救急一直線 特別ブログ Happy保存の法則 ーUnitedー for the Patient ー

HP「救急一直線〜Happy保存の法則〜」は,2002年に開始され,現在はブログとして継続されています。

救急外来 片眼痛 

2008年10月26日 23時40分36秒 | 救急医療
救急外来に片眼痛で来られる患者さんがいる。眼の「表面痛」か「深部痛」かを評価するとともに,深部痛であれば,一般的には緑内障,ぶどう膜炎,強膜炎,眼内炎,眼窩蜂巣炎,眼窩偽腫瘍,および関連痛として副鼻腔炎,偏頭痛を鑑別診断とする。一方,トロサハント症候群(Tolosa-Hunt症候群)は,炎症性の肉芽腫が海綿静脈洞やその周辺に作られるため,その近傍を通っている神経が圧迫されることで生じる眼痛などの症候群である。複視,片側の眼瞼下垂を伴い,片側の眼痛として救急外来を受診される場合がある。海綿静脈洞には,動眼神経,外転神経,滑車神経,三叉神経が通るため,ここに肉芽腫ができることで眼痛,複視,眼瞼下垂が生じる。診断は,CTおよびMRI T2強調像とし,肉芽腫性病変,海綿静脈洞の拡張,内頸動脈周囲の異常信号や狭窄を評価する。視神経内の線状high signalとしてtram-track sign,視神経周囲のリング状のドーナツサイン(donut con- figuration)の評価も行う。治療はステロイド療法であり,プレドニゾロン100 mgレベルから開始し,3日単位で減量する。トロサハント症候群も眼痛の鑑別の含める。

国際頭痛学会(2004)によるTHS の診断基準
A. 未治療の場合:数週間続く反復性一側性眼窩部痛。
B. 第 3,4,または第 6 脳神経のうち,1 本またはそれ以上の麻痺を伴い,MRIあるいは生検で肉芽腫が証明される。
C. 麻痺が痛みの出現と同時,あるいは,2 週間以内に出現。
D. 痛みと麻痺がテロイド治療後 72 時間以内に改善する。

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