Cape Fear、in JAPAN

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シネマしりとり「薀蓄篇」(39)

2013-05-10 02:00:00 | コラム
どついたる「ねん」→「ねん」どあにめーしょん(粘土アニメーション)

一般的には「クレイ」アニメーションといわれているが、そこはまぁ、「しりとり」的に? 勘弁してほしい。

まず、亡くなったばかりのレイ・ハリーハウゼンについて記しておきたい。

92歳で鬼籍に入ったレイは、ストップモーション・アニメの第一人者。
ストップモーション・アニメとはつまり、「物体をヒトコマずつ動かし」「その度に撮影」「それをつなげる」ことによって、その物体が連続して動いているようにみせる・・・という、じつに気の遠くなる特殊技法のこと。

レイの代表作は『シンドバッド黄金の航海』(73)や『タイタンの戦い』(81)などで、
現在のCG・3D・デジタル技術に比べれば動きも滑らかとはいえないが、その手作り感が好きだというひとも多い。

この技術を継承しているのがティム・バートンや塚本晋也で、彼らの作品では、「もはや」アナログといえるストップモーション・アニメと最先端のデジタル技術の「幸福な結婚」を見ることが出来る。

最近、読売新聞で映画の「急速な」デジタル化を特集する連載があったが、産業・経済面と文化面の両立を考えると、デジタルの発展はもちろん、フィルムもなくしてはいけないのだなぁ、、、と痛感した。


話を戻して。
このストップモーション・アニメの「物体」(素材)を、「粘土」で創ったものがクレイアニメ。

最もポピュラーだとされているのが、日本でも人気の高いスイス産テレビシリーズ『ピングー』(トップ画像)だろう。
子どもたちに大人気だが、大人が観ても楽しめる完成度の高さ。

ただテレビシリーズは、テレビ番組ゆえに長い制作期間が用意出来ず、完成品は3~5分のものが多く、長めでも10分くらいが限界。

だから『ウォレスとグルミット』は、その世界観を徹底的に創りこむため、敢えて「映画」として提示したシリーズなんだと思う。

※こんな感じ…コーヒー(液体!)の描写とか、ほんとうに感心する





英国のアニメ工房「アードマン」制作によるもので、90年代に注目を集める。

自分がこのシリーズを知ったのは、オスカー授賞式でのこと。

90年―総監督のニック・パークは『ウォレスとグルミット』のシリーズ、『チーズ・ホリデー』と、シリーズとはまったく無関係の『快適な生活』で短編アニメーション部門にノミネート。
受賞作は『快適な生活』だったが、同部門に二本もノミネートって、この技術者は何者なんだ? と思ったわけ。

それ以降、ニック・パークによるクレイアニメは次々に映画賞を受賞。信頼を得て資金も集まり、思う存分クレイを制作出来るようになった。

ただメディアもそうだし、我々もついつい「努力や忍耐」「神経の細かさ」に注目しがちなのだが、本来は「その筋」を評価するべきで。

本年の「大」収穫『戦争と一人の女』で音楽を担当した映画監督の青山真治はいう、

「低予算だから・・・なんていう外側の視点で評価するのはどうか」

筋だろ、筋? と。

クレイアニメーションも同じで、表情豊かな粘土人形を褒めるのもいいけれど、
それと同時に、きちんと描かれた物語にも注目したい。

・・・と、創り手の立場から理想論を記してはみたものの、やっぱり、その努力とか忍耐力すげぇ!! と思ってしまうのだよねぇ。。。


あすのしりとりは・・・
ねんどあにめーし「ょん」→「よん」じゅうはちじかん。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(40)』

コメント (2)
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