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集中治療 人工呼吸器の使い方の基本 NO.1

2010年04月10日 03時59分25秒 | 講義録・講演記録

人工呼吸器の使い方の基本

名古屋大学大学院医学系研究科 

救急・集中治療医学分野
松田直之


 はじめに 

 外科術後,外傷,蘇生後,敗血症などの全身性炎症反応症候群では,炎症性サイトカインや,NO,プロスタグランジンなど炎症性物質の産生により,肺の血管透過性が亢進します。このような呼吸管理において人工呼吸器は1つの呼吸補助手段となりますが,不適切な使用をすると急性肺傷害が増悪することにも注意が必要です。しかし,実際にいろいろな先生の用い方をみていると,基本があまり理解できていないようです。人工呼吸管理では,人工呼吸の使用目的を明確にし,適切な使用とすることが必要です。本稿では,人工呼吸器を使用する目的を明確とし,人工呼吸用モニターをどのように活用するかをまとめます。

 人工呼吸器使用の目的 

人工呼吸の使用目的は,酸素化の改善,換気の改善,呼吸仕事量の軽減の3つに分けて考えることが大切です。

1)酸素化改善の目的:動脈血酸素分圧(PaO2)の改善
 PaO2の正常値:100 - age/4 mmHg (80 - 95 mmHg)
2)換気改善の目的:CO2排泄の補助,PaCO2の正常化(正常:35-45 mmHg)
一回換気量の改善・補助,あるいは呼吸リズムの改善・補助を目的とします。
3)呼吸仕事量の軽減目的
 適切な換気補助により,呼吸仕事量が減少し,患者さんは安楽となります。

 肺酸素化改善のために 

 人工呼吸を導入する最大の目的は,全身の酸素化を改善し,組織の虚血の進行を軽減することです。アシデミアではヘモグロビン・酸素飽和曲線が右方シフトし,ヘモグロビンの酸素結合率が低下します。このため,敗血症などの組織虚血によりアシドーシスに傾く状態では酸素投与により,肺でのヘモグロビン・酸素結合率を高める必要があります。しかし,敗血症の進行により,肺胞と肺毛細血管のガス交換が悪くなったり,気道確保が必要な場合には,人工呼吸により確実に肺酸素化を補助することができます。一般に,人工呼吸の導入前後では,鼻カヌラ,酸素マスクなどを用いた酸素投与が行われます。こうした条件で酸素化が達成できない場合や,患者さんの呼吸疲労が強い場合や,確実な気道確保が必要とされる場合に,人工呼吸管理に移行します。

1.人工呼吸器を用いない方法

① 酸素投与
経鼻カヌラ(酸素3 L/minまで)→ 酸素マスク(酸素10 L/minまで)→非侵襲的人工呼吸管理あるいは人工呼吸導入器の導入の順で,肺酸素化管理を行います。

【参考】
経鼻カヌラでの酸素投与と吸入酸素濃度
O2 1 L/min 投与 → FiO2  0.24
O2 2 L/min 投与 → FiO2  0.28
O2 3 L/min 投与 → FiO2  0.32
  空気  FiO2 0.21(1 % 酸素濃度)
しかし,これはあくまでも目安に過ぎず,以下の点に留意します。
■ 鼻カヌラであっても,患者さんの安静状態では1回換気量が減少しているため,予想以上の高濃度の酸素が吸入されていることがある。
■ 酸素マスクによる3 L/min以下の酸素投与では,マスク内に蓄積した呼気が再呼吸されやすく,CO2が貯留する可能性がある。
■ 酸素マスクによる5 L/min以上の酸素投与では,吸気が乾燥するため加湿する。

② 用手的間欠的陽圧呼吸(IPPV:intermittent positive pressure breathing)
ジャクソンリース回路やバックバルブマスクなどを用いて,自発呼吸にあわせて用手的に陽圧をかけて,肺胞・末梢気道レベルを拡張させることが可能です。患者の意識が保たれている場合には,用手的IPPVにより肺胞虚脱を一時的に緩和させ,喀痰排泄を施し,酸素化を改善させることを試みます。

2.酸素化改善に対する人工呼吸器の導入


 人工呼吸における酸素化改善の人工呼吸設定のポイントは,①終末呼気陽圧(PEEP:positive end expiratory pressure)と②FiO2の2つです。FiO2を上昇させる前に,十分なPEEPを施し,FiO2を最低値に保つ工夫が必要である。しかし,人工呼吸器を導入する際には,いかなるトラブルが生じるかが不明であるため,原則としてFiO2を高めに設定しています。

1)終末呼気陽圧(PEEP:positive end expiratory pressure)の重要性
 PEEPとは呼気終末に陽圧をかけることで肺胞や末梢気道を拡張させる方法です。肺酸素化の悪い場合は,酸素投与濃度を上昇させる前に,適切なPEEPをかけることが人工呼吸管理の原則です。正常肺においては,PEEP 15cmH2OまではPEEP圧に比例して肺胞器量が増加することが知られています。虚脱した肺胞は,PEEPにより再拡張し,酸素化が改善されます。PEEP圧の設定には,最小PEEP(3~5cmH2O),least PEEP(5~10 cmH2O),best PEEP(11~15 cmH2O),agressive PEEP(20~30 cmH2O)があります。最小PEEPは,通常の自発呼吸下で自然にかかるauto PEEPを再現したものであり,人工呼吸管理における最低限のPEEP圧と考えてよいでしょう。肺胞虚脱を伴う場合には,適切なPEEP圧として約10cmH2Oレベルが必要と考えられています。agressive PEEPは,心拍出量の低下や気胸の発症の危険があり,一般的とは言えません。
 
2)酸素濃度(FIO2
 重度の急性肺障害でPaO2を維持するためには,FIO2を上昇させなければならない場合がありますが,特に炎症治癒過程における高濃度酸素の有害性を考慮し,FIO2はできるだけ低く設定するように心がけ,FIO2 0.4以下を常に目標として管理するのが望ましいです。FIO2 0.35以下でPaO2が90 mmHg以上(PaO2/FiO2>250)を維持できる状態であれば,酸素化のみを目的とした人工呼吸器管理からは,十分に離脱が可能です。肺酸素化は,血液ガス分析とパルスオキシメータを用いて評価しています。私は,後述するフロー曲線を評価し,肺胞が虚脱しやすい状態ではPEEPを残し,FIO2から低下させていくことをお勧めしています。FIO2は,SpO2管理94%レベルを標準として0.25(25%酸素)レベルまで,気管挿管下の集中治療管理では低下させて,管理しています。PEEPは呼吸終末気管支レベルと肺胞嚢領域を拡張させるための方策として,末梢気道に浮腫が残存していたりなどのFIO2とは別な解釈としてPEEPを大切に温存する管理方法があります。

  換気の改善・CO2の排泄について 

 人工呼吸管理のもう一つの目的として,CO2排泄,適切な換気補助が挙げられます。努力性呼吸状態では,圧補助換気などの換気補助を施すこと,呼吸仕事量を軽減でき,患者さんの交感神経活性が軽減できます。また,浅い不確実な呼吸で分時換気量が減少した状態が持続すると,CO2排泄が損なわれます。このような動脈血CO2分圧上昇の状態では,呼吸性アシドーシスが進行することに加え,PaCO2の上昇により血管は拡張し,脳圧が脳血管も拡張するために亢進し,不隠の一因となります。まず,非侵襲的人工呼吸管理の適応を検討しますが,分泌物が多い状態では,人工呼吸管理に移行する場合も多いです。現在,急性肺障害の人工呼吸器設定では,1回換気量 6 mL/kgレベル,最大気道内圧<30 cmH2Oが推奨されていますが,これらのレベルでも,器質的障害を持たない肺では十分に換気の是正が期待できます。

1. 換気の指標
換気によるCO2排泄は,分時換気量により規定されます。分時換気量を調節することにより,CO2排泄を血液ガス分析とカプノグラムで評価します。人工呼吸管理においては,1回換気量を増加させる際だけではなく,呼吸数を上昇させる際にも,最大気道内圧が上昇することに注意します。
分時換気量(MV:Minute Volume)(L/min)=1回換気量(TV: tidal volume)(L/回)×呼吸数(RR:respiratory rate)(/min)分時換気量

2.換気モードの設定
 人工呼吸管理では,可能な限り生理的な呼吸に近い換気を維持する工夫が大切です。このためには,自発呼吸をトリガーとしたsupportモード(補助換気)を基本とすることが推奨されます。また,間欠的に強制換気を併用する場合には,Volume Controlモード(決められた1回換気量を決められた回数,1分間に入れる呼吸様式)ではなく,圧設定によるPressure Controlモードを選択するのが望ましいです。Volume Controlモードでは,強制的に一定量を肺に送り込むため,喀痰貯留により突然に気道内圧が高まる可能性があります。Volume Controlモードを選択した場合,喀痰分泌,無気肺生成により,健常肺に肺損傷を起こす可能性があることに注意が必要です。近年は,このようなVolume Controlモードの危険性を回避するために圧制御従量式調節換気(PRVC:pressure regulated volume control ventilation)を搭載する人工呼吸器が臨床使用されています。

 1) 自発呼吸と強制換気の違いについて
自発呼吸と強制換気の大きな違いは,胸郭および横隔膜運動の生じる方向性にあります。自発呼吸では,胸郭と横隔膜の運動により2次的に気道と肺に気流が生じます。これに対して,強制換気では気道と肺に気流を送り込み,2次的に胸郭と横隔膜を拡張させています。仰臥位では,横隔膜に肝臓などの臓器圧迫が加わるために,強制換気では横隔膜運動が障害されやすく,肺下葉背側に無気肺が生じやすいのです。このような状態を緩和するためには,自発呼吸を温存し,Pressure Supportモードで横隔膜運動を補助するとよいです。十分な筋弛緩薬を使用することにより横隔膜の弛緩が得られますが,筋弛緩薬の長期使用により横隔膜機能が低下することが知られています。このため,低体温療法におけるシバリングを予防する場合や,頭部外傷後の咳反応を抑制したい場合を除いて,人工呼吸管理には筋弛緩薬を併用しないのが一般的です。敗血症性急性肺障害の管理では,筋弛緩薬を用いることはありません。

 2)Pressure Support ventilation(PSV)モードについて
 PSVは,患者の呼吸を感知し,気道内圧を上げることにより,一回換気量を維持させる人工呼吸モードです。自発呼吸を感知する方法として,圧トリガー,フロートリガーの2つがあります。このうち,フロートリガーは呼吸感知が速く,呼吸仕事量が少ない段階で補助呼吸を達成できるため,現在の自発呼吸感知の主流です。圧トリガーは,患者呼吸の初期に患者の吸気努力を必要とするため,呼吸仕事量が必ずしも軽減できないことに注意する必要があります。

■ PSレベル(cmH2O)の設定
 必要な1回換気量(6 mL/kg)が得られる気道内圧はどれぐらいかを目標として,PSレベルを設定します。しかし,このPSVモードを単独で使用した場合には,呼吸数が多い患者さんや,喀痰量の多い患者さんでは,PSの吸気流速が早いために吸入気が気管から肺胞に拡散していく時間がなく,十分な換気を施せない可能性があります。このようなときには鎮静を深くし,呼吸数を減じように工夫するとともに,後述するPCモードを併用します。

■ PSVモードでは1回換気量をモニタリング
 PSVモードでは,1回換気量の変化に注意する必要があります。PSVモードでは,喀痰貯留や無気肺が生じると,1回換気量が減少します。このような場合,呼吸音を聴取し,ジャクソンリース回路で十分に加圧して,喀痰吸引することが大切となります。

 3)同期的間欠的強制換気(SIMV:synchronized intermittent mandatory ventilation)について
 SIMVは,自発呼吸に同期させ,強制換気を間欠的に行う方法です。自発呼吸の感知の設定は,PSVモードを同様であり,フロートリガーを主流としています。SIMVでは,自発呼吸に同期させることで,強制換気であるものの,患者の人工呼吸器とのファイティングを減少させています。
 このSIMVの具体的な内容は,従圧式強制換気(PCV:pressure control ventilation),あるいは従量式強制換気(VCV: volume control ventilation)である。このうち,喀痰や無気肺の発生に伴う気道内圧上昇や肺損傷を防ぐためにはPCVで設定するのが一般的です。PCV では,PSモードと同様に,1回換気量をモニタリングすることで,喀痰吸引のタイミングを知り,無気肺発生の予防に努める必要があります。また, SIMVは,PSVとは異なり,自発呼吸がなくとも指定した呼吸数にあわせて強制換気をするため,人工呼吸のバックアップモードとしての役割も担います。このように,現在は,PSVにSIMVを併用することにより,両者の欠点を補っています。具体的には,PS圧レベル10 cmH2O,PEEP 4~10 cmH2Oに加えて,SIMVとしてPCV 圧レベル 15~18cmH2O,換気回数 10回/分,吸気時間 1.5秒程度で人工呼吸管理を開始し,患者の状態にあわせてSIMVの換気回数を下げ,ウィーニング期にはPSVのみに移行させます。

 重要 人工呼吸中のモニタリング 

 人工呼吸中には,患者さんのストレスを回避することに加えて,以下をモニターすることで,適切な管理を心がける必要があります。

1.鎮痛と鎮静
 Ramsay sedation score(RSS)(表1)やRichmond Agitation-Sedation Scale(RASS)(表2)などを用いた適切な鎮静と不隠の管理が必要です。RSSやRASSは,患者さんの重症度に応じてレベルを選択しますが,日中は鎮静を浅く,夜間は鎮静を深く保つことで,日内リズムをつける工夫が大切です。侵襲の強い時期には,日中はRSS 4~5あるいはRASS-3~-4,深夜はRSS 5~6レベルあるいはRASS-4~-5を基準とします。また,患者さんの観察やCAM-ICU評価などにより,不隠(agitation)やせん妄を評価します。RASSによる鎮静レベルは,大声で名前を呼ぶか,患者さんに開眼するように伝えて評価します。10秒以上のアイ・コンタクトがあるかどうかでRASS -1かRASS -2を評価し,アイ・コンタクトがなければRASS-3以下となります。

2.呼吸音・回路音・触診・打診
肺野末梢で聴取される周波数250-500Hzレベルのcoarse crackle(水泡音)は,喀痰分泌亢進の指標となります。いびき様の音として気管支レベルに聴取されるrhonchusは,喀痰の中枢側への貯留や気管チューブの狭窄を疑う所見です。気道内分泌物の亢進の際には,呼吸音の変化とともに,人工呼吸回路の触知でも呼吸性振動として感知できます。また,人工呼吸管理において,喘息様症状が生じることもあります。喘息様症状では,周波数400Hz以上のピッチの高いwheezeとして聴診される。突然の換気異常や循環変動が認められた場合には,FiO2を高めるとともに,胸部打診により緊張性気胸を直ちに評価する必要もあります。

3.パルスオキシメータ
 肺酸素化能の指標として,パルスオキシメータを有効に活用します。

4.カプノグラム
カプノグラムの波形は,横軸が時間,縦軸が呼気ガス中のCO2分圧を示します。呼気ガスより得られる呼気終末CO2分圧(PETCO2)は,人工呼吸器などの死腔の影響で動脈血CO2分圧(PaCO2)より通常でも3-4 mmHg低く検出されますが,CO2排泄の変化を経時的にベッドサイドで知ることができるため,換気条件の変化の評価に有用です。このカプノグラム波形は4相で構成されており(図1),呼気延長,喀痰貯留などの評価にも役立ちます(図2)。呼吸数の多い状態では,十分な肺胞換気が施されないために,PETCO2がPaCO2と極端に解離する場合がありますので,1回換気量を再評価しましょう。

5.気道内流速曲線(time–flow curve,フロー曲線)
気道内流速曲線は,横軸に時間経過,基線上に吸気波形,基線の下に呼気波形が示されます(図3)。フロー(V(・))とは1分間当たりに流れる空気流量のことです。このフロー波形と基線が作る面積が換気量となります(図4)。喘息様症状や喀痰貯留,および回路リークの状態では,呼気波形の曲線が基線に戻らないなどの呼気相波形の変化が生じます(図5)。このような状態では,open lung strategy(肺の十分な拡張),気道内分泌物除去,PEEP圧の再設定,吸気流速調節,気管支拡張薬の使用などを検討します。

6.換気量曲線(time-volume curve)
 換気量曲線では,横軸の時間経過に従い,縦軸に換気量が示されます(図6 A)。呼気がゼロに戻らない場合(図6 B),気道内流速曲線と同様に,喘息様症状や喀痰貯留,および回路リークを疑います。

7.圧-換気量曲線(pressure-volume curve)
 圧-換気量曲線は,気道内圧の上昇とともに換気量がどのように変化するかを呼吸ごとに示してくれます。気道内圧が横軸に,換気量が縦軸に表記されます。この曲線は,図7のように自発呼吸やSIMVとPSVで異なる波形となります。図8 Aのように圧-換気量曲線に屈曲点(inflection point)が認められた場合には,肺胞虚脱が示唆され,用手的に肺を再拡張させ,PEEP圧の設定を見直すopen lung strategyの適応と評価します。圧-換気量曲線の傾きは,肺コンプライアンス(肺の広がりやすさ)を示しており,傾きが低下するほど肺コンプライアンスは低く,肺が拡張しにくいことを示す。PSV圧レベルの設定においては,図8 Bのように,最大気道内圧で‘キジのくちばし’様に変形のないことを確認する必要があります。高すぎるPSV圧レベルの設定では,図8 Bのように換気量が飽和してしまいます。この圧-換気量曲線においても,呼気波形が基線に戻らない場合,上述の気道内流速曲線や圧-換気量曲線と同様に,喘息様症状や喀痰貯留,および回路リークを疑います。

8.フローボリュームカーブ (flow-volume curve)
 患者さんの1回換気量を横軸に,患者の気道流量を縦軸に曲線を描いたものです。呼気相における波形変化として,呼気延長や喀痰貯留を検出できます。呼気相の流速(フロー)が減少しやすい場合,PEEPを温存させることになります。


 非侵襲的陽圧換気(NIPPV:non-invasive positive pressure ventilation)について 

鼻マスクやお面マスクを用いて,気管挿管をしない人工呼吸管理が可能です。このようなNIPPVでは,BiPAP(biphasic positive airway pressure)モードとして,吸気時陽圧(IPAP : inspiratory positive airway pressure)と呼気時陽圧(EPAP: expiratory positive airway pressure)の2つを設定します。IPAPとEPAPの差圧は人工呼吸管理におけるPSVレベルに相当するものであり,EPAPは人工呼吸管理におけるPEEPに相当します。急性肺障害,術後の呼吸補助,睡眠時無呼吸症候群,喘息,多発肋骨骨折における内固定などに応用されています。



 おわりに 

 本稿では,人工呼吸器の適切な使用を記載しました。急性肺障害の管理において,最も気を付けることは,①酸素化を改善するためにはまずPEEPを10 cmH2Oレベルでかけること,②フロー曲線を利用してCO2排泄のための適切な吸気時間を設定をすること,③最大気道内圧は30 cmH2O以下とすること,④圧-換気量曲線やフローボリューム曲線を利用し肺コンプライアンスの時系列評価と喀痰吸引のタイミングに役立てることです。人工呼吸管理では,酸素化とCO2排泄を個別に考えるとわかりやすく,CO2排泄のためにSIMV(PCV)とPSVを用いるのが一般的であると理解すると良いと思います。Airway pressure release ventilation(APRV)については,別稿に追記する予定です。

追記 参考図書

記事は,2010年の記載ですが,本稿を盛り込んで,学研で約7年間に渡り呼吸セミナーをさせて頂いていました。
この間に,合計約2,000名を超える皆さんに聴講して頂き,感謝しております。

ICU・救急ナース「呼吸と循環に強くなる」は,この講義内容を記載している口述本です。

 

図表 松田直之「救急一直線 Happy保存の法則」

集中治療 人工呼吸器の使い方の基本 図表 https://blog.goo.ne.jp/matsubomb/e/7de688f46021d3acd779b0f38b41c23c

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