報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「リサ・トレヴァーの悪夢」 2

2022-12-07 16:33:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月30日15:30.天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 今日最後の授業である体育が終わり、リサは制服に着替えた。
 ブルマに関しては、オーバーパンツ用として着用したままである。
 ブルマが事実上の廃止に留まったのは、完全に廃止にしてしまうと、パンチラ防止としてのオーバーパンツが無くなってしまうからというのもあった。
 だからブルマが軒並み廃止になった直後、代わりのオーバーパンツができるまでの間、多くの盗撮魔がパンチラ写真を撮りまくったわけであるが。
 リサは『事実上の廃止』という意味を逆手に取ったという感じである。
 リサ一派に所属する『魔王軍』の女子生徒達は、ブルマが全盛期だった頃を知らない。
 その為、どちらかというと、他のクラスから注目されたことへの高揚感が強かったようである。
 リサがインフルエンサーとなるのだと……。
 だが、当のリサはそんなつもりはなく……。

 リサ:(どうやって愛原先生に見てもらおう?あわよくば、先生の秘蔵動画みたいに、体育倉庫で……うへへへ……)
 小島:「リサぁ、涎出てるよ?」
 淀橋:「魔王様の妄想か……」

 あとはホームルームをやって、掃除をして帰るだけだが……。
 教室には担任の坂上と、副担任の倉田が入って来た。

 倉田:「愛原さん、ちょっと職員室に。ホームルームは出なくていいから、あなただけ帰り支度をして職員室まで来て」
 リサ:「は?はあ……」

 何だろう?
 さすがに明確な校則違反ではないとはいえ、一派でブルマで体育を受けたことへの事情聴取でもあるのだろうか?
 少なくともこのタイミングだから、一派の者もそうでない者も、男子生徒もそう思ったようである。

 リサ:(まあ、いい。校則違反じゃないんだから、怒られる筋合いはない)

 リサはそう思って、帰り支度をすると、倉田について職員室に向かった。

 リサ:「倉田先生。もしかして、さっきの体育の時間、わたし達だけブルマを穿いて来たことですか?」
 倉田:「あ、それは違うのよ。本当は、あれについても聞きたいんだけどね。あなたも言っている通り、確かに校則違反ではないから、何とも言えないのよ」
 リサ:「じゃあ……」

 倉田は明確な理由を言わないまま、リサを職員室に入れた。

 倉田:「落ち着いて聞いてね。あなたの保護者、愛原学さんが事故に遭ったんだって」
 リサ:「は?え?え?え?」

 リサは最初、言っている意味が分からなかった。
 探索の最中、BOWにでも遭遇したのだろうか?

 リサ:「探索の最中、BOWにでも遭遇したんですか?」
 倉田:「そうじゃないのよ。保護者の愛原さん、工事現場を見に行ったんですって?」
 リサ:「あ、はい。確か……」

 日本アンブレラの五十嵐皓貴社長が所有していた実家のビルが取り壊されることになり、NPO法人デイライトの善場と一緒に見に行ったはずである。
 建物の中から、何か見つかるかもしれないと期待してのことだった。

 倉田:「その工事現場を見学中、工事資材が愛原さんの頭上に落ちて来て……」
 リサ:「えっ……!?」
 倉田:「病院に運ばれて、意識不明の重体だと……」
 リサ:「!!!」

 リサの頭がバグりかけた。
 思わず、第0形態から第1形態に戻るところだった。

 倉田:「まずは愛原さんのお仕事関係の人が迎えに来るから、それで帰って欲しいって。……大丈夫?」

 迎えが来るまでの間、リサはトイレに行き、そこで吐いたという。
 吐いた内容物の中には、まだ活きの良い寄生虫が何匹をも蠢いていたが、リサはそれを容赦なく下水道に流した。
 一応、下水処理の際に、そういった虫達は死ぬことになっているのだが……。

 善場の部下:「NPO法人デイライト東京事務所の者で、清水と申します。上司の善場の指示で、迎えに参りました」

 真夏だというのに、黒いスーツを着用し、マスクを着けた男が身分証を呈示しながらリサの前にやってきた。
 警察手帳のような二つ折りの身分証は、それだけで威圧感があった。
 そして、黒塗りのミニバンに乗り、リサは下校した。

[同日16:30.天候:雷雨 墨田区菊川 愛原のマンション]

 リサはまず、自宅のマンションに連れて行かれ、着替えや勉強道具一式などの私物を持ち出す準備をするように言われた。

 リサ:「どういうこと?本当に、愛原先生に何かあったの?」
 清水:「詳しいことは、後ほど善場より説明があります。あなたは暫く、ここには住めなくなります。ですので、今のうちに自分の荷物を纏めてください。但し、持ち出せる範囲でお願いします」
 リサ:「ま、まさか、本当にわたし……け、研究所に……」
 清水:「詳しいことは、後ほど説明します」
 リサ:「い、嫌だ!研究所になんか戻りたくない!!」

 リサはついに第1形態に戻ってしまった。
 清水と名乗る善場の部下は、懐からハンドガンの用意をする。

 清水:「落ち着いてください。ここで従ってもらわなくては、本当にあなたを射殺することになる」
 リサ:「嫌だ!嫌だ!嫌だ!わたし、愛原先生と一緒にいたい!!」

 更に第2形態となり、背中や両手から触手が生えて来た。

 清水:「チッ、錯乱したか……」

 清水は舌打ちをすると、インカムを使用した。

 清水:「あー、こちらA。『2番』が錯乱した。狙撃の用意を」

 と、そこへ、リサのスマホが鳴る。

 リサ:「……え?」

 リサは触手を引っ込め、スマホを取り出した。
 それは、善場からであった。

 リサ:「善場さんだ!」
 清水:「主任から?」

 リサが出ようとするが、切れてしまう。
 代わりに、今度は清水のスマホが鳴った。

 清水:「あ、はい。清水です。主任、どうかされましたか?……ええ。『2番』は錯乱しました。今、BSAAに狙撃の依頼を……。は?はあ……。了解しました。……出ろ。上司の……善場主任からだ」
 リサ:「善場さん?」

 リサは電話に出た。

 リサ:「もしもし?」
 善場:「リサですか?善場です」
 リサ:「愛原先生が……事故に遭ったって……」
 善場:「はい。それは本当です。一緒にいながら、真に申し訳ありません。後ほど説明に伺いますので、まずはそこにいる私の部下、清水という脳筋男ですが、彼の指示に従ってください」
 リサ:「でも……わたし……研究所に……」
 善場:「清水がそう言ったんですか?」
 リサ:「え?いや……。で、でも、もうわたし、ここには居られないって……」
 善場:「あなたは私共の監視下に置かれています。忘れましたか?それを愛原所長に委託しているのです。ですが生憎、愛原所長も高橋助手も、あなたの監視をすることができなくなりました。監視できない以上、そこのマンションにいてもらうわけにはいかないのです」
 リサ:「だから研究所に?!」
 善場:「聞いてください。愛原所長、または高橋助手のどちらかが退院し、あなたの監視ができる状態になるまでは、私達が直接監視しなくてはなりません。にも関わらず、あなたを研究所に入れたりしたら、却って監視ができません」
 リサ:「じゃあ、どうするの?」
 善場:「うちの事務所の近くのホテルに入ってもらいます。どちらかの退院の目途がつくまでです。うちの事務所の近くなら、監視もできますからね。学校も、そこから通ってください」
 リサ:「そ……そう、なんだ……」

 リサはホッとして、ベッドに倒れ込んだ。
 危うく意識を無くすところだったが、そこは何とか堪える。
 電話を返すと、どうも善場から注意されたのか、清水が謝るシーンが見受けられた。

 リサ:「旅行バッグ持ってくるから、待ってて」

 リサはキャリーバッグを持って来ると、そこに自分の荷物を詰め込んだのだった。

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