救急一直線 特別ブログ Happy保存の法則 ー United in the World for Us ー

HP「救急一直線〜Happy保存の法則〜」は,2002年に開始され,現在はブログとして継続されています。

第39回 米国集中治療医学会 (2010年 マイアミ)

2010年01月13日 04時07分36秒 |  ひまわり日記
Society of Critical Care Medicineのマイアミでの総会に出席しております。
1月12日にAWARDの受賞式があり,光栄なことに本学会より2度目のAnnual Scientific Awardの受賞を受けました。
一方,今回の米国集中治療学会総会における多くの講演内容には,
新しいデータが少なく,残念ながら充実したものとは言えませんでした。
もちろん,他のAWARD受賞者の受賞講演には新規性がありましたが。
これからの5年で,日本の集中治療レベルの高さを外国に紹介することが必要となります。
臨床データを世界に提出する,これが僕達のここ数年の課題となると考えています。
世界を超える集中治療成績を安定化させるために,名古屋にも強力なintensivistを育てたいと考えております。










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全身性炎症反応症候群における活性酸素種の役割

2010年01月11日 23時24分28秒 | 講義録・講演記録 2

講座 

全身性炎症反応症候群における

活性酸素種の役割

京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学分野
准教授 松田直之 
記載:2010年1月10日


はじめに

 活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)の存在が分子レベルで報告されたのは1954年である1)。まさにパンドラの箱として発見されたROSも,現在までの54年の歳月を経て,老化,腫瘍,糖尿病,動脈硬化,慢性関節リウマチなどの細胞機能制御因子として詳細な検討が行われてきた。
 急性期管理医学領域のターゲットとする全身性炎症や虚血性病態においても,ROSで酸化された蛋白,脂質,DNAが主要臓器機能に影響を与えることが注目されてきた。傷害組織では,浸潤する単球や好中球などの貪食細胞からROSが多量に放出されることに加えて,組織を構成する様々な細胞が独自にROSを産生する。正常生体内ではROSは微量の調節により細胞分化,細胞増殖,免疫反応,炎症反応,酸素センサーとして機能しているが,近年特に病態時における調節機構としてNADPHオキシダーゼ(NOX)のROS産生機構の研究が進んできた。ROSには,スーパーオキシド(O2・),過酸化水素(H2O2),ヒドロキシラジカル(・OH),次亜塩素酸(HOCl),一重酸素(1O2),ペルオキシルラジカル(RO2・),アルコキシルラジカル(RO・)などが含まれるが,この産生の根底として,NOXの発現が注目されている。
 このようなROS産生に対して,生体内ではビタミンC,ビタミンE,β-カロチン,グルタチオン,尿酸,ビリルビンなどの生体内物質や,superoxide dismutase(SOD),カタラーゼ,ペルオキシダーゼ,ヘムオキシダーゼなどの抗酸化酵素が,抗酸化分子としてROSの作用に拮抗している。しかし,ROSが過剰に産生される病態においては,これらの抗酸化作用を凌駕して,ROSによる細胞機能障害が進行する。本稿では,生体内におけるROSの過剰産生機構を,重症患者管理における全身性炎症反応症候群の病態に照らして論じる。


全身性炎症反応症候群

 全身性炎症反応症候群(SIRS:systemic inflammatory response syndrome)は,1992年に米国集中治療医学会と米国胸部疾患学会により提唱された症候群であり,体温,心拍数,呼吸数,白血球数の4つのクライテリアのうち,2つ以上を満たす病態と定義されている 2)。外傷,手術,広範囲熱傷,急性膵炎,敗血症(sepsis),長期絶食,虚血,ショックなどの基礎疾患において,炎症性サイトカンの産生の表現型としてSIRSが出現する。また,これらに加えて,がん,手術後,高齢者,糖尿病,免疫膠原病,免疫抑制剤使用中,腸疾患,喫煙習慣など基礎病態において,細菌やウイルスなどの感染症は2次性侵害刺激としてSIRSを重篤化しやすく,多臓器不全を合併した重症敗血症(severe sepsis)2)を導きやすい(図1)。このよう病態では,急性肺障害,ショック,急性腎不全,播種性血管内凝固症候群(DIC: disseminated intravascular coagulation)などを同時に合併し,死亡率が高まる。

 主要臓器の様々な細胞には,Toll-like受容体(TLR),tumor necrosis factor(TNF)受容体,Interleukin(IL)受容体などの炎症性受容体が存在し,SIRSを進展させることが確認できる3~5)。このようなSIRS病態において,ROSが過剰産生され,炎症やアポトーシスが進行することが確認されている6~8)。集中治療管理を必要とする重症敗血症9),心原性ショック10),急性肺傷害11)などにおいても,様々な臓器で抗酸化分子が低下しているばかりか,ROS産生自体が亢進していることが検証されている。
 SIRS病態では,炎症性血球細胞の浸潤に加えて,様々な組織の基幹細胞で独自に炎症とアポトーシスが進行する4)。この機序として,組織一群に炎症性受容体を持つ見張り番のようなAlert細胞(警笛細胞)4, 5)が関与する。末梢組織では,同種の細胞といえどもすべての細胞が炎症性反応を惹起するわけではなく,炎症の狼煙を上げるのは一群に存在する一部の細胞に過ぎない。SIRS病態における主要臓器のAlert細胞は,転写因子nuclear factor-kB(NF-kB),activator protein-1(AP-1),cyclic AMP response element binding protein(CREB)/activating transcription factor(ATF),signal transducer and activator of transcription(STAT),interferon regulatory factor(IRF),hypoxia inducible transcriptional factor(HIF)などの様々な転写因子を活性化させ,ケモカイン,接着分子,炎症性物質の転写を高める4, 5, 12)。さらに,Alert細胞では,炎症性シグナルとしてmitogen-activated protein kinase(MAPK)やプロテインキナーゼC(PKC)などのリン酸化酵素の活性化も認められる。SIRS病態では,このような細胞内情報伝達シグナルを介してAlert細胞でROSが過剰産生され,重症度が高められる。さらに,動員された貪食細胞は,同様の細胞内シグナルを介して極めて高量のROSを放出し,組織細胞障害を広範化させる。

活性酸素種とNADPHオキシダーゼ

 ROSは,好中球,好酸球,単球,マクロファージなどの貪食細胞では細胞内でμM~mMレベルに増加し,殺菌作用をもたらすことが知られている13)。一方,主要臓器の基幹細胞や血管内皮細胞や血管平滑筋細胞でもROSは産生されるが,正常時はnM~μMレベルの低濃度に維持されている13)。ROSを産生する細胞内器官は,ミトコンドリア,小胞体,核膜,プロテアソーム,細胞膜などと様々であり,ROSはミトコンドリア電子伝達系に加えて,NOX,シクロオキシゲナーゼ,リポキシゲナーゼ,チトクロームp450,キサンチンオキシダーゼ,ペルオキシダーゼなどの酵素により産生される。このうち特に,NOXはROS産生の中心であり,スーパーオキシドの産生に重要な役割を担う。主要臓器の基幹細胞のROS産生においても,NOXが主要な役割を担うと考えられている13, 14)。
現在,NOXは,NOX1~NOX5,DUOX1~2の7つのアイソフォームが同定され,さらにNOX 作用を高める因子として,NOXと恒常的に会合しているp22phox ,2つのオーガナイザー因子(p47phox,NOXO1),2つの活性化因子(p67phox,NOXA1)およびp40phox,2つのDUOX特異的成熟因子(DUOXA1,DUOXA2)が同定されている。細胞膜上に固定化されるNOX1~NOX5は6回膜貫通型蛋白として,DUOX1/2の2つのアイソフォームは7回膜貫通型膜蛋白として,それぞれの活性化調節因子との連動によりNADPHよりスーパーオキシドを産生する。



1. NOX2
NOX2は,gp91phoxやb-245として1986年にRoyer-Pokoraら15)や1987年にTeahanら16)によりはじめて同定されたNOXである。6回膜貫通型蛋白としてN末端とC末端が細胞質内に位置するように細胞膜上に固定されるが,その活性化にはp22phoxとの会合に加えて,p47phoxの細胞膜への移動が必要とされる17)(図2A)。p47phoxの細胞膜移動により,次にp47phoxをターゲットとしてp67phoxやp40phoxの細胞膜移動が生じ,最終的にはRacがp67phox と連動してNOX2を活性化させる18)(図3)。Racは現在3種類が同定されているsmall GTPaseであり,主に末梢組織に存在するのはRac1であり,Rac2は主に骨髄系細胞,Rac3は主に中枢神経系に分布している。
NOX2は発見当初,好中球やマクロファージなどの貪食細胞に局在するものと考えられていた。確かにNOX2は貪食細胞に高発現しているものの,神経細胞や腸管,さらには心筋細胞,血管内皮細胞などの心血管系にも比較的高密度に発現している19~21)。このような組織では,p47phoxの細胞膜移動をトリガーとして,スーパーオキシドが産生される。
 このNOX2をコードするNOX2遺伝子は,X染色体q21.1に存在する。NOX2遺伝子のプロモーター領域には,NF-kB,AP-1,IRF1,IRF2,PU.1(myeloid-specific transcriptional factor),Elf-1,YY1が結合し,NOX2の転写を高めることができる。虚血,外傷,感染症などにおいては,傷害部位でNF-kBやAP-1や IRFの活性が高まるため12),NOX2発現が高まりやすい。このように炎症局所では,ROSの産生が高まりやすい。これに加えて,心血管系領域ではアンジオテンシンIIにより翻訳レベルでNOX2発現が高まることも報告されている22)。


2. NOX1
NOX1は,NOX2の次に1999年に同定されたNOX2の相同体であり,当初はMox1,NOH1と呼ばれていた23, 24)。NOX1も他のNOXと同様に単独ではROSを産生する能力は極めて低い。NOX1は,NOX2と同様にp22phox との連動が必要であり,さらにNOXO1/NOXOA1(図2B)あるいはp47phox/p67phox(図1A)との会合により活性化され,最終的にはRacにより活性化される25, 26)。NOX1は腸管上皮,肺,腎臓に多く存在するが,血管平滑筋細胞や血管内皮細胞にも発現しており21, 23),特に血管平滑筋におけるNOXの主体はNOX1である。
ヒトNOX1遺伝子はNOX2と同様に,X染色体上(Xq22)に存在する。プロモーター領域には, NF-B,AP-1,IRF,CREB,STAT,CBP/p300,GATAとの結合領域があり,これらによりNOX1は転写が高められる。虚血や炎症で活性が高まるNF-kBや,IL-6シグナルにより活性化されるSTAT3により,NOX1の発現は転写段階で高められる。血管系では,PMA(phorbol 12-myristate 13-acetate)刺激によるPKC活性やPKC-δにより,NOX1発現が高まることも報告されている27)。このようにSIRS病態では,炎症局所でNOX2に加えてNOX1の発現が高まり,ROSの産生が増加すると考えられる。

3. NOX3
NOX3は,2000年に菊池らによりヒト腸管上皮細胞で同定された28)。内耳に高密度に発現し,脳や胎児の腎臓などにも発現を認めるが,心血管系における発現は乏しく,当研究室においてもヒト血管における発現を検出できていない。NOX1やNOX2と同様の活性化分子を介してROSを産生するが,その中でもp22phox およびNOXO1の関与が大きい。しかし,RacがNOX3を活性化させるかどうかに関しては,2008年までの段階で結論が出ていない。現在,NOX3の活性化において,NOXO1存在下ではRacの会合は不必要であり,p47phox存在下ではRacを必要とするとの考えが一般的である(図1A)。NOX3は,NOXO1存在下でヒト腸管上皮細胞で恒常的にスーパーオキシドを産生していると考えられている(図2C)。

4. NOX4
NOX4は,2000年に腎臓と甲状腺で同定された29, 30)。腎臓だけではなく,心血管系の小胞体や核膜に強く発現することが知られている。NOX4が他のNOXと異なる点は,免疫沈降ではNOX4とp22phoxとの結合を確認できるが,必ずしも細胞膜でのp22phox との会合を必要としないことにある(図2D)。NOX4の活性化にはp22phoxが関与するとの報告があるが,NOX4の活性化はp22 phox欠損においても保たれる。また,NOX4の活性化には,他のp47phox やNOXO1/NOXOA1の細胞膜移動やRacの活性化などを必要としないことも報告されている31)。このように,NOX4は他のNOXと異なり,その膜発現量でROS産生を制御していると考えられている。
一方,ヒトNOX4遺伝子は11q14.2-q21に存在し,NOX4発現はTNF-α,アンジオテンシンIIシグナル,PKC活性,高血糖により高められることが確認されている。NOX4はSIRS病態の心血管系で発現が高められる可能性がある。このような状況において,Toll-like受容体4(TLR4)とNOX4は結合することが確認されており,グラム陰性桿菌感染症ではTLR4シグナルが直接にNOX4を活性化させ,ROSを産生させる可能性が示唆されている32, 33)。

5. NOX5
NOX5は,2001年に脾臓や精巣で同定された34, 35)。NOX5は,脾臓やリンパ組織に高密度で存在するが,心血管系にも確認でき,成熟段階のリンパ球には存在するが,血中のリンパ球には存在しないことが知られている。NOX5はNOX1~3と異なり,その活性化にはp47phox やNOXO1/NOXOA1の細胞膜移動やRacの活性化などを必要としない。NOX5は,N末端の細胞内領域が長く保存されているのが特徴であり,EF-hand領域と呼ばれている(図2E)。このEF-hand領域にはCa2+が結合することが知られており36),細胞内Ca2+濃度の上昇によりNOX5は構造変化を起こし,NADPHよりスーパーオキシドを産生すると考えられている36)。NOX5の発現調節については,今後の詳細な検討が待たれる。

6. DUOX1/2
 DUOX1/2は,1999年に甲状腺より同定された30, 37)。甲状腺以外には,気管支上皮細胞やLangerhans島に存在するが,心血管系には同定できない。他のNOXと異なり,7回膜貫通型蛋白であり,N末端領域が細胞外に位置する。DUOX1/2もNOX5と同様に,細胞内にCa2+結合部位を持つ。甲状腺上皮細胞では,細胞内Ca2+濃度の上昇によりDUOX1/2を活性化させ,スーパーオキシドを産生する。

7. p22phox
 p22phoxは,NOXに機能を補助する分子として,極めて重要なら区割りを担う。このp22phoxの主な機能は,①NOXの細胞膜上での安定化,②p47phox とNOXO1との結合の2つにある。一般にNOXの細胞膜分画のウエスタンブロッド解析を行う際に,そのバンド検出蛋白重量にばらつきやスメアが生じやすい理由のひとつとして,NOXとp22phoxの恒常的会合や糖鎖修飾があげられる。NOXとp22phoxは,細胞膜上で1:1の比率で会合しており38),NOXやp22phoxが会合せずに単体で存在する場合には,これらは細胞質内に陥入し,プロテアソームにより分解されやすい39)。そして第2の役割として, C末端のプロリンリッチ流域(PRR)を介して,p22phoxはp47phox やNOXO1のSH3ドメイン(Src homology 3 domain)と結合できる。このように,p22phoxは,NOXとオーガナイザー因子(p47phox,NOXO1)を橋渡しする足場蛋白としての役割を担っている。


8. NOXオーガナイザー因子(p47phox,NOXO1)
 p47phox (NOXO2)とNOXO1の役割は,p22phoxとの結合の後にNOX活性化因子(p67phox,NOXA1)を細胞膜に動員させることにある。p67phoxとNOXA1は共に,N末端領域にphoxドメイン(PXD)を保持しており,このPXDにより細胞膜リン脂質と結合できる。さらにC末端のPRRを介して,p47phoxはp67phoxと,NOXO1はNOXA1と結合できる。p47phoxとNOXO1には,PXDとPRRの間にSH3ドメインがあり,p22phoxと結合する40)。この2つのオーガナイザー因子のうち,心血管系に豊富なのはp47phoxであり,NOXO1は腸管,肝臓,腎臓,膵臓などに高密度で発現している。
 p47phoxとNOXO1の違いは,p47phoxは活性化抑制領域(AIR: autoinhibitory region)を持つ点にある。また,NOXO1は主に細胞膜上のホスホチジルイノシトール1リン酸に結合するのに対して,p47phoxはPI3キナーゼにより細胞膜で変化を受けた3’-ホスホチジルイノシトールとPXDで結合するが特徴がある41)。炎症病態の貪食細胞や血小板ではPI3キナーゼの細胞膜移動が亢進し,p47phoxの細胞膜接着が高まりやすい。さらに,虚血や炎症の過程でNF-kB活性などによりp47phoxとNOXO1の産生が高まることが知られている。このような量的活性化調節に加えて,p47phoxは即時型活性化調節を受ける。
 p47phox のAIRは,その3次構造の特徴より立体的にp22phoxとの結合領域であるSH3ドメインを遮蔽している(図3)。現在,p47phox のAIRにおいて特に,Pro299,Pro300,Arg301,Arg302,Ser303,Ser304,Ser328,Ser345,Ser359,Ser370,Ser379などが機能的アミノ酸として重要と考えられている。p47phox が構造変化を起こし,p22phoxと結合できるようになるためには,Ser303からSer379までのいずれかのリン酸化が必要であり,特にSer379とSer345の単独リン酸化や,Ser303+Ser304あるいはSer359+Ser370の重複リン酸化が必須となる42, 43)。このように,p47phox はNOXO1と異なり,AIRのリン酸化により細胞膜上のp22phoxとの結合を高める特徴がある。p47phoxのAIRのリン酸化は,TNF-αやIL-1βなどの炎症性サイトカイン,リポポリサッカライドなどのTLR刺激,G-CSF,GM-CSF,PAFなどにより,MAPキナーゼ(p38MAPK, ERK1/2)やPKCの活性化を介して生じることが確認されている44)。
 以上のように,炎症病態において厳密に機能調節されているオーガナイザー因子はp47phoxであり,SIRS病態ではp47phoxで選択的に活性化されるNOX2の調節機構がスーパーオキシドの産生に極めて重要な役割を担うと考えられる。



9. NOX活性化因子(p67phox,NOXA1)とp40phox
 p67phox(NOXA2)やNOXA1は,それぞれC末端領域のSH3ドメインでp47PhoxやNOXO1と結合する。p67phoxは,さらにC末端領域にp40phoxと結合するPhox/Bem1(PB1)ドメインをもつ。p40phoxは,p67phoxのNOX活性化作用を強化するが,siRNAを用いた培養細胞における検討などよりNOXの活性化に必要不可欠な分子ではないと考えられている。p67phoxやNOXA1は,N末端ではRacと結合し,最終的にRacのGTPase活性を介して,NOXを活性化させる。
 このような特徴を持つp67phoxは,貪食細胞に加えて,血管内皮45)や血管平滑筋46),腎臓にも発現している。NOXA1は,腸管や肺に加えて,血管平滑筋に恒常的に発現しており,血管平滑筋におけるNOX活性化因子の主体はNOXA1と考えられている。p67phoxは,NOX2と同様にIFR1やPU.1などの転写活性で増加すると共に,AP-1により発現が高まることが確認されている47)。このように,p67phoxも他のNOX活性化因子と同様に,SIRS病態で転写が高まると評価される。

活性酸素種の病態修飾

 ROSがDNAや細胞内情報伝達蛋白に障害を与えることは,これまで多くの研究で明らかとされてきた。NADPHはNOXの活性化された細胞において,図3のように,まず,スーパーオキシドに変換される。スーパーオキシドは,次に一酸化窒素(NO)との反応によりペルオキシナイトライトに変換されるとともに,SODにより過酸化水素に変換される。過酸化水素からは,ヒドロキシラジカルや次亜塩素酸が産生される。
これらのROSによるDNA障害は,適切に修復されない限り,アポトーシスを介した細胞死の誘因となる。また,ペルオキシナイトライトは,細胞内情報伝達蛋白のチロシン残基のニトロ化を介して,チロシン残基のリン酸化を障害し,正常な細胞内情報伝達を障害する48)。次亜塩素酸も極めて強い組織障害を与えることが知られており,これらのROSはインシュリン受容体の機能障害にも関与し,インスリン抵抗性高血糖の誘引として知られている49)。その他,以下のROSを介した転写因子活性化作用が明らかとされており,SIRS病態を増悪させると評価される。


参考文献

全身性炎症反応症候群における活性酸素種の役割PART2


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救急医療 顔面神経麻痺 House-Blackmann grade

2010年01月11日 23時16分37秒 | 救急医療

顔面神経麻痺について

 

京都大学大学院医学研究科

初期診療・救急医学分野

松田直之

 

 留意事項 

 顔面の片側が急に動かなくなった場合,救急外来を受診されます。顔面神経麻痺を考えます。患者さんが訴えられる症状は,「顔がまがった状態になった」,「眼が閉じにくい」,「口角が上がらない」,「水や食事が口から漏れる」などです。顔面神経は,顔面の運動を司る運動神経であり,第7脳神経です。顔面神経で留意することは,① 顔面の運動支配,② 舌前3分の2の味覚,③ アブミ骨筋(耳の音量調節),④ 顔面神経管を通過することの4つです。この部位に浮腫や損傷が生じると,片側の顔面神経の髄鞘を介した跳躍伝導が障害され,顔面のぴくつきや顔面麻痺が生じます。

 解剖学的特徴としては,顔面神経は狭義の顔面神経と中間神経とからなり,その核はそれぞれ,顔面神経核と孤束核です。顔面神経核は,橋の被蓋と延髄の網様体にあり,ここから橋と延髄の境の外側縁から脳を離れて内耳神経と共に内耳道へ入り,「顔面神経管」を通ることになります。また,涙腺,鼻尖,口蓋腺の分泌に関係する副交感神経が,顔面神経核の背に存在する上唾液核から始まり,顔面神経と共に走行します。そして,舌前2/3の味覚を司る神経は「中間神経」と呼ばれ,橋の被蓋にある孤束核から起こり,顔面神経と共に走行します。図は,孤束角から連なる中間神経と,顔面神経核から始まる狭義の顔面神経の医学生さんに教える際の手書きの模式図です。神経涙腺・鼻腺・口蓋腺の分泌を司る神経線維と,味覚を司る神経線維は,内耳道までは運動性の顔面神経線維と明らかに区別できるために,個別の名称として「中間神経」と呼んでいます。この「中間神経」と「狭義の顔面神経」をあわせて,広く,顔面神経と呼んでいます。このため,症状としては,図のように,どこで障害されるかを考えると良いです。耳の後ろが動かない,顔面の運動がだめ,しかし涙の分泌(大錐体神経)と音(アブミ骨筋神経)は大丈夫となると,顔面神経管部の腫脹があやしいということになります。

 顔面神経麻痺は,10万人に40人ぐらいの発症と言われています。疲れていると顔面が痙攣したりする場合がありますが,その場合は,痙攣部分の軽いマッサージやビタミン摂取,食生活の見直しをおすすめしています。一方,突然に生じる顔面神経麻痺については,House-Blackmann gradeと40点法をチェックして,耳鼻科や脳神経外科の先生への紹介として,経過フォローを依頼させていただいています。

 

 重症度評価 

1.House-Blackmannグレード

House-Blackmannグレードは,1955年にBotmanとJongkeesによって提唱された顔面神経麻痺のグレード分類です。

グレード1 正常

グレード2 軽度の麻痺:わずかに麻痺があるかどうかという程度。

グレード3 中等度の片側麻痺:力を入れるとかろうじて目を閉じることができる。

グレード4 やや強い麻痺:安静時は左右対称,動かすと明らかな麻痺を認めて左右非対称だが,眼にも口にも動きは認められる。

      病的共同運動が高度。

グレード5 かなり強い麻痺:顔面が明らかに非対称であり,閉眼ができない。ごくわずかな動きが見られる程度。

グレード6 完全麻痺,動かない。

※  顔面神経再建術の対象は,グレード5と6となります。

 

 

2.40点柳原法

 以下の各項目において,高度麻痺:0点,部分麻痺:2点,正常:4点とし,合計40点(正常:40点)となります。

 1.安静時評価

 2.額のしわが寄せ

 3.軽い閉眼

 4.強い閉眼:おもいっきり眼をつむること

 5.片目つむり:麻痺側での評価

 6.鼻翼を動かす:鼻をヒクヒク動かせるかどうか

 7.頬をふくらませる

 8.イーと歯を見せる

 9.口笛を吹く

 10.口をへの字に曲げる

 

 鑑別診断で考えること 

 

□ 小脳橋角部または頸静脈小体の腫瘍

□ 慢性的→慢性髄膜炎,中耳または乳様突起の感染症

□ 頭をぶつけた→頭部外傷:錐体骨骨折

□ 膝神経節ヘルペス(帯状疱疹ウイルスによるラムゼイ-ハント症候群)

□ サルコイドーシス

□ 糖尿病合併

□ 白血病合併

 

 治療指針 

 顔面神経損傷を軽減させるような以下の処方としています。また,水痘・帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスの感染としての顔面神経損傷に注意します。

□ メチコバール

 メチコバール1日3回 500μg 5日間内服。メコバラミン(商品名:メチコバール)は生体内補酵素型ビタミンB12の1種です。顔面神経などの髄鞘形成作用や髄鞘維持作用があります。副作用は,出現するとすれば,発疹と消化器症状としてご説明します。

□ 抗ウイルス薬

 水痘・帯状疱疹ウイルス(Ramsay Hunt症候群;ラムゼイハント症候群),単純ヘルペスウイルス

 ※ 水痘・帯状疱疹ウイルスは,Ramsay Hunt症候群(Hunt JR,J Nerv Ment Dis 34: 73-96, 1907)として,耳介などの帯状疱疹,難聴,めまいの合併を中止しているかをチェックして,カルテに必ず記載します。水痘・帯状疱疹ウイルスの処方例:成人にはバラシクロビル(商品名:バルトレックス)を1回 1000 mg 1日3回 5日間とし,経過フォローとします。

 ※ 単純ヘルペスウイルス:再発性発疹では,① アシクロビル 200 mg,経口,4時間毎,5日間,② バラシクロビル 500 mg,経口,1日2回,3日間,③ ファムシクロビル 125 mg,経口,1日2回,5日間,この①,②,③のどれかとする。「てんかん」を合併したりなどの脳炎も疑われる場合には,アシクロビル 10 mg/kg,静注,8時間毎,14〜21日間となります。

 ※ サルコイドーシスに,顔面神経麻痺を合併することがあります。

□ プレドニゾロン

 プレドニゾロン 1 mg/kg /日あるいは 60 mg/日を7日間処方。8日目より減量を予定。

□ 顔面神経減荷術

    House-Blackmannグレード5以上は,要注意としています。

□ 星状神経節ブロック

 


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全身性炎症反応症候群における活性酸素種の役割 NO.2

2010年01月11日 23時10分42秒 | 講義録・講演記録 2

全身性炎症反応症候群における活性酸素種の役割

続き

 

活性酸素種の病態修飾

 ROSがDNAや細胞内情報伝達蛋白に障害を与えることは,これまで多くの研究で明らかとされてきた。NADPHはNOXの活性化された細胞において,図4のように,まず,スーパーオキシドに変換される。スーパーオキシドは,次に一酸化窒素(NO)との反応によりペルオキシナイトライトに変換されるとともに,SODにより過酸化水素に変換される。過酸化水素からは,ヒドロキシラジカルや次亜塩素酸が産生される。

これらのROSによるDNA障害は,適切に修復されない限り,アポトーシスを介した細胞死の誘因となる。また,ペルオキシナイトライトは,細胞内情報伝達蛋白のチロシン残基のニトロ化を介して,チロシン残基のリン酸化を障害し,正常な細胞内情報伝達を障害する48。次亜塩素酸も極めて強い組織障害を与えることが知られており,これらのROSはインシュリン受容体の機能障害にも関与し,インスリン抵抗性高血糖の誘引として知られている49。その他,以下のROSを介した転写因子活性化作用が明らかとされており,SIRS病態を増悪させると評価される。

1. 転写因子NF-κBの持続活性化作用
 SIRS病態で炎症性受容体を介して活性化される転写因子NF-κB12)は,上述のようにNOXやNOX活性化関連因子の転写を高め,ROS産生を誘導する。一方,産生された過酸化水素濃度がμMレベルに達すると,様々な細胞でNF-κB活性を上昇させることが知られている49~52)。この過酸化水素によるNF-κB活性化の機序としてこれまでに,①I-κB(inhibitory-κB)のプロテアソームによる分解を直接に促進させること,② I-κBキナーゼの活性化を介してI-κBの分解を間接的に促進させることが確認されている51~54)。通常,NF-κB活性は自らがI-κBの産生を高め,自らの活性に限界を持つが,DNA障害が生じない初期段階では過酸化水素の局所産生がμMレベルに高まるとI-κB発現が抑制され,NF-κB活性が持続する54)。このように,過酸化水素産生がμMレベルに高まる初期状態ではNF-κBの核内移行が持続的に高められ,炎症性サイトカイン,iNOSやCOX2,組織因子などの産生12)がさらに高められると考えられている。

2. MAPKおよびAP-1の活性化作用
 MAPKは,extracellular signal-regulated kinase1/2(ERK1/2),Jun-N-terminal protein kinase(JNK),p38 MAPK,ERK5/ big MAPK1(BMK1)の4つのサブファミリーで構成されるセリン/スレオニンキナーゼである。このうち主にAP-1領域の活性を高めるAP-1群の直接的本体は,JunとFosである。Junのホモ2量体や,FosとJunのヘテロ2量体は,リン酸化された状態でDNA上のAP-1領域として知られるphorbol 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate-responsive element(TPA- responsive element:TRE)と結合し,COX-2,ICAM-1などの炎症性マーカー,matrix metalloproteinase(MMP-1,MMP-3,MMP-9)などのプロテアーゼ,アクチンフィラメントの伸展に関与するCapG,Ezrin,Krp-1,Mts-1などを転写段階で増加させる。SIRS病態のAlert細胞で活性化されるAP-1は,セリンあるいはスレオニン残基のリン酸化により活性化されたJunとFosの2量体によりもたらされる12)。当研究室では,AP-1活性によりTNF受容体1,Fas,DR4,DR5などのDeath受容体の細胞膜発現が高まり,肺や血管系のAlert細胞のアポトーシスが進行することを確認している4, 55)。
このようなMAPKおよびAP-1活性に関して,スーパーオキシドや過酸化水素は,c-Junやc-Fosを転写段階で増加させ56, 57),また100μM以上の濃度に高められた過酸化水素は主にJNKを介したJunファミリーのリン酸化によりAP-1活性を増加させる58)。さらに,nMレベルの低濃度のROS産生であっても,JNKやp38MAPKはリン酸化活性を受けることが確認されている59)。一方,ERK1/2は1mMを超える極めて高い濃度の過酸化水素においてリン酸化を受け,通常のROSの産生のレベルでは活性化されないと考えられている60)。

おわりに

 本稿では,SIRS病態に照らして,ROS産生におけるNOXおよびNOX関連因子の役割を論じた。SIRS病態におけるAlert細胞では,炎症性受容体を介して活性化されたNF-κBやAP-1などにより転写段階からNOXおよびNOX関連因子の発現が増加し,ROS産生が高まる。一方,Alert細胞で産生されたROSは,高濃度状態では近傍のnon-Alert細胞に対しても作用し,non-Alert細胞にNF-κBの活性を高め,NOXおよびNOX関連因子の発現を誘導する可能性がある。さらに,non-Alert細胞では,ROS刺激により活性化されたAP-1を介して炎症性受容体やDeath受容体の細胞膜発現を誘導し,non-Alert細胞をAlert細胞に変容する可能性がある。このように,SIRS病態の主要臓器における細胞間炎症伝播機構に対して,今後より詳細にROSの関与が明らかにされるであろう。

参考文献

全身性炎症反応症候群における活性酸素種の役割PART1

 


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全身性炎症反応症候群における活性酸素種の役割 NO.3

2010年01月11日 23時05分27秒 | 講義録・講演記録 2

文  献

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 リターン 

全身性炎症反応症候群における活性酸素種の役割PART1

全身性炎症反応症候群における活性酸素種の役割PART2


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急性期管理 ショック管理 ろくろMATSUDA法 A−line波形の読み方の応用

2010年01月04日 02時19分30秒 | 急性期管理技術

パルス波形・A-line波形のショック管理への応用

京都大学医学系研究科

初期診療・救急医学分野

松田直之

 

 

 パルスオキシメータやA-lineの圧波形において,① 波形の呼吸性変動(循環血液量),② Percussion waveの立ち上がり角(dp/dt:心収縮性),③ 第1波形下面積(stroke volume:1回心拍出量),④ 第1波形下面積の呼吸性変動(循環血液量)⑤ Dicrotic wave(体血管抵抗),⑥ 脈圧(波形高)を連続して観察するとよいです。これを,ろくろMATSUDA法(パルス6苦労作戦:くるくるとろくろを回るように,治療の時系列で,パルス波形を監視し続けること),時折振り返る(だるまさんがころんだ法)などと命名しています。この方法を私が独自に論理化して,意識しはじめたのは,1994年の砂川市立病院時代であり,1990年代後半以来,教育や管理に用いて来ました。

 心タンポナーデや緊張性気胸は,呼吸による脈圧変動として「奇脈(pulsus paradoxus)」が認められる代表病態です。吸気時に脈圧(収縮期圧―拡張期圧)が10 mmHg以上低下する病態が「奇脈」ですが,循環血液量低下でも,A-line波形に奇脈や強い収縮期血圧の呼吸性変動が観察されます。心収縮性低下では,dp/dtが低下します。さらに,大動脈弁狭窄症のような1回拍出量の低下した病態では,第1波形下面積が輸液に反応せずに小さい状態が続きます。波形下面積は,1回心拍出量に比例して大きくなります。そして,交感神経緊張と体血管抵抗の評価としては,dicrotic waveを観察します。Dicrotic waveが存在すれば体血管抵抗は高く,dicrotic waveが存在しなければ体血管抵抗は低い。このように,A-lineの波形観察では,呼吸性変動の程度,dp/dtの変化,波形下面積,dicrotic wave に着眼するとよいです。それ以外の細かな観察は,緊急時には不要です。


 このような波形管理は,アナフィラキシー,敗血症,神経原性ショックなどの血流分布異常性ショックの評価に有効です。血管拡張により体血管抵抗が減じた際には,dicrotic waveが消失し,呼吸性変動が強まり,dp/dtが低下し,波形下面積が減少します。ノルエピネフリンなどのアドレナリン作動性α1受容体作動薬,またはバゾプレシンなどの血管収縮薬を使用する際にはdicrotic waveを観察し,dicrotic waveが生じれば体血管抵抗が上昇したと評価します。また,輸液によるショック治療の反応性評価として,輸血や急速輸液の際には波形の呼吸性変動とdp/dtの改善を観察することを,ダイナミックモニタリングとして重視して教育しています。心機能が悪い場合や血管拡張が極めて強い場合には,輸液によるdp/dtの上昇が得られにくく,心原性ショックなどの要因をエコーで評価することになります。心エコーについての教育システムも整えます。

 


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2010年 謹賀新年

2010年01月01日 07時53分42秒 |  ひまわり日記


新年 明けましておめでとうございます。

本年は 2月1日より名古屋大学へ教授として異動し,
名古屋大学における救急・集中治療を活性化させるべく
頑張らせて頂きます。

本年も どうぞよろしくお願い申し上げます。



これは縁起がよくなる「寅」とのことです。



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