報恩坊の怪しい偽作家!

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“大魔道師の弟子” 「稲生家へ」

2022-05-16 20:14:44 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月2日14:56.天候:晴 埼玉県蕨市 JR蕨駅→同県川口市 稲生家]

〔まもなく蕨、蕨。お出口は、右側です〕
〔The next station is Warabi.JK41.The doors on the right side will open.〕
〔「浦和、大宮方面ご利用のお客様は、お乗り換えです」〕

 隣の汽車線を轟音を立てて中距離電車が通過して行く中、電車が電車線ホームに滑り込む。

〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕

 稲生勇太とマリアは電車を降りた。

 勇太:「この蕨市にも、ウクライナからの避難者が住んでいるらしいよ」
 マリア:「そうなのか」
 勇太:「蕨駅で募金活動があったらしいね」
 マリア:「その中にエレーナもいたんじゃないだろうな?」
 勇太:「いや、ネットで見た限り、募金活動をしたのは日本人だけらしいけど……」
 マリア:「そうなのか。まあ、日本人が日本で何をしようが別に問題無い」

〔2番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 2人は階段を昇って改札口を出た。
 さいたま市よりも外国人を多く見るのは、蕨市と川口市は移民の割合が多いからだろう。
 だが、少なくとも作者は凡そ3年ほど住んでいて、英語を話す外国人を見たことがない(つまり、英語圏の外国人は殆どいない)。
 その為か、英語圏の、それも白人のマリアは目立つようである。

 マリア:「素顔を晒していては目立つか?」
 勇太:「多分」
 マリア:「分かった」

 マリアはローブのフードを被った。
 蕨駅東口から外に出て、更に東へ100メートルほど歩くと川口市である。
 そこから北に向かって歩くと住宅街があり、そこに新築された稲生家があった。
 門扉はもちろんのこと、玄関ドアもカードキーで開けるシステム。
 もっとも、魔道士の解錠魔法で開けることは可能である。

 勇太:「ただいまァ」
 マリア:「こんにちは。今日もお世話になります」

 マリアはフードを取ると、ローブの裾を両手で少し広げて、ちょこんと御辞儀した。
 御辞儀というより、片足を下げる感じ。

 佳子:「お帰り。マリアちゃん、いらっしゃい。どうぞ、上がって」
 マリア:「失礼します」

 マリアは家に上がって、ふと気づいた。

 マリア:「……?」

 気づいたといえば気づいたのだが、勇太は気づいていないのだろうか。

 マリア:(勇太のお母さん、少し白髪が増えたな。無理もない。この人達は、普通の人間だ。しかし、息子は……)
 アスモデウス:「ちょっと、ステッキは傘立てにでも入れておきなさいよ」
 ベルフェゴール:「しかし、ボクのウェポンだし……」
 アスモデウス:「ただの変装の小道具でしょ!」

 玄関で騒ぐ悪魔二柱。
 アスモデウスは、まるでポルノ女優のような風体をしていたが、彼女が勇太と契約を結ぶ悪魔だと正式に決定した為(まだ契約は結んでいない)、既に悪魔からその力の片鱗の影響は受けている。
 そのうちの1つが、加齢の停止。
 悪魔としては、契約者が使える間は長く使いたいと思っているので、その間の寿命は保証する。
 但し、使えなくなったと判断したら【お察しください】。
 特に魔道士との契約は、悪魔側にとっても大きなメリットがある為、殆どの悪魔は標準的に加齢や老化を止めることを行う。
 マリアは18歳でベルフェゴールと正式再契約した為(人間だった頃に一度契約しているが、その時、ベルフェゴールは加齢を止めることはしなかった。その後のマリアの運命を見る限り、その辺りを予想して、あえてそのオプションを外したのだろう)、肉体年齢はほぼその状態で止まっている。

 マリア:「あまり騒ぐと、家の人に怪しまれるぞ」

 マリアは振り向いて、悪魔達を窘めた。

 佳子:「ん?どうしたの?マリアちゃん」
 マリア:「いえ、何でもありません」

 悪魔の姿は、魔道士などの一部の者にしか見えない。
 ましてや、一般人には見えるはずがない。

 勇太:「母さん、マリアさんの部屋は大丈夫?」
 佳子:「もう用意してあるわよ」
 勇太:「じゃあ、3階に行って来る。マリア、こっちへ」
 マリア:「うん」

 勇太はホームエレベーターに、マリアと一緒に乗った。
 エレベーターは3人乗りで、広さは一般的な家庭のトイレくらい。
 トイレから便器を外した広さくらいである。
 それで3階まで行くと、部屋は2つ。
 1つは勇太の部屋。
 もう1つは、イリーナとマリアが泊まりに来る時用の部屋(親族等が泊まる際の部屋は別にある)。
 今回はイリーナがいないので、マリアが1人で泊まることになる。
 その為か、今回は折り畳みベッドが1つだけ置いてあった。
 折り畳みベッドの上に、布団が敷いてある。
 明らかに来客用の予備ベッドだった。

 佳子:「2人とも、16時くらいになったら出掛けるわよ」
 勇太:「分かった」
 佳子:「モールのJTBに行くから、お父さんから封筒は預かった?」
 勇太:「実際は秘書の人が来たけどね」

 その秘書もまた、代理の者だった。

 勇太:「父さんはそんなに忙しいのかな?」
 佳子:「どうなのかしらねぇ……」

 佳子は首を傾げた。

[同日16:10.天候:曇 同県川口市芝新町 蕨駅東口バス停→国際興業バスSC01系統車内]

 出発の時間になり、3人で家を出る。
 その足でバス停に向かった。
 歩道が狭いので、並ぶ時は気を使う。
 バスの本数は多く、昼間は12分に1本の割合。
 やってきたバスは、都営バスと同様のノンステップバスだった。
 都営バスの路線車はもうノンステップバスしか存在しないが、国際興業だとワンステップも存在する。
 ここでは後ろから乗って、前から降りる。
 まあ、埼玉県まで来ると間違える者はいないのだが、同じ都内の23区内と多摩地域の境付近はよく間違う。
 多摩地域では、後ろ乗り前降りなので。

 佳子:「私は前の方に座るから、あなた達は好きな席に座りなさい」

 と、佳子は車椅子スペースの折り畳み椅子に座った。
 稲生とマリアは、中扉から後ろの2人席に座る。
 平日の夕方前なので、そんなに混んでいなかった。
 が、発車直前の時点では完全に空いている座席は無くなっていた。
 尚、首都圏では1番前の席はコロナ対策と称して使用禁止になっている。

〔発車致します。ご注意ください〕

 発車時間になり、引き戸式の中扉が閉まる。
 昔はブザーだったが、今では電車みたいなドアチャイムが主流になっている。
 ブザー式は、地方に行けばまだあるだろうか。

〔♪♪♪♪。毎度、国際興業バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは、イオンモール川口前川行きです。次は猫橋、猫橋でございます。……〕

 バスは五差路の交差点を左折した。
 そこから県道に向かう途中、ビルに入居したキリスト教の教会の前を通過する。
 但し、あまり霊的なものを感じ取らなかったのか、或いはバスの中だからと安心しているのか、マリアが特に気にする様子は無かった。
 もっとも、キリスト教全ての宗派が魔女狩りを行っているわけではないし、肯定しているわけではない(むしろ、今では否定派が多いだろう。何しろ、ローマ法王自身が否定している)。
 怖いのは、むしろイスラム教。
 あそこは宗派を挙げての魔女狩り肯定派だ。

 マリア:「ショッピングモールで、何か買うのだろうか?」
 勇太:「多分ね。まずはJTBに行って、引換券を宿泊券に引き換えてこないと。買い物はそれからだろうね」
 マリア:「そうか……」

 バスは県道111号線(蕨桜町線)を東に向かって進んだ。

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1 コメント

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Unknown (雲羽百三)
2022-05-17 06:15:45
日蓮正宗において、無宗教から入信した女性の割合がどれくらいなのか知りたいものだ。
それも、親の紹介とかは関係無く。
恐らく、顕正会よりも少ないと思う。
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