救急一直線 特別ブログ Happy保存の法則 ー United in the World for Us ー

HP「救急一直線〜Happy保存の法則〜」は,2002年に開始され,現在はブログとして継続されています。

2016年 謹賀新年

2016年01月01日 02時20分46秒 |  ひまわり日記


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教育 医療技術教育

2016年01月01日 02時17分55秒 | 医療技術教育

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医療技術教育において考えること

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 医療技術教育,例えば中心静脈カテーテル挿入,気管挿管,PCPS,縫合などの医療技術の習得においては,現在はSee One,Simulate One,Do One,Teach One,この4つのステップを経るようにします。私が研修を受けた1993年のレベルでは,1度見てできるようにと指導されましたが,できるようになるには,それぐらい注意深く,医療行為一つ一つを観察することも大切です。その上で,しっかりと実演できる先生,さらに,実技においては「作業分解」ができている先生,作業分解における連続性を語ることができる先生から教えていただくとよいです。救急領域そして集中治療領域における技術,病態,治療において,このような教育者を育成しようとしています。

 

技能の進歩に対する対応

 

1.認知領域:お手本を真似している段階

2.制御領域:個々の動作を一連として体系化できている段階,忘却曲線の緩和が大切であり,忘れないレベルまで達していない段階

3.自動化: 完全に体得されている段階

※ 救急医療においては,技術,病態,治療における自動化の領域までは,疾患や病態の分野が広いですので,10年かかると思います。

※ 専門医や指導医を目指す過程で,一定以上の症例を経験しますので技能は自動化されます。一方で,教えることは,自分の技能を分解し(作業分解し),解釈して伝えることを意識します。教えているものに対して,導入(認知),実演(デモンストレーション),練習(フィードバック)として,自己の技術の歴史を振り返る工夫が必要となります。1つの実技については,作業分解できるようにします。

 

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実技実演に対する留意事項

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・実技については,まず,その実技のポイントについて説明します。

・作業分解 task description:実技指導で大切なことは,実技を構成する一つ一つの作業を分解して,時空間感覚の説明とともに解説できるかどうかです。

・各作業ステップを,口に出して説明できるようにします。

・実技に関しては,自分の肩越しから見てもらうようにします。

・実技の評価:task descriptionとして,一つ一つのステップに漏れがないかを評価していき,最終評価として,それらの作業分解項目の連続性の評価を最終とします。

※ 医学領域の技術習得におきましても,その評価が必要です。評価は,形式的評価と統括的評価に区分します。

・形成的評価:formative evaluation:ポートフォリオの作成

・総括的評価:summative evaluation:最終評価;合格か不合格か

・Multi-force evaluation:同僚などからも評価してもらうようにして頂きます。

 

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フィードバックの原則

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F  Frequent:その都度その都度の解析フォードバック

A Accurate:推測ではない客観的な情報を与える

S   Specific:良い所と悪いところを明確に表現する

T Timing:一番よいタイミングを選ぶ

※ サンドイッチ法:改善すべき悪い部分に対して,前後を必ず,ポジティブな内容で挟むようにします。否定だけでは,拡大や成長は生まれませんので,医療のすべての場においてポジティブを提案できるように自己トレーニングできると良いでしょう。

 

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救急・集中治療領域の教育姿勢として

医学生・研修医・大学院生/指導医等に期待されること

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医学教育にあたっては,方向性を皆で確認しておく必要があります。

以下の4つについて意識して,私は医学生や研修医,そして救急科専門医を目指す皆さんの教育にあたっています。救急領域は,活動していませんと,彼らに教える基盤にのりません。このため,しっかりと一定の救急医療を行ない,しっかりとした治療を継続していくことが大切となります。

 

1.メタ認知能力

・自己を振り返る能力を高める:自己モニタリング力

・自分自身を客観視できる能力を高める

・時間感覚を高める

2.教えすぎないこと

 質問された時に急ぐ内容でない場合には,安易になんでも教えることが良いとは限りません。まず,その相手にじっくりと調べてもらうように,入り口だけでも一緒に考えるようにします。最近は私も手取り足取り教え内容になりました。感じ取る力に加えて,調べる力,考える力,自己解析する力をつけることが相手の成長に繋がると思います。

3.一つ一つの事象

 知識として知っておいても良いことは,伝えるようにしています。

4.指摘内容の選択

 間違いを指摘するのではなく,どのようにすれば成功できるのかを教えるようにしています。フィードバックは,受けてのニーズに合わせて行いますので,きく耳,聞くタイミングを意識しています。一般に言われるように,フィードバックは,教育を受けるものにメタ認知を高めることを目標とします。「教える」ためというよりは,「考えるきっかけ」として指摘します。

 

皆が,それぞれに成長できるように支援させていただいています。医療を通して,自己成長すること,そして自己を振り返る精神を鍛え,ネガティブをポジティブに替え,社会に広がりを提供できることが,医療人にも期待されます。


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