masumiノート

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セルフは元売主導の産物

2013年04月07日 | ガソリンスタンド

セルフは元売主導の産物で、都市部や国道沿いなどの主要幹線沿いに集中している事が明らかになってきた。
一方、全体の7割以上を占めるフルSSは山間部や島しょ部に集中しており、人口の減少で厳しい経営を余儀なくされていることも分かってきた。

需要が期待できるところにセルフが根付き、そうでないところはフルを踏襲するという構図。

セルフが元売主導の産物と結論付けるのは、6割近くが社有(元売の所有物)であることだ。

社有は都市部に集中しており、需要を当て込んだ元売政策の一環とみていい。

系列SS全体でセルフはまだ3割に満たないものの元売が先導役を務めたことは否定できない。

一方、山間部などに集中するフルは、特約店や販売店の自己物件が多い。
とりわけ販売店はセルフに関心を示さなかった、或いは切り替えることができなかったところが多く、販売店全体のセルフ比率は微少。

こうした実態から浮かび上がってくるのは、セルフとフルに地域格差があることだ。

需要のある都市部にセルフが集中し、過疎化が懸念される山間部にフルが数多く存在する。
しかも都市部の価格競争が伝播し、山間部のフルは「低価格と需要減の二重苦に喘いでいる」という。


3月25日 燃料油脂新聞より

*****

元売がセルフ化を推し進めるのは何故でしょう?

1996年3月 特石法廃止で製品輸入の自由化
1998年4月 セルフ解禁
2001年12月 石油業法廃止で元売が小売に進出

19年前から“価格競争”が始まっていたわけですね。
それより以前、まだ日本が好景気、いわゆるバブル時代に、元売は自社資本を投入して大型の店舗を主要幹線沿いなど需要の見込める場所に作りました。
しかしこの時はまだ元売自身は小売を行えず、大手の特約店に社有SSを貸し出す形で運営をさせたのです。

セルフが解禁になると、補助金を使って社有SSをセルフに改造。
価格競争に勝つために、大手は次々に店舗をセルフへと改装していきました。
※このときの補助金は確か2分の1以上出たと思いますが、元売や大手企業といった大資本の会社に、多額の補助金を出す必要はあったのでしょうか!?

2001年、元売が小売に進出、子会社販社が大型セルフを運営し、PB業者との価格競争が更に熾烈になりました。
※数量インセンティブを与えられない中小販売店は価格競争に参加できず、「このままでは潰れる」と、本来はタブーである業転玉に手を出すところが増えたのです。

セルフ化の流れは、元売が小売に進出するまでは元売主導のもと大手特約店、元売の小売進出により子会社販社、それから中小特約店(2者店)、最後に3者店と来たのです。

実は当店も13年ほど前に特約店からセルフ化を勧められたことがあり、セルフにしたら(3者店の当店の)仕切りが確か3円安くしてもらえるという話でした。
しかし、
改装工事で数ヶ月休業しないといけません。
顧客の流出に繋がる恐れもありましたし、1店舗を生業としてやっている3者店の身にはかなり難しいことです。

結局セルフ化の話は流れ今に至るのですが、3円安くしてもらったところで販社や大手量販店の数量インセンティブには到底勝てないわけで、うちのような小さい3者店はセルフにしないで正解だったと思います。


さて、何故元売はセルフ化を推し進めるのか?
ひと言で言うと効率化でしょう。

店舗の大型化は地下タンクの容量を大きくして輸送コストを削減するため。
で、子会社販社や資本注入した特約店の社有SSには“自動配送”でどこまでも効率化を優先。
そこには採算販売の意識はゼロ、とにかく量を捌くための装置という考えでしょうか...

とはいえ、元売は卸の時点でしっかりマージンを確保していますからね。
子会社販社のガソリンスタンド店長の中には自分の店のリッター当りのマージンがいくらかすら知らない人間がいるみたいですし...。

元売販社や広域ディーラーの中には「ガソリンは(油外収益を上げるための)集客商品と割り切っている」との声もあるそうで、そういう意識の連中と“価格”競争をしなければならないのですから、採算販売で生活の糧を得なければならない地場の業者が苦しい立場に立たされるのは当然の成り行きです。


業界紙には「安売りに迎合せず採算販売を貫け」という言葉が載りますが、市況がそれを許してくれません。
採算販売?適正利益を得ようとすれば近隣セルフよりリッター30円は高くなるでしょう。
誰がそんな値段のガソリンを買ってくれると言うのでしょう?

この地場の3者店の苦境は10年前から国会でも取り上げてもらっていることですが、一向に事態が改善されることはないままに地下タンクの法規制となったのです。

多くの地場中小販売店が立っていることも出来ずに敗退していきました。
今後も多くの地場業者がこの業界に見切りをつけて去っていくことになるでしょう。



因みに、社有SSについて本日の燃料油脂新聞にこんな記事が↓



毎日毎日こんな記事書かなくても、業転玉を仕入れれば簡単に楽になるのだけどね(苦笑)


同じ地場のフル系列がセルフの安値に追随したとき、顧客から値段が高いと苦情を言われました。
法人客の中には「若い社員から安い店に取引を変えるべきだという声が上がっている。長年の付き合いもあるし融通の利くお宅との取引を止めるつもりはないが若い社員を説得するための理由がいる」と、高値の理由を説明するように求められたりもしました。

しかし当時、業界内では公然の秘密でも、「業転」はまだ公にはなっておらず、元売も認めるわけがないという思いと、何より証拠もないのに「他店の安値の理由は業転」とも言えず、ただ「弊社の仕切りではこの価格に成らざるを得ないのです」としか答えることが出来なかったのです。

その企業はそれでも取引を継続してくれていますが、高値を理由に去っていった方も多いです。

※例え「他店の安値の理由は業転」と説明できていたとしても、消費者は“安値”を選んだと思っています。
だから他社買いして安値販売している系列店は、懼れずに「業転で安くしています」と言ってくれれば良いのに、と思います。



でもここに来て安値追随する愚かさに気が付いたのか、他店と当店との価格差がなくなりました。
(地場ではない店はセルフより1円安ですし、地場でもまだ少しだけ安いところもありますけど)

それに昨年辺りから「業転」という文字が朝日新聞に載ったり、地下タンクの法規制の報道がされたりして、やっと少し消費者が関心を持ってくれるようになりました。
それでも店頭で直接説明するには限度があり、仕切り格差までは言えても業転のことまで話す時間がありませんし、(自分でもバカみたいと思いますが)浮気組みであろう他店に対しての気兼ね(情け)も少しあります。



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