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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「いよいよ仙台へ」

2025-04-30 20:41:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月25日17時54分 天候:晴 岩手県盛岡市盛岡駅前通 JR盛岡駅→東北新幹線68B列車・1号車内]

 

〔12番線に、停車中の列車は、17時54分発、“やまびこ”68号、東京行きです。停車駅は、仙台までの各駅と、福島、郡山、宇都宮、大宮、上野、終点東京です。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車、自由席は1号車から4号車です。尚、全車両禁煙です。……〕

 私達は当駅始発の“やまびこ”号に乗り込んだ。

 

 BSAAとの取り決めがある為、リサは先頭車か最後尾にしか乗れない。
 最後尾はグランクラスの為、自由席のある先頭車に乗り込む。
 先頭車は車両構造の関係上、座席数が少ないが、早めに並んでいたこともあり、2人席に座ることができた。
 荷物は網棚の上に載せる。
 そしてテーブルを出し、その上にNewDaysで買った食べ物や飲み物を置いて発車を待つ。

〔「お待たせ致しました。17時54分発、東北新幹線“やまびこ”68号、東京行き、まもなく発車致します。次の停車駅は、新花巻です」〕

 もしこれで東京駅まで乗り通すとなったら3時間以上掛かる列車だが、車内販売は無い。
 ホームからは微かに発車メロディの音色が聞こえてくる。
 往路の秋田新幹線の車内でも聞いた、小田和正氏の“ダイジョウブ”である。
 連続テレビ小説“どんと晴れ”の舞台に盛岡市が選ばれたことから、それを記念してそのテーマソングが発車メロディとなった。

〔12番線から、“やまびこ”68号、東京行きが、発車致します。次は、新花巻に、止まります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 発車メロディが鳴り終わると、甲高い客扱い終了ブザーが聞こえてくる。
 そして、『ドアが閉まります』というアナウンスがデッキから聞こえて来て、ドアが閉まる。
 それから、エアーの抜ける音がして、列車がスーッと動き出した。
 上り本線のホームに止まっていた為、特にポイントの通過等は無い。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は、“やまびこ”号、東京行きです。次は、新花巻に、止まります。……〕

 そういえば、善場係長から返信があった。
 といっても、秋田での調査業務に対する労いの言葉だけであったが。
 その後で、パールの企みについても送信しておいた。
 テラセイブが日本に事務所を構えようとしていることについては、少し驚いていたようだった。
 どうもパール以外のメンバーが誰なのかは把握していないらしく、それについて調べようとしているらしい。
 まあ、パールに聞けば分かるだろう。
 もしもパールが口を開かないようであれば、私から頼んでもいいし、それでもダメなら、係長の古巣の公安調査庁を通して国家権力を発動すれば良い。

 善場「“青いアンブレラ”の動きについては、分かりましたか?」
 愛原「いいえ、全くです。あの後、私達の前に現れることはありませんでした」

 車内でもそのようなやり取りを係長と交わした。
 どうやら係長は、テラセイブのことより、“青いアンブレラ”の方が気になってしょうがないらしい。
 鬼達に追われる中、ヘリで助けてくれたのはありがたいが、結局高野君達が何がしたかったのかは不明だ。

 愛原「どれ、明日は親孝行するか」
 リサ「おおー!」

 息子がどこかに連れてってやらないとな、あの夫婦は……。

[同日19時09分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 JR東北新幹線68B列車・1号車内→JR仙台駅]

 10両編成の列車は順調に走行している。
 食べ物と飲み物を平らげたリサは、ゴミを捨てに行きながら、トイレに行った。

 リサ「トイレ、洋式できれいだった」
 愛原「今頃、新幹線のトイレも皆洋式だよ」
 リサ「ウォシュレットは無かったけどね」
 愛原「グリーン車のトイレなら、ウォシュレットが付いてるよ」
 リサ「差別」
 愛原「いや、そりゃ、向こうは特別料金払っている人達のトイレだからねぇ……」

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、仙台です。仙石線、仙山線、常磐線、仙石東北ライン、仙台空港アクセス線、仙台地下鉄南北線と仙台市地下鉄東西線はお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。仙台の次は、福島に、止まります〕

 列車は進行方向左手に新幹線総合車両センターを見る。
 仙台止まり、仙台始発の新幹線は、だいたいこの車両基地に出入りする。
 山陽新幹線のように、博多南線のような運用ができなかったのは、東北本線利府支線が並行しているからだろう。
 もっともこの利府支線電車、昼間は支線内を行ったり来たりするだけだで?
 その後は国道4号線、仙台バイパスの上を通過する。
 ここまで来ると、仙台駅はもうすぐだ。
 路面が濡れているところを見ると、仙台でもゲリラ豪雨は降ったらしい。
 既にその雨雲は、太平洋に抜けて行ったという。

 愛原「取りあえず、仙台まで来れたな」
 リサ「ここまで来れば、もう大丈夫だね」
 愛原「何が?」
 リサ「ルタのアホのこと。わたしとヤれるのは、俺だけだーって」
 愛原「ああ。まあ、大丈夫だろう。流太には雪という許嫁がいるし、本家通達を破った廉でしばらく謹慎処分みたいだから。いくら村議会議長の孫といっても、更に勝手な事したら座敷牢行きは免れないだろう」

 ぶっちゃけ、雪姫も強いだけでなく、グラマーな美女鬼である。
 リサの事が諦められるくらいの女性であると思うのだが。
 物凄く頼めば、私とヤらせてくれたかも……なんちゃって。

〔「まもなく仙台、仙台です。14番線の到着、お出口は右側です。仙台でお降りのお客様、お忘れ物の無いよう、お支度をしてお待ちください。仙台まで各駅停車で参りましたが、仙台から先は通過駅がございます。仙台を出ますと、福島、郡山、宇都宮、大宮、上野、終点東京の順に止まります。停車駅に、ご注意ください。通過する各駅に停車致します“やまびこ”220号は、向かい側13番線から19時20分の発車です」〕

 何故か始発列車が上り本線ホームに停車していて、そうでない列車が副線ホームに発着する不思議。
 今は許されているのだろうが、多分、旧国鉄時代の運転取扱規定では禁止されていたのではないか。

〔「ご乗車ありがとうございました。仙台、仙台です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。14番線の列車は、19時11分発、“やまびこ”68号、東京行きです。次は、福島に止まります。通過する白石蔵王においでのお客様は、13番線に停車中の“やまびこ”220号にお乗り換えください」〕

 私達は列車を降りた。

 愛原「雨が降った後だからか、若干涼しいな」

 あくまで、若干である。
 やっぱり、冷房が無いと厳しい暑さではある。
 今夜も熱帯夜になるだろう。

 リサ「お腹空いた。早く帰ろう」
 愛原「そうだな……」

 私達はエスカレーターで、改札口のある3階に向かった。
 新幹線改札口を出る際、キップはそこで全て回収される。

 愛原「荷物もあるし、タクシーで帰るか」
 リサ「分かった」
 愛原「……と、その前に……」
 リサ「ん?」

 私は2階へ下りるエスカレーターを見た後、視線を別の場所に移した。
 それは“みどりの窓口”と指定席券売機が並んでいる所。

 愛原「ちょっと向こうに寄ってみるぞ」
 リサ「? うん」

 私は指定席券売機に向かった。
 幸い今は空いている。

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