報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵の慰安旅行」

2019-02-09 08:33:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月19日13:00頃 天候:晴 JR東京駅]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は我が事務所のメンバー+αを伴って、慰安旅行に出ることになった。

〔「ご乗車ありがとうございました。終点、東京駅丸ノ内北口です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください」〕

 都営バスを降りると、冷たい風が私達を襲う。
 早いとこレンガ造りの外観が特徴の駅舎の中に入らんと、着く前に風邪を引いてしまうなあ。
 それにしても……。

 斉藤絵恋:「リサさーん!きャハハハッ
 リサ:「サイトー、まじやばくね?」

 そうだなぁ……もはやこの2人……というか、斉藤絵恋さんの方がよっぽど友情の度合いを超えているというか……。

 高橋正義:「オマエら、マジヤバ」

 いや、オマエが言うな!

 高野芽衣子:「ほーら、ちゃんと前見て歩いて!危ないよ!」

 高野君がこの事務所の中では1番の常識人だな。
 私は寒風から逃げるように真っ先の駅舎の中に入った。
 東京駅丸の内側の出入口は、それだけで1つの観光スポットになっている。
 吹き抜け天井を見上げては、写真を撮る観光客も散見される。

 愛原:「それじゃ、キップは1人ずつ持とう」
 高橋:「俺、先生の隣がいいです!」
 愛原:「アホ、自由席だ」
 高野:「それじゃ、早めに行って並んでおきませんとね」
 愛原:「まあ、そういうことだな」

 つまりは乗車券と自由席特急券ということになる。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の特急“しおさい”5号、銚子行きは総武線地下ホーム2番線から発車致します。特急“しおさい”5号、銚子行きをご利用のお客様は総武線地下ホーム2番線へお越しください〕
〔Thank you for using JR East...〕

 東京駅などの巨大ターミナル駅では、このような自動放送が時々流れているので、特に私達のように千葉方面へ特急列車で向かう者は聞いてみると良い。
 知らないと罠が待っているからだ。

 高橋:「先生、総武線経由の電車なんですか?」
 愛原:「まあ、そういうことだな」
 高橋:「でしたら俺達、錦糸町から乗った方が楽だったんじゃ?」
 愛原:「指定席が全員分取れたら、錦糸町からにしたよ」

 やはり週末は観光客が多いのかねぇ。
 グリーン車は空いていたが、普通車指定席は空席が虫食い状態な程度だった。
 幸い私達が乗る特急は、同線内を走行する快速電車と違って東京駅が始発。
 そこから並んで席を確保するというのが、今回の私の想定だ。

 高橋:「でしたら、俺の後輩に頼んで東京駅から錦糸町駅まで席を確保……」
 愛原:「せんでいい」

 京葉線地下ホームは東京駅の最奥地にあるわけだが、こちら総武線地下ホームもなかなかどうして深い所にある。
 で、同じ千葉方面に向かう特急列車にしても、銚子行きや成田空港行きは総武線地下ホームだが、内房線や外房線は京葉線地下ホームから出るといった罠……というか、違いが待っている。

 愛原:「ああ、途中で何か色々買って行こう。確か、もう車販は廃止になっているはずだ」
 高橋:「マジっスか。先生をナメてますね」
 高野:「違うでしょ」

 地下に下りる最中、NEWDAYSに立ち寄ってお菓子やらジュースやらを買い込む。
 リサ達にとってはそれだが、やはり私はビールかな。

 高野:「先生、電車の中で飲み過ぎないようにしてくださいね」
 愛原:「ああ、もちろん分かってるよ」

 私は先に釘を刺された感じがした。
 事務所を出たところから、駅の中に入ったところまでサングラスを掛けていたのだが、地下に入ってからは外している。
 コートを羽織っていて、黒髪ショートにサングラスはどこかの女スパイみたいだ。

 愛原:「メインはやっぱり夕食だからな」

 私は缶ビールとおつまみを手に、そそくさとレジへ向かった。

[同日13:30頃 天候:不明 JR東京駅・総武線地下ホーム→総武本線4005M電車9号車]

 基本的に1番線と2番線は横須賀線が使用するようで、待っている間に横浜方面の電車が発着していった。
 港のヨーコ、ヨコハマ、ヨコスカー♪

〔まもなく2番線に、当駅始発、特急“しおさい”5号、銚子行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。この列車は、9両です。……〕
〔「2番線、お待たせ致しました。2番線には13時40分発、特急“しおさい”5号、銚子行きが参ります。足元の黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。グリーン車は4号車、自由席は1号車と6号車から9号車です。……」〕

 眩いヘッドライトを照らして地下トンネルの向こうから、フロント周りが黒い塗装がまず目に付く車両がゆっくりやってきた。
 折り返し先頭車となる車両に並んでいる私達の前を、今度は黄色く塗られた鮮やかな車体が通り過ぎる。

 リサ:「うっ……!」

 その時、リサが頭を抱えてフラついた。

 斉藤:「リサさん!?」
 リサ:(地下深いトンネル……プラットホーム……黄色い電車……)
 愛原:「どうした、リサ?」
 リサ:「別に……大丈夫……」

 頭の一部分を押さえていることから、何らかのフラッシュバックでも起きたのか、封じられた記憶が一瞬蘇り掛けたか……。

〔「ドアが開きましたら、前の方に続いてご乗車ください」〕

 とにかくドアが開いたので、私達は車内に入った。
 電車の中に入ると、早速席を確保した。

 高野:「先生、向かい合わせにします?」
 愛原:「ああ、そうだな」
 斉藤:「リサさん、こっちに一緒に座りましょ。ねぇ、本当に大丈夫なの?」
 リサ:「うん、大丈夫。ちょっと頭がズキンってなっただけ」

 やっぱりか……。
 しかし本当にマジで、リサの過去が分からないものだなぁ……。

〔「ご案内致します。この電車は13時40分発、特急“しおさい”5号、総武本線回りの銚子行きです。成東(なるとう)、八日市場回りの銚子行きです。佐原、水郷方面は通りませんのでご注意ください。停車駅は錦糸町、千葉、佐倉、八街(やちまた)、成東、横芝、八日市場、旭、飯岡、終点銚子の順です。……」〕

 愛原:「えーと……」

 私は座席に座ると、今度の行き先の犬吠埼温泉にあるホテルの概要が書かれたパンフレットを見ることにしたが……。

 愛原:「間接照明がちょっと暗いな」

 あ、それで読書灯が付いてるのかこの電車。

 高野:「1度は震災の影響で廃業になったホテルを、全日本製薬が運営会社の株式を購入したものらしいですね」
 愛原:「ああ、それで株主優待券……」

 さすがに筆頭株主ではないだろうが、大株主くらいの勢いだったりしてな。
 しかし、何だって風評被害辺りで廃業したホテルの株式を買ったりしたのやら……。
 今はだいぶリニューアルして、かなりきれいになったようではあるが……。

 時間になると電車はスーッと走り出し、間接照明だけの車内は駅停車時よりも更に薄暗くなった。

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2 コメント

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こんにちは! (んっ?)
2019-02-09 13:39:09
関東にお住いの皆様方。

積雪との事,御無事でしょうか?
返信する
んっ?さんへ (雲羽百三)
2019-02-09 14:03:20
 こんにちは。

 さいたま市中央区においては、今現在は曇です。
 今朝はみぞれだったようで、気象庁的にはこれでも「雪が降った」ことになります。
 でも積雪はまだ無いですね。
 路面が濡れている程度です。
返信する

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