報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「鬼娘同士の再会」

2022-01-07 20:04:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日13:30.天候:曇 栃木県那須塩原市某所 ホテル天長園1Fレストラン]

 レストランで昼食を取っていると、上野凛さんがやってきた。

 上野凛:「こんにちは。お久しぶりです」
 リサ:「おー、リン!久しぶりー!」

 凛さんはショートボブのリサよりも、更に髪を短くしたボーイッシュな髪形をしている。
 但し、もっと短くベリーショートにしたパール(霧崎真珠)とはまた違う。
 パールは顔立ちのせいか、ベリーショートにしても男と間違えることはない(後ろ姿はどうだか分からないが)。
 凛さんもそうなのだが、こちらは如何にも体育会系のスポーツ少女といった感じだ(斉藤絵恋さんも空手黒帯だが、あまり体育会系という感じはしない)。

 愛原:「こんにちは。受験勉強、頑張ってるみたいだな?」
 凛:「3年生は、ほぼ強制参加なんです」

 随分と教育に熱心な学校だ。
 確か凛さん、市立中学だということだが、地域や学校によるのだろうか。
 中高一貫校にいたリサは、中学3年生の時、特に受験勉強はしなかった。

 愛原:「こっちに来て、何か食べるか?」
 凛:「いえ、昼食はもう食べたので」
 愛原:「そうか。もしかして、また勉強するのか?」
 凛:「取りあえず15時から20時までは、ここのバイトがあるので」

 仲居のバイトである。
 但し、あくまでも表向きは『家業の手伝い』ということになっている。

 愛原:「そうなのか。まあ、ジュースでも飲みなよ」
 リサ:「リン、先生の御厚意」
 凛:「分かりました。ありがとうございます」

 凛はコートを脱いで、椅子に掛けた。
 コートの下は中学校の制服であるセーラー服を着ていた。

 リサ:「う……セーラー服なんだ」
 凛:「はい」

 凛さんは鞄の中から、白い仮面を取り出すと、それを顔に当てた。
 あの、リサ・トレヴァーの仮面そのものである。
 本来は、『最も危険な巫女』が、儀式の際に着用する仮面であるという。
 儀式の最中、『最も危険な巫女』が鬼の顔に変化する。
 それを周りの人間に見られないように、という謂われがあるのだとか。
 しかし、天長会の宗教上はそうなのかもしれないが、それを本当に具現化したのが白井伝三郎である。

 凛:「愛原……さんは、ブレザーなんですね」
 リサ:「リサでいいよ。この制服、東京中央学園の高等部のヤツ」
 凛:「カッコいいですね!私も着てみたいです!」
 リサ:「うん。合格すれば着られる。頑張って」
 凛:「はい!」
 愛原:「中等部のは、ブレザーがシングルなんだ。で、高等部になるとダブルになる。これは男子と同じ。ただ、右前か左前かの違いはあるな」
 凛:「そうなんですね」
 リサ:「ジャージも持って来た。後で見せてあげる」
 凛:「はい!ありがとうございます!」
 愛原:「中学校では陸上部なんだよな?」
 凛:「そうです。高校でも陸上部に入りたいです」

 どうやらスプリンターらしい。
 BOWがスポーツ競技に出て大丈夫なのかという心配があるが、BOWの特性が現れてしまうもの以外なら大丈夫だという。
 例えば、同じ陸上競技であっても、走り幅跳びや高跳びなどである。
 BOWが本気を出せば、棒高跳びでなくても10メートルジャンプは普通にできてしまうので、これはできない。
 しかし、走る速度は人間と大して変わらない。
 第1形態に変化してしまうと人間離れしたスピードになってしまうが、第0形態でいる間は、人間と大して変わらないという。
 そこで凛さんは、走る方の競技をすることにしたという。

 愛原:「それはいい。リサも入ったら?オマエ、帰宅部だろ?」

 特にリサが部活に入ることは、制限されていないはずだが……。

 リサ:「うーん……特にやりたいことが無いから。まあ、生徒会くらいは入ってもいいかも……」
 愛原:「逆に凛さんは、運動好きなんだね?」
 凛:「この体のせいか、とにかく体力を使いたくてしょうがないんです。それで、運動部に入ることにしましたね。小学校の頃は色々やりましたけど、走る方が後でスッキリすることが分かったので、それで陸上部にしました」
 愛原:「そうなんだな」
 リサ:「部活中の写真とか無いの?」
 凛:「ありますよ」

 凛さんは自分のスマホを出した。
 そこの写真には、他の部員と一緒にトレーニングしているシーンとか、競技会に出ている写真とかあった。
 競技会のユニホームは、セパレートタイプ。
 スポブラの上にナンバーカード(ゼッケン)を着け、下はショートパンツである。

 リサ:「フム。うちの中等部の陸上部のユニフォームもこんな感じだった。でも高等部になると、少しえっちぃよ」
 凛:「ああ。多分、ブルマタイプになるんですよね?知ってます。あの方が風の抵抗が少なくなるので、私もあれの方が良かったんですけど」

 中学校によっては、ブルマタイプの所がある。

 愛原:「そんなに違うのかい?」
 凛:「違いますね。明らかに、風が当たる感覚が違いますよ」
 愛原:「そうなのか」

 このように、人間のスプリンターはパンツの形状1つにも神経を使っているというのに、某ウマ娘ときたら……。
 でもまあ、鬼のようなBOWでも、人間と同じ条件で競える競技があるものだ。
 確かに、洋の東西を問わず、鬼が人間以上の速さで走るなんて伝説、あまり聞かないからな。
 え?韋駄天?あれって、鬼かい?……あー、話によっては鬼の一種として語られることもあるか?
 しかし作者は『天』と付くから、諸天善神の仲間だと思っていたらしいぞ。
 とにかく、人工的に鬼の姿に近い化け物にさせられたリサと、その女性から生まれた凛さんは、韋駄天のような足の速さは持ち合わせていないらしい。

[同日14:00.天候:曇 同ホテル8F客室]

 女将さんの計らいで、特別に早めにチェックインさせてもらった。
 部屋は普通の和室だったが、二間に分かれていた。
 8畳間と3畳間である。

 愛原:「なるほど。それじゃ、そっちの3畳間にリサが寝ればいいな。俺と高橋は、こっちの8畳間で寝るから」
 リサ:「えー?3人、川の字で寝ようよ?」
 愛原:「いや、それはダメだ。リサは、そっちの部屋だ」
 リサ:「ぶー……」
 愛原:「ぶーたれんなよ。同じ部屋で寝れるだけマシじゃないか」
 高橋:「先生、温泉入っちゃいます?」
 愛原:「そうだそうだ。そうしよう。そうなると、浴衣に着替えないとな」
 リサ:「わたしも」
 愛原:「Sサイズがあるな。これがリサ用だ。俺はMサイズで、高橋はLサイズかな」
 高橋:「背が高いと、なかなかサイズ合わないんスよね」
 愛原:「低身長の人達にケンカを売るセリフだな。……って、リサはここで着替えるな!向こうで着替えろ!」
 リサ:「えー?『家族』なんだからいいじゃない」
 愛原:「歳を考えろ!もう16歳の女の子なんだから!」

 やっぱりBOWの感覚はズレている。

 愛原:「まさか、学校でもそういう着替えをしてるんじゃないだろうな?」
 リサ:「ううん。ちゃんと更衣室で着替えてるよ」
 愛原:「なんだ」
 リサ:「JKの着替えなんて、先生にしか見せるわけないじゃん」
 愛原:「オマエなー……」
 高橋:「俺は?」
 リサ:「お兄ちゃんは、『お兄ちゃん』なんだからいいの」

 これは、どう捉えて良いものなのやら……。
 とにかく、リサは3畳間に行って着替えさせた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「人食... | トップ | “私立探偵 愛原学” 「再び... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事