変更 2016/9/25 主語および接続後の追加,内容の整理,最後の1文の追記

(注)本ブログにおける注意事項の再注意:規約 本ブログおよび管理における規約 不正アクセス禁止法の遵守


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GSA 名古屋セプシスフォーラム 敗血症診療の現在と未来

2016年09月10日 10時14分50秒 | お知らせ 講演会・セミナー

名古屋メルパルクにて,15:00より開催とさせて頂きました。敗血症の早期発見と早期治療を目標としましょう。 大勢の皆さまにご参集を頂き,ありがとうございました。 代表幹事:松田直之


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手技 閉鎖式A-lineからの採血と動脈血ガス分析

2016年09月04日 00時13分46秒 | 急性期管理技術

手技解説 

適切なA-line採血 PART2 閉鎖式A−lineからの動脈血採血


名古屋大学大学院医学系研究科 
救急・集中治療医学分野

日本救急医学会 救急科指導医・専門医

日本集中治療医学会 集中治療専門医


松田直之

 

 はじめに 


 動脈圧ライン(arterial line: A-line,A line,Aライン)が確保されている状況では,医師に限らず,適時,看護師さんが動脈ガス分析を行い,さらに圧ラインを清潔に管理できるとよいです。また,A-lineが入っているのに適切に圧波形が出ていない状況は,カテーテル内での血栓形成の可能性も出てきます。A-lineは,時間あたり1.8-2 mL/時で生理的食塩水(ヘパリン添加を含む)が流れるものとして管理しています。ヘパリンを生理的食塩水に含めるかどうかは,施設基準によりますが,大切な管理は動脈圧波形がしっかりと出るように管理することです。多くの前向き臨床研究では,ヘパリン1単位/mLを含む生理的食塩水と生理的食塩水のみで還流させた場合に統計学的有意差はついていませんが,ヘパリンを含まない場合にはカテーテルの血栓性閉塞は約18%に高まる可能性があります(Del Cotillo M,et al. Intensive Care Med. 2008;34:339-43)。一方で,ヘパリンをルーティンに併用する危険性は,ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)です。A-lineの管理では,A-lineを定期的にフラッシュをする必要はありませんが,しっかりとA-lineの圧波形が出るように管理しましょう。

姉妹編(開放式・髭つき回路からの採血) 手技 適切なA-line採血と動脈血ガス分析の実際 クリック

※ 看護師さんへのお願い:すべての手技は,親指を曲げないことから始まります。親指が立つと,指全体が曲がりやすいのです。これは,料理の手技でもそうです。指が曲がらない手技は,等速直線運動を作りやすいにです。慌ててはいけません。慌てることが災害です。親指を曲げない手技を体得されてください。

  コツとポイント 

1.サンプリングサイト(血液を採取する場所;採血ポート;ゴム式プラグやプラネクタなど)の清潔化:アルコール綿で消毒してから1分置くようにします。これは,仮に菌が付着していても減菌できるからです。静脈路確保の際と同様に,A−line確保やA-line採血においても1分間待ちます。これは,サンプリングサイトに付いている菌を減量させるためです。僕自身は,アルコール綿で拭いた後にそのアルコール綿の裏面で積み込みさらにアルコール綿が入っている袋で包み込む方法(松田考案:アル綿包み込み法/1分間法)などで,1分間以上アルコール綿で消毒する方法(ステップ2/3参照)とします。

2.アルコール綿:アルコール綿は,1袋に2枚付いています。1枚は使用前,1枚は使用後として,意識してアルコール綿を使用します(ステップ2参照)。

3.シリンジの挿入方法:垂直穿刺を原則(ステップ8参照)とします。斜めに挿入することで,血液をベッドサイドなどにこぼす可能性が高まります。写真では,サンプリングサイトに25G針で穿刺していますが,プラネクタであれば針を用いずに直接にシリンジを挿入しますので,この際は絶対に寝かせてはいけないと強調して指導しています。シリンジは,寝かせて挿入するのではなく,立てて挿入することが原則です。BD A-line採血キットなどというのもあります。この1 mLシリンジはすぐれものです。

4.空気を回路に内に入れないこと:サンプリングサイトがプラネクタ(ステップ2参照)であるときなどは,特に雑に挿入すると回路に空気が入りやすいです。

5.動脈血採取後の対応:サンプリングサイトを残る1枚のアルコール綿で拭き,サンプリングサイトから血液を拭き取り,残さないようにします。

 

 写真で見る手技ステップ 

※ アルコール耐性のセラチアや表皮ブドウ球菌,またアシネトバクターもいます。しっかりと拭いて下さい。

※ ご自由に印刷されてご使用下さい。


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