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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

中島岳志東工大教授、日本を憂う

2022-11-07 16:29:07 | 講演・講義・フォーラム等

 「リベラル保守」を標榜する元北大准教授の中島岳志氏は、小泉改造内閣が打ち出した新自由主義によって国内では格差が拡大し、貧困問題が顕在化してきたと指摘する。東京からの発言をリモートで拝聴した。      

 11月4日(金)夜、当初は西区民センターで直接中島教授から2022日本 そして北海道を語る」と題する講演を聴くことになっていたが、北海道(札幌)のコロナウィルス患者の急増を受けて、急きょリモート開催となってしまった講演を画面越しに拝聴することとなった。

   

   ※ 会場の画面に映し出された中島岳志氏です。

 中島氏は前述したように2006年9月から2016年2月まで約10年間にわたり、北大で教鞭を執られる一方、著書やマスメディアを通して積極的に発信する学者として知られてきた。

 中島氏はまず彼自身の札幌での10年間を振り返った。その中で中島氏は地域との関りという点で、くすみ書房の店主・久住邦晴氏との出会いを語った。久住氏の特色ある書店経営は中島氏を大いに刺激したようだ。中島氏は久住氏が書店と共に経営していた「ソクラテスのカフェ」で定期的に地域住民と語り合った「大学カフェ」が懐かしいと語った。

   

   ※ 中島氏は在りし日の久住邦晴さんと、くすみ書房の写真をしっかりと保存されているようです。

 さらに発寒商店会において「カフェハチャム」を開店したことに触れた。この「カフェハチャム」は中島氏を中心に、彼のゼミの学生、発寒の商店会の人たちが協力し合って開店したカフェであるが、ある意味で中島氏の理論の社会的実験の一つだったのではないか?とお話を聴きながら感じていた。というのも、2002年の小泉第一次改造内閣以降、政権は新自由主義を打ち出した。それは “官から民へ”  “規制緩和” “自己責任” などのフレーズが世の中を飛び交い、国民の間に格差が拡大し、貧困層が顕在化してきたと中島氏は分析した。そうした中、2008年に秋葉原で無差別殺傷D事件が発生した。中島氏は殺人犯の加藤智大の軌跡を追ったそうだ。その取材中に加藤が放った言葉「人間と話すっていいね」という言葉に衝撃を受けたという。そのことが地域の人たちが気軽に話し合える「カフェハチャム」の誕生に繋がったという。「カフェハチャム」は、そこに集う人たちの間にweak ties(弱いつながり)を産み出し、ナナメの関係を創り出す場として機能したという。また、そこから中島氏の教え子の中から、弱者救済に一生を掛けようとする人間も産み出したという。

 そして中島氏は指摘する。秋葉原の事件から、日本はますます闇の部分が大きくなっているのではないかと…。2016年の「相模原障害者施設殺傷事件」、2019年の「京都アニメーション放火殺人事件」、2021年の「小田急線刺傷事件」、そして今年の「安倍晋三銃撃事件」と…。ことは無差別殺傷事件からテロへと向かっていることが不気味であると…。

         

         ※ ウェブ上から拝借した中島氏です。

 今回の講演において中島氏はその先について言及はしなかったものの、小泉改造内閣以降日本中を席巻した「新自由主義」への見直しを求めているものと私は受け止めた。   

 私は正直に吐露して、政治や経済のことは良く分からないというのが本音である。ただ、マスメディアなども指摘するように、20世紀後半から日本の経済が世界の中から遅れをとり始めたこと、それに比例するように国民の間に格差が拡大していることは私でも肌でも感じられるようになってきた。

 現在政権の座にある岸田氏は、昨年の総裁選にあたり「小泉改革以降の新自由主義的な政策を転換する」と述べたが、思うようにはいっていない現実もある。

 このような状況の中で、中島氏が国の政治に対して積極的に提言し、議論を巻き起こしていく核となることが期待されているのかもしれない…。



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