報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「仙台での一夜」

2023-04-10 11:41:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月5日18時30分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家]

 父親「学も缶ビール飲むだろ?」
 愛原学「うん」
 父親「高橋君も」
 高橋「あざっス!……いえ、ありがとうございます」
 リサ「じゃあ、わたしも」
 一同「あと3年待て!」
 リサ「えー!?」
 高橋「えーじゃねぇ!」
 父親「仲良くやっているようで何よりだ」
 学「いつも賑やかなんだよ」
 高橋「コイツのせいです」
 リサ「コイツのせいです」
 高橋「ンだコラぁっ!」
 リサ「電撃!」
 高橋「マグナム!」
 愛原「やめなさい、こんな所で!」
 母親「うちも2人以上の子供が欲しかったわ」
 愛原「うるさいだけだよ、きっと……」
 高橋「先生のヨメは俺です!」
 リサ「わたしがお嫁さんです!」
 高橋「コラァッ!」
 リサ「お兄ちゃん、男じゃない!」
 父親「た、多様性、多様性……」
 高橋「そうっスよ!」
 リサ「お兄ちゃんじゃ、子供が生めません。わたしは女だから、子供が生めますよ?」
 父親「う、うむ。孫を生んでくれる方が……」
 母親「私は孫に賭けたいわ!」
 学「何でだよ!?」
 リサ「いえい
 高橋「くそっ……!」
 父親「でも、歳の差が気になるねぇ……」
 学「そうなんだよ」
 リサ「問題ありません!こう見えてもわたし、実際は先生より10歳以上年上の……」
 学「わー!わー!わー!」
 父親「ん?」
 学「何でもない!何でもないです!」

 歳の差と言えば、上野医師と斉藤玲子の歳の差なんか、私とリサよりもヤバいぞ。
 上野医師がアラフィフで、斉藤玲子が10代半ばって……。
 私は確かに研究所の自爆装置から、リサを助け出した。
 上野医師は、喘息で死に掛かっている斉藤玲子を助けた。
 ……前者の方がヤバいか。
 私も、よくあんな咄嗟の判断ができたものである。

 父親「俺は『鬼ころし』だ」
 リサ「!」

 リサ、右耳だけ長く尖らせて、ピクッと動かす。

 高橋「おっ、いいっスねぇ!『どんな鬼でも、これを呑めばたちまち酔い潰れてしまう』って酒っスね!」
 父親「おお!よく知ってるじゃないか、高橋君?」
 高橋「俺の実家、新潟なもんで、佐渡の『鬼ころし』は有名っス!」
 父親「そっちか。これは『みちのく鬼ころし』だが、『佐渡の鬼ころし』も飲んでみたいな」
 高橋「今度、送らせて頂きゃす!」
 学「つったってオマエんち、下越の方だろ?佐渡に知り合いでもいるのか?」
 高橋「何も、佐渡でしか売ってないってわけじゃないっスよ?」
 学「そうか。それもそうだな」

 ぶっちゃけ、今なら通販でも簡単に買える時代だな。

 リサ「先生、わたしにも一口……」
 学「だからダメだって!」
 高橋「『お酒は20歳になってから』だぜ?鬼さんよ?」
 リサ「ぶーっ!」

 リサは頬を膨らませた。

 学「だが、試しに本当に鬼に『鬼ころし』を飲ませてみたい気がしないでもない」
 高橋「先生!?」
 リサ「じゃあ……!」

 リサ、父親の『鬼ころし』に手を伸ばす。

 学「だからダメだって」
 リサ「じゃあ、どうするの?」
 学「俺に考えがある」

[同日20時00分 天候:晴 愛原家]

 すき焼きの肉は、リサが半分以上食べていたような気がする。
 まあ、生協辺りで買ったセール品だったようなので、そこまで高い肉ではなかったようだが。
 夕食が終わると、私と高橋、リサは家の奥の客間に移動した。
 高橋とリサが夕食の後片付けを申し出たので、実際に移動したのはその後になったが。

 学「実は前々から思っていたんだが、善場主任」
 リサ「善場さん?」
 高橋「ねーちゃんがどうかしたんスか?」
 学「実は、かなり酒に強い」
 高橋「あー、確かにこの前の飲み会でも全然酔ってませんでしたね!」
 学「いくら表向きは人間に戻れたことになっているとはいえ、元はBOW(人工生物兵器)。リサと同じ方法でそうされた人だ。つまり、元・鬼といってもいい」
 リサ「うん、鬼のように怖い人。あの目で睨まれたら、わたしでも言う事聞いちゃう」

 リサは白目を黒に、黒目を銀色に変えた。
 興奮すると、このようになる。
 善場主任は、このような変化は無いのだが……。

 学「何気に俺や高橋より飲んでいるだろ?」
 高橋「それもそうっスね」
 学「あの人に『鬼ころし』を飲ませたら、どうなるだろうと思って」
 高橋「案外、大丈夫だったりして」
 リサ「是非飲ませてみよう!」
 学「お土産に買って行ってあげるか」

 普段はお土産を固辞する善場主任も、酒なら受け取ってくれるかもと思った。

[同日22時00分 天候:晴 愛原家]

 母親「明日は9時に後輩の家に行くの?」
 学「ああ。そうするよ」
 母親「分かった。日曜日だから、多分家にいると思うわ」

 リサが風呂に入っている間、私はリビングで母親と話していた。
 母親の後輩の門伝女史は、中学校の音楽教師として働いていたという。
 吹奏楽部にいて、高校も吹奏楽部に入り、そして大学で教員免許を取って、音楽教師となったようだ。
 もちろん今は、定年退職している。

 リサ「お風呂出ましたー」

 リサがやってくると、体操服とブルマではなかった。
 さすがに両親の前だからか?
 白いTシャツに黒いショートパンツであった。

 母親「その恰好で寒くない?」
 リサ「全然大丈夫です。わたし、体温高いんで」
 母親「そう……」
 学「夜更かししないで、早く寝ろよ」
 リサ「分かってるよ。それじゃ先生、わたしは先に寝てるねぇ?」
 学「ああ」

 しかしリサは、2階の私の部屋に行こうとした。

 学「ちょっと待てい!」
 リサ「なに?」
 学「リサが寝るのは、奥の客間だろ!あっち!」
 リサ「夫婦が同じ部屋で寝るのは当然でしょ?」
 学「こらぁっ!」
 母親「あらあら」
 学「『あらあら』じゃねーよ!」
 リサ「でも上野医師は、わたしのお母さん……かもしれない人と【バキューン】してたんでしょう?」
 学「ま、まだ分かんないよ?」

 しかし斉藤玲子が本当にリサの母親なのだとしたら、10代半ばで生んでいることになる。
 そして、その父親とは上野医師であるかもしれない。

 母親「一緒に寝てあげたら?」
 学「母さん!」
 リサ「わー!さすがはお義母さん!」

 リサは私に抱き着いた。

 学「自分の息子が鬼に食われてもいいのかよ!?」
 母親「どうせ人間の女性には相手にされないチー牛ですもの。煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい」
 リサ「先生!お義母さんのお許しが出たことだし!」

 リサは鼻息を荒くした。
 興奮して角が生え、両耳も尖っている。

 愛原「何がだ!高橋!何とかしろ!高橋!?」

 しかし、私の召集に応じない高橋。

 高橋「 でへへ……ダメっすよぉ、先生ぇ……そこ触っちゃ……

 それもそのはず。
 高橋は既に寝ていたからである。

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