田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

死刑制度について考える

2024-03-26 16:43:18 | 講演・講義・フォーラム等
 とても重い問題である。私などが論ずるには荷が勝過ぎるし、私自身死刑制度の可否などについて考えたこともなかった。この重たい問題を考える機会を与えられた…。
     
 3月22日(金)夜、かでる2・7において札幌弁護士会が主催する「映画上映会&死刑制度に関するトークセッション」が開催され、参加してみた。
 映画は「望むのは死刑ですか オウム“大執行”と私(告白編)」という約60分間のドキュメンタリー映画だった。
 内容はオウム事件で坂本弁護士一家殺人事件を機にオウムと対峙し続けながらも死刑制度には反対の立場の岡田尚弁護士
 オウム事件の被害者の一人で、オウムの教祖麻原彰晃にだけは死刑執行をと強く主張していた滝本太郎弁護士。(滝本氏は麻原彰晃が超能力の証とされた「空中浮遊」を自ら再現したことでオウムから狙われた弁護士です)
 オウム真理教家族の会の一員で、夫がオウムのからの猛毒で襲撃され障害者となってしまった永岡英子氏

        
 ※  被害者の会の会員永岡英子氏とオウムから攻撃を受け後遺症の残った ご主人です。

 オウムの教祖麻原彰晃こと松本智津夫被告の弁護団の一人として裁判を闘い、死刑制度に反対する小川原優之弁護士
以上4人の方々が2018年7月の一か月の間にオウム真理教の13人死刑執行後、5年を経た某日、この映画の監督の長塚洋氏の質問に答える形で現在の心境を述べているところを撮り続けたドキュメンタリーである。

        
        ※ ドキュメンタリーを制作し、来札して長塚監督です。
  
 映画に登場した長塚監督をはじめとして4人の方々は基本的には日本の死刑制度についてか反対、または懐疑的な論調でした。曰く、死刑が本当に望まれているか。国が代わって人を殺すことが必要なのか。被害者感情は年月の経過とともに変化していく。等々…。
 特にオウム事件の場合、短期間に大量13人の死刑が執行されたこと、精神的に異常な状態にあるといわれた麻原彰晃の死刑が執行されたこと、さらには死刑囚13人のうち10人が再審請求中にも関わらず死刑が執行されたこと、等々が疑問点として提起された。
 映画上映後、長塚監督と札幌弁護士会の大川哲也弁護士によるトークセッションがあったが、そこで私にとっては衝撃的な資料が提起された。それは世界的に死刑を廃止している国が144ヵ国に上り、OECD加盟38か国の中で死刑制度をとっている国は、米国の一部の州(50州中24州)、韓国、そして日本の3ヵ国のみということだった。その中、韓国では死刑制度はあるものの1997年以降は死刑執行が行われていないという。米国では州によって死刑制度は残っているものの連邦レベルでは2012年に停止していて、国家として統一して死刑執行をしているのは日本のみであるということを知らされた。
 一方で、日本の政府世論調査(2013年調査)によると「死刑は廃止すべきである」が9.0%、「死刑はやむを得ない」が80.0%と死刑制度支持派が圧倒している現実もある。(もっともオウム関連の死刑執行が行われた後は死刑支持派が60%台まで減じたことも知らされた)
 前述したようにこの問題について、私は論ずるに値するほど真剣に考えたことは今までなかった。敢えて言えば日本人の多数派である「死刑はやむを得ない」派であった。しかし、今回の映画とトークセッションに参加してみて「こうした問題にも関心を持たねばならないかな」との感想を持ったが、やっぱり私には難しい問題だった……。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。