[11月1日20:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学のマンション]
今日は日曜日であるが、リサは1人で留守番していた。
愛原と高橋が仕事に出てしまっているからである。
愛原は何も、NPO法人デイライトや斉藤秀樹からの仕事だけを引き受けているわけではない。
他にも探偵の仕事はしているのである。
なので、日曜日でも仕事に出ることはよくあったので、リサも既に慣れていた。
リビングでテレビを観ている。
〔「里親制度を利用する人達が増えています」〕
リサが適当にチャンネルを回していると、気になるフレーズが耳に飛び込んで来た。
手が止まったので観てみると、どうやら今の自分の立場は里子のようなものらしい。
愛原が仕切りに、『俺はリサの親だ!』とか言っているが、これは愛原がリサの里親だと思っているのだろう。
リサとしては、命の恩人たる愛原には、娘ではなく、嫁として身請けして欲しいと思っているのだが。
リサ:「ふむふむ……」
テレビ番組は、まず児童養護施設と里親制度の違いを説明していた。
リサの目には、自分が幼少の時から過ごして来た日本アンブレラの研究所が児童養護施設に見えた。
自分には人間だった頃の記憶は殆ど無いが、愛原達の調査によると、やっぱり孤児で、日本アンブレラに「買われる」前から児童養護施設にいたという。
それから里親制度についての説明があった。
これを観て、自分が学生時代まではこの愛原家で過ごし、卒業して善場達の組織に入ってからは自立する所が里親制度とよく似ていると思った。
リサ:「うんうん……」
里親制度で幸せになれた子供のインタビューで、リサは大きく頷いた。
だが、顔が青くなったのは、その逆パターン。
〔「……その一方で、里親からの暴力により、再び施設に戻った子供の例も報告されています」〕
リサ:「え……?」
いくら里子とて人間。
子供としての反抗期が存在する。
インタビューを受けた元里子は、失敗した原因として、自分の反抗期などを挙げていた。
リサ:「他山の石……人の振り見て我が振り直せ……」
リサの頭の中にそういった言葉が覆いつくされた。
もっとも、『他山の石』の本来の意味は『人の振り見て我が振り直せ』ではないのだが……。
リサ:「私、いいコにならなきゃ……!」
と、そこへ……。
愛原:「ただいまぁ~……」
高橋:「オラ、先生のお帰りだぞ。迎えおろう!」
愛原:「何言ってんだ、高橋……」
リサ:「お、お帰りなさい……!」
愛原:「遅くなって悪かったな。高橋、すぐ飯にしてやれ」
高橋:「うス!」
リサ:「先生達は?」
愛原:「悪い。途中で食べて来た。いやあ~、まさかあそこでターゲットが逃走劇やってくれるとはなぁ……」
高橋:「追い掛ける方の身にもなれやって感じっスよねぇ……」
奇しくもテレビはCMに変わり、たまたまハードボイルドな探偵のドラマのことが紹介されていた。
愛原:「あー、疲れた。俺も歳かなぁ……」
愛原はリビングのソファに寝っ転がった。
リサ:「先生」
愛原:「悪い。行儀悪かったな。すぐ、着替えて来る」
リサ:「あ……うん」
愛原が自分の部屋に着替えに行った時、リサはテレビのチャンネルを変えた。
〔「……お父さんと仲の良い秘訣は何ですか?」「毎日肩たたきをしてあげることです!」「おっ、いいですねぇ!聞きました!?」「えー、因みに私の父は昨年、上司に肩を叩かれました」「そういうことじゃねーよw」〕
たまたまバラエティ番組で、芸能人が一般家庭に突撃訪問する所をやっていた。
で、リサよりもずっと年下の女の子がインタビューに答えた。
リサ:「! これだ!」
しばらくして高橋がリサの夕食をテーブルに並べる。
高橋:「おーい、できたぞ。早く食べろ」
リサ:「はーい」
愛原のテーブルにも晩酌のビールとつまみが並べられている。
高橋:「先生!おビールの準備ができましたよー!」
愛原:「やれやれ。今日は疲れたよ」
高橋:「ターゲットを追い掛けるのに全力疾走しましたからね。足が疲れましたか?」
愛原:「まあ、そうだな」
高橋:「ちょっと風呂沸かして来ます。で、今日は足の疲れに効く入浴剤入れときますんで」
愛原:「悪いな」
高橋が浴室に行くと、愛原がこっそりリサに話し掛ける。
愛原:「どっちかっつーと、その後の報告書作成で肩の方が疲れてるんだけどな」
リサ:「そうなの?」
愛原:「高野君がそういう所厳しくってさぁ……。『ここ、誤字があります』とか、『この文章の表現はおかしいです』とか、細かく指摘してくるんだ」
リサ:「高野さん、作者にも指導してあげたら?」
愛原:「うん、その方がいいな」
雲羽:「余計なお世話だ!」
リサ:「先生、食べ終わったら肩叩きしてあげるね!」
愛原:「おっ、そうか?」
リサ:「うん!」
リサは急いで高橋の作った豚肉生姜焼き定食をかき込むと、その食器を流しに持って行って片付けた。
リサ:「じゃあ、肩叩いてあげるねぇ」
愛原:「よろしく頼むよ」
リサはわざわざ両手を変化させた。
それはまるで木魚のバチみたいな感じ。
なので、それで肩を叩くとポクポクと音が出る。
愛原:「おお~、これは……」
リサ:「気持ちいい、先生?」
愛原:「なかなかいい」
リサ:「ふふふ……」
リサは愛原の反応に、良い掴みを感じた。
リサ:(疲れている先生にマッサージしてあげたら、家を追い出されることはないよね)
リサはその後で部屋に戻り、誕生日プレゼントに買い与えてもらったノートPCで色々とネット検索してみた。
この部屋にはWi-Fiが飛んでいるので、それでネットにアクセスできる。
リサ:「なるほど。オイルリンパマッサージとか、リフレクソロジーとかあるのか……。先生、足も疲れてるみたいだからねぇ……」
〔「このゴリゴリしている部分が、凝り固まった老廃物の溜まっている所になります。ここを刺激することで、この老廃物が神経とぶつかり、痛みを感じるわけです。つまり、この老廃物を流してあげることで痛みが無くなれば、この部分の疲れは解消されるということになります」〕
リサ:「老廃物!?」
今のリサは善場から、人間の老廃物の捕食も禁止されてしまった。
だがそれは、触手を尿道や肛門に突き刺す行為が禁止されたわけである。
つまり、捕食そのものではなく、その行為が禁止されたというわけだ。
リサ:「人間の血液の中にも老廃物ってあるんだ……」
リサはとても深く興味を持ち、調べてみることにした。
今日は日曜日であるが、リサは1人で留守番していた。
愛原と高橋が仕事に出てしまっているからである。
愛原は何も、NPO法人デイライトや斉藤秀樹からの仕事だけを引き受けているわけではない。
他にも探偵の仕事はしているのである。
なので、日曜日でも仕事に出ることはよくあったので、リサも既に慣れていた。
リビングでテレビを観ている。
〔「里親制度を利用する人達が増えています」〕
リサが適当にチャンネルを回していると、気になるフレーズが耳に飛び込んで来た。
手が止まったので観てみると、どうやら今の自分の立場は里子のようなものらしい。
愛原が仕切りに、『俺はリサの親だ!』とか言っているが、これは愛原がリサの里親だと思っているのだろう。
リサとしては、命の恩人たる愛原には、娘ではなく、嫁として身請けして欲しいと思っているのだが。
リサ:「ふむふむ……」
テレビ番組は、まず児童養護施設と里親制度の違いを説明していた。
リサの目には、自分が幼少の時から過ごして来た日本アンブレラの研究所が児童養護施設に見えた。
自分には人間だった頃の記憶は殆ど無いが、愛原達の調査によると、やっぱり孤児で、日本アンブレラに「買われる」前から児童養護施設にいたという。
それから里親制度についての説明があった。
これを観て、自分が学生時代まではこの愛原家で過ごし、卒業して善場達の組織に入ってからは自立する所が里親制度とよく似ていると思った。
リサ:「うんうん……」
里親制度で幸せになれた子供のインタビューで、リサは大きく頷いた。
だが、顔が青くなったのは、その逆パターン。
〔「……その一方で、里親からの暴力により、再び施設に戻った子供の例も報告されています」〕
リサ:「え……?」
いくら里子とて人間。
子供としての反抗期が存在する。
インタビューを受けた元里子は、失敗した原因として、自分の反抗期などを挙げていた。
リサ:「他山の石……人の振り見て我が振り直せ……」
リサの頭の中にそういった言葉が覆いつくされた。
もっとも、『他山の石』の本来の意味は『人の振り見て我が振り直せ』ではないのだが……。
リサ:「私、いいコにならなきゃ……!」
と、そこへ……。
愛原:「ただいまぁ~……」
高橋:「オラ、先生のお帰りだぞ。迎えおろう!」
愛原:「何言ってんだ、高橋……」
リサ:「お、お帰りなさい……!」
愛原:「遅くなって悪かったな。高橋、すぐ飯にしてやれ」
高橋:「うス!」
リサ:「先生達は?」
愛原:「悪い。途中で食べて来た。いやあ~、まさかあそこでターゲットが逃走劇やってくれるとはなぁ……」
高橋:「追い掛ける方の身にもなれやって感じっスよねぇ……」
奇しくもテレビはCMに変わり、たまたまハードボイルドな探偵のドラマのことが紹介されていた。
愛原:「あー、疲れた。俺も歳かなぁ……」
愛原はリビングのソファに寝っ転がった。
リサ:「先生」
愛原:「悪い。行儀悪かったな。すぐ、着替えて来る」
リサ:「あ……うん」
愛原が自分の部屋に着替えに行った時、リサはテレビのチャンネルを変えた。
〔「……お父さんと仲の良い秘訣は何ですか?」「毎日肩たたきをしてあげることです!」「おっ、いいですねぇ!聞きました!?」「えー、因みに私の父は昨年、上司に肩を叩かれました」「そういうことじゃねーよw」〕
たまたまバラエティ番組で、芸能人が一般家庭に突撃訪問する所をやっていた。
で、リサよりもずっと年下の女の子がインタビューに答えた。
リサ:「! これだ!」
しばらくして高橋がリサの夕食をテーブルに並べる。
高橋:「おーい、できたぞ。早く食べろ」
リサ:「はーい」
愛原のテーブルにも晩酌のビールとつまみが並べられている。
高橋:「先生!おビールの準備ができましたよー!」
愛原:「やれやれ。今日は疲れたよ」
高橋:「ターゲットを追い掛けるのに全力疾走しましたからね。足が疲れましたか?」
愛原:「まあ、そうだな」
高橋:「ちょっと風呂沸かして来ます。で、今日は足の疲れに効く入浴剤入れときますんで」
愛原:「悪いな」
高橋が浴室に行くと、愛原がこっそりリサに話し掛ける。
愛原:「どっちかっつーと、その後の報告書作成で肩の方が疲れてるんだけどな」
リサ:「そうなの?」
愛原:「高野君がそういう所厳しくってさぁ……。『ここ、誤字があります』とか、『この文章の表現はおかしいです』とか、細かく指摘してくるんだ」
リサ:「高野さん、作者にも指導してあげたら?」
愛原:「うん、その方がいいな」
雲羽:「余計なお世話だ!」
リサ:「先生、食べ終わったら肩叩きしてあげるね!」
愛原:「おっ、そうか?」
リサ:「うん!」
リサは急いで高橋の作った豚肉生姜焼き定食をかき込むと、その食器を流しに持って行って片付けた。
リサ:「じゃあ、肩叩いてあげるねぇ」
愛原:「よろしく頼むよ」
リサはわざわざ両手を変化させた。
それはまるで木魚のバチみたいな感じ。
なので、それで肩を叩くとポクポクと音が出る。
愛原:「おお~、これは……」
リサ:「気持ちいい、先生?」
愛原:「なかなかいい」
リサ:「ふふふ……」
リサは愛原の反応に、良い掴みを感じた。
リサ:(疲れている先生にマッサージしてあげたら、家を追い出されることはないよね)
リサはその後で部屋に戻り、誕生日プレゼントに買い与えてもらったノートPCで色々とネット検索してみた。
この部屋にはWi-Fiが飛んでいるので、それでネットにアクセスできる。
リサ:「なるほど。オイルリンパマッサージとか、リフレクソロジーとかあるのか……。先生、足も疲れてるみたいだからねぇ……」
〔「このゴリゴリしている部分が、凝り固まった老廃物の溜まっている所になります。ここを刺激することで、この老廃物が神経とぶつかり、痛みを感じるわけです。つまり、この老廃物を流してあげることで痛みが無くなれば、この部分の疲れは解消されるということになります」〕
リサ:「老廃物!?」
今のリサは善場から、人間の老廃物の捕食も禁止されてしまった。
だがそれは、触手を尿道や肛門に突き刺す行為が禁止されたわけである。
つまり、捕食そのものではなく、その行為が禁止されたというわけだ。
リサ:「人間の血液の中にも老廃物ってあるんだ……」
リサはとても深く興味を持ち、調べてみることにした。
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