人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの新刊「シーソーモンスター」を読み終えました。
この単行本は、中央公論新社が2019年4月10日に発行しました。価格は1600円+消費税です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/4e/56c38f8c4210f52c3ad4a89bb076cf4f.jpg)
実は、既に軽く一通り読み終えていたのですが、7月27日は紀伊半島に上陸した台風5号の影響によって、関東地方は風が強く、晴れたり曇ったりという変則的な天気になりました。このため“晴耕雨読”風に読み返してみました。
この単行本「シーソーモンスター」は、中編「シーソーモンスター」と中編「スピンモンスター」の2編で構成されています。
この二つの中編は、古代から未来までの日本を舞台に「海」と「山」の一族が争い続けているという背景が基に書かれた小説です。でも、実際には小説の中身にはそれほど強くは反映していません。
今回は、中編「シーソーモンスター」を読んだ感想です。いきなりネタばらしがあります(未読の方は以下は読まないことをお薦めします)。
この中編「シーソーモンスター」の時代背景は1980年以降の日本の高度成長期の社会です。日米貿易摩擦の記事が新聞に載っていると始まります。
日米貿易摩擦では、日本と米国の貿易不均衡を是正するために、1985年のプラザ合意によって、ドル売りの協調介入し、円高誘導をしました。この結果、1米ドルが230円ぐらいから一気に130円ぐらいに跳ね上がりました。
その後、1987年には米国の包括通商法301条に基づき、日本製のコンピューターやカラーテレビ、電動工具の3品目に100パーセントの報復関税をかけたころです(今の米国と中国の報復関税の先駆けです)。
日本は好景気で、残業もいとわずに猛烈に男性社員が働いていた時代です。
この中編「シーソーモンスター」の主人公は中堅の製薬企業に勤めている北山さんです。そして4年先輩の綿貫さんに飲み屋で「同居してる実の母セツと、妻の宮子の仲がよくない嫁姑問題」の苦労を訴えます。
以下はネタばらしです。妻の宮子は、身寄りがない子ども時代を過ごしてきたため、好青年の北山さんと東海道新幹線内で知り合い、結婚までこぎ着けます。
北山さんが婚約者の宮子さんを両親に紹介するために、あるホテルのテールームで待ち合わせます。この時に、婚約者の宮子は、あるホテルのテールーム内にいた敵を見抜き、トイレで相手を片づけます。
実は、婚約者の宮子さんは日本の諜報部隊の一員で、なかなかの腕前の持ち主です。
そして、なんと実の母セツも、その日本の諜報部隊の元一員でした。あるホテルのテールーム内にいた敵を見抜き、トイレで相手を片付けた際には不十分な対応で、この義母のセツが裏側で相手を完全に片づけていたのでした。
話は進んで、中堅の製薬企業のいいお得意さんの大手病院の二代目院長を、4年先輩の綿貫さんから紹介されます。
実は、大手病院の二代目院長は病院の売上げをごまかし、脱税などをして不正に儲けていました。4年先輩の綿貫さんが協力した成果でした。
この大手病院の二代目院長は病院の売上げをごまかしている事実に気がついた北山さんは、4年先輩の綿貫さんに相談します。
この結果、4年先輩の綿貫さんと二代目院長は、この不正の罪を北山さんのしたことにして闇に葬ろうとします。
このため、北山さんは殺されかけます。この事件に乗り込んできたのが、妻の節子と母のセツでした。
拉致された北山さんは、偶然、ゴミ袋を顔に被せられ、視界を失います。気がつくと病院のベットに寝ていました。怪我をしたからです。
病室で何となく目が覚めると、そばに妻と母がいたようで、声が聞えました。その声は二人が仲が良さそうな雰囲気でした。
でも、怪我が直ると、また元の不仲な義母と嫁に戻りました。ここまでの話はテンポ良く進み、伊坂幸太郎さんらしい軽妙なストーリーです。
北山さんが退院すると、義母は同居を止めて別居することにしました。義母は元々、絵が上手だったので、カタツムリを主人公にした絵本をつくることになりました。
絵を義母が担当し、物語などの文書を妻の宮子が担当する役割分担です。この絵本はヒットしたそうです。この絵本の話は、もう一つの中編「スピンモンスター」に登場します。
この単行本は、中央公論新社が2019年4月10日に発行しました。価格は1600円+消費税です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/4e/56c38f8c4210f52c3ad4a89bb076cf4f.jpg)
実は、既に軽く一通り読み終えていたのですが、7月27日は紀伊半島に上陸した台風5号の影響によって、関東地方は風が強く、晴れたり曇ったりという変則的な天気になりました。このため“晴耕雨読”風に読み返してみました。
この単行本「シーソーモンスター」は、中編「シーソーモンスター」と中編「スピンモンスター」の2編で構成されています。
この二つの中編は、古代から未来までの日本を舞台に「海」と「山」の一族が争い続けているという背景が基に書かれた小説です。でも、実際には小説の中身にはそれほど強くは反映していません。
今回は、中編「シーソーモンスター」を読んだ感想です。いきなりネタばらしがあります(未読の方は以下は読まないことをお薦めします)。
この中編「シーソーモンスター」の時代背景は1980年以降の日本の高度成長期の社会です。日米貿易摩擦の記事が新聞に載っていると始まります。
日米貿易摩擦では、日本と米国の貿易不均衡を是正するために、1985年のプラザ合意によって、ドル売りの協調介入し、円高誘導をしました。この結果、1米ドルが230円ぐらいから一気に130円ぐらいに跳ね上がりました。
その後、1987年には米国の包括通商法301条に基づき、日本製のコンピューターやカラーテレビ、電動工具の3品目に100パーセントの報復関税をかけたころです(今の米国と中国の報復関税の先駆けです)。
日本は好景気で、残業もいとわずに猛烈に男性社員が働いていた時代です。
この中編「シーソーモンスター」の主人公は中堅の製薬企業に勤めている北山さんです。そして4年先輩の綿貫さんに飲み屋で「同居してる実の母セツと、妻の宮子の仲がよくない嫁姑問題」の苦労を訴えます。
以下はネタばらしです。妻の宮子は、身寄りがない子ども時代を過ごしてきたため、好青年の北山さんと東海道新幹線内で知り合い、結婚までこぎ着けます。
北山さんが婚約者の宮子さんを両親に紹介するために、あるホテルのテールームで待ち合わせます。この時に、婚約者の宮子は、あるホテルのテールーム内にいた敵を見抜き、トイレで相手を片づけます。
実は、婚約者の宮子さんは日本の諜報部隊の一員で、なかなかの腕前の持ち主です。
そして、なんと実の母セツも、その日本の諜報部隊の元一員でした。あるホテルのテールーム内にいた敵を見抜き、トイレで相手を片付けた際には不十分な対応で、この義母のセツが裏側で相手を完全に片づけていたのでした。
話は進んで、中堅の製薬企業のいいお得意さんの大手病院の二代目院長を、4年先輩の綿貫さんから紹介されます。
実は、大手病院の二代目院長は病院の売上げをごまかし、脱税などをして不正に儲けていました。4年先輩の綿貫さんが協力した成果でした。
この大手病院の二代目院長は病院の売上げをごまかしている事実に気がついた北山さんは、4年先輩の綿貫さんに相談します。
この結果、4年先輩の綿貫さんと二代目院長は、この不正の罪を北山さんのしたことにして闇に葬ろうとします。
このため、北山さんは殺されかけます。この事件に乗り込んできたのが、妻の節子と母のセツでした。
拉致された北山さんは、偶然、ゴミ袋を顔に被せられ、視界を失います。気がつくと病院のベットに寝ていました。怪我をしたからです。
病室で何となく目が覚めると、そばに妻と母がいたようで、声が聞えました。その声は二人が仲が良さそうな雰囲気でした。
でも、怪我が直ると、また元の不仲な義母と嫁に戻りました。ここまでの話はテンポ良く進み、伊坂幸太郎さんらしい軽妙なストーリーです。
北山さんが退院すると、義母は同居を止めて別居することにしました。義母は元々、絵が上手だったので、カタツムリを主人公にした絵本をつくることになりました。
絵を義母が担当し、物語などの文書を妻の宮子が担当する役割分担です。この絵本はヒットしたそうです。この絵本の話は、もう一つの中編「スピンモンスター」に登場します。
今日も小雨・曇天です。台風は通過したのですが・・。
伊坂幸太郎さんの作品は軽妙なストリーで好きです。
本はなるべく買わないで借りるようにします
できるだけ物を増やさないように、とのことで
子供にいつも言われています
不要なものは捨てておいてね!って~
今の子供(我が家の子供だけかな)は本当に簡素な生活をしています
周りに物を置かない、ロボット掃除機で掃除をする、など徹底的に合理化生活です
ああ今は絵画が休みなんで本を借りてこようと思いました
コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。
先週から今日7月28日まで、雨や曇りの天気の日々で、晴耕雨読の日々でした。
この新刊「シーソーモンスター」は、伊坂幸太郎さんの実力通りの平均的なできでした。安定したできですが、やや不満も残ります。
コメントいつも寄せいただき、ありがとうございます。
シンプルライフをお送りになっていることは、今風です。
電化製品やIT機器に囲まれている生活は、平成時代のものです。本を簡単に読めるのも。平成時代からのことです。いい時代をお過ごしです。
お身体を大切に、楽しいシンプル生活をお続けください。
軽妙な語り口で、想定外の物語の流れが人気を得ています。
今回の新刊「シーソーモンスター」は、伊坂幸太郎さんが大物作家になったようで、少し好みと異なります。
コメントを寄せいただき、ありがとうございます。
伊坂幸太郎さんのミステリー小説は、軽妙な語り口で、最初は意味不明で、だんだんその意味が分かってきます。
これが魅力で、多くの読者に支持されています。
ほとんどの作品はベストセラーになっています。
自分の母親が、そして妻が凄腕での諜報部員で、その二人が自分を救ってくれるという流れは、誰も想像していない話ですね。
コメントを寄せいただき、ありがとうございます。
伊坂幸太郎さんのミステリー小説の新作の中編「シーソーモンスター」は、それなりの出来映えですが、小説としての新機軸・冒険はあまりしていません。
手慣れたストーリーづくりで安定した出来映えです。実際には平均以上の出来映えですが、期待値も大きいので・・
これを満たすようにする仕掛けがつまらないです。
コメントを寄せいただき、ありがとうございます。
伊坂幸太郎さんのミステリー小説の新作の中編「シーソーモンスター」は、実力があるので、それなりの出来映えですが、背景設定はあまり関係ない気がします。
日本では、「海」と「山」のそれぞれ一族が争い続けているという背景はあまり関係なく楽しめます。