街の商店街の中ほどの
ビルの2階に小さな小児科が一つ。
開業して37年。
先生のところには
だんだん患者がいなくなる。
なぜなら
ここに来た子たちは
みんな元気になっていくから…。
先生は注射もしなければ
薬も出さないけど
子どもの健康にとって悪いことは
ちょっとばかし手厳しい。
だから親は耳が痛い。
けれどそんな噂を聞いて
また新しい親子がやってくる。
今、81歳の先生。
開業以来休んだのは
数年の前にたった1日。
奥様の葬儀の日だけだった。
街の商店街の中ほどの
ビルの2階に
医療機器ではなく本に囲まれた
寒いけれど温かい小児科医が一つ。
先生に出会えた子どもは幸せだ。
クロッカス〈アヤメ科〉
copyright Maoko Nakamura
先生は吉祥寺で開業されています。
本当にこのような先生がいらしたら
親も安心して子育てができると思います。
先生ご自身も多趣味で若々しく
人生の先生でもあります。
薬をどっさり、すぐ注射する・・・ね。
よく話を聞いてくれて、やさしいお医者さま。
ほんと、そういうお医者さまに出会えたら幸せですね。