田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 キネマの神様   №317 

2021-08-11 20:38:17 | 映画観賞・感想

 およそ一年ぶりの映画館のスクリーンでの観賞である。やっぱり大スクリーンで映画の中にどっぷりと浸れるのが嬉しい。山田洋二監督らしい優しさ、温かさに満ちた人情味溢れる作品を堪能した。

       

 本日(8月11日)午後、ユナイテッドシネマ札幌において山田洋二監督の「キネマの神様」を観賞した。この映画は以前からぜひ映画館で観賞したいと思っていた。コロナウイルスの感染が心配される状況は続いているが、状況を伺うかぎりコンサートなどよりは客同士のディスタンスは保たれているようだったのでそれほど心配なく映画館に向かった。映画館の場合は座席を指定できるので、私はあまり他の人が選ばない前の方の席を指定したところ、傍には一人の姿もなく安心して観賞することができた。

 映画は50数年前、映画監督を夢見た円山郷直(沢田研二、菅田将輝のダブルキャスト)の希望に満ちた若いころの夢と恋を描きながら、初監督作品においてその繊細さのため、小心ゆえに失敗し、志を果たせず映画界から去りギャンブルに明け暮れ荒んだ生活をしている今とを交互に織り交ぜながら描いていく。

   

 郷直の現在は、当初コメディアンの志村けんが演ずることになっていたのが、コロナウイルスに感染し亡くなったために、志村の知人だった沢田研二がその役を代わって演じたそうだ。そうしたことが背景にあったためだろうか、山田監督はラグビーWC東京大会やコロナウイルス感染症が拡大するという時代背景も巧みに取り入れながら映画を進行させている。

   

 沢田研二は役になりきり79歳のダメ爺さんを好演していたが、志村けんだとどのように演じただろうかと想像すると、沢田よりはよりリアリティーのある役を演じてくれたのではと思ったところもあった。

 さすがだなぁ、と思わせてくれたのは宮本信子である。彼女は郷直の妻淑子(永野芽都、宮本信子のダブルキャスト)の現在役を演ずるのだが、若いころを演じた永野芽都のかわいらしさを失わず、健気な妻の役を見事に演じていた。さすがにベテランの味である。

   

 また、郷直の初監督作品で主演を務めることになっていた映画女優桂園子(北川景子)も郷直を密かに愛していた人として重要な役どころを演じているが、その美しさが際立っていた。

 映画は最後に「キネマ(映画)の神様」を信ずる郷直に思わぬ幸運が巡ってくるのだが、それはぜひ映画館で直接確認いただきたい。

 やはり映画は映画館の大スクリーンで観てこそ、その良さに浸れるものということを再確認できた、久しぶりの映画「キネマの神様」だった。

 この映画は松竹映画会社創立100周年を記念しての制作だというが、山田洋二監督は当年89歳という高齢だという。山田監督の味が十分感じられた映画であったが、はたして次なる作品はあるのだろうか?私は次作が世に出ることを望みたいのだが…。                        

 

 

 


札幌国際情報高校吹奏楽部 Dancing & Playing

2021-08-10 22:19:49 | ステージ & エンターテイメント

 Dancing & Playing…、通称「ダンプレ」と呼ばれているが、ダンスをしながら演奏するというスタイルである。札幌国際情報高校吹奏楽部のダンプレはつとに有名であるが、今夕彼らの定期演奏会があり楽しんできた。

      

 今夕(8月10日)、札幌文化芸術劇場hitaruにおいて、札幌国際情報高校吹奏楽部の第26回定期演奏会があった。同校のダンプレをこれまで3回ほど聴いている(見ている)が、それは何かの催しでのゲスト出演のような形での演奏ばかりであった。今回初めて彼らの定期演奏会を聴く機会を得た。

 彼らは高校の吹奏楽界においては特異な存在である。普通の高校吹奏楽部というとコンテストの出場を目指して練習を積み重ねているところがほとんどである。ところが札幌国際情報高校吹奏楽部は本日配布されたプログラムでも宣言しているが「競わない吹奏楽」を謳っている。そこには「私たちは、活動のモチベーションをコンテストに求めません。毎日、わくわくしているから」と胸を張っている。

 このダンプレという演奏スタイルは、同部の顧問を務める小出學教諭が発案した方法らしい。このスタイルが高校生の心を捉えたようだ。同部は1~3年生まででなんと142名の部員を抱える大所帯である。普通の高校であれば大編成の吹奏楽部を三つも抱えているようなものである。

   

 彼らの演奏を聴いて見ていて感ずる大きな特長は、なんといっても彼ら自身が一番演奏を楽しんでいることである。それを聴いて見ている聴衆たちもまた楽しんでいる。だから同部に対しての演奏依頼が殺到するらしい。プログラムによると年間平均60公演を実施しているという。今夕もキャパ2,302名のhitaruの場内は4階席まで開放し、ざっと見積もったところ2,000人弱の入場者があったのではないか。

 そんな彼らの今夕の演奏会も若さが躍動し、迫力満点のステージだった。コンテスト志向の吹奏楽部であればクラック中心のプログラムになるのであろうが、クラシックは「アルルの女」を含めて2曲ほどで、他はノリの良いアメリカンポップスやJポップの曲が中心だった。さらなる特徴は曲によって部員が歌まで歌い出す構成なのだ。若い高校生がこれでのらないはずがない。総勢142名が紡ぐ大音量と若さ弾けるダンスがステージ一杯に繰り広げられた。楽器演奏の技量的なこと私にはまったく分からないが、聴いていて破綻するところなど全くなく技量的にも相当なレベルにあると思われる。

        

        ※ 写真は会場のhitaruの客席を見たところです。

 今夕のステージでは、ただ演奏するだけではなく聴衆を楽しませようとする仕掛けがたくさんちりばめられていた。司会の生徒が最後に「これからも笑顔とエールを届けたい」と語っていた。

 札幌情報高校吹奏楽部が高校の吹奏楽界において、どのように見られ評価されているのか知る由もないが、これからも彼らのポリシーを貫いて音楽の楽しさを多くの人たちに届けてほしいと思った楽しい定期演奏会だった。

※ 写真は全て札幌国際情報高校吹奏楽部のHPから拝借したものです。


聖火の炎は消えて…

2021-08-09 19:08:38 | スポーツ & スポーツ観戦

 7月23日、聖火台に炎が灯され以来17日間にわたる若人たちのスポーツの祭典は昨夕聖火の炎が消えると共に静かにその幕を閉じた。賛否両論が渦巻く異例の形での開催となった東京オリンピックだったが、私なりに今オリンピックを振り返ってみたい。

  

  ※ 聖火の炎は消え、聖火台の扉は閉じられた…。

 まず今大会のデータを記録しておきたい。参加した国・選手数は205の国・地域から約11,000人の選手が参加し、史上最多の33競技、339種目が実施されたという。

 大会前、開催の是非を巡り世論は揺れ動き、さらには無観客での開催と異例づくめでの開催となり「果たして大会は無事に運営できるのか?」と憂慮されたが、運営スタッフ、ボランティアの懸命な努力に支えられ無事に閉会を迎えられたことに安堵したい。

 開催の是非云々については、大会中にも投稿したように「開催中止という選択肢はなかった」と思う。ただ、1年延期を決めた際に2年延期論も出ていた中、1年延期という結論を出す際に医学的・疫学的見地から十分な検討が加えられたのかどうか?人類が初めて遭遇するコロナウイルスだけにもしあと1年先だったら、という「たら、れば」がどうしても頭をもたげてしまう…。

 続いて無観客問題だが、これも開催を前提としたときやむを得ぬ措置だったろう。緊急事態宣言下での開催だからできうるかぎりの感染対策を取らねばならないことは当然のことといえる。ただ、私はその対策に反する行動を取ってしまったことについて指摘されれば返す言葉もない。

 こうした問題を内包しながら17日間の大会を開催したのだが、大きな事故や問題もなく無事に閉幕を迎えられたことは何よりだった。大会前、組織委員会の不手際が相次いで露見して大会運営に不安が募ったが、なんとか乗り切ることができたのは大会を下から支えた運営スタッフ、ボランティアに依るところが大きかったのではと想像される。この部分では日本の大会運営の底力を示せたのではと思っているのだが…。

   

   ※ 「東京五輪 テレビ放送スケジュール」表です。

 さて、ここからは大会に参加した選手たちに思いを馳せてみたい。私は大会期間中、新聞が発行した「東京五輪 テレビ放送スケジュール」表と「五輪日本選手団名簿」を常に脇に置きながらオリンピック放送に熱中した。その「五輪日本選手団名簿」によると日本の選手団は総数538人だったそうだ。(監督・コーチ・役員などは含まず)今大会の日本選手団の活躍は目覚ましかった。これも記録として残す意味から表記すると、金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個、総数58個と過去最高だったそうだ。メダリストたちはメディアにも露出しヒーローとして讃えられ、私たちもその活躍に拍手を送り続けた。しかし多くの選手たちは健闘むなしく敗れ去り、メディアにも登場することなく静かに退場していった。しかし、538人の一人一人は日本の各分野における第一人者であることには疑いがない。一人一人は厳しい国内予選に勝ち残り、オリンピックという晴れ舞台に出場することができたオリンピアンである。彼らの多くは、彼らの人生を賭けての挑戦だったことは間違いない。昨日、男子マラソンで第6位に入賞した大迫傑選手が「100点満点の頑張りができた。やり切った」とメダルに届かず涙しながらも胸を張った。目標に届かなかった多くのオリンピアンにとっても思いは同じだったろう。大迫選手同様、オリンピアン達は懸命の努力を傾注してオリンピック本番に臨んだのだ。そうした選手たちの努力の結晶がオリンピックという舞台だった。私たちはそうした選手たちの努力の結晶を目の当たりにするという幸運に出会えたと思っている。

   

   ※ 「五輪日本選手団名簿」の一枚です。(2枚構成)

 そのことに喜びつつも、半世紀を経て2度目に開催された東京オリンピックがコロナウイルスのパンデミックと遭遇するという不運に見舞われたことが残念でならない。

 しかし諸外国の反応を見ると、フランスのオリンピック組織委員会の会長は「コロナ禍に直面しながら適応する能力を示した」と評価し、アメリカの女子体操選手は「日本人は私がこれまで出会った中で最も優しい方々です」と感謝の言葉を発したり、悪名高き韓国のマスコミが「夏季・冬季通じて4度目の五輪を行った先進国らしく、大会運営では合格点を受けるに十分だった」と報じるなど、総じて高評価が多いと感じた。

 コロナ禍の対応に終始しなければならなかった今大会において「お・も・て・な・し」は十分ではなかったかもしれないが、大会に参加した選手・関係者が日本に好印象を抱いて帰国されたこととしたら、それが今大会の最大の成果だと私は思いたい…。


東京オリンピック 男子マラソン観戦記

2021-08-08 18:16:36 | スポーツ & スポーツ観戦

 「観戦自粛」要請を無碍にすることへの葛藤はあったのだが、「観戦したい!」という欲求を抑えることができなかった。前日の女子マラソンの様子を見ていて、“密” とならない場所を発見し、そこに足を運び観戦した。

 その場所とは、我が家から自転車で10分ほど走ったところである。そこは選手たちが武蔵女子短大を過ぎて、北大構内に折れ曲がる直前の新川通り沿いだった。前日、女子マラソンをTV観戦していて、ほとんど観戦客がいないことに目を付けていた。そこはスタート地点から17~18キロ付近と思われる。   

 私は自宅で午前7時のスタートをテレビで確認した後、現地に向かった。私が観戦を予定していたところは目論見通り周りにはほとんど人がいなかった。私のところから少し離れた北大構内に折れ曲がるコーナーのところにはたくさんの人だかりが見られたが…。

   

※ コースの路肩にはフェンスが張り巡らされ、そこには「観戦自粛」のテープが…。

   

※ 私の観戦ポイントから少し離れたコースが左側に折れ曲がるポイントには人だかりが。

 今回のマラソンコースは変則的なコースで、私が陣取ったところを選手たちは3度も通過するというポイントだった。しかも私が陣取った前方でコースが湾曲しているために私のところからは走ってきた選手たちが正面に捉えられるという絶好な観戦ポイントだった。

   

※ 私の観戦ポイントには人影が少なく、前方が湾曲しているため絶好のポイントでした。

 私は用意した携帯椅子を持ち出し、カメラを用意し、進行状況を確認するためにワンセグテレビも持ちこんで観戦体制を整えた。

 スタートから1時間を過ぎた頃だろうか、先導のオートバイ、関係車両に続いて先頭集団が見えてきた。放送によると日本代表の大迫、服部両選手が先頭集団に入っているとのことだったが、集団が多数のため二人を確認することは出来なかった。意外に思えたのは中村選手が早くも先頭から大きく遅れて私の前を通過したことだった。

   

※ 先導のオートバイ、関係車両の後ろに先頭集団が見え始めました。

   

※ 一週目からすでに優勝したキプチョゲ(ケニア)は先頭を走っています。

   

※ 先頭集団が私の直ぐ横を走り去りました。左奥に大迫選手の姿が見えます。

   

※ 走り去る先頭集団です。この先左に曲がります。№269と見えるのは服部選手です。

   

※ 後続の集団です。

   

※ 一週目から大きく遅れてしまった中村選手の走りです。

 天候は曇り気味で、私のところは日陰になっており暑さはほとんど感じず、快適な観戦環境だった。選手たちも最悪の気象条件というわけではなかったのではないだろうか?

 2度目の通過は27~28キロ付近となるだろうか?選手たちはかなりばらけてきたという感じだったが、依然として先頭集団にいるという大迫選手は先頭集団のやや後方で健闘しているところを確認できた。この一周で大きく遅れたのが服部選手である。走りの勢いを失っているのが残念だった。むしろその後を走っていた中村選手の方が淡々と歩を進めている感じがした。

   

※ 二週目もケニア選手団は3人とも先頭集団を形成しています。少し離れて大迫選手です。   

   

※ 大迫選手が私の直ぐ横を走っていきました。

   

※ 二週目に入り、大きく遅れてしまった服部選手です。

    

※ 順位的にはかなり後ですが、この頃の走りは淡々と走っているような中村選手です。  

 今回の参加選手は100名を超えていると報じられていたが、2度目に私の前を通過するときは、選手たちはかなりばらけていた。コンデションの問題もあるのだろうが、選手の実力にもかなりの差があるのではないだろうかと思われた。ただ、どの選手も自国を代表する長距離選手である。どの選手も相当に鍛えられているという身体や脚も持ち主でであった。

 最終3度目に私の前を通過するのは37~38キロ付近という最終盤である。すでに金メダルを獲得したケニアのエリウド・キプチョゲ選手の独走状態で私の前を通過した。それから少し離れて二位集団の4人が現れ、その後を大迫選手が懸命に追っていたが、かなり苦しそうな表情だった。大迫選手以外の日本選手二人は大きく遅れていたが、粘り強く走っていた中村選手が服部選手を抜いて私の前を通過し、服部選手はその後でもはやジョギング状態で苦しそうに通過した。

   

※ 3週目に入り、独走状態に入ったキプチョゲ選手の走りです。   

   

※ 私の前を往く2位集団に4選手です。大迫選手の足が見えます。

   

※ 2位集団を懸命に追う大迫選手です。

   

※ なぜかフェンス側ぎりぎりを走るグァテマラの選手です。

   

※ かなり後方を走っていたカナダとウガンダの選手です。

   

※ やはり後方を走っていた中村選手ですが、この時点で服部選手の前に出ていました。

   

※ 完全に戦意を失いジョギング状態の服部選手です。体調がイマイチだったようです。

   

※ 3週共に圧倒的に最下位をキープし続けた選手の国名が不明でした。帰宅して写真を詳細に見たところ「パラグァイ」の選手と判明しました。確か完走されたようです。

 帰宅して日本人選手の成績を確認したが、大迫選手は第6位に入賞したが、中村選手は62位、服部選手は73位と残念な結果となった。

 「観戦自粛」の勧めに背いて観戦したことに自責の念はあるが、札幌の地で開かれた歴史的イベントをこの目で見たいという欲求に抗することはできなかった。同じ欲求を抱きながらも「観戦自粛」の勧めに従いTV観戦された皆さまには申し訳ない思いであるがご容赦願いたいと思います。

 そして今夜、私はそれなりに熱中した東京オリンピックは幕を下ろすことになる。明日は私なりに今回のオリンピックを振り返ってみたい。

 

 


おめでとう!サムライジャパン

2021-08-07 22:15:14 | スポーツ & スポーツ観戦

 おめでとう!サムライジャパン。おめでとう!稲葉ジャパン。

                               

 値千金の村上の先制ホームラン

 渋い吉田の追加点となるセンター前ヒット 

 森下、千賀、伊藤、岩崎、栗林の鉄壁の投手陣

 2対0の最後まで緊縛した好試合だった。

 何もかもが噛み合った素晴らしい金メダル! おめでとう!サムライジャパン!

 明日が東京オリンピックの閉会式。 

 有終の美を飾ろう!


東京オリンピック 日本の翳りが心配

2021-08-06 21:04:36 | スポーツ & スポーツ観戦

 本夕のサッカー3位決定戦の敗戦が示すように、チームジャパンに前半戦の勢いが消え翳りを見せている。選手たちが見えないプレッシャーの前に力を十分に発揮し得ていないのではないかと心配である。

 女子レスリングの川井姉妹の金メダルとか、卓球団体の男女メダル獲得など、明るい話題もあるのだが、全体としては期待の種目の敗退が目に付く後半戦のチームジャパンの戦いぶりである。

 その背景として気になるのが、コロナ禍における開催による選手たちに与える見えないプレッシャーではないかと心配するのだ。

 そうした中、本日の北海道新聞に「解読 オリンピック コロナの悲劇」と題するワシントンDC日米協会会長ライアン・シェイファー氏の論文が載った。その記事の見出しとしては「中止は敗北 選択肢はなかった」と付けられていた。ライアン氏の論文は次のような書き出しで始まっている。

 1964年の東京五輪は、日本が世界の主要国の一員だということを示すことが全てだった。 今回の五輪を通して日本は、衰えつつある「過去の強国」ではなく、人類の未来を決定づける最新技術などを持つ国の一つだということを示そうとしていた。悲劇は、その全てが新型コロナウイルスにより葬り去られてしまったということだ。

(中略)

五輪開催が新型コロナの感染者増につながることは否定できない。経済的にも非常にマイナスだろう。しかし日本に中止という現実的な選択肢があったとは思えない。中止の決断は国際舞台における日本の敗北を意味した。

(中略)

 日本がギブアップするのも見たくはない。全ての難題を前に、安全な五輪を成功裏に開催してもらいたい。中止の判断をしていたら多くの人々を落胆させていただろう。

(後略)

 論文はこの後、開催費用やコロナ禍の開催によって生じたコストの問題について論じている。

 オリンピック開催の可否については、私もライアン氏が指摘するように「中止」という選択肢はなかったと思っている。ただそのために誰もが納得できる形(誰もがというのは現実的ではないかもしれない。より多くの人が納得できる形というのが適切であろう)で開催までのアプローチが出来たかというと疑問を感じざるを得ない。コロナウイルスが開催のための最大の敵と誰もが認識しながら、最善、最高の対策を行ってきたか?と問われれば疑問を感じざるを得ない。

 そのことで多くの人が開催することに対して疑問を呈したのではないか。ひいてはそのことが選手たちにあらぬプレッシャーを与えたとはいえまいか?私はネットの世界には疎いので、どのようなやりとりが交わされているのか知る由もないが、匿名性を隠れ蓑にして選手に対して必要以上の誹謗中傷が飛び交っているとも聞く。それを目にする選手たちが極限の緊張状態でのパフォーマンスに影響を及ぼしているのではないか、と心配するのである。選手たちが戦いの後に発するコメントにその影をみるのは私だけだろうか?

 そんな私の心配は杞憂に終わり、明日からの戦いでチームジャパンの選手たちの大活躍を期待したいと思っているのだが…。

 


オリンピック本番の雰囲気を感じたくて…

2021-08-05 20:15:36 | スポーツ & スポーツ観戦

 「応援自粛」が求められてはいたが、札幌の地で行われるオリンピックの雰囲気を直接感じてみたくて街中へ出た。競歩自体の観戦が初めてだったが、想像以上のスピードで札幌の中心街を駆け抜ける(歩き抜ける)選手たちの姿に感動を覚えた。

   

   ※ フェンスには東京オリンピックのロゴが描かれたシートに覆われていました。   

 本日から東京オリンピックの競歩・マラソン競技が札幌を会場に始まった。本日はその第一弾として男子20キロ競歩競技が16時30分から開始された。

 早くから「観戦自粛」が呼びかけられていたので、「どうしょうか?」と逡巡したが、トライアスロンやマウンテンバイクの競技をTVで観ていたら、観戦していた方がけっこう目に入った。そこで札幌はどうなのだろうか、と思い街中へ出かけてみることにした。

   

   ※ 会場の各所でこうした「観戦自粛」の呼びかけが行われていましたが…。

    

   ※ TV中継用にカメラも各所に設けられていました。

 20キロ競歩は札幌駅前通の北2条通から南1条通までの直線を何度も周回するコースだった。(1周1キロということだったので20回周回することになる)

 私は北2条通から駅前通の西側の歩道を歩いてみた。すると歩道はそれほど人の往来は多くなく、比較的楽に歩くことができた。しかし、壁際には競技が開始されたときに観戦しようとする人の姿も目立った。そして大通公園のところまで行くと、その先には真っすぐ進むことができなかった。その先に進むためには大きく迂回しなければならないようだったので、その先に進むことは諦めた。

   

   ※ スタート&ゴールとなった大通公園に設けられたマラソンゲートです。

   

   ※ 会場の一角にはこのようなメディカルカーも準備されていました。

 そこで私は北2条通から大通までの歩道を歩きながら競技を観てみようと考えた。街中はふだん駅前通とは様変わりし、路上に立てかけられたフェンスには東京オリンピックのロゴが描かれた布で覆われていた。そして路上にはテントや救急車両が配置され、競技役員などがいたるところにいて、すっかり競技会場と化していた。

 午後4時30分、競技が開始された。(といっても、私はそのことを確認はできなかった)やがて路上に先導のバイクが現れ、その後ろに選手たちの大集団が静かに素早く駆け抜けた(歩き抜けた)。私は最初に選手団を観た地点はスタート後7~800メートル地点かと思われるのだが、選手たちのユニフォームはもはや汗にまみれていた。選手たちにとって暑さが強敵のようだった。

   

   ※ スタートして一週目はまだまだ選手たちは一段となって進んでいます。

   

   ※ 目の前を通過する選手団です。

   

   ※ 前半、先行する二人の選手を追う右~山西選手、左~池田選手です。

   

   ※ 1周目から最後尾を往くアメリカの選手です。完歩できたのだろうか?

 1周1キロの周回コースなので、何度も選手たちが目の前を通り過ぎるのは好都合だった。私は何度かカメラのシャッターを切った後、会場を後にした。後は自宅へ帰ってTV観戦することにした。

 競歩の男子20キロに日本は山西、池田、高橋と3選手がエントリーしていたが、山西と池田両選手はランキング通り力を発揮し、先頭集団の一員に加わっていた。結果、池田向希選手が銀メダル、山西利和選手が銅メダルを獲得するという素晴らしい成績を残し、札幌の地で素晴らしいスタートダッシュである。この後の日本選手団の健闘にも期待したい。

   

   ※ 競技終了後、メダリスト3人へのフラワーセレモニーです。(テレビ画面より)

 心に残った一場面があった。戦いの後二人のメダリストのインタビューの後、32位と残念な結果となった高橋英輝選手がインタビューに答えたコメントが心に残った。ピークを合わせられず実力を発揮できなかったようだが、言い訳はせずに精いっぱい戦ったこと、支えてくれた方々への感謝の言葉、全てが私の心に刺さった。高橋選手の素晴らしい人間性に触れた思いだった。

 「観戦自粛」を求められたことに従わなかったことはけっして褒められたことではないが、最低限立ち止まらなかったことでご容赦願えたらと思っている。


サツエキのナツヤスミ

2021-08-04 19:37:48 | イベント

 JR札幌駅の夏休みではない。札幌駅に直結するデパート「大丸札幌店」の企画イベントである。今年のテーマは「北海道のことや、北海道の森のこと」と銘打ち各種展示やワークショップが開催されるとあって覗いてみた。

 アウトドアからすっかり遠ざかってしまった私にとって投稿ネタに困ることが多い。体は回復したのだが、アウトドアに向かう気力が湧いてこない。やはり老化が忍び寄っているのだろうか?秋になり、気温も落ち着いてきたとき、気力が甦ることを期待しているのだが…。

 というわけで、今日も街中の話題を取り上げることにする。

 「サツエキのナツヤスミ」は大丸札幌店で7月28日から8月17日までの日程で開催されていると新聞に載っていた。その中でも目玉企画と思われる「木こりキャビン」が本日から展示されるとあって訪れてみた。

 会場に赴いて知ったことだが、展示やワークショップは主として、上川管内中川町、北大森林研究会、北海道芸術デザイン専門学校が主として関わっているようだった。

 特に中川町が力を入れているようだった。本日の目玉の「木こりキャビン」も中川町を中心にして活躍する「木こりビルダーズ」という集団が提供したものである。展示されたのはあくまで小さな模型的なものだが、本来的にはログハウスとは一線を画した森の中に建てるのに相応しい建物(住宅)の提案をしていた。また、中川町は森林が生み出すさまざまな木製品も展示していた。                 

     

     

     

 一方、北大森林研究会は2019年に7人の北大生で結成されたグループであるが、彼らは森林の魅力や価値、森林が生み出すエネルギーについて研究したり、楽しんだりしているグループだという。彼らは「森のおとしもの」と題して、森林から得ることのできるエトセトラを展示していた。また、展示には北海道の森には欠かすことのできないヒグマを展示し、見物客の注目を引いていた。

     

     

     

     

     

     

     

 北海道芸術デザイン専門学校の方は、展示期間が日程後半ということで本日は目にすることができなかった。

 イベントは前記したように17日まで続く。本日はまだ目に出来なかった展示やワークショップ、さらにはキッチンカーなども登場するようである。北海道の森林の魅力とデパートがコラボしたこの企画は、夏休みに買い物に訪れる親子には絶好の企画のように映った。                                         


東京五輪開幕前夜の札幌の街は?

2021-08-03 19:48:08 | スポーツ & スポーツ観戦

 東京オリンピックは開幕12日目を迎えているというのに、“開幕前夜” とは? そう!札幌にとっては8月5日の男子競歩20キロが開幕の日なのだ。そんな開幕前の札幌の街中を巡ってみた。

 極限まで己の体力を酷使するマラソンや競歩の競技を酷暑の東京で実施するには無理があるとのIOCの判断で二つの競技を札幌で実施することが決定し、これまで準備を進めてきた。ところが!今年の札幌はいつにもまして猛暑が襲っている。果たしてその選択が 効を奏するのか否か…。

 そのことはともかくとして、準備は着々と進んでいると新聞やテレビは伝えている。そこで私はPMFのコンサート中止に伴うチケット払い戻しを受領するために街中に出た機会にその準備の様子を覗いてみることにした。

 まず大会の運営本部、選手たちの集合場所、表彰式の会場などに充てられる大通3・4丁目広場は早くからフェンスが張り巡らされ、市民は立ち入ることができなくなっていたが、3丁目広場には各国の国旗がはためいているのがフェンス越しに見ることができた。4丁目の方は各種のプレハブの建物が林立していたが、それらがどのような目的の建物なのかは皆目見当がつきかねた。

   

  ※ 旗の下に近づくことはできないが、オリンピックムードを感じさせる光景である。

 続いて、競歩会場となる札幌駅前通りは観戦客を排除するためのフェンスが準備されていた。市民が通行するスペースは確保されるようだが、はたしてそこに観戦客が殺到しないのかどうか…。

   

   ※ このような規制フェンスが用意されていました。

 また、マラソンコースにもなる駅前通は大通公園のところが完全にシャットアウトされていて、すでに車の通行もできない状態となっていた。そこから目に入るビルの壁の温度計が34℃を示しているのが目に入った。マラソンも競歩も早朝のスタートだというが、今夏の猛暑の中ではどれほどの効果があるのだろうか?心配である。

   

   ※ 駅前通にはマラソンゲートが立てられ、完全にシャットアウトされていました。

     左のビルの表示をご覧ください。気温34度を表示しています。

 チカホ(札幌駅前通地下歩行空間)にマラソン・競歩の応援用に全道32市町村から集めたサクラ約2千本が展示されていると新聞報道があったので行ってみることにした。サクラはほとんどがまだつぼみ状態で、競技が行われる5~8日あたりに満開になるらしい。チカホを歩いてみて驚いたのは、これまで各種の広告が展示されていた壁面が見事にオリンピック一色に変わっていたことだ。競技会場の展示が制約を受けることは聞いていたが、チカホのような公共的な空間も制約を受けるということなのだろうか?それとも関係機関が自主的にオリンピックムードを高めるために取った措置なのだろうか??

   

 ※ チカホの壁面はご覧のようにオリンピックのイメージカラーに埋められていました。

   

 ※ チカホの一角には、北海道の市町村をPRする展示が一覧で表示されていました。

   

   ※ 道内32市町村のサクラを集めたものが展示されていました。

   

   ※ ほとんどがつぼみ状態の中、唯一花を付けていたサクラがありました。   

 ともかく8月5日の札幌開幕に向けて準備は着々と進んでいるようだ。

   

   ※ 観戦自粛を訴える表示です。

   


オリンピックと政治

2021-08-02 20:00:22 | その他

 相変わらずテレビの前でオリンピック観戦三昧の日々を送っている。猛暑が続く日々を過ごすにはエアコンの効いた部屋で過ごすのが私のようなシニアには最適なのではと思っているからだ。盛り上がるオリンピックを観戦しながら気になる点について考えてみた。

       

 観客のいない中で、オリンピック選手たちの健闘が続く。各競技において世界最高峰の力や技を次から次へと眼前で見ることのできる恍惚に浸っている。(けっして「恍惚の人」になったわけではない)そうした中、日本選手たちは序盤の勢いにやや翳りがみえるものの、持てる力を発揮し精一杯の健闘をしている。

 このように観戦に夢中になりながらも、ずーっと気になっていることがある。それは私が以前に投稿した「オリンピックはどうしても民族意識をくすぐられるところがある」という一文に関係することだ。

 先日、購読する北海道新聞に「解読 オリンピック 政治との関係」と題する評論が載った。政治学者の加藤創太氏(東京財団政策研究所研究主幹)の論文である。加藤氏は「閉幕後はリーダー見極め」と題して、次のように述べている。少し長いが紹介したい。

(前略)今回の東京五輪はことさら政治、特に国際政治ではなく国内政治に大きな影響を受けているように思える。自民党総裁や衆院の任期満了が五輪終了後に設定されていることが一つの要因だ。

 よく言われるのは政権が、五輪で高揚する国民意識の下で政権支持率を高めて、その後の選挙や総裁選につなげようとしているのではないか、という疑念である。実際、政治学では古くから、国民の政権支持には「旗の下への招集効果」があるとされてきた。危機時などには、国旗を掲げるリーダーの下で国民は一致団結するため、政権支持率が跳ね上がるという現象だ。五輪自体は危機ではないが、国家を代表して闘う若者たちの姿を見て、国への思いや強い一体感を感じた者、つまり五輪を見て旗の下に招集された経験のある者は少なくないだろう。

 その一人である私は、だから今回の五輪だけは、冷ややかに見ようと思っていた。政府の一連の対応にも反発があったからだ。しかし情けないことに、そんな思いは開会式まですらももたなかった。開会式前に日本の先陣を切って福島で試合を行った女子ソフトボールチームを見てしまったからである。

 2008年の北京五輪後にソフトボールはいったん五輪競技から外された。5年間ではなく13年間待ったエース上野由紀子選手が福島で力投する姿に、旗の下に引きずりこまれなかった者はいないだろう。(後略)

加藤氏が指摘するオリンピックと政治の関係については、コロナ禍の中でオリンピックを開催するか否かの議論がメディアで盛んに報じられていた際に、政権は頑なにぶれることなくオリンピック開催を主張し続けた。その際に言われていたことは加藤氏が言うように、オリンピックの開催が総裁選や衆院選挙に有利に働く。そのためにもオリンピック開催断念の選択肢はないと公然として囁かれていたことに私は違和感を覚えていた。そうした効用がないとはいえないが、スポーツの祭典さえも政治利用するのかという思いである。私にとってはオリンピックで自国選手を応援することと、選挙や政権選択はまったく別物と思っているのだが…。

       

加藤氏は論文の最後に言う。

 五輪後の政治の季節は、旗の下に招集された国民が、自ら先頭で真に旗を持つべき者を見極める季節となる。それまでは、政治の色眼鏡を外し、選手たちの躍動を堪能しよう。

と結んでいる。私もまた、政治とスポーツはまったく別物と考え、残りの期間オリンピックを堪能しようと思う。