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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

明日の観光を考える Vol.4

2016-12-07 19:05:43 | 大学公開講座
 「丘のまち美瑛」として脚光を浴びる美瑛町だが、その美瑛町で「哲学の木」と呼ばれて人気だった樹木がオーナーの手で切り倒されたことが話題となった。そのような事態を招いた背景、そして対策を考えた…。 

 北大の公開講座「明日の観光を考える」の第4講が12月1日(木)夜にあった。
 講座は、前回講師の上田准教授が前半の講師を務めた。
 氏のテーマは「お墓参りピクニック ~ ドイツの樹木葬墓地」であったが、上田氏が私たちに課した「今後、人口流動がさらに進んでいくと考えられます。そのとき、墓地とふるさとの関係はどうなっているでしょうか。 また、日本において遺族が集まれるお墓のしくみとはどのようなものでしょうか」という課題について受講者の考えを聞くということがメインだった。
 最初に受講者3人が1グループとなって、それぞれの考えを述べ合い、その内容を全体に報告するという方式だった。
 受講者の大半が私と同世代の方が多かったためか、“お墓”に対する関心がとても高かったようで、どのグループからの報告も、課題に対しての一般論というよりも、私事(わたくしごと)としての報告が多かったように思えた。私たちのグループは、私が最初に考えを述べたこともあって、他のお二方も私の考えに賛同していただいたので、私が報告という形になったのだが、なんだか私のグループだけが一般論としての考え方を述べたように思えた。(私の一般論はこちら⇒)

 私が「お墓参りと観光」がリンクするのかという点に疑問を呈したことに関しては、上田氏は、受講者の関心が“お墓”に向いてしまったが、お墓の在り方が講義のテーマではなく、一つの観光の形として「お墓参りと観光」という視点も今後の可能性として考えられる、という点から取り上げたのだ、と述べられた。

                    
                    ※ 講義していただいた西川克之教授です。

 さて、後半である。後半は4人目の講師として西川克之教授が登場した。西川氏の講義のテーマは「イメージの呪縛-『まなざし』の観光の向こう側」と題して、「丘のまち美瑛」ともてはやされている実状と、その向こうにあるまちの苦悩について話された。どこの観光地も大なり小なり、観光客のマナーの悪さに頭を痛めていることは、時々耳にすることである。
 美瑛の観光対象は、いわゆる自然景観である。そこでは地元の人たちが生産をし、生活をしている場所である。そこに観光客が地元の迷惑を顧みずに乱暴狼藉を繰り返した結果が「哲学の木」の伐採に繋がったということだ。

               
               ※ オーナーによって切り倒されたという「哲学の木」です。              

 そこで西川教授は、私たち受講者に次のような課題を出したのである。
 【課題】美瑛における農村観光が抱える問題点や矛盾を解決するための方策について考えるところを書いてください。

 これはけっこう難しい問題である。私は特別な方策を見出すことはできず、翌日きわめて一般的と思われる方策を書いて、西川教授に提出した。その回答は下記のとおりである。


北海道大学 メディア・コミュニケーション学院
            教授 西川 克之  様

 昨日はご講義ありがとうございました。
 いただきました課題について、本来であればメールで回答しなければならないところですが、現在私のPCのメール機能が不全状態のため、FAXにて回答させていただきますことをお許しください。無事に先生のところに届くことを念じながら…。

【課題】美瑛における農村観光が抱える問題点や矛盾を解決するための方策について考えるところを書いてください。

 先生がご指摘された美瑛のような問題は、大なり小なり日本の観光地が抱えている問題なのではと推察されます。
 その要因には、残念ながら日本人の道徳心・公徳心というものの低下が挙げられると思います。さらには、日常から離れたという開放感がさらにそのことを増幅しているのだと思われます。「旅の恥はかき捨て」とは、言い得て妙というものです。
 さて、そのことを解決するための方策は?と問われましても妙案がすぐに思いつかないところが悲しい現実です。
 単純かつ月並みな発想としましては、「規制」という言葉しか思い浮かびません。どこかの観光地で試行しているとも聞きましたが、「入村税」のような制度を取り入れてみるということはいかがでしょうか?
 「丘のまち美瑛」の景観が全国的な知名度を獲得した今、その景観を護るための対価を払っても観光したいという人たちが大多数なのではないでしょうか。
 そこで得た資金を活用して、農地への立ち入り規制のための柵などの問題点を解決するという考え方です。

そ こに住む人々にとって、生産の場であり、生活の場であるところを観光資源として、対価を得るということに対する抵抗のようなものも存在するかもしれません。しかし、美瑛において止むに止まれぬ思いから伐採してしまったという「哲学の木」のお話は、伐採した方にとって悲しい選択であり、地域にとって大きな損失であると思われます。そうした状況を回避するためにも美瑛町においては早急な対策が必要なのだと思われます。

 私のような発想は、おそらく関係者間ではすで検討されたことではないかと思われますが、問題はその徴収方法だと思います。しかし、その点についてはさまざまな方法があると思われますので、ここでは言及いたしません。

 貧弱な発想しかできませんでしたが、他の受講者からさまざまなアイデアが提出されると思います。それを伺うことをとても楽しみにしております。
 来週8日(木)、またよろしくお願いいたします。

     「明日の観光を考える」受講者 〇〇 〇〇


          

 回答書でも触れているが、次回の講義の際に他の受講者たちから、どのようなアイデアに富んだ回答が披露されるか、楽しみである。