5月11日燃料油脂新聞より
令和も灯油ホームタンク事業継続
「過疎化SS問題真剣に考えて」 中央商会・菊地典子社長
「小さな田舎の片隅でも人間たちは必死で生きています。高齢者が暮らす過疎地のSSが存続できる対策を願う」
1通のメッセージが行政幹部の目にとまった。
差出人は秋田県仙北市の中央商会(JXTG系)の菊地典子社長。
桧木内地区で唯一のSSとなったことで菊地社長は「10リットルを注文する高齢者にとってこのSSがなくなったらどうなるのだろうか」と考えていたらひとりでにペンが走っていたという。
山奥からの少量の灯油注文に対し、雪道を1時間かけて配達できるだろうかー
しなければ弱者切り捨てにつながる社会問題ともいえる。
ホームタンクを設置して大量の灯油を注文すれば済むが、先行き短い命と感じながら年金支給で生計を立てる一人暮らしの高齢者に新たな投資意欲はない。
20リットルの灯油缶を持ち上げる力もない。
地域密着を自負する中央商会としては経営の負担と思いつつも「人命救助」の思いから注文を断り切れない。
石油製品流通網再構築実証事業補助金で平成29年11月から約3か月間、補助事業を全国で初めて行った。
灯油をポリ容器で購入する高齢者(75歳以上)に200リットルの灯油用ホームタンクを設置し、使用分の灯油代を支払ってもらうシステムで、ホームタンクや灯油在庫は同社が管理し、仮にその家で不要になった場合は新たな高齢者宅に移動する。
約20世帯に無償でホームタンクを設置し、現在も活用している。
給油口は施錠でき、他業者が利用できないようにしている。
ホームタンクが雪や雨をしのげるよう囲いなどが完備され、タンクの損傷も少なく保存しやすい。
利用者は定期的に巡回してくれるので注文する面倒もなく、使った分の支払いなので経済負担もラクと喜んでいる。
菊地社長は「当SSもいつまで営業できるのか分からないが、地域住民が住み慣れた地域で少しでも長く幸せに暮らせるよう安定供給に努めたい。SS過疎化は全国的なもので、行政の弱者に寄り添った政策を期待したい。
過疎化SSの存続を行政が真剣に考えるならば、地域自治体施設の燃料供給は地元SSを優先的に指定してほしい。地域SSは災害時の緊急燃料として活用できる備蓄の役割も担っている。過疎化SSは毛細血管のような存在。
住み慣れた過疎地に住む高齢者が暖房用の石油を安心して購入できるシステムを、民間と行政、住民が一緒になって令和の時代も考えていきたい」と訴えている。
2016年09月27日 小さなSSの大きな叫び
2016年10月03日 過疎地か、都市部か、
「社説」セルフ増も減らせないSS
(1)
石油情報センターによれば平成30年9月末のセルフ総数は9988ヵ所で1万カ所の大台に近づいた。
(2)
元売系列と系列外SSの合計登録数は3万1467ヵ所(28年度末)
セルフ比率は32%とフルサービスが過半数を超す。とはいえガソリンの販売量は大きく異なる。
※セルフの販売量はフルの3.4倍(29年度経営実態調査)
(3)
「セルフがガソリンスタンドの名称」との形容が相応しいほどドライバーに浸透している。
一方で出店は大都市周辺や主要道路など大消費地域に限定される。
セルフ普及といえども全国津々浦々に供給するサプライチェーンの一部分でしかない。
国民生活に欠かせない製品供給を担うのは配送機能を持つフルサービスといっていい。
これ以上減らせないのは・・・・・
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>配送機能を持つフルサービス
本当の意味で供給を担っているのはポリ容器1つ2つといった小口配達を担い続けて来た地場店です。
しかし残念ですが、今後も大手や異業種の大型セルフは増えて、地場中小零細フル店は減ります。
行政が動いてくれるとしても、それはガソリンスタンド過疎地に限ります。