田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

さようなら東宝公楽

2010-09-03 15:09:32 | ステージ & エンターテイメント
 また一つ映画館が消えてしまった。私自身は一度も行ったことのなかった映画館だったが、最後の営業となった8月31日(火)足を運んでみた。

 ススキノに映画館なんてあったっけ…?。
 その程度の認識だったが、新聞報道でその閉鎖を知った。
 1921年、ススキノで創業というから90年の歴史を誇る映画館だったようだ。

 最後の上映作品は黒澤明監督の「天国と地獄」と比較的新しい作品の「ALWAYZ 三丁目の夕日」 の二作品だった。
 当日はこの二作品が500円で提供された。
 私のような暇人、酔狂人がたくさん集まるのではと思いながら映画館に入ってみたのだが、それほどではなかった。閉館サービスのことが知れ渡っていなかったのではないだろうか。

 初めて入った館内はとても大きくて驚いた。資料を見ると定員470名で北海道でも随一の広さだったとか…。最近のシネマコンプレックスのような細切れのスクリーンに慣れた者には大きなスクリーンが爽快にさえ見えた。
 最後とあって報道陣も取材に見えていたが、取材を受けた近くの人が「この映画館は入れ替え制などなく、いつ入って、いつ出ても良いところが外の映画館と違って良かった」と言っているのが聞こえてきた。

 映画の方は二作品とも名作として評価の定まった作品だったから、大いに楽しむことができた。
 その一つ「天国と地獄」は1963年(昭和38年)公開というから約半世紀前の作品である。もちろん白黒映画なのだが、興味深かったのはその後大成する映画スターがキラ星のごとく登場していたことだ。
 例えば、主役、準主役級だった三船敏郎、仲代達矢、香川京子、三橋達也、木村功、加藤武、山崎努などは、この映画でも主要な役を演じており既に当時から名を成していたように思われる。
 ところが端役のような中に、その後大成した人たちがたくさんいるのだ。例えば、田崎潤、伊藤雄之助、志村喬、名古屋章、千秋実、北村和夫、大滝秀治、東野栄治郎、などなど…。その後の活躍を思うとキラ星のごとく並んでいるといえる。映画通ではない私が見落としている俳優もいるかもしれない。
 それだけ黒澤監督は人を呼ぶカリスマ性があり、また俳優を育てる力をもっていたということなのだろうか? ただ一つ気づくことは、大成したといっても顔ぶれをみるといずれもバイプレイヤーとして名を成した人が多いということだ。このあたりに黒澤監督の好みのようなものが見え隠れしているようにも思えるのだが…。

 札幌からまた一つ、古き良き映画館が消えていった…。

※ 私としたことが当日カメラを忘れてしまった。したがって写真なしの地味なレポートになってしまった。


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