救急一直線 特別ブログ Happy保存の法則 ー United in the World for Us ー

HP「救急一直線〜Happy保存の法則〜」は,2002年に開始され,現在はブログとして継続されています。

研修医の先生向け講座 「敗血症・敗血症性ショックの管理」

2006年06月26日 11時45分40秒 | 講義録・講演記録

研修医・看護師の皆さん用
 
「2006年版 敗血症・敗血症性ショックの管理」


京都大学大学院医学研究科
初期診療・救急医学分野

松 田 直 之(まつだなおゆき)

E-mail:nmatsuda@kuhp.kyoto-u.ac.jp


はじめに

セプシス(sepsis:本稿では敗血症と訳す)が感染症に起因する全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome: SIRS)とAmerican College of Chest PhysiciansとSociety of Critical Care Medicineの合同カンファレンスより公表されたのは1992年です1)。あわせて,重症セプシスは臓器不全やショックを合併する敗血症と定義されています1)。2004年にはSurviving Sepsis Campaign guidelines2)が発表され,敗血症管理の最低基準が提示され,これらはさらに新たなエビデンスのもとに再構築される予定です。敗血症や敗血症性ショックの管理では,診断と治療を同時に進めることが大切であり,いくつかの回避しなければならない管理ポイントがあります。質問に答える型式でこれらをまとめます。

(1)輸液管理をどのように行えばよいですか?

集中治療管理は優秀な単独の医師による連続した数日間の管理に期待するものではなく,多くの医師の参加により,客観的かつ統合的に管理を継続するものです。輸液管理においても管理指針を明確とし,客観的指標を皆で共有することが大切です。輸液指標として中心静脈圧(central venous pressure: CVP)の持続測定,その評価指標として観血的動脈圧による持続的血圧測定を用います。輸液による心前負荷の昇圧効果を観血的動脈圧を用いて連続的に評価すると考えましょう。特に,敗血症性ショックでは,そのショックが惹起された初期の輸液療法が不可欠です。Surviving Sepsis Campaign guidelines2)でも,この初期の管理目標をearly goal directed therapy3)として重視しています。ショック出現後6時間まではCVP 8~12mmHgを目安に十分な輸液負荷を行い,平均血圧≧65 mmHg,尿量≧0.5 mL/kg/時,中心静脈酸素飽和度あるいは混合静脈血酸素飽和度≧70%を満たすことを目標とします。輸液成分については,晶質液とコロイド液に優劣をつける明確なエビデンスはありません。晶質液であれば1-2 L/h,コロイド液であれば0.6-1 L/hの輸液速度を目標として6時間の輸液負荷を行います。充分な輸液を行わずにカテコラミン投与を優先すると,カテコラミン投与量が増大する一方で,十分な昇圧は得られにくいです。CVPの測定においては,中心静脈圧の波形解析を行うことも重要です。エコー所見で輸液量を評価して対応することもできます。CVP測定は適切に行うことが重要で,他覚的所見の一つと考えましょう。CVPが輸液バランスを鋭敏に反映するわけではなく,アバウトンものであることには注意して下さい。

(2)カテコラミンの効果的な投与法を教えてください。

カテコラミンは論理的なポリシーを持って使用する工夫が必要です。心収縮性を期待したい場合にはアドレナリンβ受容体刺激を介したドブタミン(DOB)を選択するべきですが,DOBはβ2受容体刺激による血管拡張作用を示すため,充分な輸液負荷のない敗血症性ショック初期に用いると極端な血圧低下をきたしやすいです。また,心拡張不全が起こっているときには,禁忌と考えてよいでしょう。敗血症性ショックの初期病態は一酸化窒素(NO)やプロスタグランジン産生に伴う血管拡張による相対的循環血液量減少性ショックです。このため,ショック初期の昇圧目的でカテコラミンを用いる場合には,過剰に拡張した血管を元に戻すという意識でノルアドレナリン(NA)0.05~0.2μg/kg/minかドパミン(DOA)の持続投与を行い,主にアドレナリンα1受容体を介した血管収縮作用を期待するのです。この作用をDOAに期待する場合には10μg/kg/min以上の高用量の投与が必要となり,α1受容体作用のみならず,β受容体作用も同時に現れています。論理的にはDOAの高用量を使用せず,NA 0.1μg/kg/minレベルで対応するのが望ましいです。敗血症に心拡張不全は,ルーティンに起こってきますので,原則としてはDOBは使用しないことが望ましいです。交感神経緊張期が強かった場合(タコツボ様),低体温,アシデミア,不全心では,DOBやDOAを使用しない管理が適切となります。

(3)輸液に反応しない敗血症性ショックはどう対応するのですか?

 CVP 8~12 mmHgを目安とした充分な輸液による心前負荷でも昇圧や達成目標が得られない場合は,NAを併用し血圧を維持します。しかし,同時に心機能を評価することも大切です。心機能は体表心エコ-図で必ず評価し,心壁運動の低下を認める場合にはドブタミン(DOB)を1~2 μg/kg/minレベルで併用します。すべてのカテコラミンは少量ずつ反応させ,昇圧効果や心収縮性をモニタしながら緩徐に増量すべきものであり,DOBにおいても高用量から投与することは慎むべきです。急激な心筋細胞内Ca2+過負荷により,心拡張不全や不整脈の原因となることに留意が必要です。また,ヘマトクリット値≦30 %であれば赤血球輸血を行うことが推奨されています2)。長期管理中の患者やステロイド使用患者においては,合併する副腎機能不全を念頭に置き,少量ステロイド補充が必要となります。

(4)呼吸状態の悪化を考えると輸液したくないのですが!

敗血症病態では産生された炎症性物質により,血管内皮細胞の支持組織のリン酸化と過伸展が生じ,血管透過性が亢進するため,輸液は細胞間質や重要臓器組織に浸透しやすく,肺の酸素化能も傷害されやすいです。輸液目標の上限はCVP 8~12mmHgと設定していますが,これにより肺酸素化が増悪する傾向は否めません。この背景をふまえて,敗血症においては充分な酸素投与を行い,また,敗血症性ショックでは人工呼吸を併用した呼吸管理を念頭に置く必要があります。敗血症性ショックの治療の成功させる秘訣は,起炎菌に対する治療と炎症性サイトカインの産生を軽減させる点にあります。この治療が敗血症性ショック初期には達成できないため,early goal directed therapyに準じた充分な輸液対応が不可欠となります。敗血症病態における血管透過性亢進改善薬が臨床応用されていない現在,呼吸管理は急性肺傷害の治療に準じて不可欠と考えましょう。

(5)重炭酸イオンはどのように用いればよいですか?

 pH 7.15未満のアシデミアではさまざまな生体内酵素の活性低下や,細胞内Ca2+ 過負荷による心血管系の拡張不全が生じます。敗血症における重炭酸イオンの絶対的補充は,pH 7.15未満と考えます2)。軽度のアシデミアではヘモグロビン酸素解離曲線が右方移動するため,ヘモグロビンからの酸素解離が組織末梢で行われやすいものとなっています。重炭酸イオン補充により代償的にpHを上昇させると,虚血領域の組織末梢での酸素運搬は正常レベル以下となり,組織末梢での酸素供給が低下する可能性に注意が必要であり,重炭酸イオンのルーチンな補充は極力避けるべきなのです。


(6)ストレス潰瘍対策はどのように行いますか?

H2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターは胃内pHを上昇させるため,腸球菌属などが逆行性に胃や咽頭に出現し人工呼吸器関連性肺炎の原因となります。これまで感染防御の視点からはスクラルファートなどの防御因子促進剤の投与が第1選択として推奨されてきました。しかし,重症なショック状態ではスルラルファートだけでは消化管潰瘍を合併することも多いため,敗血症性ショックの急性期にはH2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターを用いることも推奨されています2)。胃管からの黒色残渣や便の黒色化には充分に留意し,消化管潰瘍の合併を疑う場合は,上部消化管内視鏡を行う必要もあるでしょう。赤血球輸血についてはヘモグロビン(Hb)≦7g/dLの場合を絶対的適応としています2)。

(7)ステロイドパルス療法は無効ですか?

現在,メチルプレドニゾロンを用いたステロイドパルス療法が敗血症性ショックの生命予後を改善するエビデンスはなく,ステロイドパルス療法はむしろ有害であるとも考えられています。ステロイド使用に際しては,ショック状態における副腎機能不全を念頭に入れ, 1日量200~300mgのハイドロコルチゾンを3分割あるいは4分割投与あるいは一日持続静注での7日間投与を開始する「少量ステロイド療法」が推奨されています2)。表1には重症敗血症に使用できる静注用グルココルチコイド製剤を示しました4)。投与直前には採血を行い,血漿コルチゾル値を計測し,副腎機能不全を評価します。しかし,この結果には数日を必要としますので,充分な輸液で昇圧効果の得られない難治性敗血症性ショックでは検査結果を待たずに少量ステロイド療法を開始します。後日評価された血漿コルチゾル値が34μg/mL以上であればステロイド投与を中止とし,9~34 μg/mLレベルであればACTH 250 mgの負荷試験を行い,副腎機能不全があるとみなした場合,投与を継続することになります5)(図参照)。

(8)血糖コントロールは重要なのですか?

敗血症が持続した病態管理で最終的に留意すべき点は血管内皮細胞保護と充分な栄養です。重症敗血症では血管内皮細胞が急速に傷害される可能性もあり,血小板数の急激な低下では播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療を開始することが必要です。高血糖の持続は易感染状態を導くばかりでなく,それだけでも血管内皮細胞傷害を惹き起こすため,血管内皮細胞保護の観点からも血糖コントロールは重要です。現在,血糖コントロールは速効型インスリン持続投与で150 mg/dL以下を目標とした厳密な管理が推奨されています2)。重症敗血症ではインスリン抵抗性も出現するため,治療に当たっては表2に示したようなインスリン持続投与のスライディングスケールを用いる工夫も必要です。2006年の米国集中治療医学会では,積極的なインスリン療法による敗血症管理で低血糖の合併率が増加したことが問題とされていましたが,血糖値の安定しない敗血症の急性期管理では少なくとも4時間ごとの血糖値評価が必要です。

(9)栄養管理は中心静脈栄養より経腸栄養が良いのでしょうか?

高炎症性サイトカイン状態や高カテコラミン状態ではインスリン抵抗性が高まり,耐糖能異常や蛋白異化が亢進します。高血糖を気にするあまりに低栄養管理を持続させた弊害は,痩せにとどまらず血管内皮細胞を含むインスリン受容体陽性細胞の細胞内情報伝達系蛋白の発現にまでおよぶことを意識するべきです。必要不可欠なエネルギー補充を行い,インスリンやインスリン抵抗改善薬を用いて蛋白異化を最小限に軽減する工夫が急性期管理にも求められています。その上で,経腸栄養は腸を動かすことにより腸管におけるIgAなどの液性免疫産生をもたらすことや,ω3系脂肪酸を含有させることにより腸管で過剰産生される誘導型シクロオキシゲナーゼを消費させ,プロスタグランジン産生を抑制する利点を認識すればよいです。腸を使用しない状態では腸粘膜の浮腫や脱落によりbacterial translocationが亢進するため,敗血症管理においても栄養経路の第1選択と考えられています2)。「先生,腸音が聞こえないので経腸栄養をストップしました」。腸音が聞こえなくても経腸栄養は継続すべきですし,開始すべきです。急性期管理では間欠的投与ではなく20 mL/hの24時間持続投与で僕は経腸栄養を開始します。カテーテル先端がTreitz靭帯を超えて留置されていれば,急速に経腸栄養速度を速めることができますが,胃内に留置されている場合は6時間ごとに逆流を確認し,胃液分泌量も把握するように努めています。胃や腸は食物が入って動きが高まるのです。そして,排便管理には注意しましょう。また,腸の動きが悪い場合は鎮静レベルを充分に評価することも大切となります。

(10)持続濾過透析やエンドトキシン吸着はどのように行いますか?

 持続濾過透析(continuous hemofiltration: CHF)は敗血症病態における水分管理を行いやすくします。また,エンドトキシン吸着カラムはearly goal directed therapyの初期輸液に反応傾向を示さない難治性ショックに対して有効である可能性が示唆されています。正常腎の1日の糸球体濾過量に相当する180 Lレベルの6~9 L/hで4~6時間程度の短時間だけ限外濾過を行うshort-term high-volume hemofiltration(STHVH)により,炎症性サイトカインの除去が効率よく行える可能性もあります。これらは未だ十分なエビデンスとしてまとめられていないものの,多くの集中治療施設でCH(D)Fを用いて,水分管理を行っているのが現状です。フロセミドの使用により利尿をつける工夫は,ショックの急性期を離脱した後とするのが一般的と考えています。

(11)抗菌薬はどのように選択し,どのように投与しますか?

抗菌薬投与に触れる前に,まず,敗血症管理において何よりも注意すべきことは,ベッドサイドでのアルコール製剤による手指消毒です。また,汚染が予想される処置では標準予防策を徹底しなければなりません。敗血症性ショックなどの慌しい対応の中で,医師の手によりMRSAや多剤耐性緑膿菌などが交叉感染し,数日後にこれらが菌交代症として出現してくることを意識して対応しなければなりません。中心静脈カテーテル挿入においても,手洗いとmaximum barrier precautionを徹底しましょう。
 敗血症性ショックの患者管理では,血液,喀痰,尿,胃液,便,そして,ドレーン排液などの細菌培養検査を提出し,経時的に検出結果を追うことが大切です6)。これらの監視培養を週2回定期的に行い,この結果に基づき抗菌薬のスペクトルを狭いものに変更します。この抗菌薬使用戦略をde-escalating strategyと呼び,敗血症性ショックにおいても有効な抗菌薬投与法となります。感染巣が不明である場合は,その検索を行うことが必修であり,常に感染巣に対してのドレナージや洗浄を考慮します。
 従来,広域スペクトラムの抗菌薬は薬剤耐性菌出現の可能性から慎むべきとされてきましたが,たとえ広域の抗菌薬を用いたとしても,作用機序の異なるものを週単位でバランスよく使用することで耐性菌出現を緩和することができます6)。現在,こうした広域の抗菌薬を用いる耐性菌出現抑制の戦略には,サイクリング,ミキシングなどが知られています6)。
 また,敗血症病態における抗菌薬使用には工夫が必要であり,血中濃度の確実な上昇が期待できる静注薬を用いることが原則であり,さらに,ペニシリン系抗菌薬,カルバペネム系抗菌薬,セファロスポリン系抗菌薬ではtime above MIC(minimum inhibitory concentration)を考慮し,1日3~4回投与を原則とします。キノロン系抗菌薬とアミノグリコシド系抗菌薬は最大血中濃度とAUC(aria under the curve)を大きくするために,分割投与ではなく1日1回投与を原則とします。MRSA治療ではバンコマイシン(trough 10~15µg/mL),テイコプラニン(trough 20 µg/mL以上),アルベカシン(peak 12 µg/mL)を用い,併記した血中濃度レベルに持ち込むことが必要となり,添付文書や従来の投与法では菌体数減少が期待できないことがほとんどです7)。真菌感染も疑うことが必要であり,血漿(1→3)-β-D-glucan値の上昇が認められる場合は真菌培養検査結果を待たずに,ミカファンギンかボリコナゾールの投与を開始します。血中で真菌が検出された場合は眼内炎の合併にも留意しなければなりません。CHDF併用中は保険適応レベルのフルコナゾール投与量のほとんどが除去されてしまうため,CHDFを併用する際にはフルコナゾールを用いません。

(12)最近話題の敗血症治療について教えてください。

 敗血症は抗菌対策の成功が鍵であるにもかかわらず,その成否を抜きに炎症コントロールに着眼しても治療結果は伴いません。多くの抗サイトカイン療法が大規模臨床研究で有意な生存率改善をもたらさなかった一方で,活性化プロテインCのみがPROWESS studyで患者予後を改善しています8)。PROWESS studyは長期にわたる敗血症患者管理では血管内皮細胞保護とDIC対策がいかに重要かを示唆する結果とも考えることができます。このような血管内皮細胞を含めた炎症病態を軽減させる治療の一端として,日本ではCH(D)Fの導入を積極的に行っており,これらの結果がエビデンスとして公表されることに僕は期待しています。僕の敗血症治療ではCH(D)Fは不可欠なものとなっています。

(13)治療を成功させるための秘訣をまとめてください。

 敗血症の起炎菌対策が速やかに行われる限りでは,炎症性サイトカインの産生が高められた時期をどのように乗り越えるかが大切であり,このために必要とされる戦略がearly goal directed therapyです。敗血症の治療を成功させる秘訣は,起炎菌をどのように消退させるかにあります。起炎菌を速やかに除去できない場合には,起炎菌消失法を絶えず検討することが大切であり,長期戦に備えての抗菌薬戦略,十分な栄養管理,血糖コントロール,DIC予防が重要となるのでしょう。

(14)ここだけは気を付けたい敗血症管理のピットフォールはありますか?

 以下の質問に答えられるとよろしいでしょう。
その1 DOA 8 μg/kg/min ,DOB 8 μg/kg/min,正しいカテコラミン使用でしょうか?最小で最大の効果を得る,これがプロの真髄です。
その2 起炎菌と薬剤感受性は何でしょうか?
その3 副腎機能不全は存在するのでしょうか?
その4 血糖値200mg/dLですが,放置してよいのでしょうか?
敗血症管理においても,病態生理を十分に把握して,観察力と論理的ポリシーを持って治療に当たる姿勢が大切です。患者には多様な個性があります。エビデンスは基盤知識に過ぎません。患者個性をベッドサイドで見極めながら治療に当たること,これは,敗血症管理においても要求される点であると考えています。

参 考 文 献

1)Members of the American College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine Consensus Conference Committee: Definitions for sepsis and organ failure and guidelines for the use of innovative therapies in sepsis. Crit Care Med 1992; 20: 864–74.
2)Dellinger RP, et al. Surviving Sepsis Campaign guidelines for management of severe sepsis and septic shock. Crit Care Med. 2004; 32:858-73. Review.
3)Rivers EP, et al. Eeary goal-directed therapy in the treatment of severe sepsis and septic shock. N Engl J Med 2001; 345:1368-77.
4)松田直之. セプシスにおけるステロイド治療 ―古い薬に対する新たな概念― 治療学 2006; 40:551-6.
5)Annane D, et al. Effect of treatment with low doses of hydrocortisone and fludrocortisone on mortality in patients with septic shock. JAMA. 2002; 288:862-71.
6)松田直之, ほか. ICUにおける抗菌薬サイクリング Prog Med 2005; 25:2329-36.
7)松田直之. MRSAに対する抗菌治療. 竹末芳生 編. 手術部位感染(SSI)対策の実践. 
医薬ジャーナル社,東京. 2005; p138-46.
8)Bernard GR, et al. Efficacy and safety of recombinant human activated protein C for severe sepsis. N Engl J Med 2001; 8:699-709.


図 重症敗血症におけるステロイド投与の指標

表1 重症敗血症に用いる静注用合成グルココルチコイド


表2 速効型インスリン持続静脈内投与のアルゴリズム

 

表は速効型インスリン持続静脈内投与のアルゴリズムの一例である。速効型インスリンを生理的食塩水で1単位/mLに希釈し,シリンジポンプを用いて中心静脈路より静脈内持続投与を行う。アルゴリズム1を通常の投与開始のものとし,炎症強度の強い場合やステロイド投与症例ではアルゴリズム2を基準とする。アルゴリズム3と4は耐糖能が不良な場合に段階的にあげるためのアルゴリズムである。血糖値の目標80-140 mg/dLに達成されるまでは1時間ごとの血糖値測定とし,血糖値が145 mg/dL以上で1時間後に60 mg/dLの改善が得られないときにはアルゴリズムを上げる。血糖値70 mg/dL以下ではインスリン投与を中止する。血糖値40-50 mg/dLでは50 %ブドウ糖液20-30 mL,血糖値40 mg/dL未満では50 %ブドウ糖液40-60 mLの中心静脈路からの投与とし,この場合15-30分ごとに血糖値を再検し,血糖値80 mg/dLを2回確認できたら,アルゴリズムを下げてインスリン持続投与を開始する。血糖値調節の一例として参考とされたい。


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